難経ポイント

経絡鍼灸 教科書 トップコーナ へ

難経ポイント (トップページ)

ゆっくり堂の『難経ポイント』  ank00

ゆっくり堂の難経ポイント

始めに。

ゆっくり堂、初学者用、経絡鍼灸教科書、『難経ポイント』を掲載するに当たって。

経絡鍼灸師にとって、学ばなければ成らない、文献は数々あります。

その一つが、『難経』です。

ここでは、3人の先生方の書かれた文献を読みながら、

難経、各難の原文・訓読・解説・詳細解説、そして各難のポイントを述べます。

参考文献:

①「難経の臨床考察」 著者:福島弘道 - 編集発行:東洋はり医学会機関誌部

②『難経 講義』 井上恵理先生の講義録: - 東洋はり医学会機関誌経絡鍼療416号~503号

③「難経の研究 」 - 著者:本間祥白 ・校閲:井上恵理 ・発行:医道の日本社 、

『難経ポイント』の視点は、

今の私に取って、実技の向上に繋がる点からの考察に成ります。

 経絡鍼灸師の先生方のご意見・間違いの指摘・などを、当院へお送りくだされば幸いです。

 

各項の難をクリックしてご覧下さい。(少しずつ掲載します。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一難           二難        三難        四難        五難        六難        七難        八難        九難

十難        十一難     十二難     十三難      十四難     十五難     十六難     十七難     十八難

十九難     二十難     二一難     二二難      二三難     二四難     二五難     二六難     二七難

二八難     二九難     三十難     三一難      三二難     三三難     三四難     三五難     三六難

三七難     三八難     三九難     四十難      四一難     四二難     四三難     四四難     四五難

四六難     四七難     四八難     四九難      五十難     五一難     五二難     五三難     五四難

五五難     五六難     五七難     五八難      五九難     六十難     六一難     六二難     六三難

六四難     六五難     六六難     六七難      六八難     六九難     七十難     七一難     七二難

七三難     七四難     七五難     七六難      七七難     七八難     七九難     八十難     八一難

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※  難経八十一難のおおまかな分類(6つの分類)

1、脉診に関する事。           (一難から二十一難まで)

2、経絡・奇経の流注、病の吉凶に関する事。(二十二難から二十九難まで)

3、臓腑の関係、四診(望聞問切)の診断法。(三十難から四十七難まで)

4、疾病に関する事。           (四十八難から六十一難まで)

5、兪穴に関する事。           (六十二難から六十八難まで)

6、鍼法に関する事。           (六十九難から八十一難まで)
※ 各難に於いては、これらの分類が、重層的な記載があります。
例えば、脉診の所でも治療法のことが記載されたりと。
それは、経絡鍼灸が、診断側治療の理論と技術であるからです。

——————————–

ゆっくり堂の難経ポイント一覧表

項目リンク

難経ポイント内容

臨床エトセトラ

更新日
 一難 

ポイント其の一

六部定位診(ろくぶじょういしん)を確定した点である。
————
六部定位診とは、
前腕部、橈骨動脈の流れを診ることで、
五臓六腑、全身の状態が判り、
疾病により死ぬか生きるか、
病気が治るか、
病気が治らないかが診断できると言う事です。・

 2014/10/25・・・・・・・2015/5/30

ポイント其の二

脈診こそは鍼灸師の特権です。難経「第一難」にはその大事な話が記載されています。

 

ポイント其の三

鍼灸師のバイブル難経を学びましょう。

臨床&エトセトラ1・・

難経に於いて六部定位脉診の理論が完成された。

※ 一難、
六部定位診(ろくぶじょういしん)を確定した点である。

※ 六一難、
六部定位の脉診と言うものが「難経」に於いて完成された事である

※ 十八難、
難経に於ける脉診の三部九候について説明しています。

※ 五難、
寸関尺を押さえる重さ・深さの比較です。

※ 四難、
脉状に於いて浮沈、長短、滑濇の六脉を基本脉と言っている。
浮、長、滑は陽脉であり、沈、短、濇は陰脉であると。

※ 四十八、
病気の診察診断方法には三つの分類(①脉診・②病状・③触診)があり、
そこに虚と実のタイプがあります。

それぞれリンクしてご覧ください。
一難」「六一難」「十八難」「五難」「四難」「四十八難

臨床&エトセトラ2・・・

鍼を受けた次の日が調子が良い理由。
——————————–
・ゆっくり堂の鍼灸臨床でも、
患者様から、たびたび治療の感想を頂きます。「鍼灸治療を受けた日よりも、
翌日がもっと身体が軽くなり、痛みが取れ、
気分が良く、身体の調子が良いと。」〔原文〕
榮衞行陽二十五度.行陰亦二十五度.
爲一周也.故五十度.復會於手太陰.
〔解説〕
榮衞の気は昼に二十五回めぐり、
夜に二十五回めぐり気の一巡が完了する。
だから、一日五十回転の気の循環をして
手の太陰肺経の動脈に戻ってくる。・
鍼の本治法の治療効果が本格的に
出だすのは治療日の次の日からです。一日五十回転の気の循環で気の
一巡が完了するからでしょうね。
・前腕部、橈骨動脈の位置:図gbm30を参照あり。

 二難

 ポイント其の一

二難は尺寸の脉診(診察)で、陰陽の脉状を知る要の理論が展開されています。・

ポイント其の二

②脉位の幅は「一寸九分」であり、この尺寸の幅で険脉を行う事を規定しています。

臨床&エトセトラ

難経では「一寸九分」の呼び名に
論の展開により名称が違てきます。
1、
二難では「尺寸」と呼び、
陰陽の脈診を展開しています。
2、
脉の全部を「寸口」と言う場合もあり。
3、寸間尺に分けた時の「寸口」と
言う場合もあり。この様に三つの分け方があるので
各論の趣旨を捉え文章の前後を考えて
使い分けします。参考図表あり。

 2014/10/30
三難 

ポイント其の一

格関覆溢と言う、病気でなくて死ぬ人の脉状を述べています。・

ポイント其の二

三難は二難の定義をふまえて、脉診の臨床が展開されています。

臨床&エトセトラ

三難の宿題です。溢脉・覆脉の脉状の解釈の違いにつて。井上恵理先生は、「外関内格の溢脉」は、
陰が無くて陽だけの脉と表現されている。これは「中脉が無い胃の気のない死脉」であり、
釜沸(ふふつ)の脉や、魚翔(ぎょしょう)の脉がある。本間祥白先生は、「外関内格の溢脉」を、
寸尺共に沈なる陰脉を打つ脉の事と言われる。井上恵理先生は、「内関外格の覆脉」は、
陽の脉が無くなって陰だけ脉がある場合と言われる。これは「中脉が無い胃の気のない死脉」であり、
弾石(だんせき)・解索(かいさく)の様な脉である。本間祥白先生は、「内関外格の覆脉」を、
寸尺共に浮なる陽脉になる脉の事と言われる。

 2014/11/01
四難  

ポイント其の一

『難経』では、脉状に於いて浮沈、長短、滑濇の六脉を基本脉と言っている。
浮、長、滑は陽脉であり、沈、短、濇は陰脉であると。・

ポイント其の二

陰陽について、呼吸と脉との関係、を述べています。・

ポイント其の三

「脉に陰陽の法あり」と言うのは脉だけではなくて、 東洋医学に於いては総ての治療・診断に陰陽を忘れてはいけないと言う事。

臨床&エトセトラ

井上恵理先生の脉状解釈、濇(しょく)脉について。濇脉というのは、
表現すると難しいが、
実際に診るとわかり易い。濇脉を、表現すると 「竹の皮を削るが如く」とか
「砂の上に水をまいて引くが如し」とか滑脉について。
これは「数珠の上を撫でるが如く」、
たいていは押し上げるような脉なのですが、
押し上げるのでは無くてコロッコロッと
指の下を転がって逃げていくような意味なんです。

 2014/11/18
五難  

ポイント其の一

寸関尺を押さえる重さ・深さの比較です。・

ポイント其の二

中脉を診れる鍼灸師になる最初の一歩になります。

難経臨床&エトセトラより。・・・

中脉(ちゅうみゃく)について。
(井上恵理先生の講演より。山口一誠の考察文章含む)
脉を取るのに色々な教え方があると思いますが、
私はいつもこうゆう診方をしています。
中脉というのがあります。
浮と沈の間にある中脉。この中脉は六部ともに「胃の気」を診る。
寸口・関上・尺中それぞれの所に 中脉がある訳です。
この胃の気・衛気(えき)の脉ですが、 身体と言うのは生まれてから後は食物に よって栄養されています。
栄養されていると言う事は五臓全ては 「胃の気」の支配を受けていると言う事なんです。
その胃の気が、肝経、心経、脾経、肺経、腎経、などの全ての経絡に旨く回っているかどうかと言う事を区別するのが「胃の気」を診る事なのです。
中脉の取り方は、 上から脉を押さえてまず三部の脉が全部 揃っている所がある筈です。
ここが、中脉になります。
そして、そこから沈めた所が陰脉で、浮かした所が陽脉です。
 2014/11/20
六難

