五行の色体表 五行穴図 五要穴図 c202

                            経絡鍼灸 教科書 トップコーナ へ

五行の色体表

五行穴図

五要穴図

                                小項目 番号  c202

五行の色体(表・図) コーナー

五蔵の色体(よそおい)表

  基礎 部門
 五行  木  火  土  金  水
 五臓  肝  心  脾  肺  腎
 五腑  胆  小腸  胃  大腸  膀胱
 五起  井  兪
五募
  病因 部門
五精  意智 精志
五常(情)  仁
五音  角  商
五畜
五季 土用
五刻
五方 中央 西
 五悪   飲食労倦 湿
五根
五主 血脉 肌肉 皮膚
五支
五労 行く 視る 座る 臥す 立つ
病症 部門
五役
五色
五香  若枝の油臭  焦  腥
 五味  鹹
五声 つぶやき言 呻く
五液 なみだ泣
五志 笑う 思う 憂い  驚く
五変 握る 云う シャクリ  咳 震える
  養生法 その他
五果 すもも李 あんず杏 なつめ棗 もも桃 くり栗
五菜 にら韮(きゅう) らっきょう薤(かい) あおい葵(き) ねぎ葱(そう) モヤシ藿(かく)
五穀 きび黍(しょ) あわ粟(ぞく)  米
生数  四
成数  八
五柄戸十干(じっかん) 甲(きのえ)乙(きのと) 丙(ひのえ)丁(ひのと)  戊(つちのえ)
己(つちのと)
 庚(かのえ)辛(かのと) 壬(みずのえ)癸(みずのと)

望診における五臓の色体(分類)

表黄帝内経「素問」刺熱論篇第三十二、二章、一節
黄帝内経「素問」風論篇 第四十二、
黄帝内経「霊枢」五色論篇 第四十九、 を参照

五行
五臓  肝
五色
顔面 部位 左頬 前額部 右頬
生色 青川蝉艶 赤鶏冠艶 黄蟹腹艶 白豚膏艶 黒烏濡羽艶
死色 青草絞汁 赤古血 黄カラタチ  白枯骨 黒煤如
五竅
色と症状 青色痛み 赤色熱症 黄色栄養障害  白色冷え 黒色慢性病
刺熱論 左頬赤 額赤 鼻赤 右頬赤 頤赤
風論篇 目の下青色 口赤色 鼻の上黄色 眉の上白色 頤の上黒色
五色論 鼻稜中央 鼻根 鼻先 眉の間

難経 第十六難より。 現代腹診の参考として。

注意:
各病を決定する時、脉状と腹診が一致し他の病状も出ている時にのみ、
その「分別病症」と断定できる。 一致しないときは別の病症を考えること。

用語の説明。
外証(病が身の外にあり、症が外表「顔面」に表れる。)
内証(病が身の内にあり、症が腹内「腹診」に表れる。)
洒淅(ぞうぞう・しゃあしゃあとして、寒気がするさま)

裏急後重(りきゅうこうじゅう)
(裏急とは「お尻」のことです。後重とは「後ろに重くなる」のことです。
つまり、大便が出そうなのでトイレに入りますが、大便は出ません。
が・・トイレを出ると、また、便意があります。この繰り返しの症状です。)

分別 病症 肝病 心病 脾病 肺病 腎病
腹診(内証) 臍の左側
肝の診所に
動悸あり
按じて硬く
若しくは痛む
 臍の上
心下部
心の診所に
動悸あり
按じて硬く
若しくは痛む
臍の部位に
当たって
動悸あり
按じて硬く
若しくは痛む
臍の右側
肺の診所に
動悸あり
按じて硬く
若しくは痛む
臍下
腎の診所に
動悸あり
按じて硬く
若しくは痛む
 脉状 げん弦脉 こう洪脉 かん緩脉 毛脉 石脉
 顔面(外証) 清潔で顔色が青い 顔が赤い 顔が黄ばむ 顔色が白く 顔色が黒ずむ
五志 怒る

口乾き

(心熱病)笑うを好む

おくび噫(ゲップ)思い悩み

食欲旺盛

くさめ
嚏が出る
悲しみ愁い
こく哭すと欲す
恐れ
あくび
欠伸す
 病状 手足の浮腫
小便不利
小便が
たらたら出たり
止まったり・・
腓腹筋痙攣
こむら返り)

煩心
(胸いきれ)
心下部痛
掌中熱ス
手の平が熱い)

からえずき

お腹が張って
消化が悪い
身体が重く
だるい。
関節が痛む
臥するを好み
手足が、
挙らない
咳嗽し
洒淅として
寒熱す寒気がし身体が
ゾクゾクして
悪寒と発熱が
かわるがわる来る症状
逆気し
小腹急痛
下痢して
その後
裏急後重
足脛冷え
頭が熱する

聞診における五音・五声・五香の表

五臓 五行 肝木 心火 脾土 肺金 腎水
五音 カク角 チ徴 キュウ宮 ショウ商 ウ羽
発声法  舌音
タ 行
歯音
サ 行
喉音
ア 行
顎音
カ 行
唇音
マ 行
長短
高低
清濁
ともに中位 短く
高く
清い
極長く
低く
濁る
長く
低く
濁る
極短く
高く
清い一音階低い
音階 ラ一音階低い
五声 言つぶやき 呻く
五香 若枝の油臭

五行穴・五要穴 表

五行穴 井木穴 栄火穴 兪土穴 経金穴  合水穴
  陰経  木  ⑫足の厥陰肝経  大敦  行間  太衝  中封  曲泉
 火  ⑤手の少陰心経  少衝  少府  神門  霊道  少海
 土  ④足の太陰脾経  隠白  大都  太白  商丘  陰陵泉
 金  ①手の太陰肺経  少商  魚際  太淵  経渠  尺沢
 水  ⑧足の少陰腎経  湧泉  然谷  太谿  腹溜  陰谷
 火  ⑨手の厥陰心包経  中衝  労宮  大陵  間使  曲沢
  陽経  五行穴  井金穴  栄水穴  兪木穴  経火穴  合土穴
 木  ⑪足の少陽胆経  足竅陰  俠谿  足臨泣  陽輔  陽陵泉
 ⑥手の太陽小腸経  少沢  前谷  後谿  陽谷  小海
 ③足の陽明胃経  厲兌  内庭  陥谷  解谿  足三里
 金  ②手の陽明大腸経  商陽  二間  三間  陽谿  曲池
 水  ⑦足の太陽膀胱経  至陰  足通谷  束骨  崑崙  委中
 火  ⑩手の少陽三焦経  関衝  液門  中渚  支溝  天井
 五要穴  原穴  郄穴  絡穴  募穴  兪穴
 陰経  木  ⑫足の厥陰肝経  太衝  中都  蠡溝  期門  肝兪
 火  ⑤手の少陰心経  神門  陰郄  通里  巨闕(任)  心兪
 土  ④足の太陰脾経  太白  地機  公孫  章門(肝)  脾兪
 ①手の太陰肺経  太淵  孔最  列缺  中府  肺兪
 ⑧足の少陰腎経  太谿  水泉  大鐘  京門(胆)  腎兪
 ⑨手の厥陰心包経  大陵  郄門  内関  膻中  厥陰兪
五要穴  原穴  郄穴  絡穴  募穴  兪穴
 陽経  木  ⑪足の少陽胆経  丘墟  外丘  光明  日月  胆兪
 火  ⑥手の太陽小腸経  腕骨  養老  支正  関元  小腸兪
 土  ③足の陽明胃経  衝陽  梁丘  豊隆  中脘  胃兪
 金  ②手の陽明大腸経  合谷  温溜  偏歴  天枢(胃)  大腸兪
 水  ⑦足の太陽膀胱経  京骨  金門  飛陽  中極  膀胱兪
 火  ⑩手の少陽三焦経  陽池  会宗  外関  石門  三焦兪

五行 五臓 五腑 五起 図

 

c2024

 

 陰経 五行穴・五要穴 図

c2022

 陽経 五行穴・五要穴 図

c2021
::::::::::::::::::::::::::::

五行穴・五要穴の意味するところ。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
—————————————————————–
—————————————————————–
  ゆっくり堂鍼灸院HP:経絡鍼灸 教科書

五行の色体表 五行穴図 五要穴図 c202 より。

——————————-
五蔵の色体(よそおい)表 基礎部門より。
五行:木火土金水
五起:井栄兪経合
——————————-
五行穴・五要穴表より。
五行穴:井木穴・栄火穴・兪土穴・経金穴・合水穴

五要穴:原穴・郄穴・絡穴・募穴・兪穴・

200 Animation1
特定経の五行穴内の関係図(自穴・母子・相克関係)
⑫ 足の厥陰肝経(井木)
五行穴:井木穴・栄火穴・兪土穴・経金穴・合水穴
大敦:井木自穴
行間:栄火子穴
太衝:兪土原畏穴
中封:経金剋穴
曲泉:合水母穴
五要穴:原穴・郄穴・絡穴・募穴・兪穴・
原:太衝
郄:中都
絡:蠡溝
募:期門
兪:肝兪
⑫ 足の厥陰肝経(井木

—————————————————————–
—————————————————————–

五行穴:井木穴・栄火穴・兪土穴・経金穴・合水穴

—————————————————————–
—————————————————————–

五要穴:原穴・郄穴・絡穴・募穴・兪穴・

—————————————————————–
—————————————————————–

五行穴・五要穴の症例。

—————————————————————–
—————————————————————–

本間祥白先生「経絡治療講和」

—————————————————————–
—————————————————————–

ゆっくり堂の難経ポイント

六二難 

  • 六十二難のポイント其の一は、
    井・栄・兪・経・合の五つの穴と、 原穴についての記述です。
  • 難経第六十二難臨床&エトセトラより。
    井上恵理先生の難経六十二難解説から
  • 臓の陰経において、原穴と兪穴が同じになっている理由について。
    陰気は牌胃の気と同じ意味で兪穴に原を付けている。
    だから井営兪穴の兪は原気、
    即ち後天の気を養うと言う意味に使う事も出来れば、
    兪穴の性格として使う事も出来る。
    一穴に二つの役目を持っていると言う事が言える訳です。
¨
井上恵理先生の難経六十二難解説から
  •  臓の陰経において、原穴と兪穴が同じになっている理由について。
  • 兪穴(ゆけつ)は、土穴(どけつ)であり、土(つち)は全ての母である。
  • 原気と言うのは。
    十二原の根本である先天の気を診るのは臍下(さいか )丹田。
    これは生命の原(みなもと)であり、その生命の原から分かれている所の三焦の気。
    これはあらゆる働きと言う意味です。  三焦の気と言うのは生命力と考えればいい。
  • 季節に於いても五つの季節はないですね。四つしかない。春・夏・秋・冬。
  • 先天の気が働く上に於ける所の後天の原気の象徴を求めたもの、 これを原穴と言うのだと考えればいいと思います。
ゆっくり堂の難経ポイント第六二難 HPリンク
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/62nan/

六三難

  •  六十三難のポイント其の一は、
    五臓六腑は十二経に皆、井・栄・兪・経・合の五行穴があり、
    井穴を始めとしている。
    六十三難のポイント其の二は、
    井穴を始めとする理由は、
    この地上に生成する生き物すべてが、
    春の季節より生き生きと活発に動き出すからである。
ゆっくり堂の難経ポイント第六三難   HPリンク
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/63nan/

六四難

  •  ポイント其の一は、
    陰経は井木に始まり陽経は井金に始まるのはどう言う意味なのか。
  • ポイント其の二は、
    経験理論として、
    陽経の気を整える場合には井金穴から、
    陰経は井木として使うと言う事です。
ゆっくり堂の難経ポイント第六四難 HPリンク
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/64nan/

六五難

  • 六十五難のポイント其の一は、
    六十五難では、指端で経脉の気のが発生し、
    肘膝の関節で大きな流れに入り合する所を、
    春冬の自然現象に例えて説いている。
ゆっくり堂の難経ポイント第六五難  HPリンク
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/65nan/

六六難

  • ※ 六十六難のポイント其の一は、原穴についての説明が述べられています。
  • ※ 六十六難のポイント其の二は、
    三焦の原気、先天の気の主る所は、関元穴であり生命の根本です。
  • ※ 六十六難のポイント其の三は、
    先天の原気の留まる所は関元であるが、ただ留まっているだけではない。
    これを三焦の別使となって全身に回して使う。
    ◎ 三焦の別使は3つに分類されている。これを「三気」と言う。
    ◎ 「三気」と言うのは栄気(営気)・衛気 ・原気(宗気 )である。
    ◎ この「三気」が全身の経脉と五臓六腑を巡ることで人の生命が保たれているのです。
  • ※ 六十六難のポイント其の4は、
    身体の経脉や五臓六腑が病んだとき、原穴を治療の穴(ツボ)として使う訳です。
ゆっくり堂の難経ポイント第六六難  HPリンク

