七十難

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  難経 第七十難

ゆっくり堂の『難経ポイント』第七十難

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※ 七十難のポイント其の一は、春や夏は浅く刺し、秋や冬は深く刺す法則についての説明です。

※ 難経第七十六難臨床&エトセトラより。


難経 第七十難 原文
(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

七十難曰.
經言.
春夏刺淺.秋冬刺深者.何謂也.
然.
春夏者.陽氣在上.人氣亦在上.故當淺取之.
秋冬者.陽氣在下.人氣亦在下.故當深取之.
春夏各致一陰.秋冬致一陽者.何謂也.
然.
春夏温.必致一陰者.初下鍼.沈之至腎肝之部.得氣引持之陰也.
秋冬寒.必致一陽者.初内鍼.淺而浮之.至心肺之部.得氣推内之陽也.
是謂春夏必致一陰.秋冬必致一陽.
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七十難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(481号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

七十難に曰く。
経に言う。
春夏は刺すこと浅く、秋冬は刺すこと深きとは、何の謂(いい)ぞや。
然(しか)るなり。
春夏は陽氣上に在り、人の氣も亦(また)上に在り、故に当(まさ)に浅く之を取るべし。
秋冬は陽氣下に在り、人の氣も亦(また)下に在り、故に当(まさ)に深く之を取るべし。

春夏は各々一陰を致(いた)り、秋冬は各々一陽を致るとは、何の謂ぞや。

然(しか)るなり。

春夏は温、必ず一陰を致るとは、初めて鍼を下すに、之を沈めて腎肝の部に至り、
気を得て引いて之を陰に持するなり。
秋冬は寒、必ず一陽を致るとは、初めて鍼を内(いれ)るに、浅くして之を浮べ、
心肺の部に至り、気を得て推して之を陽に内るなり。
是れ春夏は必ず一陰を致り、秋冬は必ず一陽を致り致すという。
詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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七十難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(481号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、 山口一誠の考察文にて構成しました。)

七十難の解説をします。

陰陽五行理論から考察すると。

鍼術の刺入方法に於いて、春や夏は浅く刺す、秋や冬は深く刺す法則があるが。
この法則について判り易く説明しなさい。

お答えします。

春夏の季節は温かく陽氣は上に在り、人の氣も皮膚に在る。よつて、刺鍼は浅い所に処す。
秋冬は寒く陽氣は下に在り、人の氣も筋肉・腱・骨に在る。よつて、刺鍼は深い所に処す。

春夏の刺鍼は浅い所に刺鍼するが、この時も下の陰気を忘れないこと、
秋冬の刺鍼は深い所に刺鍼するが、この時も上の陽気を忘れないこと、
この刺鍼法則について判り易く説明しなさい。

お答えします。

春夏は陽気が盛んで温であるから陰気は少ない、だから必ず陰気を補い陰陽の調和を図るために、
刺鍼法として、初めに鍼を深く入れ、腎肝の陰部に至り、鍼尖に気を得たならば、
鍼を引いて浅い陽部に陰気を保持するのである。

秋冬は陰気が盛んで寒であるから陽気は少ない、だから必ず陽気を補い陰陽の調和を図るために、
刺鍼法として、初めに鍼を浅く入れ、浮部、心肺の部で、鍼尖に陽気を得たならば、
鍼を陰の部に推し入れて陽陰気を保持するのである。
是れが四季に於ける陰陽調和の鍼法である。
春夏は必ず陽気が浮いている時でも陰気を忘れないで施術しなさい。
秋冬は必ず陰気が沈んぢいる時でも陽気を忘れないで施術しなさいと。

〔井上恵理先生の難経解説から、経絡法則と臨床、鍼灸師の心得・実際の手技〕
ここは二つの意味が考えられる。
まず鍼を深く入れてから浮かべて気を動かせと言う意味が一つ、
それから「腎肝の部に至り、」と言うのは押手を慎重に沈めておいて鍼を陽気にだけ打てと言う意味と二つに考えられる。

詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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七十難の詳細解説1・

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(481号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕七十難曰.
〔訓読〕七十難に曰く。
〔解説〕七十難の解説をします。

