腹診

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   腹診

                           小項目 番号 b204

腹診には望診と切診があります。 このコーナーではそれらを総合的に述べます。

1、腹診の診所(診察場所) 図ー1

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肝の診所は臍の左下、側腹部、胆経の帯脉穴 より居リョウ穴までの部 。
心の診所は中カン穴の少し上より、鳩尾穴にいたる部。
脾の診所は臍を中心にその下一寸の陰交穴より中カン穴の部。
肺の診所は右肋骨弓(季肋)下の日月穴、腹哀穴 より、臍の右側に及んでやや斜めの位置。(左の肺の比較も診断のポイントになります。)
腎の診所は陰交穴より恥骨上際に至る部。

2、腹診の診所(診察場所) 図ー2

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大腹:肋骨弓(季肋)下から臍に至る部の範囲。
(肺・心・脾の経絡変動を診る)また、中焦と言い営衛の生成(消化吸収)に関係する。
小腹:臍から下、恥骨上際に至る部の範囲。
(腎・肝の経絡変動を診る)また、下焦と言い排泄に関係する。
側腹部:脇の下から股関節に至る部の範囲。
3、腹診の診所を特定するツボ(穴)について。

ツボ(穴)の名前  場所(取穴)   (特徴)        所属経絡

日月穴   期門穴の直下5分に取る.  (胆経の募穴)       第⑪ルート.足の少陽胆経
帯脈穴   章門穴の下1寸8部で、臍と同じ高さの水平線上に取る.第⑪ルート.足の少陽胆経
居リョウ穴  維道穴から環跳穴に向かい下3寸に取る.         第⑪ルート.足の少陽胆経
期門穴   第9肋軟骨付着部の下際に取る (肝経の募穴)      第12ルート:足の厥陰肝経
腹哀穴   大横穴の上3寸、建里穴の外3寸5分に取る.        第4ルート足の太陰脾経
陰交穴   神闕穴の下1寸に取る.                        任脈
中カン穴  神闕穴の上4寸に取る. (胃経の墓穴・腑会)            任脈
鳩尾穴   胸骨体下端の下1寸、神闕穴の上7寸に取る.(任脈の絡穴)  任脈

4、腹診における望診のポイントについて。

皮膚の色の生気を診ます。(虚実の判定)
皮膚の艶・光沢・病的変化、五色(生色、死色)の分別が重要です。
これは、病気の軽重(虚実の判定)の判定になります。
また、
傷、手術痕、白い斑。 粉をふいた部位。 赤い斑点。 シミ。 ホクロ。大きいホクロの際。
シワの先端。 シワの交点。 毛穴、毛並み、毛の立つ方向、体毛のない部位。
などをも診ます 。
特に、 肺の診所は左右の肺の比較も診断のポイントになります。
また、
臍の型の診方として、
丸臍型は正気得る型。横臍型は正気虚損。立臍型は正気溢し邪気に変わる型と診ます。

参考:五行の色体表 コーナーへ。

5、腹診における切診。

ここでは、腹診全体を述べますので、望診と切診を総合的に述べます。

6、腹診の診察の方法。

① 患者を診台上に仰臥位(仰向け)させ、腹部を緩やかにし、その両手は軽く両側に置かせ、
心身を平静に保たせ、両足を自然に伸ばした状態で診察うけてもらいます。

② 診者は患者の左側に位置します。

③ 診察の手順、
まず、腹部の望診をします。
その後、左手の指腹にて極めて軽く静かに切診(触診)します。
これは、各診所の気の虚実を触察する為です。
切診(触診)の順番は大腹、肺、心、脾、小腹、肝、腎の診所です。

④ 切診(触診)のポイント:大腹と小腹を比較し、各経絡の配当診所につき虚実を診ます。
「虚の証」はその診所がやや落ち込んで力なく、艶なく、潤いを失い、
又は、陥下・冷え・皮膚のざらつき・力なく軟弱・フワフワしている等です。
「実の証」はやや盛り上って力があり、圧ば跳ね上がるが如くにして痛みを訴えます。
又は、硬さ・突っ張り感・按じての不快感や痛み・滑りがいい所・等です。

