いぼ痔 ti022

 

いぼ痔

 ゆっくり堂鍼灸院の病気の改善例(22)

                       鍼灸治療例 小項目 番号 ti022

治療例 (22): いぼ痔

患者様プロフィール: 女性57歳

来院年月: 20xx年4月

 

一番改善したい病状の特徴と経過:

イボ痔の痛み。
イボ痔の形状は、母指大のイボ痔が肛門部より突き出ています。色は赤黒色です。
夕方になると肛門部が痛みだし、不快感に襲われ仕事にも支障がでます。
昔から、この様なイボ痔の状態をくり返していますが、1週間ぐらいで治っていました。
だが今回は、この状態が一年以上続いています。
外科手術はしたくないので、鍼灸で何とかなるのではと思い来院されました。

 2番目に改善したい症状は、

頭重。首のコリ・肩コリ、飲食の時に上はぐきが痛みです。

 

過去の病歴:

8年前に狭心症を発症。動脈硬化もあり、ワーファリンを現在も服用中。
3年前から上はぐきが痛み前歯で食物をかむ事ができません。 奥歯では噛めますが、丸呑みになる場合が多いそうです。
2年前に車の運転中、後方よりトラックに追突されてムチ打症になりました。

 

漢方診断と施術内容:

触診から、

首、肩全体に冷や汗をかいています。
左の肩に硬いシコリがあります。
臍より上の大腹は大きくせり出し、充実し、色は白く、うっすらと汗が出ています。
臍より下の小腹は陥下し赤黒い色で軟弱な腹部に見えます。
左中都穴辺りに細絡があります。左足の内果に内出血があります。
手は冷たく汗ばんでいます。足先は温かいです。

主訴のイボ痔の痛みの改善が一番なので、
患部の「いぼ痔」の処置として、
長強穴にステンレス鍼2寸-5番にて菅鍼法の手法で5センチほど刺入、置鍼を施します。

主訴の症状と触診から、肺の変動とみて、
ここが、病気の根本解決の中心になりますので、本治法で気の調整の処置をします。

治療の予測

主訴の「イボ痔」は慢性に経過していますし、
既往歴の心蔵疾患や動脈硬化を考えますと長期の経絡鍼灸が必要な患者さんです。

治療の経過:

治療4回目:頭重と首肩コリは改善しました。
手、腹部、首肩全体の冷や汗も引っ込んで改善しています。

治療6回目:長強穴の処置で改善効果が出て来ました。
鍼の手技は患者に側臥位で両手で片足を抱えてもらい、
長強穴に10分ほど置鍼します。
押手、刺手を軽く支えていると、鍼尖と鍼体に温かい充実感を感じました。

時間の経過と共に、イボ痔が縮小し始め、終わりには、小指のツメほどの大きさに変化しています。
また、患部の色も黒色から灰色に変化しましたので、ここを限度にしてゆっくりと抜鍼しました。

治療を終えて、

患者様からは、1年余り症状が改善しなかったのがここまで良くなったので、満足しているとのこと。

使用したツボ

本治法: 左太淵、左太白、

標治法: 長強穴、皮膚の虚実の気を調える水平鍼を全身に施す。 衝脉:右公孫→右内関

治療経過のまとめ :

治療結果として、イボ痔が小指のツメほどになり、軟らかくなり、肛門部の痛みもなくなり、気力もとぎれないこと。
患者様からは、治療に対する満足感も話され、鍼灸に対する信頼も生まれたと考えます。
このような症状をお持ちの方は、週に一回のペースで健康促進の鍼灸治療をお勧めします。
そうする事で、動脈硬化の改善にもつながります。

 

イボ痔の病症に対する私見。

井上恵理先生は外痔核は、静脈の鬱血であると話されています。

私は、「ぢ」は肛門で起こっていますが、「ぢ」の原因は下ではなく、もっと上で起こっていると考えています。

上で起こっている原因として、四つの「内臓体質」が、関係しています。

① 血管が正常でない状態・・・
(血行不良・動脈硬化・高血圧症・低血圧症・冷え性・ 肩こり・糖尿病など)

② 肝臓に炎症がある場合・・・・
(門脈を上がる血液が帰りにくい状態:ストレス・怒り性・ 飲酒・肝炎・腎炎など)

③ 腹部臓器に問題がある場合・・・
(子宮の働きが悪い状態:生理痛・生理不順、 胃炎・便秘症など)

④ 心臓の働きがにぶった場合・・・・
(疲労がたまった状態・免疫力低下状態・ アレルギー発症状態)

これらの根本原因で、肛門部が欝血(うっけつ)して「痔」になるのです。

日本人の3人に1人は「痔主」(内臓体質に問題のある人たち)です。

そして、4人に3人は「ぢ」を経験した事があります。

そして、また、

私も先天的に「痔」を持って生まれてきました。

鍼灸師として患者さんに鍼を打つ前に長強穴への自己治療でイボ痔を改善しました。

それからは、再びイボ痔が復活しないようにできるだけ暴飲暴食は控えています。?

 追記

犬や猫は「ぢ」になりません。・・・・

地球上の動物の中で人間だけが「ぢ」になるのです。

四足歩行の動物は心臓と肛門が平行ですので血液はスムースに流れますから欝血は起こりません。
人間は二本足での直立歩行に進化した為に心臓、肝臓が肛門より上部になり血液が上に戻りにくい構造になってしまいました。
また、心臓と肛門の間の静脈には、血液の逆流を防ぐ逆止弁が無いために肛門部の欝血がいっそう起こりやすいわけです。

「ぢ」は、人間の宿命ですね。

「ぢ」を漢字で書くと「痔」です。「やまいだれ」に「寺」と書きます。・・

(寺は峙のことで:じっと止まれない様の意味)

つまり、『お墓に入るまで「ぢ」体質は治りませんよ』 という事でしょうか。・・・

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参考リンク:言葉の説明コーナーです。ご覧ください。

肺金経の変動とは

漢方診断とは。

本治法と標治法について

ゆっくり堂鍼灸院の病気の改善例(22)

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