六七難

  • ※ 六十七難のポイント其の一は、募穴と兪穴の説明を述べています。
  • ※ 六十七難のポイント其の二は、 急に病気が起こって陽症・陽病である場合には、募穴にその症が顕れるから募穴を使う。
  • ※ 六十七難のポイント其の三は、 慢性疾患で久病と言われるもや、症状が変化しないでズルズルといつまでも治らないう場合に兪穴を使う ・・
  • ※ 難経第六十七難 臨床&エトセトラより。
    ○ 昔、日の当たる縁側で、祖母が近所のおばあさんたちと背中にお灸をしていたのを想い出します。
    長年の農作業で疲れた身体をお互いに癒していたのでしょう。
    井上恵理先生も、久病と言われる病は背や腰仙部の兪穴を使用すると効果的であると話しています。
    ※ 募穴の症は浅い部に顕れる。
    (今年8月開催された東京鍼研世界大会、研究班での募穴診とその治療手技からも)
    ※ 腹診の方法には、募穴診と五臓腹診と積聚(しゃくじゅう)の腹診があります。
    1、募穴診は六十七難において展開されています。
    2、五臓腹診は十六難において展開されています。
    3、積(しゃく)と聚(じゅう)の腹診の考察(五十五難・五十六難)。
    ⑴ 五十五難:
    腹中に積(しゃく)と聚(じゅう)と言う二つの塊が出来る事がある。
    ⑵ 五十六難:
    腹診に於ける五臓の積(しゃく)の名称、所在、形状、病症、発生についての大切な経絡理論である。
ゆっくり堂の難経ポイント第六七難  HPリンク
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/67nan/

六十八難

  • ※ 六十八難のポイント其の一は、五行穴の井滎兪経合穴の説明が述べてあります。

    ※ 六十八難のポイント其の二は、
    本間祥白先生の難経解説から
    此の主治症は難経に於いて始めて説かれた所のものである。
  • ・※ 難経第六十八難臨床&エトセトラより。
  • 第21回経絡大の研究部において、取穴を担当された先生から、主要七穴だけでは、臨床家としてアウトだよ、肝心脾肺腎の井滎兪経合穴は正確に取穴できないと、本治法の腕は上がらないからと。
    ガンバリマス。
    ゆっくり堂、初学者用 経絡鍼灸教科書・経穴と主治:十四経絡にも写メ図解をアップせねば。
ゆっくり堂の難経ポイント第六十八難 HPリンク
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/68nan/
—————————————————————–
—————————————————————–
KGSYより。抜粋。

原穴、郄穴、絡穴、、五要穴( 井木穴、栄火穴、兪土穴、経金穴、合水穴 )について。

(4) 取穴   p43、

《 解 説》
普通部では主要 7穴を指導してきたが、
難経六十九難の治療法則(五行的取穴)に従って定則的な選穴を優先し、それがよい脉にならないときは高等部では難経六十八難 (病証的取穴) と原穴、郄穴、 絡穴も選穴することによってよい脉になることを教える 。
たとえば、
  • 心下満には井木穴で 、肝木経の気の主るところであり、
    身熱するには栄火穴で、心火経の気の主るところ、
    身体重く節痛むには兪土穴、脾土経の気の主るところ、
    咳嗽、寒熱には経金穴で 、肺金経の気の主るところ、
    逆気して泄らすには合水穴で、腎水経の気の主るところがその例である 。

原穴、

  • 古典には 「五臓、疾あるときは、その応十二原に出づ」とあって十二経の変動は皆この原穴に現れることになっている。
    三焦の原気の循る所は、自然治癒力が強いので補にも瀉にも用いられる 。

郄穴(げきけつ)、

  • 主として急性劇症に用いるが、癌疾の場合もよく反応が現れる 。
絡穴、原穴と共にその経の代表点のような性格を持つ穴で、
虚実ともに反応が診られ、効果も顕著である 。
慢性症に多く使われる 。

≪ 選穴の例 ≫

  • * 咳嗽など肺経の変動と診られる症状がある場合、
    肺肝相剋、又は肺虚肝実の証がたったとき
    肝経は経金穴をもちいるか
    肺経と脾経も経金穴を使うこともある。
  • 同じ肺肝相剋で体重節痛など、脾経の変動と診られる症状があれば肝経は兪土穴を用いる 。
  • 下痢などの症状が激しく脾腎相剋の場合、腎経も兪土穴を使う場合があり 、 脾経は郄穴を用いる 。
  • 足腰冷えて頻尿の症状が強いとき、腎脾相剋又は腎虚脾実だと 、腎経は合水穴を用いることもあり、 脾経もまた合水穴を用いる 。
—————————————————————–
—————————————————————–

五行穴・五要穴

(原論下巻 p229~243にてより)

::::::::::::::::::::::::

原論下巻 第十三章 取穴の補瀉「経絡治療の神髄」

2、要穴とその性格

  • 経絡治療がその合理性を得るためには、手足の要穴とその性格が必須要件である。
    その要穴は各経に五個ずつあり、手では肘関節、足では膝関節より指先の方に位置している。
    この要穴には五行的性格と病症的性格の二種類がある。
    即ち、その要穴には指先から木・火・土・金・水の五行と井・栄・食・経・合の二種類の性格名がつけられている。
    ただし、陽経ではこの五行が指先より金から始まり水木火土と相剋的にくい違っている。
    講習会などでよく、どうしてそうなるのか……、などと質問を受けるが、
    これは二千年余に及ぶこの医学の歴史的経験によって決定されたものであるから、その信憑性は臨床を通して行なう以外にはない。
    従って、まず理屈を抜きにし、実地に用いてみると、その発想の素晴らしさに驚嘆し、「なぜ……?」という疑惑は消える。
    即ち、数千年にわたるこの医学の歴史を通じて、数多くの貴重な人体実験が積み重ねられ、血の滲む試行錯誤の結果生み出されたのが、現在経絡治療として用いられているこの五行的、および病症的性格である。
(注) 本会では「理論に非ず実行」と忠告している。
次にその表を掲げる。
第1表 五行穴の表
  • 即ち、臨床実践に当たっては、この二つの性格を完全に理解し、記憶していなければならない。
    例えば、これを肺経にて例示すると、指先から少商、魚際、太淵、経渠、尺沢と並んでいる。
    これに二つの性格をつけて、井本穴少商、栄火穴魚際、金土穴太淵、経金穴経渠、合水穴尺沢と、直ちに呼び得るように努めなければならない。
    ただし、陽経においては五行が相剋的にくい違っている。
    即ち、それを大腸経に診ると指先から井金穴商陽、栄水穴二間、兪本穴三間、経火穴陽谿、合土穴曲池となる。
    これらは常に熟知、暗唱して、その性格と穴名が即座にわかるようになっていないと、苦悶する患者と四つに取り組むという臨床の現場においては役立たない。
    従って、経絡治療における本治法は、この要穴の暗記から始まるということを強調しておく。
次に、この二つの性格について解説する。

(1) 五行的性格

  • 経絡説は、陰陽五行論によって整然たる体系を整えることができるのである。
    即ち、十二経は各々陰陽二経が組み合わされ、相火を加え六組となる。
    この六組は肝木、心火、相火、脾土、肺金、腎水と、各々五行的性格を備えている。
    更に、その各経はまたその属する穴が木火土金水の性格を備えているのである。
    例えば、肺金経中の井木穴少商は肝木の気を受けて、
  • 穴の気が経の気に抑(おさ)えられて畏(かしこ)まっているので、これを畏穴(いけつ)と言う。
    また、栄火穴魚際は心火経の気を受けて、穴の気が経の気を剋(こく)しており、これを剋穴(こくけつ)と言うが、以上の二穴は相剋関係にある穴と言うのである。
    次に、兪土穴太淵は脾土の気を受けて、穴と経とは母子関係にあり、この穴を母穴と言う。
    また、合水穴尺沢は腎水の気を受けており、これを子の穴と言い、以上二穴を母子関係にある穴と言うのである。
    また、経金穴経渠は金経中の金性の穴で、その経の気を最もよく現わす穴であるから、これを自穴、または本穴と呼ぶのである。
    さて、この五行的性格は経絡治療における本治法の根本原理となっているのである。
    即ち、肺経を補わんとする時は、「虚すればその母を補え」(難経六十九難の一項)とて、母穴太淵に補法を加える。
    また、瀉法を行なわんとする時は、「実すればその子を潟せ」(難経六十九難の二項)とて、子穴尺沢に瀉法を行なうのである。
    また、その経のみに補瀉の施術を行なわんとする時は、自穴本穴である経渠穴に補湾を加えることによって目的を達することができる。
    次に、相剋関係にある二穴の運用は、経の気と穴の気が相反しているので、その用い方はやや複雑になる。
    例えば、肺虚証にて扁桃炎に苦しむ患者が、大腹に手を当て、心下満を苦しむ時は、この本穴少商に瀉法を加え、
    また、高熱を現わす時は火穴魚際を瀉すことによって、補的効果を上げることができるのである。
    しかし、これに反じ、その経の実証に対しては、補うことによって瀉の目的を達することができる。
    この際、重要なことは井木、栄火の因をなす肝木および心火経の虚実を弁別し、それ相当の病症を診断して実践しなければならない。
  • これにつき、本間先生はその著書『経絡講話』において、
    さながら各国がその国の中にそれぞれの大使館を置き、相手国には大使を派遣して国際的な外交問題を処理すると同じ関係である、と説いておられるが、誠にわかりやすい例えである。

(2)病症的性格

  • 前項に書いた五行穴には、各々その主る病症があり、それに従って更に井・栄・兪・経・合の呼び名がつけられている。
    これを病症的性格(難経六十八難)と言う。
    これは気血を水の流れになぞらえて、表現したものである。
    即ち、
    」は井戸の井で出づると訓じ、地下水の湧き出す状態を表わし、肘関節の方に進むに従い、
    」は栄えるで留まる所、即ち、やや流れが多くなったことを意味し、
    次に
    」は運ぶと訓じ注ぐ所、即ち更にサラサラと流れる有様を表わし、
    原穴を過ぎて
    」はみちと訓じ、過ぎる所となす。即ち、人が往来する如く、盛んに流れ行く有様に例え、
    ついで
    」は合わせると訓じ、流れが合わさって遂に落ち込む如く入る有様を表わしているのである。
    ただし、陽経では原穴が独立している。
  • その主る病症を簡明に表わすと、
    は心下満、
    は身熱する、
    は体重節痛、
    は咳嗽寒熱、
    は逆気して泄らすとなる。
  • これを次のような歌にすると、その暗唱に頗る便利である。
  • 「井戸より出でて心下満ち。栄え留まり身熱す。兪(はこ)び注〔そそ〕ぎて身重く、節痛んでは疲れたり。すべて原(みなもと)過ぎる人。
    経〔みち〕行く時は咳も出〔い〕で、暑い寒いの病あり。合わせて入れよ逆気泄〔ぎゃっき もる〕るべし」
  • これを解説すると東洋医学では人体を小天地となし、患者を生命的異変を持b統一体として見るのである。
    従って、病体に現われるすべての複雑雑多な症状をまず五行に随って五大病証に分類するのである。
    更に中分類から小分類と掘り下げて綿密入念に観察を進めていくというのが特色である。
  • 即ち、
    心下満ちるとは、
    その患者が病苦に耐え兼ね、心下部に手を当てて苦悶し、病邪が集中的に胸肋から心下部を冒す有様を言い、
    例えばめまい、腹痛、胸痛、種々の急性腹症等の際によく診られる状態を言う。
    主として肝本がこれを主り、その脉は弦、緊を現わす。
  • 身熱するとは、
    自覚的、他覚的に、或いは局所的、全身的にすべて熱を感じるものを言い、脉は数を現わす。
    ここで注意すべきは、 一般常識としては体温計の目盛りによって診るのである。
    しかし、未だ体温計のなかったこの医学では、患者や術者の感覚判断を重要視したのである。
  • 体重節痛とは、
    身重く節痛むを言う。
    即ち、疲れ、むくみ、或いは痩せてだるい、更に進んで食欲不振等、脾土の主る証を言うのであり、その脉は緩にして軟。
  • 咳嗽寒熱とは、
    すべての呼吸器疾患や気の虚等に診られる病証である。
    即ち、喘咳、寒熱、少気もって息するに足らず、進んで皮膚のしびれや異変、悲しみ嘆く等はすべて肺金の主る証であり、その脉は概ね濇〔ショク〕。
  • 逆気して泄〔も〕らすとは、
    足腰冷えて逆気し、頭重、耳鳴り、めまい、肩こって血圧亢進等の逆証を言う。
    更に、大小便が出る、汗や涙が出る、或いは種々の下血、吐血、出血等すべて泄れ出づる病を言うのである。
    更にその異常として、出るべきが出ない場合もこの証に含まれるがこれは腎水の主る病証であり、その脉は濡にして石。
  • また、
    原はその経の代表穴として三焦の気の変動はすべて原穴の主る所である。
  • 今これを肺経虚証の風邪ひき患者に例えると、
    咽喉痛んで喉痺(今の扁桃炎)が甚だしく、心下部に手を当て苦しむ時は心下満の証として、
    井木畏穴少商穴の刺絡〔シラク〕(救急法)をするか、瀉すことによってその苦痛を頓挫せじめることができる。〔瀉法〕
    また、
    高熱にして洪大の脉を現わす時は、栄火剋穴たる魚際穴を瀉すことによって肺経の虚を救い、〔瀉法〕
    食欲不振、身重く疲れる等を訴える時は母穴愈土太淵穴を、〔補法〕
    また、
    咳嗽寒熱は本穴たる経金経渠穴を、〔補法〕
    また
    逆気して泄らすは子穴合水尺沢穴を用いる〔補法〕&〔瀉法〕
  • ことによってその患者の病苦を除去じ得るのである。
  • かくの如く、要穴の運用はその患者の病症ともにらみ合わせて工夫しなければならないが、
  • まず五行的性格を第一目標とし、相なるべくこれに矛盾しないよう工夫を凝らす必要がある。
  • しかし、どうしても思わしい効果が得られない場合には五行的には矛盾することを承知の上で、
    敢えて病症に重点を置いた取穴をし好成績を得ることもあるので、あくまでもこの二つの性格を熟知した上で、慎重な考慮を払わなければならない。
  • なお、実地臨床に当たっては、この二つの性格は陰経のみを中心に考え、
  • 陽経への処置は次に述べる絡穴〔ラクケツ〕、郄穴〔ゲキケツ〕、原穴〔ゲンケツ〕等の触覚所見によって代行するが、これによって取穴の簡便を期することができる。
  • これは、けだし陰主陽従説によるものである。
(補註37)