7、正常な腹部について。

腹診を正確に行うためには、正常な腹部についての理解が必要です。
それは、胸部はその肋骨が滑らかな皮膚と筋肉にて緩やかにおおわれ、呼吸と動悸が静かで和緩を帯び、その胸郭は正しく発育して、胸骨剣尖(鳩尾穴)より季肋部に向かって肋骨弓が正しく発育し(ほぼ90度)、大腹、小腹は虚実・寒温に偏らず潤沢です。
また、臍は型整い丸く小さく締まるものを平人無病の腹と言い正常な腹部と判断します。

8、大腹、小腹について。

腹部全体が固く実して、例えるなら、太鼓の皮を押すようなものは実症です。
その極端なものを張満と言い「脾胃の変動」と診ます。
大腹力なく、小腹張り満るものを「上虚下実」と言います。
反対に大腹、張り満ち、小腹力なきは「下虚上実」の腹部と診ます。
大腹、小腹とも陥下し古綿に触れるものは虚腹・軟弱とみて「脾腎の虚」です。
側腹部を押して著しく陥下するのは、「肝気の虚」にして、にわかに中風を起こす場合あり。

9、動悸(拍動)について。

① 虚里の動について。
左乳下部において診ます。心尖泊動のことです。
これは、有るが如く無きが如く静かに触れるものを 良候とします。
動悸激しく衣服の上よりも見える如きは悪候です。
その部を軽く按じて激しく触れるものは「気虚の候」です。
このような虚里の動、激しきものは心・肺に急激な病を起こす徴候です。

② 腎間の動悸について。
臍下丹田(腎の診所)の部に静かに手を当てその動悸を観察し、
緩やかにして正しく摶動し和緩を帯びるものを良候と診ます。
また、この部の生気の有無、肌肉の弾力を診て総合的に判断します。
古典に曰く「難経八難」には寸口脉平にして腎間の動悸絶するは死。とあります。
これは、慢性病を長期に患っている患者に診られます。

③ 陰虚火動の動悸について。
小腹より動悸せわしく、大腹に攻め上がり息づかい荒きものは「陰虚火動」の症状です。
これは、脾・腎の虚にして救い難き悪候です。

④ 病邪憎悪の動悸について。
各臓器の診所において、手を跳ね上げる如き動悸を触れるものは病邪憎悪の悪候です。

 

10、脉証腹証一貫性について。

脉証腹証一貫性のルールは経絡鍼灸の要の一つです。

経絡鍼灸においては、四診で得られた情報を元に診断(証を決定)し治療(鍼灸の施術)をします。

脉証腹証一貫性とは診断と治療が同時に行われるシステムです。

① 脉証腹証一貫性の意味、その1。「脉診と腹診の同一性」
脉診における診断と腹診における診断とが一致している時は、患者の病気が治りやすい条件になります。それぞれの診断が別になる時は難治性の病気です。

② 脉証腹証一貫性の意味、その2。 「治療後即診断」
経絡鍼灸の施術おいては、例えば、一箇所のツボ(穴)に鍼を施術したならば、その後すぐにその施術の良否を検証判断できます。
その検証の部位が脉診部と腹診の診所(診察場所)です。
正しい良い施術を行えたら、脉が整い、正常な腹部に変化して行きます。

これが、脉証腹証一貫性の意味です。

 

11、難経 第十六難 より。現代腹診の参考として。

分別
病症
肝病 心病 脾病 肺病 腎病
  腹診(内証)  臍の左側
肝の診所に
動悸あり
按じて硬く
若しくは痛む
 臍の上
心下部
心の診所に
動悸あり
按じて硬く
若しくは痛む
 臍の部位に
当たって
動悸あり
按じて硬く
若しくは痛む
  臍の右側
肺の診所に
動悸あり
按じて硬く
若しくは痛む
 臍下
腎の診所に
動悸あり
按じて硬く
若しくは痛む
 脉状  弦脉(げん)  洪脉(こう)  緩脉(かん) 毛脉 石脉
 顔面
(外証)
 清潔で
顔色が青い
 顔が赤い  顔が黄ばむ  顔色が白く  顔色が 黒ずむ
 五志  怒る  口乾き
(心熱病)
笑うを好む
 噫(おくび:ゲップ)
思い悩み
食欲旺盛
 嚏(くさめ)が出る
悲しみ愁い
哭(こく)すと欲す
 恐れ
欠伸す
 病状  手足の浮腫
小便不利
小便がたらたら出たり止まったり・・
腓腹筋痙攣
(こむら返り)
 煩心(胸いきれ)
心下部痛
掌中熱ス
(手の平が熱い)
啘(わ)す。からえずき
 お腹が張って
消化が悪い
身体が重く
だるい。
関節が痛む
臥するを好み
手足が、挙らない
 咳嗽
(がいそう)し
洒淅として
寒熱す
:
咳が出て
寒気がし身体が
ゾクゾクして
悪寒と発熱が
かわるがわる来る症状
 逆気し
小腹急痛
下痢して
その後
裏急後重
足脛冷え
頭が熱する

