陰陽虚実の病証と気虚、血虚
小項目 番号 c230
陰陽虚実による病証観察
黄帝内経 素問 調經論篇 第六十二 第四章之一.には、
陽、実すれば外熱し、
陽、虚すれば外寒す。
陰、実すれば内寒し、
陰、虚すれば内熱す。
とあり、
素問 第五 陰陽應象大論篇には、
陽は独立し得ず、陰を得てなる。
陰を主とし、陽はこれを随う。
などとあり、
これらの古典の教えと陰陽虚実を組み合わせ、
現在の鍼灸臨床から病症観察をすると、次の四つの病型が考えられます。
陽実証・陽虚証・陰実証・陰虚証。
それぞれの証の特徴と鍼灸施術の方法を述べます。
1、陽実証:
証の特徴:邪気、表陽部にあり、体力充実者、陽経に実大の脉。熱して腫れ痛む。
施術の方法:瀉法の証、陰の虚を補うこと忘れるべからず。
2、陽虚証:
陽虚証の特徴:邪気、表陽部にあり、邪気を払いのける力無し。
その病症、緩慢で微熱、自汗して疲れ易く、眠気を催し、脉は全て微弱。
施術の方法:陰より補ってから、陽分に現れる虚性の邪を補中の瀉法により処理。
時に陰陽共に補う病症もある。
3、陰実証:
陰実証の特徴:病が痼疾となって陰分を冒しているが、未だ体力あり劇症を現している。 疼痛、メマイ、頑固な下痢、動悸を伴う。脉は沈にして実、時に牢。
施術の方法:極めて慎重に瀉法。又は虚子たる所を補うか、陽経より陰陽の調和を図り内裏にある邪気を陽分に誘い出す輸瀉法を用いる。
4、陰虚証:
陰虚証の特徴:病が古く陰分を犯している。
その病症、虚熱、羸痩、胸いきれ、慢性下痢、下血等を現し、皮膚枯燥。 脉は微細、或いは細数。その最も著しいものを陰虚火動の証といい病の末期である。
施術の方法: 徹底的に補法を行なう。
気虚・血虚について。
気は陽に属し、血は陰に含まれるので、広い意味では陰陽虚実の中にあるが、
実地臨床上は独特の病証を現すので次のこれを述べます。
5、気虚 :
気虚証の特徴:多くは脾肺の虚。精神的疲れ、呼吸障害により生気を失なった。
皮膚枯燥して緩み、体力なく、脉は微弱で艶と潤いがない。悲愁して楽します、少気、耳鳴り、動悸、喘息、頭痛等の病症を伴う。
施術の方法: 細鍼、円鍼、テイ鍼にて、気を漏らさない様に補う。
6、血虚 :
血虚証の特徴:血液、体液、栄養の不足より来るもので、失血、下血、流産、及び食事不摂生に起因。筋骨緩み、脉に力なく、締りがない。多くは肝腎の虚。耳鳴り、心悸亢進、眩暈、腹痛、頭痛、便秘、全身疼痛等頑固な病症。
施術の方法: ドーゼ(治療過多)に注意して血を潤す手法を施す。
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