基本と臨床実践について

  • 以上、本文の五行的性格や病症的性格は経絡治療の最も大事な基本論であることは解説したとおりである。
    しかし、実地臨床の現場においては、更に「陰主陽従」とか、「補法優先」というような臨床法則が加わるので、臨床実践における取穴法は、必ずしもこの原則どおりに行なわれるものではない。
    これは後述する難経六十九難や相剋調整方式の解説において、その具体的な穴名を記述することになる。

3、五要穴とその性格

  • 五行穴と共に各経に共有する要穴に原、郄、絡、募、兪の五つがある。
    本会ではこれを五要穴と称する。
    このうち原、郄、絡穴は概ね手足の肘および膝関節より先に、また、募穴は腹部に、兪穴は背腰部にある。
    ただし、陰経においては原穴が兪土穴と共存している。

ここにその表を掲げる。

第2表 五要穴の表

次に、五要穴の性格とその臨床応用について記述する。

  • しかし、既に五行穴の経絡調整によって、ある程度の目的が達せられるのに、更に五要穴が設けられているということは、経絡調整の完璧を期せんがためである。
    故に、五要穴はその特徴を熟知し、証法一致の適正な施術を行なうならば、五行穴では得ることのできない著効を上げることができる次第である。

(1) 原 穴

  • この穴は概ね手では腕関節、また足では足関節の周囲にある。
    霊枢九鍼十二原篇には、「五蔵、疾有る時は、その応十二原に出づ」と明記されている。
    故に、各経脈の変動は虚実共にこの原穴にて診ることができ、更にその治療も可能であるので、この理に基づいた治療法さえもある。(良導絡治療)
    即ち、この原穴には生命力の根源としての三焦の原気が強く働いており、灸穴としても愛用されるが、中々効果は顕著である。
    近頃は大気の汚染による血液病(白血病、再生不良性貧血、紫斑病、血小板無力症など)が大きな社会問題となっている。
    かくの如き生命的異変に基づく病症や体質改善には、この原穴が重要である。
    即ち、地球レベルの環境の憎悪が問題視される現今、この原穴治療の果す役割は大きい。

陰経の原穴

  • 〔太衝穴:肝木:⑫足の厥陰肝経 :兪土原穴〕
    〔神門穴:心火:⑤手の少陰心経 :兪土原穴〕
    〔大陵穴:相火:⑨手の厥陰心包経:兪土原穴〕
    〔太白穴:脾土:④足の太陰脾経 :兪土原穴〕
    〔太淵穴:肺金:①手の太陰肺経 :兪土原穴〕
    〔太谿穴:腎水:⑧足の少陰腎経 :兪土原穴〕

陽経の原穴

  • 〔丘墟穴:肝木:⑪足の少陽胆経 :原穴〕
    〔腕骨穴:心火:⑥手の太陽小腸経:原穴〕
    〔陽池穴:相火:⑩手の少陽三焦経:原穴〕
    〔衝陽穴:脾土:③足の陽明胃経 :原穴〕
    〔合谷穴:肺金:②手の陽明大腸経:原穴〕
    〔京骨穴:腎水:⑦足の太陽膀胱経:原穴〕
——————————————————————————————–

陰経原穴 詳細

———————————————————
太衝穴
  • 3   太衝 (たいしょう)
  • ● 太衝(兪土原畏穴)
  • 部位:第1・第2 中足骨接合部のやや前の陥凹部にあり。
    取り方:第1・第2 中足骨接合部のやや前の陥凹部で、母指寄りに取る。
  • 兪土原穴 ・  所属経絡:足の厥陰肝経 ・
  • 取穴部位:足背にあり、第1・第2中足骨底間の前、陥凹部に取る
    『鍼灸重宝記』 太衝  たいしょう  (二穴)
    取穴: 足大指の側ら本節の後へ二寸。
    灸法:灸三壮。
    針法:針三分、
    主治:心痛、小便しぶり、腰より小腹に引いたみ、婦人の漏下を治す。
    本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
    原穴であるから肝経の病の全てに応用される。
    生殖器病 : 子宮病、精巣炎、またこれらの慢性症にともなう腰痛、下腹・側腹部の引きつり 、足の冷えを治す。
    消化器病 :腸仙痛、腸炎等に効果がみる。
    呼吸器病 :胸膜炎、 肋間神経痛等に効果がある 。
    また眼疾を治す。
———————————————————
神門穴
  • 7 神門(しんもん)
  • ● 神門(兪土原子穴)
  • 部位:陰郄穴の下5 分、手関節掌面横紋の尺側端で、尺側手根屈筋腱の尺側にあり。
    取り方:手関節掌面横紋の尺側端で、尺側手根屈筋腱の尺側に取る。
  •  兪土原・ 所属経絡:手の少陰心経 ・
  • 取穴部位: 手関節前面横紋の尺側にあり、豆状骨の上際で尺側手根屈筋腱の橈側に取る.
  • 『鍼灸重宝記』 神門 しんもん  (二穴)
  • 取穴: 小指の後の通り 、腕の横文の中にあり 、則、掌の後の尖骨の下、手外踝(そとくるぶし)の上、 両骨の間、 拳を握り力めば陥処なり 。
    灸法:灸七壮。
    針法:針三分、留ること七呼、
    主治:
    瘧(おこ)り 、 心煩れ、水を好み、不食、心痛、 手肘ひへ、掌熱し 、 目黄み、 脇いたみ、幅血、吐血、 上気、 音出ず、健忘、 心積、てんかんを治す。
———————————————————
大陵穴
  • 7 大陵(だいりょう)
  • 大陵(兪土原子穴)【陰経基本7 穴:3:】
  • 部位:手関節の掌面横紋上、長掌筋腱の尺側縁にあり。
    取り方:手関節のほぼ中央、長掌筋腱の尺側縁で太淵穴と神門穴を結ぶ横紋上に取る。
  • 兪土原・ 所属経絡:手の厥陰心包経 ・
  • 取穴部位: 手関節前面横紋の中央に取る.
    (注)橈側手根屈筋腱と長掌筋腱の間で太淵穴と神門穴の中間にある.
  • 『鍼灸重宝記』 大陵 だいりょう (二穴)
  • 取穴: 掌の後へ腕の横文の中、両筋の間にあり 。
    灸法:灸三壮、
    針法:針五分六分 、留ること七呼。
    主治:
    熱病汗出ず、掌熱し 、肘攣(つ)り痛み、脇腫、 心煩れ、心痛、 目赤く、小便赤、嘔啘(おうえつ:「げっぷ」「嘔吐」)、  こうひ、 口乾き、身熱し 、 づっう 、 気みぢかく 、胸脇いたみ、 疥癬(かいせん:ヒゼンダニによる感染症)を治す。
    心包絡の実はこれを瀉すべし 。
———————————————————
太白穴
  • 3 太白(たいはく)
  • 太白(兪土原自穴)【陰経基本7 穴:2:】
  • 部位:第1中足骨頭の後方の陥凹部、赤白肉の間にあり。
    取り方:大都穴の方から第1中足骨頭を越えた後方の陥凹部で、赤白肉の間に取る。
  •  兪土原 ・ 所属経絡:足の太陰脾経 ・
  • 取穴部位:足の第1中足指節関節の後、内側陥凹部に取る.
  • 『鍼灸重宝記』 太白 たいはく (二穴)
    取穴: 足の大指の外側、本節の後へ下に円き骨あり 、 其骨の下、 白肉と赤肉との堺めに点す。
    灸法:灸三壮。
    針法:針三分 、
    主治:
    腹はり食化せず泄瀉(せしゃ:下痢便を下す。)、 嘔吐、 腰いたみ、 腹一しきりきりいたむを主どる。
———————————————————
太淵穴
  • 9 太淵(たいえん)
  • 太淵(兪土原母穴)【陰経基本7 穴:1:】
  • 部位:経渠穴の下6分、長母指外転筋腱の内縁にあり。
    取り方:手関節掌面において、手根骨の肘寄りの横紋上(骨には乗らない)で、
    長母指外転筋の内縁に取る。
  • 兪土原穴・脈会・  所属経絡:手の太陰肺経 ・
  • 取穴部位: 手関節前面横紋の橈側端の陥凹部、動脈拍動部に取る.
  • 『鍼灸重宝記』 太淵 たいえん (二穴)
  • 取穴: 掌の後へ陥中、魚際と寸口との問。
    灸法:灸三壮、
    針法:針一二分、留ること二呼。
    主治:
    胸痺、逆気、嘔吐、咳嗽、不寝、 目痛青く 、或は白翳(はくえい:白い影)赤筋を生じ、転筋、
    乍寒乍熱(さ寒さ熱:寒くなったり熱くなったり)し、 掌中熱し 、
    缺盆の中と胸肩背臂(臂:ヒ:ひじ肩から手首までの)いたみ、 寒端、咳血、吐血、振寒、咽乾、
    狂言、溺の色変り 、遺失度なきを治す。
———————————————————
太谿穴
  • 3 太谿(たいけい)
  • ● 太渓(兪土原剋穴)
  • 部位:内果とアキレス腱との間の陥中微動脈部にあり。
    取り方:足関節を90 度曲げ、内果尖とアキレス腱との間の陥凹部で、微動脈を目当てに取る。
  • 兪土原 ・ 所属経絡:足の少陰腎経 ・
  • 取穴部位:内果の最も尖ったところの高さで、内果とアキレス腱の間陥凹部、動脈拍動部に取る.
  • 『鍼灸重宝記』 太谿 たいけい (二穴)
    取穴: 足の内踝の後へ五分、跟骨(かかと骨)の上、動脉ある処。
    灸法:灸三壮。
    針法:針三分、
    主治:
    久瘧(きゅうぎゃく:慢性の瘧、「おこり」病)籍、 心痛、足冷痿(なえる)、 喘息、痰実して口中滑るを治す。
    瘧(おこ)りとは、
    南北病証論 六、瘧論 (ぎゃくろん)井上恵理 先生の解説と言葉の意味:
    詳しくはリンクしてご覧ください。
    http://yukkurido.jp/keiro/bkb/mk/6gy/
———————————————————
——————————————————————————————–

