五難

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難経五難

    ank05

 『難経ポイント』 第五難

※ 五難のポイント其の一は、寸関尺を押さえる重さ・深さの比較です。

※ 五難のポイント其の二は、中脉を診れる鍼灸師になる最初の一歩になります。

難経 第五難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

五難曰.
脉有輕重.何謂也.
然.初持脉.如三菽之重.與皮毛相得者.肺部也.
如六菽之重.與血脉相得者.心部也.
如九菽之重.與肌肉相得者.脾部也.
如十二菽之重.與筋平者.肝部也.
按之至骨.擧指來疾者.腎部也.
故曰輕重.

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五難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(420号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

 

五の難に曰く、

脉に軽重ありとは何んの謂ぞや。

然なり、初めて脉を持するに三菽(しゅく)の重さの如く皮毛と相得るものは肺の部なり。

六菽の重さの如ごとく血脉と相得るものは心の部なり。

九菽の重さの如ごとく肌肉と相得るものは脾の部なり。

十二菽の重さの如ごとく筋(きん)と平らかなるものは肝の部なり。

之を按じて骨に至れば来(きた)ること疾きものは腎の部なり。

故に軽重と言うなり。

 

※ 詳しくは、各先生の文献を参照されたし。
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五難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(420号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

五難の解説をします。

脉の軽重とはどう言う事か?
寸関尺と言う脉を診る場合に、指を押さえるのにどの位の重さで押さえたら良いのかと言う事を問うています。  寸関尺を押さえる重さ・深さの比較です。

右手寸口、肺の部の脉を診る時の、指の重さは、豆三粒の重さで、皮毛のように皮膚にチョッと触った程度で良いと。

血脉は心が主ると言うので心の部・左手の寸口は肺の倍の重さの六菽になります。

脾の部は九菽の重さになる。これは右手の関上の脾の部で、肺の三倍(九菽)になります。

寒は十二菽の重さと言うから、左手寸口心の部(六菽)の倍になります。

腎の部〔左手尺中〕は押して骨に至る迄というのですから、相当深く押せばいいと言う事です。

この様に五臓には脉の深浅によって脉位を定める方法もある。
詳しくは各先生の文献を参照されたし。

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五難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(420号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕五難曰.
〔訓読〕五難に曰く。
〔解説〕五難の解説をします。

原文:脉有輕重.何謂也.
訓読:脉に軽重ありとは何んの謂ぞや。
解説:脉の軽重とはどう言う事か。
寸関尺と言う脉を診る場合に、
指を押さえるのにどの位の重さで押さえたら良いのかと言う事を問うています。
寸関尺を押さえる重さ・深さの比較ですね。

原文:然.初持脉 如三菽之重.與皮毛相得者.肺部也.
訓読:然なり、初めて脉を持するに三菽(しゅく)の重さの如く皮毛と相得るものは肺の部なり。
解説:〔右手寸口、肺の部の脉を診る時の、指の重さは、豆三粒の重さで、
皮毛のように皮膚にチョッと触った程度で良いと。〕

※ 豆一粒の重さを一菽(しゅく)といいが、この豆が、どの様な豆なのかは判らないけど。

原文:如六菽之重.與血脉相得者.心部也.
訓読:六菽の重さの如ごとく血脉と相得るものは心の部なり。
解説:血脉は心が主ると言うので心の部・左手の寸口は肺の倍の重さの六菽になります。

原文:如九菽之重.與肌肉相得者.脾部也.
訓読:九菽の重さの如ごとく肌肉と相得るものは脾の部なり。
解説:脾の部は九菽の重さになる。
これは右手の関上の脾の部で、肺の三倍(九菽)になります。

原文:如十二菽之重.與筋平者.肝部也.
訓読:十二菽の重さの如ごとく筋(きん)と平らかなるものは肝の部なり。
解説:寒は十二菽の重さと言うから、左手寸口心の部(六菽)の倍になります。
〔ちなみに肝は左手関上の部です。〕

原文:按之至骨.擧指來疾者.腎部也.
訓読:之を按じて骨に至れば来(きた)ること疾きものは腎の部なり。
解説:腎の部〔左手尺中〕は押して骨に至る迄というのですから、
相当深く押せばいいと言う事です。

原文:故曰輕重.
訓読:故に軽重と言うなり。(本間祥白先生の訳文。解説より。)
解説:この様に五臓には脉の深浅によって脉位を定める方法もある。

 

※ (本間祥白先生の五難の早見表から。)

右手:寸口肺(三菽)・関上脾(九菽)    ・尺中心包

左手:寸口(六菽)    ・関上肝(十二菽)・尺中腎(十五菽・骨)

 

※ 中脉(ちゅうみゃく)について。

(井上恵理先生の講演より。山口一誠の考察文章含む)

脉を取るのに色々な教え方があると思いますが、私はいつもこうゆう診方をしています。

中脉というのがあります。

浮と沈の間にある中脉。

この中脉は六部ともに「胃の気」を診る。

寸口・関上・尺中それぞれの所に中脉がある訳です。

この胃の気・衛気(えき)の脉ですが、 身体と言うのは生まれてから後は食物に よって栄養されています。
栄養されていると言う事は五臓全ては 「胃の気」の支配を受けていると言う事なんです。
その胃の気が、肝経、心経、脾経、肺経、腎経、などの全ての経絡に旨く回っているかどうかと言う事を区別するのが「胃の気」を診る事なのです。

中脉の取り方は、上から脉を押さえてまず三部の脉が全部揃っている所がある筈です。

ここが、中脉になります。

そして、そこから沈めた所が陰脉で、浮かした所が陽脉です。

 

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