ポイント其の一

「陰陽実虚」を脉診で診断する事は鍼灸術の原則である。

難経臨床&エトセトラより。・・・

「鍼灸臨床と陰陽(虚実)と五行論」について、
私の考えを思いつくままに書いてみます。経絡鍼灸では「診断は五行にも基づき、
施術臨床は虚実による」と言われますが、最近、患者様の施術をしていてこの言葉
の意味を実感しています。証決定は五行論を駆使して行われます。
そして、
施術は「虚実補瀉」の原則が適用されます。
虚の所見には補法を行い。
実の所見には瀉法を行う。
これが、鍼灸師の技を求めて尽きない
上工への道程だと思います。「虚実補瀉」は脉状の把握から、
その手技の塩梅がきまります。
それが、
臨床を通してこの難経第六難の
「陰陽実虚」を実感できる嬉しさです。

 2014/11/22
七難   

ポイント其の一

春夏秋冬の季節に応じて脉状は変化している。

ポイント其の二、

一年を六節に分けて、それぞれの脉状を述べてある。(六節の区分は三陽三陰の少陽・陽明・太陽・太陰・少陰・厥陰です。後述に参考表作成します。)

ポイント其の三

鍼灸師は四季に応じた脉状を認識して、季節に合った脉を作る事。

ポイント其の四

現代社会(先進国)は夏には冷房、冬には暖房、放射能被爆、大気汚染等と自然に身を任せた時代とは異質の状況にある。
よって、これも考慮して脉状を考察しなければならない。

難経臨床&エトセトラより。・・・

井上恵理先生の
難経第七難の纏(まと)めの言葉。季節と脉の関係で、
季節によって脉と言うものは病気に
関係なく動いている。私達の脉は夏に成ると浮いて来て
、冬になると沈んで来ます。それじゃ冬は陰虚に成って、
夏は実になるかと言うとそうではない。これを旺脉と言うと。脉を診る場合にはこうした季節と
言うものも考えなさいと第七難で注意
をしている訳です。・参考資料①少陽はその年の冬至の後の初めての
「甲子(きのえ、ね)」の日より60日間である。?ーーーーーーーーーーーーーー
十干(じっかん):
甲 ・乙 ・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸

十二支(じゅうにし)は、
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥 。ーーーーーーーーーーーーーー
(図nk3)の説明:参考図 図nk3あり。

 2014/11/24
八難  

ポイント其の

 人間の生命の源は「先天の気:腎間の動気」です。

ポイント其の

 目が見えるのも、耳が聞こえるのも、感覚が敏感であるのも、
美味しい物を味わえるのも、全て「先天の気:腎間の動気」が根本である。
人間を草木に例えれば、根が腐れ無くなれば茎も、葉も枯れ落ちて死んでしまうと。

ポイント其の

寸口の脉平にして死する者は、生気独り内に絶すなり。
とは、
いわゆる突然死、自然死、寿命死、のことです。

八難のポイント其の、(2016年2月24日追記)

  • 「気」が人体に宿っているから人間は生きていられるのである。
    難経第八難は難経のへそ(中心)である。
    人間が生きている根源的問いに答えている。
    死体と生きている人間の違いは何かに答えている。
    その答えは、
    「気」が人体に宿っているから人間は生きていられるのである。
    「気」が人体を離れれば生命は終わる。
そして、この「気」が東洋医学の根源的出発点でもある。

難経臨床&エトセトラより。・・・

難経第八難は脉診をして、
正常に脉があるのに死ぬ人がいる。これはどの様な理由なのかを問うています。私の臨床経験で過去に一度経験しました。癌手術の後遺症で身体のあちこちが痛み、
昼と夜が逆転して、
家人も大変な苦労をされていました。往診で治療をします。
脈を診ますと、
浮・数・実で大の荒々しい脉状です。
ある日から脉が穏になっていました。一週間後に訪問して、玄関のドアを開けた時、
フワリとお線香の匂いがしました。あの脈が、
難経第八難の「寸口脉平」の人の脉なのかと、・
※ 井上恵理先生の臨床経験から。
経験上、治療をしない方がいい患者について、
病症と脉証とが一致しない、
つまり病気があって脉が病気していない場合は
治療をしない方がいい。身体に色々の症状があって、
苦しいとか辛いとか言っているのに、
脉を診ると案外虚実がない平静の脉を打っている。
これは治療をしない方がいい。癌患者に非常に多く、陰陽虚実が判らない。これが「寸口脉平」の人達の脉の特徴でもある。

 2014/11/26

2016/2/24

九難  

ポイント其の一

脉診をして、患者の病気が、「臓病」か「腑病」かを判別する法則を述べています。

ポイント其の二

数脉(早い脈)は必ずしも身体に熱が出ると言う事ではない。

ポイント其の三

「臓病」か「腑病」かを判別する問題は、五十二難と五十四難もあわせて学ぶべし。

難経臨床&エトセトラより。・・・

・ 九難の参考図表(表nk6)・九難と五十二難の参考図表(表nk8)

 2014/11/28
十難  

ポイント其の一

十難の「一脉十変」の意味は、
「心」に於ける五つの変化と「小腸」に於ける五つの変化を合わせて十変の脉診と言う事です。

ポイント其の二

十変が各臓腑にありますので五十変の脉診がある事になりますね。

 

難経臨床&エトセトラより。・・・

心病脉に於ける一脉十変の表
(nk101)を作りました。

 2014/12/03
十一難 

ポイント其の一

欠滞脉が顕れる脉泊数の位置で五臓の変調が判る事です。

 

難経臨床&エトセトラより。・・・

難経十一難: 欠滞脉が示す五臓の不調表
(nk0111)
文章の後に掲載しています。

 2014/12/03
十二難  

ポイント其の一

十二難は鍼医師の誤った治療を糾弾するものです。

ポイント其の二

鍼灸師は陰陽虚実の診断を正しくしないと、反対の治療をして患者を死なせる事があると、厳しく注意喚起するものです。

 2014/12/03
十三難    

ポイント其の一

十三難で重要なのは診断に於いて「脉状」を中心にして、各々の五蔵の色体表を診る事です。

ポイント其の二

五臓の脉状と、五声、五色、五臭、五味には相生と相克の関係があります。

ポイント其の三

五臓の脉状と尺部とも相応しているのが健康である。
相応しない患者は病気になっているのだと、
特に脉状と相剋の色体表は病が重い事になります。

難経臨床&エトセトラより。・・・

〔解説参考HP〕 を参照されたし。五行の色体表 五行穴図 五要穴図 リンクhttp://yukkurido.jp/keiro/bkb/c101/c202/

 2014/12/03
十四難       ①、十四難は一回の呼吸と脈拍回数の関係に於いての病の診方を述べています。
 2014/12/03
②、健康で正常な脉状は、一呼吸で、一回吐く時に脉が二拍動し、一回吸う時に脉が二拍動する時です。
③、もうすぐ病気になる人は、一呼吸に二拍動する遅い脉を打つ人です。つまり、一回吐く時に脉が一拍動し、一回吸う時に脉が一拍動する状態ですね。
④、元気なように見えていて、バタッと倒れて死んでしまう人の脉は、 一呼吸に一拍する遅い脉を打っている人です。そして、この状態を「無魂」と言います。
身体の中に精気が無くなった病気です。身体の精気が無くなれば必ず死にます。
このような人が無意識に歩行しています。本人は病を感じていません。
この状態を古典では「行尸(あんし)」と言います。
そのうちバタッと倒れて死んでしまいます。(歩行する死体ですね。)
⑤、もう少し人生を楽しみたい方は「腎気」を養う事です。
其の為には、左尺中の脉、即ち腎の脉が消えないように、経絡鍼灸をお受けください。
臨床で、患者の症状を考察すると、たとえば尺脉が有ると言う事は木に根が有る様なもので、
たとえ枝や葉っぱが枯れても根は自ら生きる力を蓄えているから大丈夫だと。
脉に根本が有る者は元気あるので死なないと。
十五難 

ポイント其の一

難経十五難、春夏秋冬の四季の正常脈を知ること。

難経臨床&エトセトラより。・・・

弦脉の意味を
モット早く正しく知ることが出来たら・
・・脈診に磨きがかかったかも。春の脉は弦、
〔原文〕氣來厭厭聶聶.如循楡葉.曰平.
〔訓読〕
氣来ること厭厭(えんえん)聶聶(てつてつ)
として楡(にれ)の葉を循(なず)るが如しを平と曰う。
〔解説〕
春の弦脉は楡葉を聶(ささや)き循るように軟らかく
等しく伸びやかに整った脉状を平の正常脈と言う。

 2014/12/08
十六難 

ポイント其の一

十六難には、脉証腹証一貫性の法則が難経十六で展開されている。
鍼灸家の診断と治療方針についての点検の法則が難経十六に明記されている訳です。

難経臨床&エトセトラより。・・・

肝心脾肺腎のそれぞれの
脉状と病状と腹証から、
弁証診断が一致した時に正しい証が導かれると
言う事ですね。・脉診と脉証腹証一貫性の法則の参考リンクhttp://yukkurido.jp/keiro/sisn/kiru/myk/

 2014/12/11
十七難 

ポイント其の一

難経第十七難には、脉診によって死生存亡の3つのパタンーンが全て判ると述べられています。
つまり、証と脉が一致する者は生きるが、一致しない者は死ぬと言う事が書いてあります。

難経臨床&エトセトラより。・・・

臨床を重ねて行くと、
素直に症状が改善する人と,
そうでない人に出会います。そんなことが難経十七難からまた学ばされます。そしてまた、
当たり前すぎることですが、
経絡鍼灸治療を行う術者にとって、
『内傷無ければ外邪入らず 』の
経絡理論の原則を踏まえて、
臨床にのぞまなければと
思い知らされる日々です.