陽経原穴 詳細

———————————————————
丘墟穴
  • 39 丘墟(きゅうきょ)
  • 原穴・  所属経絡:足少陽胆経・
  • 取穴部位:外果の前下方、足部を外転背屈し、最も陥凹するところに取る.
  • 『鍼灸重宝記』 丘墟 きゅうきょ (二穴)
    取穴: 足の外踝の下、骨縦の中、臨泣を去こと三寸、俠谿(きょうけい)より五寸、踝の骨のまへ。
    灸法:灸三壮、
    針法:針五分、留ること七呼。
    主治:
    胸脇みちいたみ、 息することを得ず、久瘧(きゅうぎゃく)、振寒、頚・腋の下はれ、 腰腿[月十行]いた み、 転筋、 卒疝、 小腹かたく 、 寒熱、 太息するを治す。
    ※ 七疝の病症参考hp:ゆっくり堂の『難経ポイント』第二九難をリンクしてご覧ください。
    http://yukkurido.jp/keiro/nankei/29nan/
    本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用文:
    12原穴の一つで、経の虚実のいずれにも効果のある穴で、
    この部は原穴として胃経の 衝陽(しょうよう)膀胱経の京骨とならんでいるが、いずれも治効が著しい穴である 。
    丘墟(きゅうきょ)は胆経の特質として、目(肝の主り)、胸膜炎(寒熱、咳嗽、半表半裏)疝気(胆経の流注?)によく効く。
    あるいは脾虚肝実よしての胃炎の疼痛、胃痙攣に著効あり。
    また足の痛み、足関節のリウマチ、捻挫等に圧痛が現われ 、局所治療穴としてよく使われるところである。
———————————————————
腕骨穴
  • 4 腕骨(わんこつ)
  • 原穴 手の太陽小腸経
  • 取穴部位:手背尺側にあり、第5中手骨底と三角骨の間の陥凹部に取る
———————————————————
陽池穴
  • 4 陽池(ようち)
  • 原穴 ・ 所属経絡:三焦経・
  • 取穴部位:手関節後面横紋のほぼ中央にあり、総指伸筋腱と小指伸筋腱の間に取る.(注)手関節後面横紋中で、橈骨端と尺骨茎状突起間で、手根骨との間の陥凹部にある.
  • 『鍼灸重宝記』  陽池 ようち (二穴)
    取穴: 小指と無名指との間を筋骨にしたがひ推上せば、腕にて指の止る処、腕の中にあり 。
    灸法:禁灸。
    針法:針二分、 留こと六呼、
    主治:消渇、 口乾き 、おこり、肩ひぢいたみ、折傷を治す。
———————————————————
衝陽穴
  • 42 衝陽(しょうよう)
  •  原穴 ・ 所属経絡:陽明胃経・
  • 取穴部位:足背にあり、第2・第3中足骨底間の前、陥凹部に取る.
  • 『鍼灸重宝記』 衝陽 しょうよう(二穴)
    取穴:  足の跗上(フジョウ:あしのこう)五寸、陥谷を去こと三寸、次指と中指との開通りを足腕の方へ撫上せば、足跗の中ほどに指の止る処。
    灸法:灸三壮、
    針法:針三分、留ること十呼、もし刺て血出れば死す。
    主治:
    中風、 口眼ゆがみ、足収らず、跗腫、むしば、寒熱し、腹堅、 大に不食し 、傷寒、振寒、 狂乱を治す。
———————————————————
合谷穴
  • 4 合谷(ごうこく)
  • 原穴 ・所属経絡: 手の陽明大腸経・ 四総穴:面目・
  • 取穴部位:第1・第2中手骨底間の下、陥凹部、第2中手骨寄りに取る.
  • 『鍼灸重宝記』 合谷 ごうこく (二穴)
    取穴: 手大指と食指との岐骨の問だ陥中、推ば肘にこたへる処。
    灸法:灸三壮、
    針法:針三分、留ること六呼。
    主治:
    傷寒、大に渇き 、発熱悪寒、づっう 、背強り 、汗なく寒熱、瘧(おこ)り 、はなぢ、 目くらく、 虫歯、耳聾、喉痺(こうひ:のどしび)、面はれ、言こと能ず、 口噤み、中風、かざぼろせ、
    痂疥(たむし:かさぶた、はたけ)、偏正のづっう 、 腰背いたみ、小児乳鵝を治。
    小児の乳鵝(にゅうが:栄養不良の乳幼児などにカンジダという真菌の感染によって、口の中の舌やほおの粘膜に白い斑点ができる病気。)
———————————————————
京骨穴
  • 60 京骨(けいこつ) ・
  • 原穴 ☆ 足の太陽 膀胱経
  • 部位: 第 5 中足骨粗面の後下部赤白肉の間にあり 。
    取り方: 足の小指側を腫の方より赤白肉に沿って指先の方に押していくと 、ほぼ中央で骨のたかまりに突きあたる、その陥凹部に取る 。
———————————————————
——————————————————————————————–

 

(2) 郄 穴

  • 郄とはすき間の意である。
    即ち、病体の組織のすき間には、こりやキョロ等の反応がよく現われる。
    これらは変動経絡の流注に随〔したが〕う気血の留滞によるものである。
    特に急性劇症の際はそれが著明に現われるので、これによる治療を郄穴治療と称する。
    その証法一致を得る時は、正に風の雲を吹くが如く、蒼天を見るが如き著効を上げることができる。
  • 慢性痼疾の一部にも、この穴に特殊な硬結や血絡を現わすものがあり、刺絡や多壮灸、留置鍼等により特効を上げることができるが、経絡の変動とにらみ合わせて処置することが大切である。

陰経の郄穴

〔中都穴:肝木:⑫足の厥陰肝経 :郄穴〕
〔陰郄穴:心火:⑤手の少陰心経 :郄穴〕
〔郄門穴:相火:⑨手の厥陰心包経:郄穴〕
〔地機穴:脾土:④足の太陰脾経 :郄穴〕
〔孔最穴:肺金:①手の太陰肺経 :郄穴〕
〔水泉穴:腎水:⑧足の少陰腎経 :郄穴〕

陽経の郄穴

〔外丘穴:肝木:⑪足の少陽胆経 :郄穴〕
〔養老穴:心火:⑥手の太陽小腸経:郄穴〕
〔会宗穴:相火:⑩手の少陽三焦経:郄穴〕
〔梁丘穴:脾土:③足の陽明胃経 :郄穴〕
〔温溜穴:肺金:②手の陽明大腸経:郄穴〕
〔金門穴:腎水:⑦足の太陽膀胱経:郄穴〕

その〔治療〕応用例を次に列記する。

〔所属経絡:取穴部位:『鍼灸重宝記』主治も掲載 〕

  • ○ 孔最〔①手の太陰肺経〕
    ――
    喀血、痔の痛み、劇しい咳嗽。
    昔は重症結核やその喀血にこの穴を用いた。
    今は風邪ひきの高熱患者などに用いることが多い。
  • 6 孔最(こうさい)
  • 郄穴・  所属経絡:手の太陰肺経 ・
  • ●孔最(郄穴)
    部位:尺沢穴の下方4 寸、肺経の流注上の陥凹部にあり。
    取り方:尺沢穴と太淵穴を結ぶ線上で、尺沢穴の下方4 寸(前腕の長さの1/3)の
    陥凹部に取る。
  • 取穴部位:前腕前橈側にあり、太淵穴の上7寸、尺沢穴の下3寸に取る.『鍼灸重宝記』 孔最 こうさい (二穴)取穴: 尺沢を目的に魚際より七寸。
    灸法:灸五壮。
    針法:針三分、
    主治:熱病、汗出ず、欬逆(:のぼせるせき。)、肘痛、手握られず、 吐血、咽腫、 声出ざるを治す。
  • ○ 温溜〔②手の陽明大腸経〕
    ――
    風邪、痔出血、化膿性盲腸炎、歯痛等によく用いられるが、
    鍼治療では陰から補ってその邪を瀉す場合が多い。
    施灸は多壮灸がよく効く。
  • 7 温溜(おんる)
  • 郄穴・ 所属経絡:手の陽明大腸経・
  • 取穴部位:前腕後橈側にあり、陽谿穴から曲池穴に向かい上5寸、長・短橈側手根伸筋の間に取る.『鍼灸重宝記』  温溜   おんる (二穴)取穴: 直に偏歴(へんれき)の上二寸、腕のうしろ五寸。
    灸法:灸三壮。
    針法:針三分、
    主治:上気、めまい、てんかん、風逆、手足はれ、肘痛、こうひ、  口舌痛、  はなぢを。
  • ○ 梁丘〔③足の陽明胃経〕
    ――
    胃痙攣、胃炎など急性の腹痛によく効くが、反応が著明でそれに適合する刺鍼技術が大事である。
  • 34 梁丘(りょうきゅう)
  • 郄穴 ・ 所属経絡:陽明胃経・
  • 取穴部位:大腿部の前外側にあり、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かい上2寸に取る.『鍼灸重宝記』 梁丘 りょうきゅう (二穴)取穴: 陰市の下一寸、 両筋の間也。
    灸法:灸三壮、
    針法:針三分五分。
    主治:腰脚冷・ 痺痛(ひつう:しびれ痛む)を治す。
  • ○ 地機〔④足の太陰脾経〕
    ――
    溏泄(トウセ:急性大腸炎)、水腫等に用いられるが、ボツリヌス中毒の劇しい血便下痢でさえ、一鍼で頓挫した実例もある。
    むくみには多壮灸がよい。
  • 8 地機(ちき)
  • 郄穴 ・  所属経絡:足の太陰脾経 ・
  • ●地機(郄穴)
    部位:脛骨内側顆の下方5 寸、脛骨後縁にあり。
    取り方:下腿の内側は、脛骨内側顆縁より内果尖までを1 尺3 寸として取穴している
    ので、内果上方8 寸と言う事になる、この辺りで脛骨の後縁にコリコリした
    反応点を触れる、ここに取る。
  • 取穴部位:内果の上8寸、脛骨内側縁の骨際に取る.(注)脛骨内側顆の下際から下5寸に当たる.『鍼灸重宝記』 地機 ちき (二穴)取穴: 膝の下五分、足を伸てとる。
    灸法:灸三壮。
    針法:針三分、
    主治:
    腰いたみ、溏泄(とうせつ:泥状便)、水腫はり堅くして小便通ぜず、不食、女子の癥瘕(ちょうか:子宮筋腫・内膜症)、を治す。
  • ○ 陰郄〔⑤手の少陰心経〕
    ――
    心痛、癲癇〔テンカン〕に用いられるというが、けだし救急法として用いるのではなかろうか。
  • 6 陰郄(いんげき)
  • 郄穴 ・所属経絡:手の少陰心経 ・
  • ●陰郄(郄穴)
    部位:尺骨茎状突起の橈側際で、屈筋腱の尺側にあり。
    取り方:尺骨茎状突起の橈側の際で、屈筋腱の尺側に取る。
  • 取穴部位:   前腕前尺側にあり、神門穴の上5分、尺側手根屈筋腱の橈側に取る.
  • ○ 養老〔⑥手の太陽小腸経〕
    ――
    めまい、耳鳴り等の劇しいものに応用し、鍼灸とも卓効がある。
    これは、小腸経の流注より考えて頷ける。
  • 6 養老(ようろう)
  • 郄穴 陽谷穴の上1寸で、尺骨茎状突起と尺骨頭の間の陥凹部に取る.
  • ○ 金門〔⑦足の太陽膀胱経〕
    ――
    転筋、小児の引きつけ、大熱に用いるが、特に小児風邪の発熱には大腸経の二間穴と共にこれを瀉すことによって解熱する。
  • 59 金門(きんもん)
  • 郄穴 ・ 所属経絡:膀胱経・
  • 取穴部位:申脈穴の前下方、踵立方関節の外側陥凹部に取る.『鍼灸重宝記』 金門 きんもん (二穴)取穴: 申脈(しんみゃく)の下一寸。
    灸法:灸三壮。
    針法:針一分、
    主治:
    霍乱(カクラン:日射病:激しい吐き気・下痢などを伴う急性の病気)、転筋(テンキン:こむら返(がえ)り)、 尸厥(しけつ:突然倒れて人事不省となり仮死状態になる)、てんかん、暴疝(ボウセン:激しい下腹部痛)、脚膝痛み 、身戦、小児口をはり頭を揺かし身反を治す。。
  • ○ 水泉〔⑧足の少陰腎経〕
    ――
    月経困難症、子宮脱等婦人科の諸疾患に卓効あり、常に施灸しておれば予防法となる。
  • 6 水泉(すいせん)
  • 郄穴 ・ 所属経絡:足の少陰腎経 ・
  • ●水泉(郄穴)
    部位:内果尖と踵骨を結ぶ線上で、太渓穴直下の陥中にあり。
    取り方:足関節を90 度曲げ、内果尖と踵骨の後端を結ぶ線と、太溪穴より垂直に下
    りる線の交点で、踵骨の上に取る。
  • 取穴部位:太谿穴の下1寸で、踵骨隆起の前、陥凹に取る.『鍼灸重宝記』 水泉 すいせん (二穴)取穴: 太谿(たいけい) 後にみゆの下一寸ばかり 、内踝の後への下。
    灸法:灸五壮。
    針法:針四分、
    主治:
    目とをく見ること能(あた)はず、小便淋瀝(しょうべんりんれき:小便がしたたり排尿痛)、婦人の月水通ぜず 、通ずるときは心下悶え痛むを治す。淋 (りん), 淋は膀胱や尿道などにカンジタ菌、淋菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などの菌が原因の 排尿痛、頻尿
  • ○ 郄門〔⑨手の厥陰心包経〕
    ――
    心臓諸病、特に神経性心悸克進、肋間神経痛、胸いきれ等に反応著明である。
    これを補い、或いは施灸して卓効がある。
  • 4 郄門(げきもん)
  • 郄穴 所属経絡:手の厥陰心包経 ・
  • ●郄門(郄穴)
    部位:大陵穴の上方5 寸にあり。
    取り方:前腕前面、大陵穴と曲沢穴を結んだ線上で、大陵穴の上方5 寸に取る。
  • 取穴部位:大  陵穴から曲沢穴に向かい上5寸に取る. (注)正中神経幹が走る.
  • ○ 会宗〔⑩手の少陽三焦経〕

