七一難

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  難経 第七十一難

ゆっくり堂の『難経ポイント』 第七十一難

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※ 七十一難のポイント其の一

〔原文〕鍼陽者.臥鍼而刺之.

ここに「気」を整える鍼法においては斜刺の手技をしなさいと述べられています。

鍼の刺入の刺入角度は、45度が良い訳ですね。

※ 七十一難のポイント其の二

〔原文〕刺榮無傷衞.刺衞無傷榮.何謂也.

圧痛点の栄血を整える刺鍼手技において、その圧痛を取り除くまでやると「気」を傷ってしまう。

硬結があるからそれを全部ゆるめると、邪実が無くなるだけではなく、正実も無くなり、誤った治療になるとの戒めですね。

難経 第七十一難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

七十一難曰.
經言.
刺榮無傷衞.刺衞無傷榮.何謂也.
然.
鍼陽者.臥鍼而刺之.
刺陰者.先以左手.攝按所鍼滎兪之處.氣散乃内鍼.
是謂刺榮無傷衞.刺衞無傷榮也.

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 七十一難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(488号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)

七十一難に曰く。
経に言う。
榮(えい)を刺すに衞(え)を傷(やぶ)ること無(な)かれ、
衞(え)を刺すに榮(えい)を傷(やぶ)ること無(な)かれとは、何の謂いぞや。
然(しか)るなり。
陽に鍼するものは、鍼を臥(ふ)せて之(これ)を刺す。
陰を刺すものは、先づ左手を以って、鍼する所の滎兪の所を接按して、
氣を散じて乃ち鍼を内(いれ)る。
是を榮を刺すに衞を傷ること無かれ、衞を刺すに榮を傷ること無かれと謂うなり。

詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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 七十一難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(488号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)

七十一難の解説をします。

陰陽五行理論から考察すると。

栄血を整える刺鍼手技において、衛気を傷ってはいけない、
衛気を整える刺鍼手技において、栄血を傷ってはいけないとは、
この刺鍼法則について判り易く説明しなさい。

お答えします。

陽である衛気に刺鍼する時には斜刺あるいは水平刺の手技にて行う。

陰の部に刺鍼する時は、先ずは左手の押手にて滎兪の穴をよく撫で擦って、
陽気を散らして陽気を傷らない様にしてから鍼を刺入しなさいと。
これが陰を刺すのに衞を傷ること無かれ、衞を刺すに榮を傷ること無かれと言う意味だと。
詳しくは各先生の文献を参照されたし。

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 七十一難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(488号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕七十一難曰.
〔訓読〕七十一難に曰く。
〔解説〕七十一難の解説をします。

〔原文〕經言.
〔訓読〕経に言う。
〔解説〕陰陽五行理論から考察すると。

〔原文〕刺榮無傷衞.刺衞無傷榮.何謂也.
〔訓読〕
榮(えい)を刺すに衞(え)を傷(やぶ)ること無(な)かれ、 衞(え)を刺すに榮(えい)を傷(やぶ)ること無(な)かれとは、 何の謂いぞや。
〔解説〕
栄血を整える刺鍼手技において、衛気を傷ってはいけない、 衛気を整える刺鍼手技において、栄血を傷ってはいけないとは、 この刺鍼法則について判り易く説明しなさい。

〔解説補足〕
「榮(えい)を刺すに」とは血を整えると言う意味です。
「衞(え)を傷(やぶ)ること無(な)かれ、」とは気を傷ってはいけないと言う意味です。

〔井上恵理先生の臨床経験から、刺榮無傷衞の意味。〕
圧痛点の栄血を整える刺鍼手技において、その圧痛を取り除くまでやると「気」を傷ってしまう。

〔井上恵理先生の難経解説から、〕
榮(えい)というのは血のこと栄血とも言う。
榮は、陰であり。皮膚、毛髪、など物質的なもの、肉体的ものである。
食べ物は血になる。味は気になり血(臓)を養う。
衞(え)というのは気のこと衛気とも言う。
衛は、陽であり。気は目には見えないもの、見えない働き。
人が物を見ると言う事は目で見るのだが、見る力と言うのは気の力による。
食べ物の味は気になる。臭いは気を養う。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕鍼陽者.臥鍼而刺之.
〔訓読〕陽に鍼するものは、鍼を臥(ふ)せて之(これ)を刺す。
〔解説〕陽である衛気に刺鍼する時には斜刺あるいは水平刺の手技にて行う。

〔解説補足〕陽は浮いている所、表皮にある。だから気を整える鍼は浅く刺す手技を行う。

〔原文〕刺陰者.先以左手.攝按所鍼滎兪之處.氣散乃内鍼.
〔訓読〕
陰を刺すものは、先づ左手を以って、鍼する所の滎兪の所を接按して、 氣を散じて乃ち鍼を内(いれ)る。
〔解説〕
陰の部に刺鍼する時は、先ずは左手の押手にて滎兪の穴をよく撫で擦って、 陽気を散らして陽気を傷らない様にしてから鍼を刺入しなさいと。

〔原文〕是謂刺榮無傷衞.刺衞無傷榮也.
〔訓読〕是を榮を刺すに衞を傷ること無かれ、衞を刺すに榮を傷ること無かれと謂うなり。
〔解説〕これが陰を刺すのに衞を傷ること無かれ、衞を刺すに榮を傷ること無かれと言う意味だと。

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