 2014/12/14
十八難  

ポイント其の一

十八難には、難経に於ける脉診の三部九候について説明しています。

ポイント其の二

やはり難経は臨床家が治療の実際から作り後世に残してくれた現代の鍼灸師へのプレゼントですね。
難経十八でもまた、脉証腹証一貫性の法則が展開されています。

 

難経臨床&エトセトラより。・・・

現代の臨床にも役に立つ難経十八難、右手寸口の手の太陰肺経を脉診して、
結滞脉があれば、腹診でも、
臍の右脇に「積氣」の塊があると。
また、
肺脈に結滞脉がなくても、
右手寸口の脉が沈んで伏した脉状であれば、
積の塊がある事があると。・この様になっていない時は、
慎重に施術を進めなさいねと。最近、来院された方で、
その脉状が右手寸口に6ミリ経の
ゼンマイ様の脉状がある。
ご本人曰く
「私は色々あるから、難しわよ、
ゆっくりやってね。」とのこと・・・大きな治療の宿題を頂いたところで、
難経十八難がまた役立ちそうです。

 2014/12/20
十九難    

ポイント其の一

十九難のポイント其の一は、男女の脉にはそれぞれ、平常の固有の脉がある。

ポイント其の二

男子の脉は尺脉よりも寸口の方が強い。また、女子の脉は尺脉が強い。
男女それぞれ、この脈状が正常脈である。

ポイント其の三

男が寸口が弱くて尺脉が強い女脉を打つ時は、病が内にあり、虚証(不足)として診る。
女が尺中が弱くて寸脉が強い男脉を打つ時は、病が手足にあり、実証(太過)として診る。

ポイント其の4

左右の脉状と腹証は一致している。
左得之.病則在左.右得之.病則在右.

難経臨床&エトセトラより。・・・

※ 難経十九難の臨床&エトセトラ井上恵理先生の臨床経験では、女性では腎虚の病が非常に長くかかって治りにくい。
男は肺虚証が非常に治りにくい。

 2014/12/25

今日は、

山ちゃんの

誕生日だ

 
二十難  

 二十難のポイント其の一

難経二十難では、陽部に陰脉が打ったり、陰部に陽脉が顕す場合がある。
この時に、陽中の伏陰・陰中の伏陽と言うものを考えなければならない。

 二十難のポイント其の二

経絡鍼灸の臨床から考えると、
一つの脉位に於ける状態だけを考えるのではなくて、
その脉位の陰陽を診る。その脉位の相剋を診る。その脉位の相生を診る。
ことの重要性を難経二十難で諭している。その脉位と関係のある総べての経脉・総べての部位に、 思いを馳せて治療の完全を期さなければいけないと言う事です。

※ 難経二十難の臨床&エトセトラより。・・

〔井上恵理先生の難経二十難解説から〕

脉状と脉の位置について。脉状と言うものは陰陽の関係においては
陽部には陽脉を顕していて、
しかも陽脉の中に虚実があって初めて正常である。
この様な時には、陽の病・陰の病と言うもの
がハッキリするのですが。難経二十難では、
陽部に陰脉が打ったり、陰部に陽脉が顕す場合がある。
この時に、
陽中の伏陰・陰中の伏陽と言うものを考えなければならない。
と言う事を難経二十難で論述しているのである。私(井上恵理)の臨床例から考えると、
例えば、
寸口の脉が浮脉であってしかも外邪性のものであると言う場合、
瀉法すべき時であっても、
陰の脉がそこに含まれている場合には、
陰の方を初めに補ってから、陽を瀉すと言う方法を取らなくてはならない。また、陰虚証、腎虚なら腎虚証と言う脉を打っているのだから、
腎だけを補えばいいと言うのではなくて、
腎虚なと言う証がある場合には、
必ずその相克する心の脉に実証があると言う事です。
そして、心の脉が実すると言う事は、
その陽である小腸が虚しているんだと言う様に、
一つの脉位に於ける状態だけを考えるのではなくて、
それと関係のある総べての経脉・総べての部位に、
思いを馳せて治療の完全を期さなければいけないと言う事です。

 2014/12/29
二一難 

二十一難のポイント其の一は、

形病、脉病、生死について書かれています。

難経二十一難の臨床&エトセトラより。・

〔井上恵理先生の難経二十一難解説から山口一誠の考察文〕難経二十一難を臨床で考えると、
肩こりや腰痛の「形が病ん」で鍼灸院に来た場合に、脉証には病的変化が無い時には脉を整える治療はいらない。形の治療だけすればいい。肩が張っているなら肩だけに鍼を打つ、腰が痛いなら腰だけに鍼を打つ。『内傷無ければ外邪入らず 』の経絡理論が必要ない病状です。黄帝内経・霊枢「経筋編」の治療法「痛を以って癒となす」・・痛む所が治療をする所だと。
但し、どの様に刺すかと言う方法は、経絡治療の法則になります。
「虚すればこれを補い、実すればこれを瀉す」治療法になります。難経二十一難の臨床応用「頭痛の治療法」も掲載しています。

 2014/12/30
二二難 

※ 二十二難のポイント其の一は、

是動病は気の病。
所生病は血の病。
経脉は気血の通路であり、気は脉外を循り、血は脉中を循る。
その脉外の気が病を起こすときは是動病(ぜどうびょう)となり、
脉中の血が病を起こすときは所生病(しょせいびょう)となる。

※ 二十二難のポイント其の二は、

この様な病状をする場合の治療方法は、
是動病の気を整える治療を先にやり、所生病の血を整える治療を後からやりなさいと。

※ 二十二難のポイント其の三は、、(2016.2.04、記帳)

氣は之(これ)を呴(あたた)むることを主(つかさど)る。
血は之を濡(うるお)すことを主る。

鍼術は身体を(あたた)め(うるお)す治療技術です。
だから血行が良くなり細胞が元気になって病気が改善されます。
これが、病気を治す鍼術のメカニズム、補法・瀉法の奥義です。

 

 2015/1/03

2016/2/04

二三難   

※ 二十三難のポイント其の一は、

経絡の流注の説明です。

 

 ※ 二十三難のポイント其の二は、

気血が連綿と途切れることなく一本の帯のように回っている。
そして、気血の循環の状況は、手の寸口(前腕部、橈骨動脈の一寸九分の寸間尺)を診る事で
十二経脉の状況が判断できる。また、人迎脉を診る事でも判ると。

 

※ 二十三難のポイント其の三は、

経脉の始終を知ることが、鍼灸師の綱紀になります。
二十三難の結論は、
人が生まれて生きている時を始めと言い、脉の気が終わる時が死であることを自覚して、
今、生きている時間を大切にして、鍼灸師の仕事をしなさいと。。

 

※ 難経二十三難の臨床&エトセトラ・・

〔井上恵理先生の難経二十三難の解説〕「経絡」と言う言葉は、日本で確立したものです。経絡鍼灸の治療法は、
経脉の変動そのものを調和させる事で治癒に導ける。経絡の変動こそが本当の治療の対象である。

 2015/1/07
二四難  

二十四難のポイント其の一は、

手足の三陰三陽に氣の変動が起こった場合に、
どの様な病状・どの様な状態・どの様な脉状となるか、
またその吉凶を知る事についての臨床法則が述べられている。

※ 二十四難のポイント其の二は、

難経二十三難には一番目に望診で観察するポイントが述べられている。
しかも懇切丁寧に変動機序が縷々説明してある。

 

※ 難経二十四難の臨床&エトセトラ・

まだ50代なんだけど「歯が長く見える」のは、老化現象の始りか。
これは腎経の氣の変動と診るか。「下唇の裏に口内炎がある」のは脾経の変動か。
「呂律が回らない時は」肝経か。「ツルツル肌」は肺経に問題ありかも。難経二十四難には一番目に望診で観察するポイントが述べられている。
しかも懇切丁寧に変動機序が縷々説明してある。
現代の臨床にも役立ち、五行の色体表の理由も納得です。だから、経絡の変動を整える本治法が必要なのですね。

 2015/1/09
二五難   

 ポイント其の一は、

十一臓腑に対して十二経絡と言うものになると。

ポイント其の二は、

「火」の中には二つの経絡が配当されている。

 

ポイント其の三は、

「火経」は「本心経(君火心経)の少陰心経」と別脉の「心主の厥陰心包経」である。

※ 難経臨床&エトセトラより。

〔井上恵理先生の難経解説から〕1939年(昭和十四年)
日本で経絡鍼灸の理論と法則が世界で始めて確立されました。
そのとき、難経二十五難の臨床理論を取り入れて、
診断には「心」を使って治療には「心包」を使うと言う法則を立てた。

 2015/1/12
二六難  

 ポイント其の一は、

十二経脉と十五絡について。

ポイント其の二は、

三絡と言うのは、
1:陽絡の陽蹻脉の絡。
2:陰絡の陰蹻脉の絡。
3:脾の大絡。

 

