経絡鍼灸の原則コーナー
小項目 番号 a205
経絡鍼灸理論の数ある法則の中でも、
臨床上ここだけは外せないポイントとなる経絡鍼灸の原則を掲載します。
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※ 『虚実補瀉』
昔、高名な鍼灸師に講演をお願いしたところ、
時間はたっぷりと用意されていたが、
師曰(いわ)く
「鍼術の極意は『虚実補瀉』である。終わり。」と一言、話され会場を後にされたとか。
- その極意が難経七十二難に述べられています。
- ※ 七十二難のポイント其の一、
- 鍼術の「虚実補瀉」の診断と手技の法則が述べてあります。
- ※ 七十二難のポイント其の二、
- 経絡鍼灸の手技に於ける迎隨・逆順の意味について。
迎とは、鍼尖の刺入方向が経絡の流注にたいして、逆(さか)らって迎(むかえ)え刺入する事。
その経絡の実邪を奪い瀉す、瀉法の手技である。
隨とは、鍼尖の刺入方向が経絡の流注にたいして、順(したが)って隨(したが)い刺入する事。
その経絡の正気の不足、虚を補う、補法の手技である。 - ※ 七十二難のポイント其の三、
- 正しい鍼灸術は経絡の流注の迎隨の氣をとらえて、気の調整をする事にある。
気の調整の方法のポイントは、経絡の陰陽を明らかにしてそれに応じた対処する事にある。 - 詳しくは、
ゆっくり堂の『難経ポイント』第七十二難をリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/72nan/
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※ 鍼術は「気の調整」の治療技術である。
- 難経から「気の調整」の鍼術の項目を挙げてみます。
- 鍼法に関する事。 (六十九難から八十一難より)
- 前提原則①:補法とは、「気」を補う手法である。
- 前提原則②:補法とは、「経絡の正気の不足、虚」を補う手技である。
- (難経七十二難、迎隨・逆順より)
- 難経 第六十九難 「虚するものは其の母を補う」法則の意味は、
- 経絡の補法(「気」、「経絡の正気の不足、虚」を補う手法)の原則が述べられている。
虚者補其母.
六十九難の訓読
虚するものは其の母経を補い、
六十九難の解説
五行法則より循環の相生関係(ここでは母子関係)において、
子供の経が虚す時にはその母経を補法する事。
単独証の肺虚証には肺経の太淵穴(兪土原母穴)・太白穴〔肺の親:脾経、兪土原自穴〕に補法をします。
相剋調整の肺虚肝虚証には、
本証として太淵穴・太白穴に補法、副証には曲泉穴・陰谷穴に補法をします。
(2016年2月4日追記分)
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※「気」が人体に宿っているから人間は生きていられる。
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「気」が人体を離れれば生命は終わる。
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「気」は東洋医学の根源的出発点である。
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難経第八難は難経のへそ(中心)である。
- ※ あらためて難経第八難を考察して。
- ◎「気」は「命」であり「物事を意識する心」でもある。
- ◎「気針術」は患者の気に合わせる鍼の治療技術である。
全ての患者さんに対して、その本人の気を陰陽五行論で診断し即治療する。
患者の気に合わせる治療技術こそが針師が極め続ける「気針術」の道である。 - ◎その人の発言も行動も「その気」として捉える。
草木も、花も、風の流れも「自然の気」として受け入れる。
針師は人も自然も「その気」を陰陽五行で受け入れる。
難経 第八難 考察より。
※ 鍼術は身体を温(あたた)め潤(うるお)す治療技術です。
だから血行が良くなり細胞が元気になって病気が改善されます。
鍼灸は赤ちゃんの病気から高齢者の長引く病気までも改善いたします。
ゆっくり堂の鍼灸を受けると気分がゆったりして何事にも穏(おだや)かに対応できるようになり心も体も元気に成られています。
〔訓読〕
