五一難

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難経 第五十一難

    ank051

ゆっくり堂の『難経ポイント』第五十一難

※ 五十一難のポイント其の一は、五一難は「陰症の病」と「陽症の病」の法則です。

※ 五十一難のポイント其の二、腑病は陽性である。臓病は陰性である。

※ 難経五十一難 臨床&エトセトラより。

〔五十一難の参考図表を作りました。〕

「五一難:臓腑の「陰症の病」と「陽症の病」の法則表(nk5101)」を参照されたし。

nk5101

 難経 第五十一難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考しています。

五十一難曰.
病有欲得温者.有欲得寒者.
有欲得見人者.有不欲得見人者.
而各不同.
病在何藏府也.

然.
病欲得寒.而欲見人者.病在府也.
病欲得温.而不欲得見人者.病在藏也.

何以言之.
府者陽也.陽病欲得寒.又欲見人.
藏者陰也.陰病欲得温.又欲閉戸獨處.惡聞人聲.

故以別知藏府之病也.

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五十一難の訓読

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(458号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)

五十一難に曰く。
病に温を得んと欲くするものあり、寒を得んと欲くするものあり、
人を見るを得んと欲するものあり、人を見るを得んと欲せざるものあり、
而(しか)して各々同じからず、
病は何れの蔵腑のあるや。

然(しか)るなり。
病寒を得るを欲して、而して人を見るを得んと欲する者は、腑病にあり、
病温を得るを欲して、而して人を見るを得んと欲せざる者は、臓病にあるなり。
何を以って之を言う。
府は陽なり、陽病は寒を得るを欲し、また人を見るを欲す。
臓は陰なり、陰病は温を得るを欲し、また戸を閉じて独り處(お)るを欲し、人の声を聞く事を悪(にく)む。

故に以って臓腑の病を別ち知るなり。
詳しくは各先生の文献を参照されたし。

   五十一難の解説

(井上恵理先生の解釈:経絡鍼療(458号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)

五十一難の解説をします。

病気の人で、温かいものを好む者と冷たいものを好む者とがある。
また、人に会いたがる者と会いたがらない者とがある。
どうして、それぞれが同じではない。(反対の反応をしている。)
この病気は何れの蔵腑に問題があるのか説明しなさい。

お答えいたします。

冷たい飲食物を好み、冷房を好む、薄着を好む、そしてやたらと人恋しく人に会いたがる者、
これは病気の性質が腑病にある。「陽症の病」であると。
温かい事を好み、人に会いたがらない、部屋にこもっている様な者、
これは病気の性質が臓病にある。「陰症の病」であると。

これはどの様な理由かと言えば、
腑病は陽性である。陽病は冷たい物や寒い物を欲しがり、また人に会いたがる。
臓病は陰性である。陰病は温かいもの・温かい部屋を好む。そして部屋に閉じこもって人と会うこと人と話すこと事態を嫌がる。(引きこもり現象の人ですね。)

だから、「腑病の陽性」と「臓病は陰性」の性質を理解して臓腑の病を区別して対応しなさいと。
詳しくは各先生の文献を参照されたし。

   五十一難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解釈:経絡鍼療(458号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕
五十一難曰.
病有欲得温者.有欲得寒者.
有欲得見人者.有不欲得見人者.
而各不同.
病在何藏府也.

〔訓読〕
五十一難に曰く。
病に温を得んと欲くするものあり、寒を得んと欲くするものあり、
人を見るを得んと欲するものあり、人を見るを得んと欲せざるものあり、
而(しか)して各々同じからず、
病は何れの蔵腑のあるや。

〔解説〕
五十一難の解説をします。
病気の人で、温かいものを好む者と冷たいものを好む者とがある。
また、人に会いたがる者と会いたがらない者とがある。
どうして、それぞれが同じではない。(反対の反応をしている。)
この病気は何れの蔵腑に問題があるのか説明しなさい。

〔原文〕
然.
病欲得寒.而欲見人者.病在府也.
病欲得温.而不欲得見人者.病在藏也.

〔訓読〕
然(しか)るなり。
病寒を得るを欲して、而して人を見るを得んと欲する者は、腑病にあり、
病温を得るを欲して、而して人を見るを得んと欲せざる者は、臓病にあるなり。

〔解説〕
お答えいたします。
冷たい飲食物を好み、冷房を好む、薄着を好む、そしてやたらと人恋しく人に会いたがる者、
これは病気の性質が腑病にある。「陽症の病」であると。
温かい事を好み、人に会いたがらない、部屋にこもっている様な者、
これは病気の性質が臓病にある。「陰症の病」であると。
〔原文〕
何以言之.
府者陽也.陽病欲得寒.又欲見人.

〔訓読〕
何を以って之を言う。
府は陽なり、陽病は寒を得るを欲し、また人を見るを欲す。

〔解説〕
どの様な理由かと言えば、
腑と言うものは陽性である。陽病は冷たい物や寒い物を欲しがり、また人に会いたがる。

〔原文〕
藏者陰也.陰病欲得温.又欲閉戸獨處.惡聞人聲.

〔訓読〕
臓は陰なり、陰病は温を得るを欲し、また戸を閉じて独り處(お)るを欲し、人の声を聞く事を悪(にく)む。

〔解説〕
臓病は陰性である。陰病は温かいもの・温かい部屋を好む。そして部屋に閉じこもって人と会うこと人と話すこと事態を嫌がる。(引きこもり現象の人ですね。)

〔原文〕故以別知藏府之病也.

〔訓読〕故に以って臓腑の病を別ち知るなり。

〔解説〕
だから、「腑病の陽性」と「臓病は陰性」の性質を理解して臓腑の病を区別して対応しなさいと。

〔解説補足1〕
患者のお宅に往診に行った場合で、やたらと見舞客の人の出入りが多い、外は暑くないのに冷房をかけ、薄着でいたい。布団が重いと愚痴を言う。寂しがり屋で枕元に年中人を呼びつける。これは、病気の性質が腑病にある。「陽症の病」である。

〔解説補足2〕
一方、たいして寒くもないのに暖房をかけて、そして部屋に閉じこもってジッと固まって人と会うこと話すことを嫌がる。これは、病気の性質が臓病にある。「陰症の病」である。

〔参考図表〕「五一難:臓腑の「陰症の病」と「陽症の病」の法則表(nk5101)」を参照されたし。

nk5101

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