※ 難経臨床二十六難&エトセトラより。・


※「絡」の循環系での順路は、
肺経から大腸経・胃経・脾経から大絡に入る。
それから、心経・小腸経・膀胱経から陽蹻絡に入る。
それから腎経に入って陰蹻絡に入る。
そして心包経・三焦経・胆経・肝経・肺経と回る。

※ 「脾の大絡」は、脾の経絡の「絡」であり、
また後天の気と心の臓との関係においての「絡」になる。
心尖拍動と言うのが「脾の大絡」です。

 2015/1/13
二七難 

 二七難のポイント其の一は、

奇経八脉と正経十二経脉の関係につての論述です。

 2015/1/14
二八難    

 ※ 二十八難のポイント其の一は

奇経八脉の流注の起始と停止について述べています。

※ 二十八難のポイント其の二は、

正経十二経、十二絡の脉隆盛なれば邪気暴流し、奇経八脉に入る。
そして、いったん奇経八脉に流れ込んだ気血は十二経に帰ることはないと。

 2015/1/15
二九難 

二十九難のポイント其の一は

奇経八脉の病症についての説明論述です。

難経第二十九難 臨床&エトセトラより。

現在、ゆっくり堂が使用しているの「奇経治療病証判定一覧表」に、
今回の二十九難解説を合体してみました。
また、臨床上の気付きが出てくれば良いなと思います。「奇経治療病証判定一覧表&二十九難解説コーナー」後部に掲載してます。

 2015/1/17
三十難  

 三十難のポイント其の一は、

榮氣(栄血)と衞氣は五臓六腑を栄養し生命が保たれる。

三十難のポイント其の二は、

栄血は脉中を行き、衞気は脉外を循環している。

 2015/1/18
三一難  

 三十一難のポイント其の一は、

三焦には、上焦・中焦・下焦がある。

三十一難のポイント其の二は、

三焦の位置とその働きについて論述する。

三十一難のポイント其の三は、

三十八難とセットでお読みください。

難経臨床&エトセトラより。・・・・・

井上恵理先生の
難経第三十一難の解説から
「三焦」に対する見解について。「三」と言う数字は東洋の考え方では
「沢山」と言う意味です。そ言う事を考えると、
この「三焦」は人身が生かされる為の
あらゆる機能を司っている。

 2015/1/19
三二難 

 三十二難のポイント其の一は、

心と肺が横隔膜の上に位置する。
その理由についての論述である。

※ 難経臨床&エトセトラより。

「気血」は
父母より享けた先天の栄養であり、
これと飲食物の消化吸収された栄養分と
合わさり後天の気「榮衞の気」となる。
この、
榮衞の二気が十二経絡を通行している。

 2015/1/20
三三難 

三十三難のポイント其の一は、

肝木と肺金(心火)の相克関係から臓腑の位置、陰陽の結びつきついての論述である。

難経臨床&エトセトラより。

五行の四方、関係図nk12を参照されたし。
十干(じっかん)図nk3を参照されたし。

 2015/1/23
三四難 

三十四難のポイント其の一は、

五行の色体表についての論述です。

難経臨床&エトセトラより。

難経第三十四難の詳細解説は、
次のゆっくり堂制作、
初学者用・経絡鍼灸教科書
五行の色体表
HPをご覧ください。リンク先へ。

 2015/1/23
三五難 

三十五難のポイント其の一は、

五臓と五腑についての論述です。

難経臨床&エトセトラより。

難経第三十五難の詳細解説は、
次のゆっくり堂制作、
初学者用・経絡鍼灸教科書
五行の色体(よそおい)表
五臓と五腑についての
HPをご覧ください。リンク先へ。

 2015/1/24
三六難 

三十六難のポイント其の一は、

腎は二つあり、
右腎の命門についての論述です。

難経臨床&エトセトラより。

命門は神様と精力の宿る所であり、
原氣の宿る所である。
命門は両親から受け継いだ
「先天の気」を宿し、
この精力が子々孫々に受け継がれるのである。

 2015/1/24
三七難  

 三十七難の ポイント其の一は、

五臓の気と五根の働きについての論述です。

三十七難の ポイント其の二は、

五根の正常機能が述べられている。

三十七難のポイント其の三は、(2016.2.04、記帳)
営気が正常に循環すれば、身体の内部の五臓六腑を温め、外部では皮膚を艶よく潤すことが出来る。

鍼術は身体を温(あたた)め潤(うるお)す治療技術です。
だから血行が良くなり細胞が元気になって病気が改善されます。
これが、病気を治す鍼灸メカニズムの補法・瀉法の奥義です。

難経臨床&エトセトラより。

臨床上は、
五根の正常を知る事で、
五臓の変動を知る手だてとなる。身体が健康で正常な場合は、
昼には陽脉に営気が六腑を循り営養する。
夜には陰脉に営気が五臓を循り営養する。夜には陰脉に営気が五臓を循るので、
夜は寝る事ができる。
昼には陽脉に営気が六腑を循るので、
昼は起きて仕事が出来るのだと。これが逆転する時に、
昼間居眠りして、
夜は不眠症になるのである。営気が正常に循環すれば、
身体の内部の五臓六腑を温め、
外部では皮膚を艶よく潤すことが出来る。五臓は、肝・心・脾・肺・腎 。
五根は、眼・舌・唇・鼻・耳

 2015/1/27

2016.2.04、

三八難    

三十八難の ポイント其の一は、

三焦の働きについての論述です。

三十八難の ポイント其の二は、

三焦の働きは、自律神経の働きです。

三十八難の ポイント其の三は、

三十一難とセットでお読みください。

難経臨床&エトセトラより。

三焦の気は、
「先天の気」と
「後天の気:営気・衛気・宗気」の
二つが結合して構成されています。三焦の気はどの様な働きをしているのかと言えば、
自分の意思に無関係に人が生命を
維持するため働いている自律神経の働きです。
血液を全身に巡らす心臓の働き、
呼吸を主る肺臓の働き、肝臓・脾臓・
腎臓・胆・小腸・胃・大腸・膀胱の
五臓五腑を自然に動かしている働きを
「三焦の原気」と考える訳です。

 2015/1/29
三九難 

三十九難の ポイント其の一は、

左右の腎の内訳は、左腎を腎として、右腎を命門とみるのである。
命門は、精神の働きをする元になる藏である。
男子は子孫を創る精子(種)を宿し、女子はその種から子孫を育む子宮に預かるのである。

三十九難臨床&エトセトラより。

経絡では十二経絡の六臓六腑なり、
実態臓腑では五臓五腑なり、
五臓六腑とはこれ如何に。命門、三焦の成せるわざ、
気が付かないと判りませんと解く。

 2015/2/11
四十難 

四十難のポイント其の一は、

五行の色体(よそおい)表の考察。

五臓の肺・心・腎においての五行・金・火・水
五役・声・臭・
五竅・鼻・耳・
五方・西・南・北
十二・申・巳の関連を述べてある。(難経 第四十難の表1、2を参照の事)

難経四十難臨床&エトセトラより。

難経では四季と土用の関係から
五行論を展開する事があります。
それが「五行の四方・中央の配置」
になります。
それは東西南北の方角位置と
その中央が脾土に位置するものです。
西方が金・東方が木・北方が水・
南方が火・中央が土です。
相生関係は、火生金・金生水・
水生木・木生火となります。参考図
「五行の四方・中央の配置nk12」
文末に掲載します。

 2015/2/13
四一難リンク  

 四十一難のポイント其の一は、

肝の臓器は左右二つの両葉の形をしていて、これについて陰陽五行論より説明が展開されています。

四十一難のポイント其の二は、

〔井上恵理先生の四十一難解説補足から、〕
左右の肝は、肝は血を主る点から、古代では脾臓を左肝とみていたので二葉の形と認識していた。

難経四十一難臨床&エトセトラより。

難経四十一難を臨床的に読み取ると、
鍼治療が「未病治療」なる意味が判ってきます。


井上恵理先生の四十一難解説から、
季節の変わり目の体調変化を考える。春は病気が発生しやすい時期である。花粉症は現代人の虚弱体質への警告でも
あるかもしれません。人間の新陳代謝が最も盛んな季節は夏であり、
最も沈滞するのが冬である。そして、冬から春に季節がめぐり、
草木が芽吹き、
人の身体もハツラツとしてくる季節です。最も気候の良い春に到って何故か病気が
多発しますね。花粉症しかりです。機能が静かな冬から機能が亢進してくる春、
この季節に順応する、
季節に調和する力が無い、
あるいは季節に順応調和する力が弱い
者が病気を発生しやすい訳です。健康な人、即ち五臓六腑、
十二経絡が日常的に整い調和している人は
病気に成らない事に成ります。