    諸熱、心臓病、盲腸炎等によく効く穴であるが、三焦経は気血の運行に大きな役割を持つということから、主として瘀血性の病症に用いられる。
  • 7 会宗(えそう)
  • 郄穴 ・ 所属経絡:三焦経・
  • 取穴部位:   支溝穴の尺側1寸で、小指伸筋腱と尺側手根伸筋腱の間に取る.
  • ○ 外丘〔⑪足の少陽胆経〕
    ‐―
    脇肋痛、急腰痛など主として筋の硬攣による疼痛に多く用いられる。
    また、狂犬病によく効くと言われるが、体験する機会は少ない。
  • 35 外丘(がいきゅう)郄穴・  所属経絡:足少陽胆経・
  • 取穴部位:外果の上7寸、陽交穴の後方で長腓骨筋とヒラメ筋の間に取る.『鍼灸重宝記』 外丘 がいきゅう (二穴)取穴: 外踝の上七寸、陽交と相並、 陽交は前、外丘は後へ。
    灸法:灸三壮。
    針法:針三分、
    主治:胸満、頭項いたみ、悪寒、 犬に傷られて発熱し 、 てんかん、小児の亀胸(キキョウ:はとむね)を治す。

    本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:

    頸項痛、狂犬病、 陽陵泉から下にかけて痛む腓骨神経痛、を治す。

  • ○ 中都〔⑫足の厥陰肝経〕
    ――
    血崩(子宮出血)、疝気等、主として婦人科系統の劇症に多く用いられるが、反応が著明であり、多壮灸によって効を上げることができる。
  • なお、急性劇症の際、変動経絡を触察し、その穴が現わす反応を確実に提えて的確な処置を施すならば、すべて特効穴として臨床応用が可能である。
  • 6   中都 (ちゅうと )
  • 郄穴・ 所属経絡:足の厥陰肝経 ・
  • ●中都(郄穴)
    部位:内果尖の上方7 寸、脛骨内側面にあり。
    取り方:下腿内側、脛骨内側踝下縁より内果尖までを1 尺3 寸とし、その中点の上方
    5 分で、脛骨後縁より骨の巾の1/3 程度前に上がった所に取る。
  • 取穴部位: 内果の上7寸、脛骨内側面上の陥凹部にとる『鍼灸重宝記』 中都  ちゅうと  (二穴)取穴: 直に蠡溝(れいこう )の上二寸。
    灸法:灸五壮。
    針法:針三分、
    主治:腸下り 、 疝気(せんき:下腹部の痛む病気)、 婦人の血崩を治す。

    本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:

    男性:陰嚢水腫、 婦人病 :産後の出血・子宮出血の止血効果あり。

    疝気(せんき:下腹部の痛む病気)の痛み止め効果あり。

 

(3) 絡 穴

  • 『経絡治療講話』〔著者:本間祥白〕によると、
    「経絡が亢ぶっているときには圧痛、硬結、膨隆し、弱っているときには陥下、弛緩、枯燥するから、その虚実判定にも応用される」と記載されている。
    経絡説では、本経より絡脈が分かれて他の経に移行する分岐点に当たるとなっている。
    とにかく、原穴、郄穴と共に反応が著明に現われる穴であるが、およそ急性劇症には郄穴を用い、慢性痼疾には絡穴が用いられ、また、原穴は補瀉共に用いる。
    昔からこの絡穴を応用した治療法には 巨刺(コシ)、繆刺(ビュウシ)を始め、経金、経水等の調整にもこの穴が使われる。
    近頃、奇経治療や子午治療にも用いることになっているが、経穴にはある程度の移動があるので、その周囲をよく触察し、反応著明な点に取穴することが肝要である。
  • 経絡治療の真髄は、言うまでもなく五行穴の的確な応用による本治法にあるわけだが、
    その患者の病症、病歴、脉証等より、五行穴使用の論拠がはっきりしないとか、
    或いは原穴や絡穴の特性を活用した方がより効果的、かつ取穴も簡便であるなどの理由により、この三穴を代行する場合もある。
    中でも絡穴はこうした観点からの取穴法に多く愛用されている。

陰経の絡穴

  • 〔蠡溝穴:肝木:⑫足の厥陰肝経 :絡穴〕
    〔通里穴:心火:⑤手の少陰心経 :絡穴〕
    〔内関穴:相火:⑨手の厥陰心包経:絡穴〕
    〔公孫穴:脾土:④足の太陰脾経 :絡穴〕
    〔列缺穴:肺金:①手の太陰肺経 :絡穴〕
    〔大鐘穴:腎水:⑧足の少陰腎経 :絡穴〕

陽経の絡穴

  • 〔光明穴:肝木:⑪足の少陽胆経 :絡穴〕
    〔支正穴:心火:⑥手の太陽小腸経:絡穴〕
    〔外関穴:相火:⑩手の少陽三焦経:絡穴〕
    〔豊隆穴:脾土:③足の陽明胃経 :絡穴〕
    〔偏歴穴:肺金:②手の陽明大腸経:絡穴〕
    〔飛陽穴:腎水:⑦足の太陽膀胱経:絡穴〕
——————————————————————————————–

陰経絡穴 詳細

———————————————————
蠡溝穴
5   蠡溝 (れいこう )
絡穴 ・ 所属経絡:足の厥陰肝経 ・
● 蠡溝(絡穴)
部位:内果尖の上方5 寸、脛骨内側面にあり。
取り方:下腿内側、内果尖の上方5 寸で、脛骨後縁より骨の巾の1/3 程度前に上がった所に取る。
取穴部位:内果の上5寸、脛骨内側面上の陥凹部にとる
『鍼灸重宝記』  蠡溝 れいこう  (二穴)
取穴: 内踝(うちくるぶし)の前の通りを踝の上へ五寸に点す。
灸法:灸三壮七壮。
針法:針二分、留ること三呼、
主治:
疝気(せんき:下腹部の痛む病気)、臍(へそ)の下こ積気石のごとく、婦人の赤白をまじへ下すを治す。。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
婦人病:赤白帯下、月経不順、膀胱炎、膀胱麻痺、疝気、を治す。
———————————————————
通里穴
5 通里(つうり)
絡穴・ 所属経絡:手の少陰心経 ・


通里(絡穴)
部位:陰郄穴の上方5 分にあり。
取り方:陰郄穴の上方5 分で、尺側手根屈筋腱の尺側縁に取る。
取穴部位: 前腕前尺側にあり、神門穴の上1寸、尺側手根屈筋腱の橈側に取る.

———————————————————
内関穴
6 内関(ないかん)
絡穴  所属経絡:手の厥陰心包経 ・
● 内関(絡穴)
部位:大陵穴の上方2 寸、長掌筋腱の尺側にあり。
取り方:下橈尺関節の上縁、長掌筋腱の尺側縁を上方より押し下げてくると関節部に突きあたる。その陥凹部を目当てに取る。
取穴部位:  大陵穴から曲沢穴に向かい上2寸に取る. (注)長掌筋腱の尺側にある.外関穴(少陽三焦経)に対する.
———————————————————
公孫穴
4 公孫(こうそん)
絡穴 ・ 所属経絡: 足の太陰脾経 ・
● 公孫(絡穴)
部位:太白穴の後方1 寸、赤白肉の間にあり。
取り方:太白穴の後方1 寸、母指外転筋を目安として赤白肉の間に取る。
取穴部位:太白穴の後1寸に取る.
『鍼灸重宝記』 公孫 こうそん (二穴)
取穴: 足の大指の本節のしりへ一寸、すなわち大都の通り 。
灸法:灸三壮。
針法:針四分、
主治:
寒瘧(かんぎゃく:おこり)、 不食、頭面はれ、 心いきれ、 くるひ、咽渇き 、膽(たん:きも)虚するを治す。
瘧(おこ)りとは、
南北病証論 六、瘧論 (ぎゃくろん)井上恵理 先生の解説と言葉の意味:
詳しくはリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/bkb/mk/6gy/
———————————————————
列缺穴
7 列欠(れっけつ)
絡穴 ・所属経絡:手の太陰肺経 ・
四総穴:頭項を司る・ 八総穴:奇経治療:任脉: 右列欠→左照海・
●列欠(絡穴)
部位:経渠穴の上6 分、橈骨動脈外縁にあり。
取り方:脉診をする際の尺中の部で、橈骨動脈の外縁に取る。
取穴部位:前腕前橈側にあり、太淵穴から尺沢穴に向かい上1寸5分で、動脈拍動部のやや橈側 に取る。
『鍼灸重宝記』 列欠 れっけつ (二穴)
取穴: 腕の側上へ一寸五分、然ども寸を以は知がたし 。
:左をとるには、病人の右の食指を左の大指と食指との開に組入て 、右の食指の頭のあたる処を穴とす。右を取も此のごとし。
灸法:灸三壮七壮 ・四十九壮にいたる 。
針法:針二三分、留ること三呼、瀉は五吸。
主治:
中風、 口喋み、 口眼ゆがみ、 手肘力なく 、半身かなはず、 寒熱、 おこり、欬嗽(がいそう:せきをする 。)、
唇ゆるまり、健忘、溺に血まじり、精もれ、 陰痛み、小便熱し 、驚癇(きょうかん)、
癰腫(ようしゅ)、肩痺、胸脇冷、尸厥(しけつ:突然倒れて人事不省となり仮死状態になる) 、 手足腫るを治す。。
———————————————————
大鐘穴
4 大鐘(だいしょう)
絡穴 ・ 所属経絡:足の少陰腎経 ・
● 大鍾(絡穴)
部位:太渓穴の後下方、アキレス腱付着部前縁の陥中にあり。
取り方:足関節を90 度曲げ、アキレス腱前縁を押し下げて行くと踵骨に突き当る、ここに取る。
取穴部位:太谿穴の下5分で踵骨上際、アキレス腱の前陥凹部に取る.
『鍼灸重宝記』 大鐘 だいしょう (二穴)
取穴: 内踝の後へ跟骨(かかと)の上廉(うえかど)、跟と踝(くるぶし)との中央に点す。
灸法:灸三壮、
針法:針二分、留ること七呼。
主治:嘔吐、ぜんそく 、 りんびゃう 、 舌こはり 、膈嘻(かくき:横隔膜がああ~)、を治す。
———————————————————
——————————————————————————————–

