七三難

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難経 第七十三難

ゆっくり堂の『難経ポイント』  第七十三難

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※ 七十三難のポイント其の一、補法と瀉法の注意喚起の文章が述べられています。


※ 難経第七十三難 臨床&エトセトラより。

井上恵理先生が難経七十三難の解説をされた中で、経絡鍼治療の原則のお話しをされています。

○「内傷無ければ外邪入らず」 病気を発生の根本原因は内因の虚にあると言う経絡鍼治療の原則。

○ 陰虚補法優先の経絡鍼治療原則。

難経 第七十三難 原文


(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

七十三難曰.
諸井者.肌肉淺薄.氣少不足使也.刺之奈何.
然.
諸井者木也.
滎者火也.
火者木之子.當刺井者.以滎瀉之.
故經言.
補者不可以爲瀉.瀉者不可以爲補.
此之謂也.

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七十三難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(490号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)

七十三難に曰く。
諸々の井は、肌肉浅薄、氣少なく使(つかい)しむるに足らず、之を刺すこと奈何(いかん)。
然(しか)るなり。
諸々の井は木なり、滎は火なり、
火は木の子、当(まさ)に井を刺すべきものは、滎を以って之を瀉す。
故に經に言う。
補うものは以って瀉をなすべからず、瀉すべきものは以って補をなすべからず、
此れ之の謂なり。


詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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七十三難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(490号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)

七十三難の解説をします。

五行の井穴は、肌肉が浅く薄い場所にあり、気の調整をするのに難しいところであるが、
ここを刺鍼する方法について説明しなさい。

お答えします。

陰経の井穴は五行の木火土金水であり、滎穴は火なり、
滎火穴は井木の相生(母子)関係の子供になり、
六十九難の母が実する時には子供を瀉法する法則が成立する。
ゆえに、陰陽五行理論から考察すると。
補法を行うものは補法だけを行い。瀉法を行うものは瀉法だけを行うこと。
これが、経絡鍼術の法則であると。

詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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七十三難の詳細解説


(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(490号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕七十三難曰.
〔訓読〕七十三難に曰く。
〔解説〕七十三難の解説をします。

〔原文〕諸井者.肌肉淺薄.氣少不足使也.刺之奈何.
〔訓読〕諸々の井は、肌肉浅薄、氣少なく使(つかい)しむるに足らず、之を刺すこと奈何(いかん)。
〔解説〕
五行の井穴は、肌肉が浅く薄い場所にあり、気の調整をするのに難しいところであるが、
ここを刺鍼する方法について説明しなさい。

〔解説補足1〕
五起穴の意味語呂あわせ。
井戸(いど)より出て心下満ち、
滎 (さかえ)へ留まりて身熱す。
兪 (はこび)び注ぎて身体重く節痛んで疲れたり、
経 (みち)行く時は咳も出て暑い寒いの病あり、
合 (あ)わせて入れ逆気して泄らす。

〔解説補足2〕陰経の五行五起穴は、井木・滎火・兪土・経金・合水である。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕
諸井者木也.滎者火也.
火者木之子.當刺井者.以滎瀉之.
故經言.
補者不可以爲瀉.瀉者不可以爲補.
此之謂也.
〔訓読〕
諸々の井は木なり、滎は火なり、
火は木の子、当(まさ)に井を刺すべきものは、滎を以って之を瀉す。
故に經に言う。
補うものは以って瀉をなすべからず、瀉すべきものは以って補をなすべからず、
此れ之の謂なり。

〔解説〕
陰経の井穴は五行の木火土金水であり、滎穴は火なり、
滎火穴は井木の相生(母子)関係の子供になり、
六十九難の母が実する時には子供を瀉法する法則が成立する。
ゆえに、陰陽五行理論から考察すると。
補法を行うものは補法だけを行い。瀉法を行うものは瀉法だけを行うこと。
これが、経絡鍼術の法則であると。

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〔井上恵理先生の難経七十三難の注意点、経絡鍼治療の原則のお話しからの山口一誠の考察。〕

 

七十三難の項は陰経だけを論じている。

ここに経絡鍼治療の原則があるからである。

※ 病気を発生の根本原因は内因の虚にあると言う経絡鍼治療の原則。

即ち内因の虚(弱点)に外因・不外内因がつけ込み病気を発生させると言う経絡診断の原則。

外因とは、六淫の邪:・寒・暑・湿・燥・火の六種外邪である。
自然界からの脅威、台風、インフルエンザ、などと
現代社会の生み出した、都市熱、冷暖房、果てはフクシマ原発の放射能被害など。
不外内因とは自分の身体を大事にしない働き過ぎ、遊び過ぎ、房事過多、暴飲暴食、栄養失調など。

※ 陰虚補法優先の経絡鍼治療原則

陽だけ独り孤立して使う事は出来ない。陰を中心として陽を考える。
陰虚症の場合は当然にも陰虚補法優先の原則が立つ。(例えば肺虚証なら太淵の補法と。)
陰実証の場合でも陰虚補法優先の原則が立つ。
(例えば肝実証なら六十九難なら肺経の太淵の補法。七十五難なら腎経の復溜の補法と。)

参考:
六十九難の解説
五行法則より循環の相生関係(母子関係)において、
子供が虚す時にはその母を補法する事。
また、母が実する時には子供を瀉法する事。
必ず補法を先にして、その後に瀉法をしなさいと。
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