六四難

 

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難経 第六十四難

     ank064

ゆっくり堂の『難経ポイント』第六十四難

※ 六十四難のポイント其の一は、
陰経は井木に始まり陽経は井金に始まるのはどう言う意味なのか。

※ 六十四難のポイント其の二は、
経験理論として、陽経の気を整える場合には井金穴から、陰経は井木として使うと言う事です。


難経 第六十四難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

六十四難曰.
十變又言.
陰井木.陽井金.陰滎火.陽滎水.陰兪土.陽兪木.陰經金.陽經火.陰合水.陽合土.
陰陽皆不同.其意何也.
然.
是剛柔之事也.
陰井乙木.陽井庚金.
陽井庚.庚者乙之剛也.
陰井乙.乙者庚之柔也.
乙爲木.故言陰.井木也.
庚爲金.故言陽.井金也.
餘皆倣此.
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六十四難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(475号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

六十四の難に日く、
十変に又言う、
陰井は木、陽井は金、陰滎は火、陽滎は水、 陰兪は土、陽兪は木、陰経は金、陽経は火、
陰合は水、腸合は土、 陰陽皆同じからず、 其の意何ぞや。
然るなり、
是れ剛柔のことなり。
陰井は乙の木、 陽井は庚の金、
腸井は庚、 庚は乙が剛なり。
陰井は乙、乙は庚が柔なり。
乙は木となす、故に陰井の木と言うなり、
庚は金となす、故に陽井の金と言うなり。
余は皆此にならえ。

詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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 六十四難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(475号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

六十四難の解説をします。

「十変」とう言う古典文献によれば、

陰経の方は井木・滎火・兪土・経金・合水と、陽経の方は井金・栄水・兪木・経火・合土と言って、
陰経、陽経に違いがある。陰経は木に始まり陽経は金に始まるのはどう言う意味なのか。
説明しなさい。

お答えします。

これは陰陽剛柔の理論で、所謂、夫婦関係たとえです。

〔井上恵理先生の難経解説から〕
庚(かのえ)と言うのは金の陽である。乙(きのと)と言うのは木の陰である。
そこで陰の五は木から始まるが、 陽の方は金から始まる。
これは男と女・右と左・上と下と一言う様な陰陽剛柔、即ち相反していながら相調和して行くと言う意味で陽経の気を整える場合には井金穴から始まらないとよく調わない、
陰経は井木として使わなければ井穴は使えないと一言う事なんです。
そこでこう言う事が後で出て来ると思いますが、
心下満を主るとか身熱するを主るのを井滎兪経合で書いてありますね。
あれは陰経だけの事ですよ。 陽経ではない。陰経だけです。 陽経の方は却って五行的に使った方がいいです。 そうすると使い方がハッキリして来る。ですからこれは一つの法則、天地自然の法則と言う様に考えればいいと思います。「なぜ? どうして? 」と突き詰めて行っても、 この答以外にはないのだから、 これはこう言う法則によって決められたのだと。
そしてこれには色んな異説が沢山ありますが、一応そう言う風に考えて頂きたいと思います。


詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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  六十四難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(475号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕六十四難曰.
〔訓読〕六十四の難に曰く。
〔解説〕六十四難の解説をします。

〔原文〕十變又言.
〔訓読〕十変に又言う、
〔解説〕「十変」とう言う古典文献によれば、

〔原文〕
陰井木.陽井金.陰滎火.陽滎水.陰兪土.陽兪木.陰經金.陽經火.陰合水.陽合土.
陰陽皆不同.其意何也.
〔訓読〕
陰井は木、陽井は金、陰滎は火、陽滎は水、陰兪は土、陽兪は木、陰経は金、陽経は火、
陰合は水、腸合は土、
陰陽皆同じからず、 其の意何ぞや。
〔解説〕
陰経の方は井木・滎火・兪土・経金・合水と、陽経の方は井金・栄水・兪木・経火・合土と言って、
陰経、陽経に違いがある。陰経は木に始まり陽経は金に始まるのはどう言う意味なのか。
説明しなさい。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕是剛柔之事也.
〔訓読〕是れ剛柔のことなり。
〔解説〕これは陰陽剛柔の理論で、所謂、夫婦関係たとえです。

〔井上恵理先生の難経解説から〕
剛と柔・凸と凹・陰と陽、全て剛柔です。
これは一つ考え方ですが、これを方角に配すると甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ )・了   (ひのと )・戊 (つちのえ )・己(つちのと )・庚(かのえ)・辛(かのと )・壬(みずのえ )・ 壬(みずのと )と言う循環がある。
剛と柔は相 向かい合っていると言う事です。例えば甲と言うのは木であるが、乙もやはり木なんです.丙・丁は火、戊・己は土、庚・辛は金、壬・突は水。 これは陰陽なんです。
甲は木の陽、乙は木の陰で兄・弟と言う事です。丙は火の兄、丁は火の弟。それが陰陽になる。
だから同じ木であっても陰と陽がある訳です。金と言っても陰陽がある。水と言っても陰陽がある。土と言っても陰陽がある。ただ木は陽なりとか陰なりとか金は陰なりとか決めるんじゃなく、その中 に陰陽がある。

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〔原文〕
陰井乙木.陽井庚金.
陽井庚.庚者乙之剛也.
陰井乙.乙者庚之柔也.
乙爲木.故言陰.井木也.
庚爲金.故言陽.井金也.
餘皆倣此.
〔訓読〕
陰井は乙の木、 陽井は庚の金、
腸井は庚、 庚は乙が剛なり。
陰井は乙、乙は庚が柔なり。
乙は木となす、故に陰井の木と言うなり、
庚は金となす、故に陽井の金と言うなり。
余は皆此にならえ。

〔井上恵理先生の難経解説から〕
庚(かのえ)と言うのは金の陽である。乙(きのと)と言うのは木の陰である。
そこで陰の五は木から始まるが、 陽の方は金から始まる。
これは男と女・右と左・上と下と一言う様な陰陽剛柔、即ち相反していながら相調和して行くと言う意味で陽経の気を整える場合には井金穴から始まらないとよく調わない、
陰経は井木として使わなければ井穴は使えないと一言う事なんです。
そこでこう言う事が後で出て来ると思いますが、
心下満を主るとか身熱するを主るのを井滎兪経合で書いてありますね。
あれは陰経だけの事ですよ。 陽経ではない。陰経だけです。 陽経の方は却って五行的に使った方がいいです。 そうすると使い方がハッキリして来る。ですからこれは一つの法則、天地自然の法則と言う様に考えればいいと思います。「なぜ? どうして? 」と突き詰めて行っても、 この答以外にはないのだから、 これはこう言う法則によって決められたのだと。
そしてこれには色んな異説が沢山ありますが、一応そう言う風に考えて頂きたいと思います。


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