鍼灸師にとって、
「慢性病改善治療と未病治療」は
国民の健康維持に大きく貢献する
大事な仕事だと思います。

人生をエンジョイしたい方、
癌と認知症を予防したい方は、
1週間に1回、
定期的な鍼灸治療に通いましょう。

 2015/3/5
四二難 

四十二難のポイント其の一は、

四十二難は人間の臓腑の形状と容量が主に展開されています。

難経四十二難臨床&エトセトラより。

四十二難は
黄帝内経・霊枢の腸胃篇(三十一)と
平人絶穀篇(三十二)に記載あり。古代中国の寸法は現代では,
10分の1と考えられます。

 2015/3/12
四三難 

四十三難のポイント其の一は、

健康な人の飲食総量についての記載です。

難経四十三難臨床&エトセトラより。

便秘と下痢症を考えると、
下痢症の方が生命の危機になるので
ここはしっかりと治療するkoto。

 2015/3/15
四四難 

四十四難のポイント其の一は、

口から食べ物が入って肛門から出るまでの七つの門についての解説です。

難経四十四難臨床&エトセトラより。〔解説〕

唇のことを飛門と言います。
飛は動くの意味です。
唇が動くから声が出る訳です。〔井上恵理先生の難経解説から、〕唇なんて言うのは役に立たない様ですが、
唇が動かなか ったら声は出ない。
声帯から声が出るなんて言いますが、
唇を動かさないで声を出してご覧なさい。
声は出るけど言葉にならない。「母と言えば一度会う、
婆と言えば二度会うものは何んぞや? 」
と言う謎かけがありますが、これは 唇の事ですね。「はは 」と言う発声では唇を一度開きます。
「ばばあ 」と言う発声では唇を二度開きますね。

 2015/3/19
四五難  リンク先 

四十五難のポイント其の一は、

八会穴は蔵・府・筋・骨・髄・気・血・脈、の八つそれぞれの気が集まる所です。

四十五難のポイント其の二は、

蔵・府・筋・骨・髄・気・血・脈、の八つの病の時の治療穴の説明がしてあります。

四十五難のポイント其の三は、

八会穴の使用条件は、熱病で内に熱があって外に出ない場合ですね。

 

難経四十五難臨床&エトセトラより。

〔原文〕熱病在内者.取其會之氣穴也.
〔訓読〕熱病内に在るものは其の会の気穴に取るなり。〔井上恵理先生の臨床解説〕
熱病内に在るものは其の会の気穴に取るなり。八会穴は、どう言う時に使うべきものなのかと言うと、
熱が蔵全体に渡っている時には臓会、章門穴に取り、
熱が府全体に渡っている時には腑会、中脘穴に取り、
筋肉に熱がある時には筋会、陽陵泉穴に取り、
髄熱の時には髄会、絶骨穴に取る。
こう言う風に、総ての八つの機能の熱病の場合にこのツボを取れば効くのだと。
いつでも効くのではなく 、
内に熱があって外に出ない場合ですね。
例えば、患者自身が非常に熱いと言いながら熱が外に出ない場合がある。
これを血熱と言います。
この場合には血会の膈兪穴に取る。
熱して骨が疼く場合、骨髄炎などの場合には骨会の大杼に取る。
脉が速くて熱がある場合は脉会の太淵穴にとる。
そう言う風に総ての蔵・府・筋・骨・髄・気・血・脈、
こう言う八つの機能の熱のある時にはここに取ればいいのだと言っております。・

 2015/3/20
リンク先四六難 

四十六難のポイント其の一は、

老人と若い人の睡眠の記述です。

 

難経四十六難臨床&エトセトラより。

井上恵理先生の難経四十六難臨床解説から。
山口一誠の考察文にて構成しましす。不眠症の治療について。1、老人の不眠治療は、
2、若い人の不眠治療は、
若い人の不眠症には2つあるのです。
①陰虚の不眠症。
②陽実の不眠症。
どちらに病気があるかと言う事は、
他の症状で診断する。
脈診や他の診察法で診断する。

 2015/3/21
リンク先四七難   

 四十七難のポイント其の一

人間の顔はいつもヌードである。

四十七難のポイント其の二、

全ての陽経脉の始終穴だけが顔の両耳の幅上にある。

四十七難のポイント其の三、

陽は熱であり、機能旺盛です、だから、顔は寒に耐えるのです。

 

難経四十七難臨床&エトセトラより。

四十七難の解釈
四十七難を解説します。
人間の顔は寒い冬でも裸である。
これはどの様な理由なのか説明しなさい。
お答えいたします。
頭と顔は十二経絡の中で陽経の流注(るちゅう)が流れていています。
陰経の外経流注は全て頸(くび)か胸の位置までしか行っていない。
全ての陽経脉の始終穴だけが顔の両耳の幅上にある。
陽は熱であり、機能旺盛です、だから、顔は寒に耐えるのです。

 2014.3.132015/3/22
honnbunn本文リンク先四八難  

四十八難のポイント其の一、

病気の診察と診断方法の記述です。

四十八難のポイント其の二、

病気の診察診断方法には
三つの分類(①脉診・②病状・③触診)があり、
そこに虚と実のタイプがあります。

難経四十八難 臨床&エトセトラより。・

四十八難の訓読「言うものを虚なし、言わざるものを実となす。」虚証は自分の症状をベラベラしゃべる人です。
ここが苦しい・ここを抑えてくれ・水を持ってこい・飯がまずい、
等々と。実証は外邪に入られ、
辛くて口も利きたくない状態の人です。患者さんが来て、十年前からの病歴を話す人、これは虚証の人です。
ここで、治療家の良否が試されます。
良い治療家の態度は、患者の話をよく聞いて、
「今は、どうですかと?」と間髪を入れずに聞いて現在の病状を知り
今の治療に役立てる事、そうすれば、
あの鍼灸院は丁寧で治りが良いと成ります。・あと、四十八難の詳細解説にて、肩こり・頭痛・の虚実の診断と対処方を掲載してますよ。

 2014年3月16日2015/3/23
本文リンク先四九難  

四十九難のポイント其の一は、

〔訓読〕正経自(みず)から病(やむ)ことあり、五邪に傷(やぶ)るる所あり。〔解説〕自分自身の経が内部(内因)から病気を起こすことがある。また、5つの外邪に犯されて病気を起こすことがある。

四十九難のポイント其の二は、

五邪とは、1、中風(肝邪)2、傷暑(心邪)3、飮食勞倦(脾邪)4、傷寒(肺邪)5、中湿(腎邪)です。

難経四十九難 臨床&エトセトラより。

四十九難の、五邪が入った時の症状表 を作りました。(文の終わりに掲載)臨床に即役立つと思います。

2015/3/24
本文リンク先五十難  

 五十難のポイント其の一は、

五臓に病が入った時の病症の名前として、虚邪、実邪、賊邪、微邪、正邪があります。

五十難のポイント其の二は、

相剋経の「賊邪」はこの中で一番悪い。非常に悪性です。

難経四十八難臨床&エトセトラより。

井上恵理先生の教え。難経五十難の五邪の伝変から考察すると、
風邪を引いた病症でも、補法と瀉法で治療する時がある。
ただ「邪が入ったから瀉せばいいんだ。」と考えるべきじゃない。―
病因と言うものは内因があって初めて外邪が入る様に出来ている。
何か内に不調和がない限り風邪は引くものじゃないですね。
素因あるいは内因が必ずあるはずです。そこで私たち(経絡鍼灸家)は「内因がなければ外邪は入らない。」と言う定義(経絡鍼灸の法則)を立てた訳です。だから現在の病状、熱がある・頭が痛いと言う時に治療をすると、
熱や頭痛は解消するが、
なお身体にはまだ治療するべき根本的な内因が残らなくちゃならない。
だから内因の事を考えると完全治癒と言う事はない訳です。
そう言う風に考えて初めて広義な、
広い意味での病気と言うものを観察しなくちゃいけないですね。・
※ 五十難の図表を作りました。ご覧ください。難経五十難、虚邪・実邪・賊邪・微邪・正邪の図表(nk501)
難経五十難、心病と五邪の関係図表(nk502)
難経五十難、脾病と五邪の関係図表(nk503)
難経五十難、肺病と五邪の関係図表(nk504)

 2015/3/24
本文リンク先五一難  

 五十一難のポイント其の一は、

五一難は「陰症の病」と「陽症の病」の法則です。

五十一難のポイント其の二

腑病は陽性である。臓病は陰性である。

難経五十一難 臨床&エトセトラより。

〔五十一難の参考図表を作りました。〕nk5101

 2015/4/1
本文リンク先五二難  

 五二難のポイント其の一は、

痛みが、一箇所に止まり慢性化しているのが臓病。

五二難のポイント其の2は、

痛みが、常に移動するのが腑病。

臨床&エトセトラより。

臓病は、
一ヶ所に止まって、
他の部位には移動しません。
その病所もそこを離れません。腑病は、
あてもなく、あちこち彼方此方に
さまよい歩き、お湯が沸騰するように動く、
上や下に流れ行き、そして居る所なし。
・九難と五二難の参考図表を創りました。
(表nk8)nk8

  2015/4/2
五三難   

 五十三難のポイント其の一は、

七伝とは、相剋的に七度、証を変化して伝えて行くものです。

五十三難のポイント其の二は、

間臓の変化とは、:七伝の類であるが臓を一つ飛び越えて変化する形態です。 たとえば、七伝の肺から肝への相剋を変化が、肝を飛び越えて脾に行く事です。

五十三難のポイント其の3は、

七伝の者は死し、間蔵の者は生きる。

難経五十三難臨床&エトセトラより。・

五十三難の山口一誠の考察
ゆっくり堂鍼灸院でも、
慢性病の方の場合は、治療経過と共に、
その証が変化していきます。
そんな時、この古典理論を理解していると、
その「証」が変化する時、
良い変化と悪い変化を見極めるのに役立ちます。悪い「証」の変化1
七伝の変化。
相克に証が変化する時、
例えば肺の証が肝の証に変化する場合です。
風邪の症状で咳、鼻水の治療を肺虚証で処置して、
めまいの症状が出て肝虚証になった場合など。悪い「証」の変化2
間蔵の変化。
相生関係に証が変化する時、
〔間蔵の〕肺(子)から脾(母)に行くのは悪い。
(悪い「証」の変化1よりは良い)良い「証」の変化3:
相生の子に伝わるのは良い、
症状が良くなると言う事です。nb3nb2