注意:
各病を決定する時、脉状と腹診が一致し他の病状も出ている時にのみ、
その「分別病症」と断定できる。

一致しないときは別の病症を考えること。   難経 第十六難 より。

用語の説明。

外証(病が身の外にあり、症が外表「顔面」に表れる。)
内証(病が身の内にあり、症が腹内「腹診」に表れる。)

洒淅(ぞうぞう・しゃあしゃあとして、寒気がするさま)

裏急後重(りきゅうこうじゅう)
裏急とは「お尻」のことです。後重とは「後ろに重くなる」のことです。
つまり、大便が出そうなのでトイレに入りますが、大便は出ません。
が・・トイレを出ると、また、便意があります。この繰り返しの症状です。

————

2011年4月22日 自己診断の書き込み方法について。

メモの余白に・・・記入します。

① 現在の主訴を一つ記入します。

② 副訴を記入します。 幾つ書いてもいいです。

③ 腹診図に症状を書き込んでください。
( 例: 冷え ・ 肌のザラツキ・ 肌の湿り感 )など。

④ 臍(ヘそ)型を書き込んで、径・長さをミリ単位で記入の事。
( 例: 丸型・ 横型 ・立型 ) など。

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- 参考図書 -

著者:柳下登志夫先生「経絡治療学原論上巻臨床考察‐基礎・診断編」より、

【 】( )は山口一誠の考察文です。

柳下登志夫先生の「腹診」臨床考察

頁:28・平成14年2月 収録から、

【 四診のポイント:患者が来院したら、その人本来の元気で健康な姿をイメージする。】

診断は望・聞・問・切から順を追って、あるいは慣れてくると同時に進められる。

この時、治療家はまず『平人』をシッカリと心に描き、

目の前にいる患者のどこが異なっているかを知ることから始まる。

頁:37・平成14年4月 収録

臍の上部に手掌程度の大きさの冷たい場所があったとする。
これは身体の外側、陽の部が虚し、内側の陰の部が実していることを示しており、
大腹の部が小腹より虚して、陰陽の釣り合いが乱れている事を示している。
この際、術者は鍼灸を持ちてこの不調和を調整しようと図っても、直ちには解消できない。
術者は最初から治療回数を重ねてことに当たることに決め、患者の納得を得てこれを進めるようにする。
従って、治療後も腹部の陰陽は調わないまま治療を打ち切る事もあり、
陰陽の調和は即座に図れるものと長期に渡るものがある事を知らなければ成らない。

頁:81・平成15年6月 収録

【腹診:臍下丹田付近の虚実を確実に察知する事から始めるのが良い。】

腎間の動気については少し誤解されている向きがあるが、
臍下丹田に動気をハッキリ感じ取れるか、また微かにしか感じられない、或いは全く感じられない様な患者もいる。
しかしその辺りが正常ならば良く、先ずは丹田付近の虚実を確実に察知する事から始めるのが良い。

頁:82・平成15年6月 収録

【腹診:触診::胃の腑の触診:任脉経上に硬い紐の様な索条物を触れる。】

しかし診断治療の場ではしばしば鳩尾穴上脘穴あるいは下脘穴にかけて、
任脉経上に硬い紐の様な索条物を触れる。

頁:157・平成17年7月 収録

腹診

〔東洋はり医学会が腹診術を〕確立するに参考にした文献:
原論313より引用、腹証脉証一貫性・難経十六難また杉山流三部書、医学節用集の「腹の見様の事」

【腹診の手順:①先ず腹部の浅いところよりこれを伺う。②しかる後軽く押して深部の穴を診する。】

腹診で注意すべき点は、先ず腹部を軽く診する事で、我々は気の動きを知るひとつの方法として腹診を行うのであるから、先ず腹部の浅いところよりこれを伺わなければならない。