陽経絡穴 詳細

———————————————————
光明穴
36 光明(こうめい)
絡穴 ・  所属経絡:足少陽胆経・
取穴部位:外果から陽陵泉穴に向かい上5寸に取る.
『鍼灸重宝記』 光明 こうめい (二穴)
取穴: 外丘の下二寸。
灸法:灸五壮七壮、
針法:針六分、留ること七呼。
主治:虚すれば痿痺(イヒ:なえしび)す、 実すれば足[骨+行] 熱し痛み、身體不仁ずを治す。。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用文:
胆経の変動に原因する発熱で、汗がでないで熱が陰にこもり、
脳症状をきたしたような場合に、強い瀉法を施す。
また足の外側が痛んだり 、麻痺の場合に効果がある 。
———————————————————
支正穴
7 支正(しせい)
絡穴 、手の太陽小腸経
取穴部位:陽谷穴から小海穴に向かい上5寸、尺骨後面のほぼ中央に取る. (注)手を胸に当てて取る.
———————————————————
外関穴
5 外関(がいかん)
 絡穴 ・ 所属経絡:三焦経・
取穴部位:陽池穴の上2寸、総指伸筋腱と小指伸筋腱の間に取る.
———————————————————
豊隆穴
40 豊隆(ほうりゅう)
絡穴 ・ 所属経絡:陽明胃経・
取穴部位:外果の上8寸、条口穴の外方に一筋隔てた陥凹部に取る.
『鍼灸重宝記』 豊隆 ほうりゅう (二穴)
取穴: 外踝の上八寸 、下廉の傍ら一筋を隔て[骨+行] の外廉陥の中。
灸法:灸三壮七壮、
針法:針三分。
主治:
厥逆(けつぎゃく:のぼせもん、明太ピリリと)、 大小便かたく 、胸腹腿膝いたみ、 風痰、づっう 、 四肢腫、 こうひ、 てんかん、を治す。
———————————————————
偏歴穴
6 偏歴(へんれき)
絡穴・ 所属経絡:手の陽明大腸経・
取穴部位:前腕後橈側にあり、陽谿穴から曲池穴に向かい上3寸に取る.
『鍼灸重宝記』 偏歴 へんれき (二穴)
取穴: 陽谿(ようけい)の上(ひぢの方)三寸にあり 、此より以下の穴は、陽谿と曲池とを目的にしてとる。
灸法:灸三壮。
針法:針三分、留ること七呼、
主治:
肩肘腕しびれ痛み、衂血(はなぢ)、瘧(ぎゃく)、てんかん、 喉痺(こうひ:のどしび)、耳なり  、小便しげき、 を治す。
瘧(ぎゃく)とは「おこり」病気です。
瘧とは外邪によって正気が損なわれるもの。
瘧の症状は、急に寒気がして震えてくる、暫くして震えが止まると急に熱が出てきて熱くなると言う様な寒熱が交々(こもごも)きたるというものです。】
瘧という字は、体を損なうものだと考えれば意味がつく訳です。
〔虐:虎が人をE=ツメで引っかく、疾だれ、の病気の意味:漢字源より。〕
南北病証論   六、瘧論 (ぎゃくろん)
井上恵理 先生の解説と言葉の意味:
詳しくはリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/bkb/mk/6gy/
———————————————————
飛陽穴
54 飛陽(ひよう)
絡穴 ・ 所属経絡:膀胱経・
取穴部位:崑崙穴の上7寸、腓腹筋下垂部の外縁、腓腹筋とヒラメ筋との間に取る.
『鍼灸重宝記』  飛陽 ひよう (二穴)
取穴: 承山と相並ぶ、承山は膕(かく:ひざの裏側のくぼんだ部分)の中央通りの下、 飛陽は外踝の後通りの上、踝の上七寸に点す。
灸法:灸三壮、
針法:針三分。
主治:
痔腫れいたみ、體(たい:身体)おもく 、脚腨(あしこむら)はれいたみ、 目眩、 目痛、 てんかん、 寒瘧(かんぎゃく:おこり) を治す。
——————————————————————————————–

(4) 募 穴 (ぼけつ)

  • 募とは募集の募で、集まる所という意味になる。
    即ち、生体が病邪を受けて経絡に変動が起こると、気血が流滞して特定の点に反応が現われるものである。
    東洋医学では背は陽、腹は陰であるが、臨床的には陽病は陰に、陰病は陽に行くと言われている。
    即ち、急性劇症の際、五臓六腑の募穴にキョロや圧痛、硬結等種々な反応を現わすものであり、これを目当てに診察が行なわれ、施術して効果を上げることができる。
    これはその経に属している場合と、他の経に属するものとがあるが、いずれも数本の経が交会している。
    これはまた、腹証の診断目標としても重要であり、特に陽病ではないが痼疾の病邪が積もり集まったと見られる、いわゆる積聚(シャクジュウ)診断の目安ともなっている。
    とにかく募穴は、胸腹部における臓腑診や施術に欠かすことのできない重要な目標である。
陰経募穴
  • 〔期門穴  :肝木:⑫足の厥陰肝経 :募穴〕
    〔巨闕穴(任):心火:⑤手の少陰心経 :募穴〕
    〔膻中穴(任):相火:⑨手の厥陰心包経:募穴〕
    〔章門穴(肝):脾土:④足の太陰脾経 :募穴〕
    〔中府穴  :肺金:①手の太陰肺経 :募穴〕
    〔京門穴(胆):腎水:⑧足の少陰腎経 :募穴〕
陽経募穴
  • 〔日月穴   :肝木:⑪足の少陽胆経 :募穴〕
    〔関元穴(任):心火:⑥手の太陽小腸経:募穴〕
    〔石門穴(任):相火:⑩手の少陽三焦経:募穴〕
    〔中脘穴(任):脾土:③足の陽明胃経 :募穴〕
    〔天枢穴 (胃)    :肺金:②手の陽明大腸経:募穴〕
    〔中極穴(任):腎水:⑦足の太陽膀胱経:募穴〕

    ——————————————————————————————–

陰経募穴 詳細

———————————————————
期門穴
  • 13 期門 (きもん )
  • 所属経絡:足の厥陰肝経 ・肝経の募穴・ 取穴部位: 第9肋軟骨付着部の下際に取る
    『鍼灸重宝記』 期門  きもん (二穴)
    取穴:  不容(ふよう胃経)の傍ら一寸五分 、又日、乳より直に一寸半下。
    灸法:灸五壮。
    針法:針四分、
    主治:
    胸中煩熱、 賁豚上下、目青して嘔し 、霍乱(かくらん)、洩利、腹かたく大にして、端き臥こと能(あたわ)ず、脇下積気、傷寒の心痛、嘔酸、不食、食後に水を吐き、胸脇支満、血塊、 口かはき消渇、 さんごの餘病(よびょう)、尸厥(しけつ:突然倒れて人事不省となり仮死状態になる) 、傷寒の腹みち、譫語(せんご:戯言:たわごと)、寸脉微にして緊なるもの、 又発熱悪寒し、 大に渇き、腹満、 自汗、小便利する者、又五六日譫語止ざる者、婦人傷かん 、発熱、悪寒、 経水たまたま来り 、七八日熱除て脉遅、身涼く 、胸脇満、譫語するは、熱、血室に入る。
    みな期門に刺して愈。
    賁豚(ほんとん)上下、の意味。
    詳しくは五十六難の訓読をリンクしてご覧ください。
    http://yukkurido.jp/keiro/nankei/56nan/
    腎の積を名けて賁豚(ほんとん)と日う、
    小腹に発して上りて心下に至り、豚の状の若く、或は上り、或は下り、時なし。
    久しくして巳えざれば人をして喘逆して骨痿え、少気ならしむ。
    夏丙丁(ひのえ・ひのと)の日を以って之を得る。
    何を以って之を言えば、 牌病んで腎に伝う、 腎当に心に伝うベし、心は夏を以って適に玉ず、
    王ずるものは邪を受けず、腎復た牌に還さんと欲す、牌肯て受けず、故に留結して積となる。
    故に知らんぬ、賁豚は夏丙丁の日を以って之を得ることを。
    本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
    月経不順、子宮内膜炎、糖尿病、胸膜炎、神経衰弱、を治す。
    期門(きもん )穴の所見: 肝臓病・胆嚢炎の圧痛所見が出る。
    本間祥白先生の経験例より、胆石仙痛のときに、右期門穴と右胆兪穴に皮下置鎖を行って鎮痛させた経験がある 。
———————————————————
巨闕穴(任)
  • 14 巨闕(こけつ)
  • 心経の募穴・ 所属経絡:任脈・ 取穴部位:胸骨体下端の下2寸に取る.
    『鍼灸重宝記』 巨闕 こけつ(一穴)
    取穴: 肋骨の真中のはづれ、蔽骨より二寸下。
    灸法:灸七壮より七々壮(49壮)まで。
    針法:針六分留ること七呼、気を得て即ち瀉す、
    主治:
    上気、咳逆、胸っかへ短気、背いたみ、心痛み、痰飲、霍乱(かくらん:もがいて手を振り回す、日射病や暑気 .)、吐逆、驚悸(驚き動悸する)、怔仲(せいちゅう)、腹張、暴にいたみ、 心恍(しんこう:何かに心を奪われて、うっとりすること。ぼうっとして我を忘れているさま。 「恍惚」)、、不食、傷寒、心煩、嘔逆、発狂、狐疝(せんき:気のむすぼれ・聚(じゅう))、小腹張、尸厥(しけつ)(突然倒れて人事不省となり仮死状態になる)、妊婦子心へ衝て昏悶するを主る。
    ———————————————————
膻中穴(任)
  • 17 膻中(だんちゅう)
  • 相火:⑨手の厥陰心包経:募穴
  • 八会:気会・上焦の宗気・所属経絡:任脈・
    取穴部位:両乳頭を結ぶ線が、胸骨体正中線上に取る.(乳頭は第4肋間の高さ)
    『鍼灸重宝記』 膻中 だんちゅう (一穴)
    取穴: 両乳の問、踊の真中。
    灸法:灸七壮五十壮、
    針法:禁針。
    主治:
    中気、上気、短気、咳逆、嘻膈(きかく:むねがああ~) 嘔吐、不食、端促、咳嗽、胸塞がり 、心胸いたみ、肺癰(はいよう:肺に膿がたまる)、唾膿、乳汁少きを拾す。
———————————————————
章門穴(肝)
  • 12  章門 (しょうもん)
  • 所属経絡: 足の厥陰肝経・脾経の募穴・ 取穴部位: 第11肋骨前端下際に取る
  • 『鍼灸重宝記』 章門 しょうもん(二穴)
    取穴:臍の上二ー寸、両旁へ九寸づつ。
    側臥て、うへの足をかがめ下の足をのべて、肘の尖のあたる処の肋の端。
    灸法:灸百壮五百壮まで。
    針法:針六分八分留ること六呼、
    主治:
    腹鳴、食化せず、胸脇いたみ、臥すことを得ず、煩熱、 口乾き、不食、端息、心痛、食傷、 嘔吐、腰脊冷いたみ、 白濁、寒疝(かんせん:冷えて腰や下腹の内臓が痛む病気。)、 積聚(しゃくじゅ:難経 第五十五難)、腹腫、脊強り 、肩臂(かたひじ)挙らず、四支懈惰(しし かいだ:手足がなまけること。)、 身黄に痩せ、 善おそれ、少気、厥逆(ケツギャク:四肢の冷えのひどいこと。)を治す。
    本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
    章門(しょうもん)は、脾経の募穴でもあり、脾経の病として、
    神経性胃炎、腸仙痛、腸雷鳴、腹膜炎、 食欲不振、手足の倦怠感、 また脳血管障害からの半身不随にもよく効く 。
    肝経の病では、子宮痙攣、肋間神経痛、を治す。
———————————————————
中府穴
  • 1 中府(ちゅうふ)
  • ①手の太陰肺経の募穴・  所属経絡:手の太陰肺経 ・  取穴部位: 雲門穴の下1寸に取る.(正中線外方6寸)
    『鍼灸重宝記』 中府 ちゅうふ (二穴)
    取穴: 雲門の下一寸。
    灸法:灸五壮、
    針法:針三分。
    主治:
    腹脹、手足はれ、食下らず、端気、胸痞(きょうひ:胸のつかえ)、肩背いたみ、
    嘔啘(おうえつ:)、欬逆、上気、肺系ひきつり、 肺の寒熱、胸ふるひ、膽(きも)熱し、欬唾、
    濁涕(だくてい:濁った鼻汁)、風汗出、面浮、少気して 、臥ことならず、傷寒、胸中熱 し、遁死をつかさどる。
    ———————————————————
  • 京門穴(胆)
  • 25 京門(けいもん)
  • 腎経の募穴・ 所属経絡:足の少陽 胆経・ 取穴部位:第12肋骨前端下際に取る.
    『鍼灸重宝記』 京門 けいもん (二穴)
    取穴: 直に章門(しょうもん肝経)の後十一枚めの肋骨の先、すこしへこみある陥み、俗に後章門といふ処なり。
    灸法:灸三壮、
    針法:針三分、留こと七呼。
    主治:
    腸鳴り 、小腹いたみ、肩いたむを治す。
    本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用文:
    腎の募穴、すなわち 、腎気の通ずるところであるから 、経絡治療では腎経の虚実に本治法として常に使う穴である 。
    標治法としては、膀胱炎、 小使赤く濁る等に用い、また、腸炎、腸疝痛、腰痛、脊柱起立筋痙攣、を治す。
  • ———————————————————

