難経九難
ank09
ゆっくり堂の『難経ポイント』 第九難
※ 九難のポイント其の一は、
脉診をして、患者の病気が、「臓病」か「腑病」かを判別する法則を述べています。
※ 九難のポイント其の二は、
数脉(早い脈)は必ずしも身体に熱が出ると言う事ではない。
※ 九難のポイント其の三は、
「臓病」か「腑病」かを判別する問題は、五十二難と五十四難もあわせて学ぶべし。
・ 九難の参考図表(表nk6)
・ 九難と五十二難の参考図表(表nk8)
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難経 第九難 原文
(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。
九難曰.
何以別知藏府之病耶.
然.
數者府也.遲者藏也.數則爲熱.遲則爲寒.諸陽爲熱.諸陰爲寒.
故以別知藏府之病也.
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九難の訓読
(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、 山口一誠の考察文にて構成しました。)
九の難に曰く.
何を以ってか臓腑の病を別ち知るや。
然るなり。
遅は藏なり、遅は則(すなわ)ち寒となし、諸陰を寒となす。
数は府なり、数は則(すなわ)ち熱となし、諸陽を熱となす。
故に藏府の病を別ち知るなり。
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九難の解説
(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)
九の難の解説をします。
脉診上にて、患者の病気が、「臓病」か「腑病」かを判別する根拠を説明しなさい。
お答えします。
臓病は、遅い脈を打ち、その理由は寒にあり、陰の性質を現わします。
腑病は、数脉(早い脈)を打ち、その理由は熱にあり陽の性質を現わします。
以上のように「臓病」か「腑病」かを判別して治療をしなさいと。
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九難の詳細解説
(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。
山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します
〔原文〕九難曰.
〔訓読〕九難に曰く。
〔解説〕九難の解説をします。
原文:何以別知藏府之病耶.
訓読:九の難に曰く.何を以ってか臓腑の病を別ち知るや。
解説:九の難の解説をします。
脉診上にて、患者の病気が、「臓病」か「腑病」かを判別する根拠を説明しなさい。
解説補足:この問題は、難経病症論五十二難と病の伝変五十四難も述べてあります。
(参考図表にて、九難、五十二難、五十四難の内容を表記します。)
原文:然.數者府也.遲者藏也.數則爲熱.遲則爲寒.諸陽爲熱.諸陰爲寒.
訓読:然るなり。
遅は藏なり、遅は則(すなわ)ち寒となし、諸陰を寒となす。
数は府なり、数は則(すなわ)ち熱となし、諸陽を熱となす。
解説:お答えします。
臓病は、遅い脈を打ち、その理由は寒にあり、陰の性質を現わします。
腑病は、数脉(早い脈)を打ち、その理由は熱にあり陽の性質を現わします。
解説補足①:遅脉(遅い脈)は寒であると。これは身体が冷える事を意味します。
冷えると言う事はすなわち陰で臓の病だと言う事です。
解説補足②:数脉(早い脈)を打っていれば熱症を指しますが、
この熱症は体温計の測定での高熱を示すものではありません。
鍼灸の脉診においては、熱があるか無いかと言うことではなく、
「数脈」は陽の病・腑の病であると言う診方において数脈を診る事です。
そしてこれを熱症と言う訳です。
注意、熱症が必ずしも身体に熱が出ると言う事ではないのです。
原文:故以別知藏府之病也.
訓読:故に藏府の病を別ち知るなり。
解説:以上のように「臓病」か「腑病」かを判別して治療をしなさいと。
解説補足:鍼灸治療をする時に、脉の遅数で陰陽、臓腑の病を判断して、
補瀉を行なう事も出来ます。
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