しかる後、軽く押して深部の穴を診するという手順を踏んで、腹証の診察を進める。

【 脉所見と腹部診、動悸、圧通の変動部位の診方:脉診・腹診・・難経 第十六難より。】

難経 第十六難には、

〔・・肝脉を得ては〕・・・其のは内証は臍の左側に動悸あり、之を按ずれば牢くして、もしくは痛む。・・
これあるものは肝なり、是なきものは非なり。

心脉を得ては・・・其のは内証は臍の上に動悸あり、之を按ずれば牢くして、あるいは痛む。・・
これあるものは心なり、是なきものは非なり。

脾脉を得ては・・・其のは内証は臍に当たって動悸あり、之を按ずれば牢くして、若しくは痛む。・
これあるものは脾なり、是なきものは非なり。

肺脉を得ては・・・其のは内証は臍の右側に動悸あって、之を按ずれば牢くして、もしくは痛む。・・
これあるものは肺なり、是なきものは非なり。

腎脉を得ては・・・其のは内証は臍下に動悸あって、之を按ずれば牢くして、もしくは痛む。・・
これあるものは腎なり、是なきものは非なり。

また杉山流三部書、医学節用集の「腹の見様の事」の項には・・

五臓各々主るところ腹を以って是を定るに、
臍を中心にして其のところを定るが故に、
臍の左に肝の臓の主り、
臍の上は心の臓の主り、
臍の下は腎の臓の主り、
臍の中央は脾の主り、
故に、臍の右は肺の臓の主り、
臍の左、恒に動悸ありて是を按ぜば塊あるものは肝の臓に邪気ありと知るべし・・

【 脉証腹証の一貫性は東洋はり医学会の宝である。】

【 ビールひもは現代病の治療のバロメーター】

・経絡腹証の部位

部位は基本的な位置に注目し、これにあまり当てはまらないのではないかと思われる腹に対しても、一応診察の参考にする。
治療回数を勧めて行くと、正常に近くなるものもある事は自然の働きの妙であろう。
虚実の判定については、現在少しずつ変化しているものもある。
例えば脾土経は生活環境の変化により経絡変動の仕方が変わりつつある。
脾土経の実証・邪実が多くなり、腹証もこれに応じて半世紀・四半世紀の間に変わった。
例を挙げると、鳩尾穴から下へ向かって現れる硬い帯状の塊の変化は、診察して病の在り方や治療の良否に深い関係を持っている。

【 腹診の方法。手順:先ず腹部の浅いところこれを伺う。しかる後、軽く押し深部の穴を診する。】

腹診で注意すべき点は、
先ず腹部を軽く診する事で、我々は気の動きを知る一つの方法として復診を行うのであるから先ず腹部の浅いところよりこれを伺わなければならない。
しかる後、軽く押し深部の穴を診するという手順を踏んで腹証の診察を進める。

頁:163・平成17年10月 収録

〔 正常な腹部について。〕 (要綱p101・原論上巻p319)

腹診を正確に行うためには、正常な腹部についての理解が必要です。
それは、胸部はその肋骨が滑らかな皮膚と筋肉にて緩やかにおおわれ、
呼吸と動悸が静かで和緩を帯び、その胸郭は正しく発育して、胸骨剣尖(鳩尾穴)より季肋部に向かって肋骨弓が正しく発育し(ほぼ90度)、
大腹、小腹は虚実・寒温に偏らず潤沢です。
また、臍は型整い丸く小さく締まるものを平人無病の腹と言い正常な腹部と判断します。

〔 大腹、小腹について。〕 (要綱p101・原論上巻p319)

腹部全体が固く実して、例えるなら、太鼓の皮を押すようなものは実症です。
その極端なものを張満と言い「脾胃の変動」と診ます。
大腹力なく、小腹張り満るものを「上虚下実」と言い「脾・肺の虚」と、診ます。
反対に大腹充実し、小腹軟弱は「上実下虚」の腹部と診て「腎・肝の虚」を本証とする。(原論上巻p320)
大腹、小腹とも陥下し古綿に触れるものは船底型の虚腹・軟弱とみて「脾腎の虚」です。
側腹部を押して著しく陥下するのは、「肝気の虚」にして、にわかに中風を起こす場合あり。

〔① 虚里の動〕 (要綱p102・原論上巻p320)