    ——————————————————————————————–

陽経募穴 詳細

———————————————————
24 日月(じつげつ)
  • 所属経絡:胆経・ 取穴部位:胆経の募穴  期門穴の直下5分に取る.
    本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
    神経衰弱、 ヒステリ一、 心気症。 ま た胃疾患や肝臓疾患にもしばしば用いられる 。
    日月(じつげつ)穴の特徴:胆経の募穴、すなわち胆経の気が腹部に通ずるところであることから、感情や意志の諸病の改善穴になる。
    しゃっくりを治す:
    刺鍼法:横隔膜の付着部に近いところから針をななめ上方に向けて深く刺入し 「しゃっくり」の痙攣を止める。

    ——————————————————————————————–
4 関元(かんげん)
  • 小腸経の募穴・ 所属経絡:任脈・ 取穴部位:神闕穴の下3寸に取る.
    『鍼灸重宝記』 関元 かんげん(一穴)
    取穴:  臍(へそ)の下三寸。
    灸法:灸七壮より三百壮まで、
    針法:針一寸二分留ること七呼、或は八分留ること三呼、 瀉五吸、 妊婦は禁針。
    主治:
    精冷虚乏く 、 臍中絞いたみ、寒気腹に入ていたみ 、疝気(せんき:腰や下腹の内臓が痛む病気。)、労熱、積聚(しゃくじゅう:難経 第五十五難)、風眩、 づっう 、洩利、 小便通ぜず、淋病、 失精、 白濁溺血、 下血、崩漏、 月水通ぜず、 帯下を拾す。

——————————————————————————————–

5 石門 (せきもん)
  • 三焦経の募穴・ 所属経絡:任脈・ 取穴部位:神闕穴の下2寸に取る.
    『鍼灸重宝記』 石門 せきもん(一穴)(一の名は丹田)
    取穴:  臍(へそ)の下二寸。
    灸法:灸七壮より二百壮ま 、
    針法:針五六分、留ること七呼、或は八分、留ること三呼、気を得て即ち瀉す。
    婦人此穴に針灸すれば一生懐妊せず。
    主治:
    傷寒、小便赤く通ぜず、泄瀉(せしゃ:下痢便が下す)止ず、血淋、吐血、積塊、せんき 、腹いたみ、不食、水腫、 血塊、崩血を治す。
——————————————————————————————–
12 中脘(ちゅうかん)
  • 胃経の墓穴・腑会・中焦の栄気 所属経絡:任脈・  取穴部位:神闕穴の上4寸に取る.
    『鍼灸重宝記』 中脘 ちゅうかん  (1穴)
    取穴: 上院の下一寸、臍腐の上四寸。
    灸法:灸日に十四壮より三四百壮まで。
    針法:針一寸二分あるひは八分、留るこ と七呼、 瀉法五吸、はやく針を出す。
    主治:
    膈噎(かくえつ:むせぶ)、翻胃、不食、端息、腹脹、中悪、心腹いたみ、痢疾、疝気、積聚(しゃくじゅう)、傷寒、疫病、温瘧(おんぎやく) 、 先腹いたみ先づ瀉すし 、震乱、洩出を知ず、身冷、俛き抑きしがたきを。
——————————————————————————————–
3 中極(ちゅうきょく)
  •  膀胱経の募穴・所属経絡:任脈・ 取穴部位:神闕穴の下4寸、曲骨穴の上1寸に取る.
    『鍼灸重宝記』中極 ちゅうきょく(一穴)
    取穴: 臍(へそ)の下四寸。
    灸法:灸五壮より百壮まで、
    針法:針六分、留ること十呼、気を得て即ち瀉す。
    子なき婦には四度針すれば子あり  、又孕(はら)婦にはいむ。
    主治:
    積塊心に上り 、疝気(せんき:腰や下腹の内臓が痛む病気。)、陰寒陽気虚憊(きょはい:弱り疲れる)、水腫、 小便頻数、遺精、 さんご悪露行らず胎衣下らず、 月経調ず、 子門腫いたみ、 淋病、恍惚、 尸厥(しけつ)(突然倒れて人事不省となり仮死状態になる)、 飢えても食すること能はず、を主る。

    子なき婦には四度針すれば子あり  、又孕(はら)婦にはいむ。
——————————————————————————————–

〔積聚〕:参考HP

ゆっくり堂の『難経ポイント』第五十五難
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/55nan/
——————————————————————————————–

(5)兪 穴 (ゆけつ)

  • 兪穴の兪は病を治癒せじめる所、治す所という意である。
    東洋医学では、陰病は陽に行くと言い、いわゆる慢性痼疾になると、この背部の兪穴に硬結や緊張、弛緩等の所見が現われ、診断治療の重要ポイントとなっている。
    また、兪穴は臓腑診断にも欠かすことのできない穴である。
  • 例えば、肺は背の三椎につき、腎は背の十四椎につくなどと言われるが、五臓六腑はそれぞれその兪穴を目標に診断し、治療が行なわれるわけである。
    この兪穴は灸穴としても愛用されるが、更に同じ高さの督脈経上の諸穴や、その骨際に華佗穴を求め、兪穴に準じた治療をし、効果を上げることができる。
陰経兪穴 (全て膀胱経にある。)
  • 〔肝兪穴  :肝木:⑫足の厥陰肝経 :兪穴〕
    〔心兪穴  :心火:⑤手の少陰心経 :兪穴〕
    〔厥陰兪穴 :相火:⑨手の厥陰心包経:兪穴〕
    〔脾兪穴  :脾土:④足の太陰脾経 :兪穴〕
    〔肺兪穴  :肺金:①手の太陰肺経 :兪穴〕
    〔腎兪穴  :腎水:⑧足の少陰腎経 :兪穴〕
陽経兪穴  (全て膀胱経にある。)
  • 〔胆兪穴  :肝木:⑪足の少陽胆経 :兪穴〕
    〔小腸兪穴 :心火:⑥手の太陽小腸経:兪穴〕
    〔三焦兪穴 :相火:⑩手の少陽三焦経:兪穴〕
    〔胃兪穴  :脾土:③足の陽明胃経 :兪穴〕
    〔大腸兪穴    :肺金:②手の陽明大腸経:兪穴〕
    〔膀胱兪穴 :腎水:⑦足の太陽膀胱経:兪穴〕

    ——————————————————————————————–

陰経兪穴 詳細  (全て膀胱経にある。)

———————————————————
肝兪穴
  • 16 肝兪(かんゆ)
  •  所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第9・第10胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』肝兪  かんゆ (二穴)
    取穴: 九椎の下、両方へ相去こと各一寸五分。
    灸法:灸三壮七壮、
    針法:針三分、留ること六呼、
    《誤治針法:刺て肝に中れば欬(せき)て五日に死す。》
    主治:
    多く怒り、黄疸、熱病の後目くらく、涙いで、目眩、気短く、欬血、目上視、欬逆、口乾き、寒疝、筋寒へ、熟痙、筋急に相引、転筋腹に入り、 欬して胸脇に引て痛み、反折り上視し 、驚狂、はなぢ、唾血、短気、積聚(しゃくじゅう)を治。
———————————————————
心兪穴
  • 14 心兪(しんゆ)
  • 所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第5・第6胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』 心兪 しんゆ  (二穴)
    取穴: 五椎の下、左右へ一寸五分づつ。
    灸法:禁灸、 千金に曰(いわ)く、中風、心急には心兪を灸すること百壮。
    針法:針三分、留ること七呼、気を得て即瀉す、
    《誤治針法:刺て心に中(あた)れば癒して即死、》
    主治:
    中風、 冐絶(ぼうぜつ:冒し途絶える)、てんかん、狂走を主る。
———————————————————
厥陰兪穴
  • 13 厥陰兪(けついんゆ)
  •  所属経絡:膀胱経・心包経の兪穴・ 取穴部位: 第4・第5胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』 厥陰兪 けついんゆ(二穴)
    取穴: 四椎の下、左右へ一寸五分づつ。
    灸法: 灸七壮。
    針法:針三分、
    主治:
    欬逆、 牙痛(歯の痛み)、 心(胸)いたみ、胸満、 嘔吐、 煩悶を主る。 即ち心包絡の兪なり 。
———————————————————
脾兪穴
  • 18 脾兪(ひゆ)
  •  所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第11・第12胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』  脾兪  ひゆ (二穴)
    取穴: 十一椎の下、両旁へ相去こと一寸五分づっ。
    灸法:灸三壮五壮、
    針法:針三分、留こと七呼、
    《針誤治:刺て脾に中れば呑酸して五日に死す。》
    主治:
    多食して身痩、鹹(塩からい)き汁を吐き、けんべき、積聚(しゃくじゅう)、脇下みち、洩利、痰瘧(たんぎゃく)寒熱、水腫れ、気脹、脊に引ていたみ、黄疸、不食を治。
———————————————————
肺兪穴
12 肺兪(はいゆ)
  •  所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第3・第4胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』肺兪(はいゆ)(二穴)
    取穴: 三椎の下、両旁へ一寸五分づっ。
    灸法:灸百壮五十壮。
    針法:針三分五分 、留ること七呼、気を得てすなはち瀉す、
    《針法誤治:刺し肺に中(あた)れば欬(せき)て三日に死す、》
    主治:
    労瘵(ろうさい:肺浸潤・肺結核のこと。)、口舌乾き、上気、腰脊強いたみ、寒熱、気短、喘満、虚煩、肺痿、咳嗽、肉いたみ、 皮癢(ひよう:痒み)、嘔吐、不食、狂い走り 、背僂(せろう:かがむ)を治す。
    特徴・症状・治法:
    太陽(⑥小腸経・⑦膀胱経)と少陽(⑩三焦経・⑪胆経)と併病、頭項強りいたみ、或は眩冐(げんぼう:めまいをおかす)、心下痞硬(ひこう:塊つかえる)に太陽(膀胱)の経の肺兪・肝兪を刺べし 。
———————————————————
腎兪穴
  • 21腎兪(じんゆ)
  • 所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第2・第3腰椎棘突起間の外1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』腎兪 じんゆ  (二穴)
    取穴: 脊の十四椎の下、左右へ一寸五分づっ、臍(へそ)と平し 。
    灸法:灸三壮、
    針法:針三分、留こと七呼、
    《針誤治:もし刺て腎に中れば嚔(ひ:くしゃみが出)て六日に死す。》
    主治:
    五労七傷、虚して嬴痩(えいそう)、耳聾ず、下部冷、淋濁、 目暗く 、溺血、遺精、腰膝脚いたみ、消渇、身熱し 、振寒、多食しても痩、面黄黒く、腸鳴、四肢だるく 、洞洩食化せず、身浮腫るを治す。
——————————————————————————————–
——————————————————————————————–

陽経兪穴 詳細  (全て膀胱経にある。)

