「風 の お話し。」 ki2

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「風の お話し。」

 (気の絵本パート2.)

「気の絵本」 タイトル

「親子で読んで欲しい東洋医学の本」 サブタイトル

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  • 「小学生にも読んで欲しい東洋医学の本」と言う視点から漢方の古典を解説します。
     古典エッセイ風に書いてみます。
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 pastelアート:福重歌織
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 pastelアート: Miyu Gondo

「風の お話し。」

古(いにしえ)より風邪は万病の元と言われています。
東洋医学では風邪を「ふうじゃ」と読みます。
風邪(ふうじゃ)が原因で起こる病気を中風(ちゅうふう)と言います。

黄帝に仕える医学者、岐伯(ぎはく)たちが中風の病状を説明しています。

一、偏枯(へんこ)と言う中風の病状。

  • 身体の左右いずれかの半身が硬直して利かなくなる状態です。
    これは現代医学では半身不随つまり脳梗塞の症状です。

二、風痱(ふうはい)と言う中風の病状。

  • 身体が痛むことは有りませんが、癱瘓(なんかん)という手足に力が入らず自由に動かすことが出来ない症状です。

三、風痺(ふうひ)と言う中風の病状。

  • 手先だけが利かない。手の痺れ。腱鞘炎。肌肉疼痛(きにくとうつう)。
    五十肩。膝が痛くて痺れ曲がらない。
    不仁(ふじ)これは、痛みやかゆみが分からなく成る知覚麻痺症状です。
    口眼喎斜(こうがんかしゃ)これは、顔面(神経)麻痺のことで口や眼がゆがむ症状です。

四、痰涎壅盛(たんぜんようせい)と言う中風の病状。

  • 痰がのどにふさがって涎(よだれ)が盛んになるという事で、涎がだらだらと出てのどに痰がつかえてぜいぜいするといった症状です。

五、「舌強ばりて語らず」と言う中風の病状。

  • これは、口が利けなくなるという事で、風邪が心とか脾とか腎に入ると舌強ばって言葉がしゃべれなくなる中風症状です。

六、精神洸惚(せいしんこうこつ)と言う中風の病状。

  • 意識があいまいになる事で、でたらめをいったり返事がちぐはぐに成ったりする症状です。

七、精(せい)衰えれば恐怖し、神(かみ)衰えれば驚愓(きょうとう)する、と言う中風症状があります。  

  • 精(せい)は「腎の気」で、衰えれば何事にも怖がるようになります。
    神(かみ)は「心の気」で、衰えれば何にでも非常に驚き易くなります。

中風の病気になる原因について説明します。

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東洋医学では「内因なければ外邪入らず」と言う病理観があります。

  • 「中風」の病気が起こる人は、精神(内因)の虚という状態から気力が弱くなり身体も虚弱になっています。
    内因が虚弱になる理由は、精神的気苦労から「内面的な感情」が亢進し心労し消耗した為です。

「内面的な感情」を七情と言い、怒、喜、憂、思、悲、驚、恐、に分類されます。

東洋医学では身体を守っている全ての気の事を「真気」と言います。

  • 精神的気苦労と過剰労働・暴飲暴食はこの真気を消耗します。
    真気が消耗されますと、腠理(そうり:皮膚)の毛穴が開いて「風邪(ふうじゃ)」が身体に侵入する訳です。

七情の真気が亢進消耗される様子について説明します。

  • 怒るとカーッとなり「肝の気」が頭に上り、上りつくしてしまうと気が撃(う)たれて、肝に風邪が侵入します。
  • 喜び過ぎると「心の気」が緩(ゆる)み、気が散って減少して、心に風邪が侵入します。
  • 思い考え過ぎて、いろんな物が頭に入り過ぎると「脾の気」が消耗されて、脾に風邪が侵入します。
  • 憂(うれ)が大き過ぎると「肺の気」が萎(ちぢ)んで胸に集まり、肺に風邪が侵入します。
  • 悲しみ過ぎると「心包の気」が引き締まり過ぎて、気(き)が急(せ)き、心包に風邪が侵入します。
  • 恐れ過ぎると「腎の気」が下に下がり、怯(おびえ)て、腎に風邪が侵入します。
  • 驚いた時は、ビックリして、何も入って来ないから「胆の気」が乱れて、胆に風邪が侵入します。
  • また、暴飲暴食、長時間の労働、房事過多、遊び過ぎて、気力が弱くなり身体が虚弱になって、中風の病気が起こります。

中風(ちゅうふう)の治療方法の原則を説明します。

南北経驗醫方大成 第一、風論 より。
  • 原文:
    若因七情六淫而得者、當先氣調而後治風邪
  • 訳文:
    若し七情六淫によって得る者は先(ま)ず気を調(ととの)えて而(しか)して後に風を治すべし。
  • 解説:
    内因である七情(怒、喜、憂、思、悲、驚、恐)の感情が消耗して弱く虚になっているところに、
    風邪(ふうじゃ)に侵され中風(ちゅうふう)の病気を起こした時の
    漢方薬と鍼灸の基本の治療法は、
    先(ま)ず五臓や経絡の何処に風邪が侵入したかを診て、
    その気を調(ととの)える本治法を施して、
    その後に中風の症状に応じた標治法で治すのが治療原則です。

 中風や風邪を引かない為の日常の心得について。

  • 思い悩み怒りの気持ちになったら「一休み」する事です。
    不安、悲しみ恐怖感に襲われたら、自分の生きる力を信じる事です。
    過剰労働・暴飲暴食に注意しましょう。
    冷たい風や雨に身体を曝さないことです。

以上、「風 の お話し。」を終わります。

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詳しくはHPをリンクしてご覧頂ければ幸いです。
井上恵理先生の講義録「南北経驗醫方大成による病証論」 第一、風論
http://yukkurido.jp/keiro/bkb/mk/fr/

南北経驗醫方大成による病証論 第 十五、気(き)・〔気の病:疝気(せんき)証〕
http://yukkurido.jp/keiro/bkb/mk/c335/

2017.3.3. ひな祭り。
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