六七難

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  難経 第六十七難

 

ゆっくり堂の『難経ポイント』第六十七難

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※ 六十七難のポイント其の一は、募穴と兪穴の説明を述べています。

※ 六十七難のポイント其の二は、 急に病気が起こって陽症・陽病である場合には、募穴にその症が顕れるから募穴を使う。

※ 六十七難のポイント其の三は、 慢性疾患で久病と言われるもや、症状が変化しないでズルズルといつまでも治らないう場合に兪穴を使う ・

※ 難経第六十七難 臨床&エトセトラより。

○ 昔、日の当たる縁側で、祖母が近所のおばあさんたちと背中にお灸をしていたのを想い出します。
長年の農作業で疲れた身体をお互いに癒していたのでしょう。
井上恵理先生も、久病と言われる病は背や腰仙部の兪穴を使用すると効果的であると話しています。

※ 募穴の症は浅い部に顕れる。
(今年8月開催された東京鍼研世界大会、研究班での募穴診とその治療手技からも)

※ 腹診の方法には、募穴診と五臓腹診と積聚(しゃくじゅう)の腹診があります。

1、募穴診は六十七難において展開されています。

2、五臓腹診は十六難において展開されています。

十六難のポイント、
脉証腹証一貫性の法則が難経十六で展開されています。
鍼灸家の診断と治療方針についての点検の法則が難経十六に明記されている訳です。
肝心脾肺腎のそれぞれの脉状と病状と腹証から弁証診断が一致した時に正しい証が導かれると言う事ですね。
詳しくはゆっくり堂の『難経ポイント』第十六難をリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/16nan/

3、積(しゃく)と聚(じゅう)の腹診の考察(五十五難・五十六難)。

⑴ 五十五難:
腹中に積(しゃく)と聚(じゅう)と言う二つの塊が出来る事がある。
詳しくはゆっくり堂の『難経ポイント』第五十五難をリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/55nan/

⑵ 五十六難:
腹診に於ける五臓の積(しゃく)の名称、所在、形状、病症、発生についての大切な経絡理論である。
詳しくはゆっくり堂の『難経ポイント』第五十六難をリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/56nan/

難経 第六十七難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。 ・

六十七難曰.

五藏募皆在陰. 而兪在陽者.何謂也.

然.

陰病行陽. 陽病行陰. 故令募在陰.兪在陽.

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六十七難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(477号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

六十七の難に臼く、

五蔵の募は皆陰に在り、 而 (しかし)て兪は陽に在るは何んの謂ぞや。

然るなり、

陰病は陽に行き、 陽病は陰に行く。 故に募は陰に在り、 兪は陽に在らしむ。

詳しくは各先生の文献を参照されたし。

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六十七難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(477号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

六十七難の解説をします。

五蔵六府に募穴と言う要穴があるが、何れも陰の部の胸腹部にあり、兪穴は陽の部の背腰部にある。

これは如何なる意味を持っのか分かり易く説明しなさい。

お答えします。

陽病の場合は腹部に其の病の気が通じているから胸腹部の募穴が効果的である 。

例、急に病気が起こって陽症・陽病である場合には、募穴にその症が顕れるから募穴を使う。

※ 募穴の症は浅い部に顕れる。

陰性の病は背や腰仙部の兪穴を使用すると効果的である。

例、慢性疾患で久病と言われるもや、症状が変化しないでズルズルといつまでも治らないう場合に兪穴を使う。

 

詳しくは各先生の文献を参照されたし。

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六十七難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(477号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、

山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕六十七難曰.
〔訓読〕六十七の難に臼く。
〔解説〕六十七難の解説をします。

〔原文〕五藏募皆在陰.而兪在陽者.何謂也.
〔訓読〕五蔵の募(ぼ)は皆陰に在り、而 (しかし)て兪は陽に在るは何んの謂(いい)ぞや。
〔解説〕
五蔵六府に募穴と言う要穴があるが、何れも陰の部の胸腹部にあり、兪穴は陽の部の背腰部にある。
これは如何なる意味を持っのか分かり易く説明しなさい。

〔原文〕(ゼン).
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕陰病行陽.陽病行陰.故令募在陰.兪在陽.
〔訓読〕陰病は陽に行き、陽病は陰に行く。 故に募は陰に在り、兪は陽に在らしむ。
〔解説〕
陰の病は陽の部に通じ、陽の病は陰の部に通じている。
陽病の場合は腹部に其の病の気が通じているから胸腹部の募穴が効果的である
急に病気が起こって陽症・陽病である場合には、募穴にその症が顕れるから募穴を使う。
※ 募穴の症は浅い部に顕れる。

陰性の病は背や腰仙部の兪穴を効果的であると言うのである
慢性疾患で久病と言われるもや、症状が変化しないでズルズルといつまでも治らないう場合に兪穴を使う。

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 〔本間祥白先生の難経解説から〕

東洋医学の原理として、陰と陽とは常に交流しているものと見る。
従って陽の病は陰の部に通じ、陰の病は陽の部に通じている。

病位的に考察すると、陰病とは蔵病であり陰経の病である。陽病とは府病であり陽経病である。

病症的に見れば発熱、炎症等の病は陽病であり、寒性沈滞の病は陰病である。
此等の立場から見た陽病の場合は腹部に其の病の気が通じているから胸腹部の募穴が効果的であると言うのであるし、陰性の病は背や腰仙部の兪穴を効果的であると言うのである。
此れは実際上から来た理論である。
此れを吟味すると尚疑問の点がある事は後の難経考を参照されたい。

〔井上恵理先生の難経解説から〕

六十七難を臨床的に使う場合には、
募穴は陽病の顕れたものとして使う。
例として、急に病気が起こって陽症・陽病である場合には、募穴にその症が顕れるから募穴を使う。

兪穴は陰病の顕れたものとして使う。
例として、慢性疾患で久病と言われるもや、症状が変化しないでズルズルといつまでも治らないう場合に兪穴を使う。
そして、
病が陰(蔵病や胸腹部)にあっても陽病を治すのが募穴であり、
病が陽(腑病や背腰仙部)にあっても陰病を治すのが兪穴です。

疾患をお灸で治している人は殆ど兪穴を使っていますね。
お腹の募穴は急病を治す事が出来る。。だからお灸には向かないから余りお灸は使わない。
鍼の方が多く使 われる。 こう言う事が言えると思 います。

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