六三難

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難経六三難

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ゆっくり堂の『難経ポイント』第六十三難

※ 六十三難のポイント其の一は、
五臓六腑は十二経に皆、井・栄・兪・経・合の五行穴があり、井穴を始めとしている。

※ 六十三難のポイント其の二は、
井穴を始めとする理由は、
この地上に生成する生き物すべてが、春の季節より生き生きと活発に動き出すからである。


※ 難経第六十三難臨床&エトセトラより。

難経 第六十三難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

六十三難曰.
十變言.
五藏六府滎合.皆以井爲始者.何也.
然.
井者東方春也.
萬物之始生.諸蚑行喘息.蜎飛蠕動.
當生之物.莫不以春而生.
故歳數始於春.日數始於甲.
故以井爲始也.


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六十三難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(475号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

〔訓読〕

六十三の難に日く、
十変に言く、
五蔵六府栄合皆井を以って始となすものは何んぞや。
然るなり、
井は東方の春なり。
寓物の始めて生じ、諸々蚊行し、端息す、蛸飛嬬動し、
当に生ずベきの物、春を以って生ぜずと言うことなし、
故に歳の数は春に始まり、日の数は甲に始まる。
故に井を以って始となすなり。


詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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六十三難の解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(475号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

六十三難の解説をします。

古典の鍼灸理論を紐解くと、

五臓六腑は十二経に皆、井・栄・兪・経・合の五行穴があり、井穴を始めとしている。
その理由を説明しなさい。

お答えします。

井穴は木性であって東方の春に相応します。

春は万物の発生の季節であり、諸々の足ある虫、足なき虫が動き始め鳴き始め、昆虫も飛び跳ねる。

まさに、この地上に生成する生き物は、春の季節より生き生きと活発に動き出すのです。

故に一年の四季の順序も春から始まって夏、秋冬と数えられ、
日の十干の数も甲乙の木から始まって丙丁(火)・戊巳(土)・ 庚辛(金)・ 壬癸(水)と数えられる。

また、五行穴の方でも木性の井から始まって、
栄(火)・兪(土)・経(金)・合(水)と数えるのであります。


詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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六十三難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(475号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕六十三難曰.
〔訓読〕六十三の難に曰く。
〔解説〕六十三難の解説をします。

〔原文〕十變言.
〔訓読〕十変に言う、
〔解説〕古典の鍼灸理論を紐解くと、

〔原文〕五藏六府滎合.皆以井爲始者.何也.
〔訓読〕五蔵六府栄合皆井を以って始となすものは何んぞや。
〔解説〕
五臓六腑は十二経に皆、井・栄・兪・経・合の五行穴があり、井穴を始めとしている。
その理由を説明しなさい。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕井者東方春也.
〔訓読〕井は東方の春なり。
〔解説〕井穴は木性であって東方の春に相応する。
〔解説補足〕
五行の色体表リンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/bkb/c101/c202/

五起  井  栄  兪  経  合
五行  木  火  土  金  水
五方  東  南  中央  西  北
五季  春  夏  土用  秋  冬
五臓  肝  心  脾  肺  腎
十干
(じっかん)
 甲 ・乙  丙・丁  戊・己  庚・辛  壬・癸

十干(じっかん)は、陰陽五行を表している。

十干は甲 ・乙 ・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類からなる。
甲 (きのえ) 木の兄:陽: 草木の芽生え、鱗芽のかいわれの象意 。
乙 (きのと) 木の弟:陰: 陽気のまだ伸びない、かがまっているところ。
丙 (ひのえ) 火の兄:陽: 陽気の発揚 。
丁 (ひのと) 火の弟:陰: 陽気の充溢 。
戊 (つちのえ) 土の兄:陽:“茂”に通じ、陽気による分化繁栄 。
己 (つちのと) 土の弟:陰:  紀に通じ、分散を防ぐ統制作用 。
庚 (かのえ) 金の兄:陽: 結実、形成、陰化の段階 。
辛 (かのと) 金の弟:陰: 陰による統制の強化 。
壬 (みずのえ) 水の兄:陽: “妊”に通じ、陽気を下に姙む意 。
癸 (みずのと) 水の弟:陰: “揆”に同じく生命のない残物を清算して地ならしを行い、 新たな生長を行う待機の状態 。

十干(じっかん)図nk3参照

nk3

〔原文〕萬物之始生.諸蚑行喘息.蜎飛蠕動.
〔訓読〕寓物の始めて生じ、諸々蚊行し、端息す、蛸飛嬬動し、
〔解説〕
春は万物の発生の季節であり、諸々の足ある虫、足なき虫が動き始め鳴き始め、昆虫も飛び跳ねる。

〔言葉の解説補足〕
「妓行」とは、 足ある虫がが出て来ること。
「端息す」とは、鳥や虫が鳴くこと。
「蛸飛」とは、羽のある虫が飛行すること。
「嬬動」とは、足のない虫が動くこと。(ミミズとか蛇とかが出て来るのも春だと。)

〔原文〕當生之物.莫不以春而生.
〔訓読〕当に生ずベきの物、春を以って生ぜずと言うことなし、
〔解説〕まさに、この地上に生成する生き物は、春の季節より生き生きと活発に動き出すのである。

〔原文〕故歳數始於春.日數始於甲.
〔訓読〕故に歳の数は春に始まり、日の数は甲に始まる。
〔解説〕
故に一年の四季の順序も春から始まって夏、秋冬と数えられ、
日の十干の数も甲乙の木から始まって丙丁(火)・戊巳(土)・ 庚辛(金)・ 壬癸(水)と数えられる。

〔原文〕故以井爲始也.
〔訓読〕故に井を以って始となすなり。
〔解説〕
また、五行穴の方でも木性の井から始まって、
栄(火)・兪(土)・経(金)・合(水)と数えるのである。

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