氣は之(これ)を呴(あたた)むることを主(つかさど)る。
血は之を濡(うるお)すことを主る。
〔解説〕
気は、身体を温める作用があるり、
血は、全身に水分をめぐらし潤(うるお)わせている。
〔訓読〕其れ覆溢せざれば、人の氣、内に藏府を温めて、外に腠理(そうり)を濡(うるお)す。
〔解説〕
営気が正常に循環すれば、身体の内部の五臓六腑を温め、外部では皮膚を艶よく潤(うるお)すことが出来る。
中国の東晋(とうしん)時代(西暦317年 – 420年)に編纂された鍼灸師の教科書です。
「鍼術の診察・診断・治療を81篇にまとめた実践理論書」です。
東洋医学を大事にする鍼灸師とって「難経」は必読のバイブルとされています。
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※ 上工は未病を治す
- 『未病を治す』と言う難経七十七難のテーゼは難経全体が「経絡治療体系」である事を示している。
- 難経は経絡治療の実践理論書であることの『未病を治す』神髄が述べてあります。
- 『未病を治す』と言う言葉の意味は、
- 鍼術(はりのじゅつは)相生相剋の五行理論に基ずき「経の治療」を施すことで成立している事を意味しています。
- 「未病(みびょう)を治(なお)す」とは、将来の病気を防(ふせ)ぐ予防医学のことです。
- そこにまだ病気が無くともこれから病気が来そうだと言う所も治す技術法則です。
- たとえば、肝の病状として診察したら、
- 五行論の相剋関係「木剋土」によってやがては脾胃に病気を起こすことが予想されます。
- 現在は未だ病んでいなくとも脾胃にも治療を施し肝病の影響を起さないように努めます。
- こうように、先々の治療をして新たな病を未然に防ぐことを「未病を治す」と言います。
- 虚している経絡を治療するために、
- 難経七十二難の『虚実補瀉』「経絡の正気の不足、虚」を補う補法の手技があり、
- 難経六十九難の「虚するものは其の母経を補う」原則が述べられている訳です。
※ 左手に気を感じる者が上工になれる。
- 難経七十八難のポイント、
- 左手の押手の指に気の来るを感じて、それに基準を置く鍼灸師は、鍼術の本当の妙術を行える者である。
- 補法の手技は左手の押手の指に気を感じ、気に随って鍼を押進める。
〔訓読〕
鍼をなすことを知るものは其の左を信(もち)い、 鍼をなすことを知らざるものは其の右を信う。
〔解説〕
鍼術の本当の妙術を行える者は、左手の押手の指に気の来るを感じて、それに基準を置くのである。本当の鍼術を体得できない者は只(ただ)鍼を刺すことにのみ専念し、右手の刺手だけにたよっているのである。
〔訓読〕
〔解説〕
〔訓読〕
〔解説〕
補法の刺入鍼の手技は、
気に随って、その所の硬さ・軟らかさに随って、鍼を押進める。これを補法の手技と言う。
※ 経絡鍼灸の診断
陰陽虚実による病証観察には次の法則を考慮します。
原典:黄帝内経 素問 調經論篇 第六十二 第四章之一
陽、実すれば外熱し、
陽、虚すれば外寒す。
陰、実すれば内寒し、
陰、虚すれば内熱す。
原典:黄帝内経 素問 第五 陰陽應象大論篇
陽は独立し得ず、陰を得てなる。
陰を主とし、陽はこれを随う。
などとあります。
参照HP:陰陽虚実 病証 気虚 血虚 c230
経絡鍼灸教科書HP 陰陽虚実 c103より
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陰陽の性質の一つに、
陰陽は拮抗作用もあり、陽実すれば陰虚し、陰実すれば陽虚しとなります。
参考HP:陰陽五行論 c101
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※ 経絡鍼灸の治療法
井上恵理先生の講和より、
これは素問標本論篇に書いてあります。本を治せば標は自然に治るという。
それを治療法として、
これが「本治法」であり、これが「標治法」であると区別したのは我々の年代です。
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詳しくはリンクしてご覧ください。
参考HP:経絡鍼灸の理論は日本で確立。
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2014年 9月 吉日・・ 記載HPアップしました。