 2015/4/3
五四難   

 五四難のポイント其の一は、

臓病は治るのが難(むつか)しい。
腑病は治り易(やす)い。

五四難のポイント其の二は、

病の証が相剋に伝わるものは治り難(がた)い。

五四難のポイント其の三は、

病の証が相生に伝わるものは治り治り易(やす)い。

難経五四難臨床&エトセトラより。

病気が治る方向に向かうか否かの参考図表(図表nk5411)(図表nk5411)の説明。123の順番に病気は治る方向に向かう。1、相剋関係の図(NB3)
2、間藏の理論の図1.(NB2)
3、相生関係の図:間藏の理論の図2.(NB4)nk5411

 2015/4/4
五五難   

 五十五難のポイント其の一は、

腹中に積(しゃく)と聚(じゅう)と言う二つの塊が出来る事がある。

五十五難のポイント其の二は、
積は五蔵の陰気が滞り積(つも)って出来たもので、
陰気から出来た積は陰性で沈んで下に深く伏して所在する。

五十五難のポイント其の三は、

聚は六府の陽気が滞り集(あつま)って出来たもので、
陽気から出来た聚は陽性で浅く浮いていて移動する。

 

難経第五十五難臨床&エトセトラより。・・

井上恵理先生の難経五十五難、
臨床解説から積聚の区別を理解されたし。積と言うのは我々が腹を手で押し下げてみると、
ちゃんと形にな って現れている。
聚と言うのは押し下げては判らない。
お腹の上をソーッと撫でると判る。
そして痛みの方も、
積の方は 「ああ、ここが痛いんですね? 」
「そこが痛 いんです。」と判る。ところが聚の方は、
スー ツと撫でている内に
「ああ先生、そこが痛い。」
そこかなと思って手を持って行くと、
痛みがなくなって別の所に動く。これは皆さんも経験が あるだろうと思いますが、
お腹をソーッと撫でると何かありそうなんです。
あるかなと思うとなくて、
またこっちの方にポコッと出て来る。
またそこの所を押さえると向こうの方へ動く。
あれは聚です。
痛む所がいつも一定していない。
そっちへ行ったりこっちへ行ったりする。
ですから感覚的にみて積と聚と言うものは、
浮いているものと沈んでいるものと言う区別がある。
それから固定したものと固定しないものと言う区別がある。
痛む所も決まっているのと決まっていないのとの区別がある。
これが積聚の区別ですね。
積と言うのは陰の病であり、
聚と言うのは陽の病であると考えればいいと思います。

  2015/4/5
五六難  

 五十六難のポイント其の一は、

腹診に於ける積のの名称、所在、形状、病症、発生についての大切な経絡理論である。

五十六難のポイント其の二は、

五積には、肝積は肥気。
心積は伏梁(ふくりょう)。
牌積は痞氣。
肺積は息賁(そくふん)

腎積は賁豚(ほんとん)
の名称がある。

 

難経五十六難臨床&エトセトラより。

腹診は鍼灸家とって大切な診察法の一つです。
私は、患者さんの治療を始める前に、脉診と腹診を行います。
そのご、患者さん自身に腹部を右手で触れてもらいます。
五臓の見所のなかで、例えば腎心の変化があれば、
その部の皮膚の冷えや、乾燥具合を確認させます。
案外と患者さんは、自分のお腹の変化を知りません、
ま、お腹を自分で触るてことないですから、当然ですが、そして、こんなお話をします。
「お腹の中の温度が37度ぐらいの時に
内臓はよく働きますと、
この温度帯で正常な消化吸収が行われて、
正常な新陳代謝が保障されるのです。
だから、お腹が冷えている事はいけないのです。」そして、鍼だけの治療で、
腹部の気血を良くして、
暖かくなったお腹を再び
患者さんに確認させます。お腹が温まった事は、
身体の新陳代謝が向上して産熱力が出てきた証拠ですね。
そして病気が治る方向に鍼灸治療で向かわせていることに成ります。※脉診と腹診がそれなりにやれるようになると、
治療の技量も上がると思います。難経十六難の脉状と腹部の動悸と
合わせて学ぶと良いと思います。
リンクはこちらからご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/16nan/私の腹診方法は、
こちらのリンクからご覧ください
http://yukkurido.jp/keiro/sisn/bou/hara/

 2015/4/8
本文リンク先/五七難 

五十七難のポイント其の一は、

下痢症には五つの分類が在る。
1.胃泄。
2.牌泄。
3.大腸泄。
4.小腸泄。

5.大瘕泄、別名を裏急後重と言う。

 

難経第五十七難 臨床&エトセトラより。

〔井上恵理先生の難経五十七解説から〕
下痢治療の注意点、 臨床に役立ちます。
参照されたし。下痢症の治療で臨床的に気を付けなくてはならない事。
これは治療法になりますが、
1.胃泄。2.牌泄。と言うのは大体に於いて牌虚が多い様です。
3.大腸泄は、肺虚症である場合が多い。
5.大瘕泄、別名を裏急後重と言う口うのは腎虚証に多い。
何れも熱がないので実証でない場合が多い。
熱があっても下痢をしている時は、脉が沈んでいる方が治りいい。

4.小腸泄なんかで膿血を下していて脉がポッコン ポッコン出ている時、
こう言う実証で脉が浮いている時には、まず手を付けない方がいい。

 2015/4/9
本文リンク先 五八難   

 五十八難のポイント其の一は、

寒邪に侵された病状に傷寒と言うものがあり、五種類の傷寒がある。
1:中風、2:傷寒、3:湿温、4:熱病、5:温病と言う。
そして、これらの五種類の脉状、病状についてそれぞれ述べている。。

五十八難のポイント其の二は、

傷寒病の表症裏 症によって発汗剤と下剤の使い方があることを述べている。

五十八難のポイント其の三は、

往来寒熱の病位の深度による病症を述ベ ている。

 2015/4/11
五九難 

  五十九難のポイント其の一は、

脳の病、統合失調症(精神疾患)と癲癇(てんかん)の二つの症状についての記述です。

難経第五十九難臨床&エトセトラより。

〔本間祥白先生の臨床解説から〕
狂は陽詠が非常に盛んである場合に起り胃実証で治療する場合が最も多い。
癲は陽虚陰実であって肝木経に多く表われ、肝実胆虚証として治療する場合が多い。

  2015/4/14
六十難  

 六十難のポイント其の一は、

頭部の病と心(胸部)の病に、厥痛と真痛とがある。
厥頭痛・
真頭痛・
蕨心痛・
真心痛。

六十難のポイント其の二は、

厥痛は治り易いが、真痛は治り難い。

難経第難臨床&エトセトラより。

蕨心痛の鍼灸治療法。
蕨心痛の鍼灸治療は心の病であるから心の経絡で治るのかと言うと そうではなくて、
その原因を尋ねて肺から起ったのならば肺を治療して心痛が治る事がある。
或いは腎から起った場合に腎を補って心との調和を取って治す場合もある。
肝が実している場合は肺を補って肝を潟すと言う事によって心を治す事が出来る。
牌虚証の場合に心を補って、また治す事が出来る。
こう言う事がある様に他の臓腑を考えて治療すれば治る。
これが蕨心痛の治療法である。

 2015/4/16
六一難  

 六一難のポイント其の一は、

望診.聞診.問診.脉診についての説明が記述されています。

六一難のポイント其の二は、

難経の特徴、
六部定位の脉診と言うものが「難経」に於いて完成された事である

難経第六一難臨床&エトセトラより。

〔井上恵理先生の難経六十一難解説から〕

「難経」の特徴、
六部定位の脉診と言うものが
「難経」に於いて完成された事である。

六十一難では「寸口の脉」と、
ちゃんと断っているんですね。
寸口の脉と言うのは、所謂人迎気口の脉でもなければ、
虚里の動の脉でもなく三部九候の脉でもない、
六部定位の脉だと言う事が言える訳です。
ここに『難経 』の特徴がある。

我々が今言う所の六部定位の脉診と言うものが
「難経」に於いて完成されたと考えられているのは、
ここに出ている様に「其の寸口を診て」と言って、
他の脉診の事は言っていないからです。

〔本間祥白先生の難経六十一難解説から〕

脉を切(たしか )にして診察すると言う方法は
手の寸口部(六部定位)をたしかめて其の蔵府の
虚実を察し、
何れの蔵府が病んでいるかを診察することである。

 2015/4/21
六二難 

六十二難のポイント其の一は、

井・栄・兪・経・合の五つの穴と、 原穴についての記述です。

難経第六十二難臨床&エトセトラより。

〔井上恵理先生の難経六十二難解説から〕臓の陰経において、原穴と兪穴が同じになっている理由について。
陰気は牌胃の気と同じ意味で兪穴に原を付けている。
だから井営兪穴の兪は原気、
即ち後天の気を養うと言う意味に使う事も出来れば、
兪穴の性格として使う事も出来る。
一穴に二つの役目を持っていると言う事が言える訳です。