左乳下部において診ます。心尖泊動のことです。
これは、有るが如く無きが如く静かに触れるものを 良候とします。
動悸激しく衣服の上よりも見える如きは悪候です。
その部を軽く按じて激しく触れるものは「気虚の候」です。
重く按じて根のあるものは「血虚の候」であり、
このような虚里の動、激しきものは心・肺に急激な病を起こす徴候です。

虚里の動 (柳下臨床考察:46頁:164)【誤治反応:心臓に影響。】

これの激しく不安定の患者には、十分に注意が必要である。
刺鍼して、直ちに六部定位にその影響「脉状診や比較脉診」に現れるということは、
刺鍼が即循環器系に特に心臓に影響を及ぼしている証拠とみなすべきである。
治療過誤は患者の生涯を通してその影響を投げかけ、術者の信用を落とす。
慎重な上にも慎重に、そして現代医療の威力に対しても、術者は信頼を置くべきである。
自分の実力に不安を感じる際には、患者に病院に行くよう勧める。
この様な行為は術者に対する信頼を失うより、患者から好意的に受け止められる筈である。
鍼灸術には鍼灸術としての特徴と優位性がある。それを生かせずして、また不利な点を知らずして、
この社会に生きる治療家の地位を守りぬけようか?

〔③ 陰虚火動の動悸について。〕 (要綱p102・原論上巻p320)

小腹より動悸せわしく、大腹に攻め上がり息づかい荒きものは「陰虚火動」の症状です。
これは、脾・腎の虚にして救い難き悪候です。

〔④ 病邪憎悪の動悸について。〕 (要綱p102・原論上巻p320)

各臓器の診所において、手を跳ね上げる如き動悸を触れるものは病邪憎悪の悪候です。

〔② 腎間の動悸について。〕 (要綱p102・原論上巻p320)

臍下丹田(腎の診所)の部に静かに手を当てその動悸を観察し、
緩やかにして正しく摶動し和緩を帯びるものを良候と診ます。
また、この部の生気の有無、肌肉の弾力を診て総合的に判断します。
古典に曰く「難経八難」には寸口脉平にして腎間の動悸絶するは死。とあります。
これは、慢性病を長期に患っている患者に診られます。

腎間の動悸(柳下臨床考察:46頁:165)

これを知らなければならない様な患者には、遭遇しませんように! と神仏に祈りたい。
しかしこれも一応、知識として知っておき、患者に悟られないように修練しておこう。

・臍について、(柳下臨床考察:46頁:165) 【正治と誤治:臍について、】

臍のあり様は、人の身体の形・顔型と同じといってもよいほど違う。
しかし刺鍼法によって形や大きさ等変化が現れ、それによって刺鍼の適否適正を知ることも出来る。
例えば、正気を得れば〔臍は〕まるくなる。 正気を虚損すれば〔臍は〕横長になり。
正気が漏れ邪気に変わろうとする時は縦に伸びる。
誤治によっても縦長(立臍)又は横長(横臍)を呈する。


頁:166・平成17年10月 収録

【 腹診 : 動悸 】

この項は内容を二つに分けて読む。

本文には「小腹より大腹に改め上がるが如くして、胸内を侵すが如きは脾・腎の虚にしてすくい難き悪候」

とあるが、

〔今日では〕身体もかなり充実し、患者の苦しみだけが先行している時もある、

特に今日一般に言われるストレスによって起こる場合も多く、

良く見極めて施術して薬効を上回る成績を上げたいものである。

要するtに診断力を養うところにその結果が現れる。 後半は本文に従う。

本文:「各臓器の診所に診者の手を跳ね上げる如き動悸を触れるものは、病邪増悪の悪候」である。

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詳しくは、
経絡治療学原論(上巻)臨床考察 ―基礎・診断編― をお読みください。

発刊:東洋はり医学会
http://www.toyohari.net/book.html

元東洋はり医学会会長の筆者:柳下登志夫先生が、
福島弘道著「経絡治療学原論(上巻)」をテキストとし講義した中で、
臨床上重要な箇所を抜粋したものです。
柳下登志夫著  定価3,000円 (送料400円) A5 230貢

※ 筆者柳下登志夫の60年に及ぶ治療経験、
1日100人を越える患者さんと向き合い、臨床を通して古典を再検討したものです。
時代により変わりつつある患者さんの病に十二分に対応できるバイブルとなっています。
現代に生きる経絡治療家には必携の書籍です。

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終わりに、

鍼灸師の先生方の、ご意見・間違いの指摘・などを、当院へお送りくだされば幸いです。

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