———————————————————
胆兪穴
  • 17 胆兪(たんゆ)
  •  所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第10・第11胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』 胆兪 たんゆ (二穴)
    取穴: 十椎の下、両旁各一寸五分づつ。
    灸法:灸三壮五壮、
    針法:針三分五分、留ること七呼、
    《針誤治:刺て胆に中れば一日に死す。》
    主治:
    頭痛、振寒汗出ず、脇下腫、心腹張、 口苦く 、舌かはき 、咽痛乾き、嘔吐、骨蒸、労熱、 不食、 目黄を治。
    四花の上二穴は膈兪(かくゆ)、下二穴は胆兪(たんゆ)なり
———————————————————
小腸兪穴
  • 23 小腸兪(しょうちょうゆ)
  • 所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:正中仙骨稜第1仙椎棘突起部の下外方1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』 小腸兪 しょうちょうゆ (二穴)
    取穴: 十八椎の下、 左右へ一寸五分づつ。
    灸法:灸三壮、
    針法:針三分、 留こと六呼。
    主治:
    中暑、 小便赤く、 淋癧(りんれき:尿意は頻繁にあるが、尿がほとんど出ない)、遺溺、脹満(ちょうまん:ふくれみつ)、  [ 疒+丂 ]痛み、泄痢(せり:下痢便が漏れる)膿血五色、 脚はれ、 五痔、づっう 、 虚乏、津液すくなく 、 消渇、 口かはき、 帯下を治す。
———————————————————
三焦兪穴
  • 20 三焦兪(さんしょうゆ)
  • 所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:三焦経の兪穴 第1・第2腰椎棘突起間の外1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』 三焦兪 さんしょうゆ (二穴)
    取穴:  十三椎の下、左右へ一寸五分。
    灸法:灸三壮五壮。
    針法:針三分五分、留ること七呼、
    《誤治》
    主治:
    積じゅ、脹満、不食蠃痩(食欲不振で疲れ痩せた)、傷寒頭痛、吐逆、肩背腰強り、小便渋り 、泄注、腹脹、腸鳴り 、 目眩、頭痛を治す。
———————————————————
胃兪穴
  • 19 胃兪(いゆ)
  •  所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第12胸椎・第1腰椎棘突起間の外1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』 胃兪(いゆ)(二穴)
    取穴: 十二椎の下、両旁へ一寸五分づつ。
    灸法:灸三壮七壮。
    針法:針三分、留ること七呼、
    《誤治》
    主治: 中湿、霍乱、胃冷、腹脹て鳴り 、翻胃、嘔吐、不食、多食して痩蠃(やせつかれ)、目暗く 、腹いたみ、むねわき支満、脊いたみ、筋痙攣を治す。
———————————————————
大腸兪穴
  • 22 大腸兪(だいちょうゆ)
  • 所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第4・第5腰椎棘突起間の外1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』 大腸兪 だいちょうゆ (二穴)
    取穴: 十六椎の下、左右へ一寸五分づつ。
    灸法:灸三壮、
    針法:針三分、留ること六呼。
    主治:
    中燥、脊強り腰痛み、腹いたみ、腸鳴り、 多食して身痩、大小便結、 洩利、 白痢腸癖を治す。 。
———————————————————
膀胱兪穴
  • 24 膀胱兪(ぼうこうゆ)
  • 所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:正中仙骨稜第2仙椎棘突起部の下外方1寸5分に取る.
    『鍼灸重宝記』 膀胱兪 ぼうこうゆ  (二穴)
    取穴: 十九椎の下、両穿へ一寸五分づつ。
    灸法:灸三壮七壮、
    針法:針三分、留ること六 呼。
    主治:
    風労、脊強り、小便赤黄、遺溺、陰瘡(いんそう:陰経の怪我)、少気、脛寒拘急(けいかんこうきゅう:脛(すね)が寒くなり筋肉がひきつる。)、腹満、大便かたく 、洩利(えいり:小便をもらす)、腹いたみ、 脚膝力なく 、 女子瘕聚(かじゅう:)を治す。
———————————————————
——————————————————————————————–
::::::::::::::::::::::::

  五行穴・五要穴

(経絡治療学原論 ・下巻 臨床考察(治療編)より抜粋より )

:::::::::::::::: 今日はここまで。。。。。。。。。。。。。
—————————————————————–
—————————————————————–

 主要七穴と原穴、郄穴、絡穴について。

———————–

【陰経基本7 穴】

1:太淵(兪土原母穴)
部位:経渠穴の下6分、長母指外転筋腱の内縁にあり。
取り方:手関節掌面において、手根骨の肘寄りの横紋上(骨には乗らない)で、
長母指外転筋の内縁に取る。
  • 『鍼灸重宝記』 太淵 たいえん (二穴)より。
  • 取穴: 掌の後へ陥中、魚際と寸口との問。
    灸法:灸三壮、
    針法:針一二分、留ること二呼。
    主治:
    胸痺、逆気、嘔吐、咳嗽、不寝、 目痛青く 、或は白翳(はくえい:白い影)赤筋を生じ、転筋、
    乍寒乍熱(さ寒さ熱:寒くなったり熱くなったり)し、 掌中熱し 、 缺盆の中と胸肩背臂(臂:ヒ:ひじ肩から手首までの)いたみ、 寒端、咳血、吐血、振寒、咽乾、 狂言、溺の色変り 、遺失度なきを治す。

2:太白(兪土原自穴)
部位:第1中足骨頭の後方の陥凹部、赤白肉の間にあり。
取り方:大都穴の方から第1中足骨頭を越えた後方の陥凹部で、赤白肉の間に取る。
3:大陵(兪土原子穴)
部位:手関節の掌面横紋上、長掌筋腱の尺側縁にあり。
取り方:手関節のほぼ中央、長掌筋腱の尺側縁で太淵穴と神門穴を結ぶ横紋上に取る。
4:復溜(経金母穴)
部位:太渓穴の上方2寸、アキレス腱の前縁にあり。
取り方:太渓穴の上方2寸の陥凹部で、アキレス腱の前縁に取る。
5:尺沢(合水子穴)
部位:肘窩横紋のほぼ中央、上腕二頭筋腱の上にあり。
取り方:肘関節を45度程度曲げ、上腕二頭筋腱に沿って尺部に向かって指を滑らせ、
腱が尺部に入り込んで行く上を示指で押さえ、そのまま肘を伸ばした所に取る。
6:曲泉(合水母穴)
部位:膝関節内側、膝窩横紋頭にて触れる太い筋の前縁にあり。
取り方:膝を60 度ぐらい曲げ、太い筋と骨との間に取る。そこが膝窩横紋頭で太い
筋の前縁に当る。
7:陰谷(合水自穴)
部位:膝窩横紋上のハッキリとした腱の曲泉側にあり。
取り方:膝を60 度ぐらい曲げると、膝窩横紋上にハッキリとした腱が出るので、
その腱の曲泉側に取る。膝を曲げて陰谷穴を取穴して、そのまま膝を伸ばせ
ば2 本の腱の間に当る。
—————–

病証的取穴と原穴、郄穴、絡穴

【肝経】
太衝(兪土原畏穴)
部位:第1・第2 中足骨接合部のやや前の陥凹部にあり。
取り方:第1・第2 中足骨接合部のやや前の陥凹部で、母指寄りに取る。
中封(経金剋穴)
部位:内果の前方、前脛骨筋腱付着部の内側にあり。
取り方:足関節を90 度に曲げると前脛骨筋腱が現れる。その付着部のやや手前、反
応を目当てに取る。
蠡溝(絡穴)
部位:内果尖の上方5 寸、脛骨内側面にあり。
取り方:下腿内側、内果尖の上方5 寸で、脛骨後縁より骨の巾の1/3 程度前に上が
った所に取る。
中都(郄穴)
部位:内果尖の上方7 寸、脛骨内側面にあり。
取り方:下腿内側、脛骨内側踝下縁より内果尖までを1 尺3 寸とし、その中点の上方
5 分で、脛骨後縁より骨の巾の1/3 程度前に上がった所に取る。
—————–
【心経】
神門(兪土原子穴)
部位:陰郄穴の下5 分、手関節掌面横紋の尺側端で、尺側手根屈筋腱の尺側にあり。
取り方:手関節掌面横紋の尺側端で、尺側手根屈筋腱の尺側に取る。
陰郄(郄穴)
部位:尺骨茎状突起の橈側際で、屈筋腱の尺側にあり。
取り方:尺骨茎状突起の橈側の際で、屈筋腱の尺側に取る。
通里(絡穴)
部位:陰郄穴の上方5 分にあり。
取り方:陰郄穴の上方5 分で、尺側手根屈筋腱の尺側縁に取る。
—————–
【脾経】
公孫(絡穴)
部位:太白穴の後方1 寸、赤白肉の間にあり。
取り方:太白穴の後方1 寸、母指外転筋を目安として赤白肉の間に取る。
商丘(経金子穴)
部位:内果の下、微前陥中にあり。
取り方:内果の下、微前陥凹部の下際、内果と舟状骨を結ぶ腱の前縁に取る。
三陰交
部位:内果の上方3 寸、脛骨後縁にあり。
取り方:内果尖より上方3 寸、脛骨後縁の陥凹部に取る。
地機(郄穴)
部位:脛骨内側顆の下方5 寸、脛骨後縁にあり。
取り方:下腿の内側は、脛骨内側顆縁より内果尖までを1 尺3 寸として取穴している
ので、内果上方8 寸と言う事になる、この辺りで脛骨の後縁にコリコリした
反応点を触れる、ここに取る。
陰陵泉(合水畏穴)
部位:脛骨内側顆下縁の下2 寸、脛骨内縁の陥凹部にあり。
取り方:脛骨の内側縁を指で押し上げて行くと骨の湾曲し始める所の陥凹部、ここに
取る。
—————–
【肺経】
列欠(絡穴)
部位:経渠穴の上6 分、橈骨動脈外縁にあり。
取り方:脉診をする際の尺中の部で、橈骨動脈の外縁に取る。
経渠(経金自穴)
部位:橈骨茎状突起の内側(橈骨動脈外縁)にあり。
取り方:脉診をする際の関上の部、橈骨茎状突起の一番高い所(動脈の外縁)に取る。
孔最(郄穴)
部位:尺沢穴の下方4 寸、肺経の流注上の陥凹部にあり。
取り方:尺沢穴と太淵穴を結ぶ線上で、尺沢穴の下方4 寸(前腕の長さの1/3)の
陥凹部に取る。
—————–
【腎経】
太渓(兪土原剋穴)
部位:内果とアキレス腱との間の陥中微動脈部にあり。
取り方:足関節を90 度曲げ、内果尖とアキレス腱との間の陥凹部で、微動脈を目当
てに取る。
大鍾(絡穴)
部位:太渓穴の後下方、アキレス腱付着部前縁の陥中にあり。
取り方:足関節を90 度曲げ、アキレス腱前縁を押し下げて行くと踵骨に突き当る、
ここに取る。
水泉(郄穴)
部位:内果尖と踵骨を結ぶ線上で、太渓穴直下の陥中にあり。
取り方:足関節を90 度曲げ、内果尖と踵骨の後端を結ぶ線と、太溪穴より垂直に下
りる線の交点で、踵骨の上に取る。
—————–
【心包経】
内関(絡穴)
部位:大陵穴の上方2 寸、長掌筋腱の尺側にあり。
取り方:下橈尺関節の上縁、長掌筋腱の尺側縁を上方より押し下げてくると関節部に
突きあたる。その陥凹部を目当てに取る。
郄門(郄穴)
部位:大陵穴の上方5 寸にあり。
取り方:前腕前面、大陵穴と曲沢穴を結んだ線上で、大陵穴の上方5 寸に取る。
—————————————————————–
—————————————————————–

参考文献

経絡治療学原論(上巻)-経絡治療臨床講座- 基礎・診断篇
著者:福島弘道 8,000円 送料500円 東洋はり医学会発行
経絡治療学原論(下巻)-経絡治療臨床講座- 治療篇 東洋はり医学会発行
著者:福島弘道 7,000円 送料500円
経絡治療要網(第5版) 東洋はり医学会発行
著者:福島弘道 7,000円(英語版12,000円)送料500円
難経の臨床考察 東洋はり医学会発行
著者:福島弘道 上製本5,000円 送料400円(4冊以上送料無料)
解説 杉山流三部書 全(復刻版) 東洋はり医学会広報部発行
A5判200頁 3,000円 送料400円(4冊以上送料無料)

経絡治療学原論 上・下巻 臨床考察(治療編) 著者: 柳下登志夫 価格:

「わかりやすい経絡治療(第4版)」著者:福島弘道  5,000円 東洋はり医学会発行

「経絡治療講話 」 著者:本間祥白 \2,625(税込)
「難経の研究 」  著者:本間祥白  校閲:井上恵理  \3,990(税込)
「解説 鍼灸重宝記 」著者:本郷正豊 小野文恵 東洋医学 \3360
「脉法手引草 」  著者:山延年  校閲:岡部素道  \1,575  医道の日本社発行
「南北経験醫法大成による「病証論」」 井上恵理先生 定価3500円 東洋はり医学会発行
—————————————————————–
—————————————————————–

::::::::::::::::::::::::::::

鍼灸師の先生方の、ご意見・間違いの指摘・などを、当院へお送りくだされば幸いです。

店舗案内&お問い合わせコーナーをご利用ください。

☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°

ゆっくり堂 鍼灸院

☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°

                           経絡鍼灸 教科書 トップコーナ へ

ヘッダー トップページ お問い合わせ サイトマップ 地図