  2015/4/23
六三難  

 六十三難のポイント其の一は、

五臓六腑は十二経に皆、井・栄・兪・経・合の五行穴があり、
井穴を始めとしている。

六十三難のポイント其の二は、

井穴を始めとする理由は、
この地上に生成する生き物すべてが、
春の季節より生き生きと活発に動き出すからである。

   2015/5/5
六四難  

 ポイント其の一は、

陰経は井木に始まり陽経は井金に始まるのはどう言う意味なのか。

  2015/5/28

ポイント其の二は、

経験理論として、
陽経の気を整える場合には井金穴から、
陰経は井木として使うと言う事です。

六五難  

六十五難のポイント其の一は、

六十五難では、指端で経脉の気のが発生し、
肘膝の関節で大きな流れに入り合する所を、
春冬の自然現象に例えて説いている。

  2015/6/18
六六難  ※ 六十六難のポイント其の一は、原穴についての説明が述べられています。※ 六十六難のポイント其の二は、
三焦の原気、先天の気の主る所は、関元穴であり生命の根本です。※ 六十六難のポイント其の三は、
先天の原気の留まる所は関元であるが、ただ留まっているだけではない。
これを三焦の別使となって全身に回して使う。
◎ 三焦の別使は3つに分類されている。これを「三気」と言う。
◎ 「三気」と言うのは栄気(営気)・衛気 ・原気(宗気 )である。
◎ この「三気」が全身の経脉と五臓六腑を巡ることで人の生命が保たれているのです。※ 六十六難のポイント其の4は、
身体の経脉や五臓六腑が病んだとき、原穴を治療の穴(ツボ)として使う訳です。
   2015/7/29
六七難  ※ 六十七難のポイント其の一は、募穴と兪穴の説明を述べています。※ 六十七難のポイント其の二は、 急に病気が起こって陽症・陽病である場合には、募穴にその症が顕れるから募穴を使う。※ 六十七難のポイント其の三は、 慢性疾患で久病と言われるもや、症状が変化しないでズルズルといつまでも治らないう場合に兪穴を使う ・・

※ 難経第六十七難 臨床&エトセトラより。

○ 昔、日の当たる縁側で、祖母が近所のおばあさんたちと背中にお灸をしていたのを想い出します。
長年の農作業で疲れた身体をお互いに癒していたのでしょう。
井上恵理先生も、久病と言われる病は背や腰仙部の兪穴を使用すると効果的であると話しています。

※ 募穴の症は浅い部に顕れる。
(今年8月開催された東京鍼研世界大会、研究班での募穴診とその治療手技からも)

※ 腹診の方法には、募穴診と五臓腹診と積聚(しゃくじゅう)の腹診があります。

1、募穴診は六十七難において展開されています。

2、五臓腹診は十六難において展開されています。

3、積(しゃく)と聚(じゅう)の腹診の考察(五十五難・五十六難)。

⑴ 五十五難:
腹中に積(しゃく)と聚(じゅう)と言う二つの塊が出来る事がある。

⑵ 五十六難:
腹診に於ける五臓の積(しゃく)の名称、所在、形状、病症、発生についての大切な経絡理論である。

  2015/8/7
六八難  ※ 六十八難のポイント其の一は、五行穴の井滎兪経合穴の説明が述べてあります。

※ 六十八難のポイント其の二は、
〔本間祥白先生の難経解説から〕
此の主治症は難経に於いて始めて説かれた所のものである。
・※ 難経第六十八難臨床&エトセトラより。第21回経絡大の研究部において、取穴を担当された先生から、主要七穴だけでは、臨床家としてアウトだよ、肝心脾肺腎の井滎兪経合穴は正確に取穴できないと、本治法の腕は上がらないからと。
ガンバリマス。
ゆっくり堂、初学者用 経絡鍼灸教科書・経穴と主治:十四経絡にも写メ図解をアップせねば。
  2015/8/8
六九難     

ポイント其の一

六十九難は難経中で最高の治療原則である。

ポイント其の二

六十九難の補法と瀉法の法則は不滅である。

ポイント其の三

六十九難の先補後瀉の法則は不滅である。

ポイント其の四

六十九難と七十五難は鍼灸治療法の二本柱である。

ポイント其の五、(2016/2/4追記分)
「虚するものは其の母を補う」法則の意味は、経絡の補法(気を補う手法)の原則が述べられている。

難経臨床&エトセトラより。・・・

経絡鍼療(478号:p18後4行目から転記)井上恵理先生の「六十九難」のまとめの言葉。鍼灸治療をする術者にとって、
これは当たり前すぎて語る事がない事ですが、
鍼灸が何故に病気を治す力があるのか。『我々(鍼灸治療家)は病気が相手じゃない。
(患者の)身体が相手だからです。
(鍼灸治療術)は、
身体に治療転機を与えるのが鍼なんです。
身体に治療させる様に、
(身体自身が)治療できる様な状態にさせる。』鍼灸術の施術行為は病人自身の
自然治癒力の惹起にこそ、
その本質があるのである。これが、当たり前すぎて語られない、
鍼灸治療の神髄だと思います。だからこそ、難経における、六十九難と七十五難の治療法則が
鍼灸師の羅針盤となる訳です。

 2014/5/1

2016/2/4

七十難   七十難のポイント其の一は、春や夏は浅く刺し、秋や冬は深く刺す法則についての説明です。   2015/8/10
七一難  ※ 七十一難のポイント其の一
〔原文〕鍼陽者.臥鍼而刺之.
ここに「気」を整える鍼法においては斜刺の手技をしなさいと述べられています。
鍼の刺入の刺入角度は、45度が良い訳ですね。・
※ 七十一難のポイント其の二
〔原文〕刺榮無傷衞.刺衞無傷榮.何謂也.
圧痛点の栄血を整える刺鍼手技において、その圧痛を取り除くまでやると「気」を傷ってしまう。
硬結があるからそれを全部ゆるめると、邪実が無くなるだけではなく、正実も無くなり、誤った治療になるとの戒めですね
  2015/8/11
七二難   ※ 七十二難のポイント其の一、鍼術の「虚実補瀉」の診断と手技の法則が述べてあります。

※ 七十二難のポイント其の二
経絡鍼灸の手技に於ける迎隨・逆順の意味について。
迎とは、鍼尖の刺入方向が経絡の流注にたいして、逆(さか)らって迎(むかえ)え刺入する事。
その経絡の実邪を奪い瀉す、瀉法の手技である。
隨とは、鍼尖の刺入方向が経絡の流注にたいして、順(したが)って隨(したが)い刺入する事。
その経絡の正気の不足、虚を補う、補法の手技である。

※ 七十二難のポイント其の三
正しい鍼灸術は経絡の流注の迎隨の氣をとらえて、気の調整をする事にある。
気の調整の方法のポイントは、経絡の陰陽を明らかにしてそれに応じた対処する事にある。
 2015/8/12
七三難  七十三難のポイント其の一、補法と瀉法の注意喚起の文章が述べられています。・
※ 難経第七十三難 臨床&エトセトラより。井上恵理先生が難経七十三難の解説をされた中で、経絡鍼治療の原則のお話しをされています。○「内傷無ければ外邪入らず」 病気を発生の根本原因は内因の虚にあると言う経絡鍼治療の原則。○ 陰虚補法優先の経絡鍼治療原則。
 2015/8/13
七四難 

※ 七十四難のポイント其の一、難経七十四難は四季の移ろいに合わせて五臓の脉状が変化する摂理を述べている。

春は肝木が旺気(おうき)する脉状。
夏には心火が旺気する脉状。
春夏秋冬の土用には脾土が旺気する脉状。
秋には肺金が旺気する脉状。
冬には腎水が旺気する脉状。

※ 七十四難のポイント其の二は、四季に応じて脉状が変化しない時に病が発生する。十五難を参照されたし・・弦鉤毛石の各脉は、四時の脉なり。

※ 七十四難のポイント其の三は、

肝の病いを例えとして挙げて、五臓の五蔵の色体(よそおい)表にある、
五色・五香・五味・五声・五液 の症状を挙げている。

※ 七十四難のポイント其の四

鍼術は経絡理論と臨床経験を結合した修行をしなければ獲得できない。

〔原文〕鍼之要妙.在於秋毫者也.
〔訓読〕鍼の要妙は、秋毫(しゅうもう)にあるものなり。
〔解説〕鍼法の微妙神妙の要は、細い髪の毛を使うものに似て非常に難しものであると。

 2015/8/14
七五難    

其の一

七十五難は肝旺実証の診断と鍼治療法です。

其の二、七十五難の一番の原因は肺虚です。

だから、相剋 する「肝」が旺実するのです。

其の三

七十五難の一番目に行われる手技は「腎水の補法」です。

其の四

七五難の診断と鍼治療法は現代人の病気の改善に大いに役立ちます。
それは、「虚の病状」が相剋する経に伝わり、「旺実証の病状」となった時に使用できます。
特に現代病のストレス性疾患の改善に適した鍼治療法になります。

