難経二難
ゆっくり堂の『難経ポイント』 第二難 ank02
※ 二難のポイント其の一は、
二難は尺寸の脉診(診察)で、陰陽の脉状を知る要の理論が展開されています。
※ 二難のポイント其の二は、
脉位の幅は「一寸九分」であり、この尺寸の幅で険脉を行う事を規定しています。
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難経 第二難 原文
(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。
二難曰.
脉有尺寸.何謂也.
然.尺寸者.脉之大要會也.
從關至尺.是尺内陰之所治也.
從關至魚際.是寸口内陽之所治也.
故分寸爲尺.分尺爲寸.
故陰得尺内一寸.得陽寸内九分.
尺寸終始一寸九分.故曰尺寸也
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二難の訓読
(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(418号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、 山口一誠の考察文にて構成しました。)
二の難に曰く.
脉に尺寸有りとは.何の謂(いい)ぞや。
然(しか)るなり。
尺寸は脉の大要会(だいようえ)也り。
関より尺に至って、是(これ)尺の内、陰の治(おさ)まる所也り。
関より魚際に至って、是寸口の内、陽の治(おさ)まる所也り。
故(ゆえ)に寸を分かち尺となし、尺を分かちて寸となす。
故に陰は尺内一寸を得、陽は寸内九分を得る。
尺寸終始一寸九分、故に尺寸と曰う也り。
詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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二難の解説
(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(418号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、 山口一誠の考察文にて構成しました。)
二難の解説をします。
脉に尺寸と言う診方があるが、これについて説明しなさい。
お答えします。
尺寸の脉診・診断法は、陰陽の脉状を知る要の理論である 。
関の中ほどから尺の脉部の位置が、陰の脉診・診察が出来る所である。
関の中ほどから魚際(第一指掌骨基底)寸の脉部の位置が、陽の脉診・診察が出来る所である。
だから二難においては、寸尺二つに脉を分け陰陽を診る。
陰陽の脉部を厳密に分けると、陰の幅は尺の一寸で、陽の幅は寸の九分である。
脉位の幅は一寸九分であり、この尺寸の幅で険脈を行う事。
詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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二難の詳細解説
(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(418号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、 山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。
山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。
〔原文〕二難曰.
〔訓読〕二難に曰く。
〔解説〕二難の解説をします。
〔原文〕脉有尺寸.何謂也.
〔訓読〕脉に尺寸有りとは.何の謂(いい)ぞや。
〔解説〕脉に尺寸と言う診方があるが、これについて説明しなさい。
〔井上恵理先生の難経解説からの考察〕
二難も脉診の診断法に於ける一つの定義、「尺寸と言う」法則です。
一難では「寸口」の定義、法則を展開しています。
ここで言う寸口とは、六部定位診(ろくぶじょういしん)のことで、
左右の手の太陰肺経の寸(すん)・関(かん)・尺(しゃく)の脉診部の動脈を言います。
二難の「尺寸」の定義法則の概要について。
尺は陰の部を規定します。
寸は陽の部を規定します。
関を中心にして、関から前を寸と言い。
関から後ろを尺と言います。これを前後陰陽と言います。
※ 二難のポイント其の一は、
二難は尺寸の脉診(診察)で、陰陽の脉状を知る要の理論が展開されています。
注意:二難においては五行論は考えていません。
〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。
〔原文〕尺寸者.脉之大要會也
〔訓読〕尺寸は脉の大要会(だいようえ)也り。
〔解説〕尺寸の脉診・診断法は、陰陽の脉状を知る要の理論である 。
〔井上恵理先生の難経解説からの考察〕
経絡鍼灸・東洋医学の原則では、陰陽は全ての基本である。
「脉の大要会」と言うのは、脉診による診察法により患者の生死吉凶を知るために尺寸脉位を診て陰陽の脉状が判らなくてはならない要の理論でると言う事です。
難経に於いて陰陽の法則はこの他にもあります。
例えば、「前後の陰陽」「内外の陰陽」「浮沈の陰陽」などです。
〔原文〕從關至尺.是尺内陰之所治也.
〔訓読〕関より尺に至って、是(これ)尺の内、陰の治(おさ)まる所也り。
〔解説〕関の中ほどから尺の脉部の位置が、陰の脉診・診察が出来る所である。
〔原文〕從關至魚際.是寸口内陽之所治也.
〔訓読〕関より魚際に至って、是寸口の内、陽の治(おさ)まる所也り。
〔解説〕関の中ほどから魚際(第一指掌骨基底)寸の脉部の位置が、陽の脉診・診察が出来る所である。
〔解説補足〕
「魚際」と言うのは第一指掌骨基底のことで、ここの骨を母指球と言いこれが魚の腹の様な恰好をしているので魚の腹の際と言う意味で「魚際」と命名した訳です。
〔原文〕故分寸爲尺.分尺爲寸.
〔訓読〕故(ゆえ)に寸を分かち尺となし、尺を分かちて寸となす。
〔解説〕だから二難においては、寸尺二つに脉を分け陰陽を診る。
〔原文〕故陰得尺内一寸.得陽寸内九分.
〔訓読〕故に陰は尺内一寸を得、陽は寸内九分を得る。
〔解説〕陰陽の脉部を厳密に分けると、陰の幅は尺の一寸で、陽の幅は寸の九分である。
〔解説補足図:二難、尺寸脉位・陰陽図 ank021を参照されたし。〕
〔解説補足図:二難、陰尺一寸・陽寸九分の図表 ank022を参照されたし。〕
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〔原文〕尺寸終始一寸九分.故曰尺寸也
〔訓読〕尺寸終始一寸九分、故に尺寸と曰う也り。
〔解説〕脉位の幅は一寸九分であり、この尺寸の幅で険脈を行う事。
〔解説補足1.〕
脉を取る位置は、たとえ脈が長く出ていても、一寸九分の内で診る事。
〔解説補足1.〕
一難においては「寸口の脉」で総ての体の調子を診ることが出来るという法則を立てている。
二難においてはその「脉の位置」は一寸九分と言う分寸の中に在るんだという事を規定している。
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参考図表文書コーナー
※ 寸間尺の正式な名称は、寸口、関上、尺中と言います。
※ 「一寸九分」を寸間尺に分ける場合の寸法ついて。
寸:六分、間:六分、尺:七部、として合計で「一寸九分」である。
※ 「脉位一寸九分」の位置について。
1、肘関節横紋から腕関節の第一指掌骨基底までの間を一尺として。
2、これを10等分して前から2寸を取る。
3、そしてその2寸の20分の1、すなわち一分を第一指掌骨基底の所から除いた
「一寸九分」の位置が脈診をする脉位である。
※ 陰陽の脉部を厳密に分けると、陰の幅は尺の一寸言い、陽は寸の九分です。
※ 難経では「一寸九分」の呼び名に論の展開により名称が違てきます。
1、二難では「尺寸」と呼び、陰陽の脈診を展開しています。
2、脉の全部を「寸口」と言う場合もあり。
3、寸間尺に分けた時の「寸口」と言う場合もあり。
この様に三つの分け方があるので各論の趣旨を捉え文章の前後を考えて使い分けします。
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