〔原文〕經言.
〔訓読〕経に言う。
〔解説〕陰陽五行理論から考察すると。

〔原文〕春夏刺淺.秋冬刺深者.何謂也.
〔訓読〕春夏は刺すこと浅く、秋冬は刺すこと深きとは、何の謂(いい)ぞや。
〔解説〕鍼術の刺入方法に於いて、春や夏は浅く刺す、秋や冬は深く刺す法則があるが。
この法則について判り易く説明しなさい。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕春夏者.陽氣在上.人氣亦在上.故當淺取之. 秋冬者.陽氣在下.人氣亦在下.故當深取之.
〔訓読〕

春夏は陽氣上に在り、人の氣も亦(また)上に在り、故に当(まさ)に浅く之を取るべし。
秋冬は陽氣下に在り、人の氣も亦(また)下に在り、故に当(まさ)に深く之を取るべし。

〔解説〕

春夏の季節は温かく陽氣は上に在り、人の氣も皮膚に在る。よつて、刺鍼は浅い所に処す。
秋冬は寒く陽氣は下に在り、人の氣も筋肉・腱・骨に在る。よつて、刺鍼は深い所に処す。

〔解説補足〕

春夏の時期は、
冬至に最も近い甲子(きのえね)から夏至に最も近い甲子の前日まで、これを陽遁と言います。
平成25年12月24日から平成26年6月21日まで。
秋冬の時期は、
夏至に最も近い甲子(きのえね)から冬至に最も近い甲子の前日まで、これを陰遁と言います。
平成26年6月22日から12月18日まで。

上と言うのは皮膚を意味しています。 下は筋肉・腱・骨を意味しています。

〔原文〕春夏各致一陰.秋冬致一陽者.何謂也.
〔訓読〕春夏は各々一陰を致(いた)り、秋冬は各々一陽を致るとは、何の謂ぞや。
〔解説〕春夏の刺鍼は浅い所に刺鍼するが、この時も下の陰気を忘れないこと、
秋冬の刺鍼は深い所に刺鍼するが、この時も上の陽気を忘れないこと、
この刺鍼法則について判り易く説明しなさい。

〔解説補足〕
「一陰を致り」とは、陽気が浮いている時でも陰気を忘れないで施術しなさいと言う意味です。

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七十難の詳細解説 2.

〔原文〕
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕春夏温.必致一陰者.初下鍼.沈之至腎肝之部.得氣引持之陰也.
秋冬寒.必致一陽者.初内鍼.淺而浮之.至心肺之部.得氣推内之陽也.
是謂春夏必致一陰.秋冬必致一陽.

〔訓読〕
春夏は温、必ず一陰を致るとは、初めて鍼を下すに、之を沈めて腎肝の部に至り、
気を得て引いて之を陰に持するなり。
秋冬は寒、必ず一陽を致るとは、初めて鍼を内(いれ)るに、浅くして之を浮べ、
心肺の部に至り、気を得て推して之を陽に内るなり。
是れ春夏は必ず一陰を致り、秋冬は必ず一陽を致り致すという。

〔解説〕
春夏は陽気が盛んで温であるから陰気は少ない、だから必ず陰気を補い陰陽の調和を図るため
に、刺鍼法として、初めに鍼を深く入れ、腎肝の陰部に至り、鍼尖に気を得たならば、
鍼を引いて浅い陽部に陰気を保持するのである。

秋冬は陰気が盛んで寒であるから陽気は少ない、だから必ず陽気を補い陰陽の調和を図るため
に、刺鍼法として、初めに鍼を浅く入れ、浮部、心肺の部で、鍼尖に陽気を得たならば、
鍼を陰の部に推し入れて陽陰気を保持するのである。
是れが四季に於ける陰陽調和の鍼法である。
春夏は必ず陽気が浮いている時でも陰気を忘れないで施術しなさい。
秋冬は必ず陰気が沈んぢいる時でも陽気を忘れないで施術しなさいと。

〔井上恵理先生の難経解説から、経絡法則と臨床、鍼灸師の心得・実際の手技〕

ここは二つの意味が考えられる。

まず鍼を深く入れてから浮かべて気を動かせと言う意味が一つ、

それから「腎肝の部に至り」と言うのは押手を慎重に沈めておいて鍼を陽気にだけ打てと言う意味と二つに考えられる。

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