・難経臨床&エトセトラより。・・・

七十五難のまとめ七十五難は肝旺実証の治療法として、腎水の補法を一番目に行ない。
その後は生体の自然治癒力の動きを診て対処しなさいと説く、
旺実証の診断治療理論です。・
ここで、問題になるのが『瀉南方』の捉え方です。

 『瀉南方』には二つの意味があります。・
一つ目は腎水の補法により心火旺実が瀉されて実が平(正常)になる生体反応(自然治癒力)が発生する五行論の法則の説明です。・
二つ目は、治療法としての『瀉南方』の捉え方です。
これは、腎水の補法の不足や病状からまだ心火を瀉す必要が診られる時に次に行なう治療法と言う意味です。・ゆっくり堂の陰旺実証・理論と臨床リンクもご覧ください。http://yukkurido.jp/keiro/e1/e301/

 2014/04東亜医学協会機関紙
「漢方の臨床」
2014年4月号
(通巻716号)
に掲載された文章です。投稿者は、ゆっくり堂鍼灸院山口一誠
七六難 

※ 七十六難のポイント其の一は、補法と瀉法の理論と手技が記述されています。

※ 七十六難のポイント其の二は、虚性の邪の処理「補中の瀉法」の参考になる、理論と手技も展開されています。・

※ 難経第七十六難 臨床&エトセトラより。鍼の刺入方法はとても繊細なんだとあらためて知らされまっした。

第七十六難と現代の経絡本治法の基本刺鍼の手技を合わせ考えるともう少し腕があがるかも。

 2015/8/14
七七難 
  • ※ 七十七難のポイント其の一は、上工は、未病を治す。
  • ※ 七十七難のポイント其の二は、中工は、病気のある所だけを治療する。
  • ※ 七十七難のポイント其の三は、難経は経絡治療の実践理論書である。(2016/2/05追記分)
    難経は経絡治療の実践理論書であることの『未病を治す』神髄が述べてあります。
    『未病を治す』と言う言葉の意味は、
    鍼術(はりのじゅつは)相生相剋の五行理論に基ずき「経の治療」を施すことで成立している事を意味しています。
  • 「未病(みびょう)を治(なお)す」とは、将来の病気を防(ふせ)ぐ予防医学のことです。
    そこにまだ病気が無くともこれから病気が来そうだと言う所も治す技術法則です。
    たとえば、肝の病状として診察したら、
    五行論の相剋関係「木剋土」によってやがては脾胃に病気を起こすことが予想されます。
    現在は未だ病んでいなくとも脾胃にも治療を施し肝病の影響を起さないように努めます。
    こうように、先々の治療をして新たな病を未然に防ぐことを「未病を治す」と言います。
  • 虚している経絡を治療するために、
    難経七十二難の『虚実補瀉』「経絡の正気の不足、虚」を補う補法の手技があり、
    難経六十九難の「虚するものは其の母経を補う」原則が述べられている訳です。


※ 難経 第七十七難 臨床エトセトラより。

上工は、医道に精通し、病の未だ発しない前に先々の事を察して治療する。
上工は、鍼灸師の診断方法である五行論の相生、相剋を理解してるから、必要に応じて相剋経、相生経への治療を施すことが出来る。
そして、

 未病治療を行える者こそが上工(鍼医)の条件になる。

※ 臨床経験からは、「未病をの治療対象」癌と痴ほう症に罹患しないためには、

1週間に1回以上の鍼灸治療が必要です。 北国の師匠より。

中工(平凡な鍼灸師)は、病んでいる所だけを診て治療する。
例えば、現に病んでいる肝の病だけを診るだけで、
鍼灸師の診断方法である五行論の相生、相剋を理解していないから、
肝の病が相剋関係の脾に病が伝わる事も知らず、また脾の相生(母子)関係からその子に伝えて心実の病を起すことも知らない。
但一心に肝だけを治している。
だから、中工は、「巳病を治すのみ」と言われるのである。

 2015/8/15

2016/2/05

七八難   ※ 七十八難のポイント其の一は、押手・刺手による鍼の刺入手技の補瀉法について述べている。

※ 七十八難のポイント其の二は、
左手の押手の指に気の来るを感じて、それに基準を置く鍼灸師は、鍼術の本当の妙術を行える者である。

※ 七十八難のポイント其の三は、
右手の刺手だけにたよって只(ただ)鍼を刺すことにのみ専念する者は、本当の鍼術を体得できない者である。・※ 難経 第七十八難 臨床&エトセトラより。〔井上恵理先生の難経解説から〕補法の刺入鍼の手技は、
気に随って入れる。無理に入れるなと。
呼吸とその所の硬さ・軟らかさに随って、軟らかく入る時には徐々に入れる。
硬い所は入れるなと。
軟らかい所はスーッと入るからといって乱暴に入れるんじゃない。
軟らかい所ほど徐々に静かに入れるのだと。
硬い所は入れない方がいい。
身体も同じですね。・・・・
 2015/8/15
七九難 

※ 七十九難のポイント其の一は、「得るが若く、失が若し」の感性が鍼灸師の腕を左右します。

補瀉の処置で微妙な虚実の「得るが若く、失が若し」の感覚があります。
それは、
補法を行った時には、何かが出てきたような感じ。なかったものが有る様な感じ。
補法はあくまでも生気を補われ、身体が少し満たされる様な感じを覚える状態かな。
瀉法を行った時には、有った物が無くなった様な感じを覚える。
瀉法は身体に必要ないものが無くなり、身体が楽になった様な感じを覚える状態かな。

 2015/8/15
八十難 

※ 八十難のポイント其の一

難経、八十難は「気を感知」して、刺入と抜鍼を行う刺鍼法の法則が展開されています。

※ 八十難のポイント其の二
刺入の法則とは、気が現われた事を感じて、その後に刺入すること。

※ 八十難のポイント其の三
抜鍼の法則とは、補法でも瀉法でも気の変化が現われた事を感じて、その後に抜鍼すること。

※ 八十難のポイント其の四
難経、八十難を本当に理解するには「気を集める」鍼の技術がないと知る事が出来ません。

※ 八十難のポイント其の五
左手(押手)に「気が来る」事が本当に判るには、
右手(刺手)で鍼をを微細に動かす弾法や撚法などの「気を集める」技術が必要です。

※ 難経 第八十難 臨床&エトセトラより。

※ 八十難の臨床解説、
「五十肩痛の改善例」ゆっくり堂鍼灸院の臨床例から、難経八十難を解説します。

※ 井上恵理先生の難経、第八十難の解説:経絡鍼療(501号)よりの抜粋を掲載しています。
(井上恵理先生の難経、第八十難の解説を参考にして山口一誠が文章を構成しています。)

 2015/8/15
八一難 

※ 八十一難のポイント其の一は、

脉診を行える鍼灸師に対する注意喚起です。

※ 八十一難のポイント其の二は、

全ての鍼灸師に対して、上工(未病を治す鍼師)を目指し奮闘努力せよとの導きの言葉です。

※ 難経 第八十一難 臨床&エトセトラより1。

難経も最終章の81番目まで、読み進み、同時に臨床に役立ててきた鍼灸師は、
まだ、上工(上級の鍼師)の鍼術には及ばないが、
中工(中級の鍼師)として、患者の病態を改善の方向に導く実力が着いて来ている。
そのような時期に「脉診だけで虚実の診断治療を行う」誤りを犯すしやすいものである。
だからこそ、最終章の八十一難に於いて、病体の心身全体の虚実の診断治療をしなさいと、
鍼灸師の心得をのべ、上工(未病を治す鍼師)への鍼術を磨きなさいと導きの言葉で終えています。

※ 難経 第八十一難 臨床&エトセトラより2。

黄帝内経・難経を一貫して支えているイデオロギーは「天人合一」の思想です。
あの奴隷制社会において、黄帝内経の心医たちは人間としての言葉を現代に残していると思います。
人間らしく正しく生きるとは、四季に応じて人間はより良く生きるのだと、

その手助けが針師の歴史的使命だと、、、、

『難経』は『黄帝内経・霊枢』を基本ベースに発展展開し、
コンパクトに81項目にまとめられた鍼灸臨床家への実践の教本です。

当然、黄帝内経・難経を一貫して支えている思想は、

「天人合一」の「人間らしく正しく生きる思想」になる訳です。

 2015/8/16
 

——————————–

参考文献 ①

難経の臨床考察  著者 : 福島弘道

編集発行:東洋はり医学会機関誌部 定価:5千円 発行日:平成11年11月30日

経絡鍼療(平成6年4月号から平成8年2月号にて20回の講義を纏めたものです。)
——————————–

参考文献 ②

古典講義 『難経』講義 井上恵理 先生 講義録

経絡鍼療416号~503号

(平成17年4月号~平成24年9月号)講義(1~57)

——————————-
参考文献 ③

「経絡治療学原論 臨床考察」(上巻・下巻)- 著者: 柳下登志夫 ・ 発行者:柳下はり院
——————————-

参考文献 ④

「難経の研究」

ISBN:978-4-7529-6002-7

著者 : 本間祥白

校閲 : 井上恵理

発行:医道の日本社

仕様 : A5判/372頁 、発行年月 : 1968/7/1 、定価 \3,990(税込)

——————————-
——————————-

 経絡鍼灸 教科書 トップコーナ へ

 

ヘッダー トップページ お問い合わせ サイトマップ 地図