六二難

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難経六二難

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ゆっくり堂の『難経ポイント』第六十二難


※ 六十二難のポイント其の一は、井・栄・兪・経・合の五つの穴と、原穴についての記述です。

※ 難経第六十二難臨床&エトセトラより。

〔井上恵理先生の難経六十二難解説から〕
臓の陰経において、原穴と兪穴が同じになっている理由について。
陰気は牌胃の気と同じ意味で兪穴に原を付けている。
だから井営兪穴の兪は原気、即ち後天の気を養うと言う意味に使う事も出来れば、
兪穴の性格として使う事も出来る。一穴に二つの役目を持っていると言う事が言える訳です。

難経 第六十二難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

六十二難曰.
藏井滎有五.府獨有六者.何謂也.
然.
府者.陽也.
三焦行於諸陽.故置一兪.名曰原.
府有六者.亦與三焦共一氣也.

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六十二難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(475号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

六十二の難に日く、
蔵に井栄五有り、
府に独り六つ有るは何んの謂ぞや。
然るなり、
府は陽なり、三焦は諸陽に行く、故に一兪を置いて名けて原と日う。
府に六あるものは三焦と共に一気なればなり。


詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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六十二難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(475号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

六十二難の解説をします。

臓の陰経には、井・栄・兪・経・合の五つの穴があり、原穴は兪穴が兼ねている。
しかし、
腑の陽経は、井・栄・兪・経・合の五つの外に原穴が独立して一穴があるが、
これはど様な理由なのか説明しなさい。
いるので

お答えします。

蔵は陰であり、府は陽である、三焦の気即ち三焦の原気、生命力は陽の気に属し主として諸陽経に行く。故に陽経には一穴を別に置いて此処に原穴と名付けているのである。

府に大腸、小腸、胆、胃、膀胱の外に三焦の腑があって六つである。
三焦の腑もまた陽として三焦の原気と共に陽の一気である。


詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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六十二難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(475号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕六十二難曰.
〔訓読〕六十二の難に曰く。
〔解説〕六十二難の解説をします。

〔原文〕藏井滎有五.府獨有六者.何謂也.
〔訓読〕蔵に井栄五有り、府に独り六つ有るは何んの謂ぞや。
〔解説〕
臓の陰経には、井・栄・兪・経・合の五つの穴があり、原穴は兪穴が兼ねている。
しかし、
腑の陽経は、井・栄・兪・経・合の五つの外に原穴が独立して一穴があるが、
これはど様な理由なのか説明しなさい。
いるので

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕府者.陽也.三焦行於諸陽.故置一兪.名曰原.
〔訓読〕府は陽なり、三焦は諸陽に行く、故に一兪を置いて名けて原と日う。
〔解説〕
蔵は陰であり、府は陽である、三焦の気即ち三焦の原気、生命力は陽の気に属し主として諸陽経に行く。故に陽経には一穴を別に置いて此処に原穴と名付けているのである。

〔原文〕府有六者.亦與三焦共一氣也.
〔訓読〕府に六あるものは三焦と共に一気なればなり。
〔解説〕
府に大腸、小腸、胆、胃、膀胱の外に三焦の腑があって六つである。
三焦の腑もまた陽として三焦の原気と共に陽の一気である。

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〔井上恵理先生の難経六十二難解説から〕

臓の陰経において、原穴と兪穴が同じになっている理由について。

経絡理論では、陰経が基本なんですね。
陰経と陽経が別々ではなくて、陰経があって陽経がこれに連なっている。
臓があって腑がこれに配されている。
病気の本(もと)と言われる病因と言うのは陰経が中心なんです。
陰が五臓であり、五臓が身体を支配している。六腑はこれに付随している。
五臓が中心であって、全ての生気が五臓に影響される。

兪穴(ゆけつ)は、土穴(どけつ)であり、土(つち)は全ての母である。

と言うのは後天の気、我々が生まれて後に飲んだり食ったりする所の気は全て牌胃を通じて経絡の中 に流れ込んでいる。故に後天の気を主る牌胃の気は全ての経絡の母であり中心である。
我々が生きていると言う上に於いて、飲み物・食い物をよく消化し吸収する事が中心だと言う意味 でこの牌胃の気が創られ、 これを「胃の気」と言う。胃の気は後天の気の代表である。

経絡を流れる経気の生まれる前は先天の気だけだが、この世に生れ出て後は我々の生命を一部維持している。
先天の気の一部は精気となって次の子孫を創るものになると同時に、先天の気から出た三焦の気は また後天の気の影響を受けて生存し循環性を持っている。 これ故三焦と言うものは、先天の気から別れ後天の気を受けて生命の本(原 )、 我々が生きる力をここに集中するものなんです。

原気と言うのは。十二原の根本である先天の気を診るのは臍下(さいか )丹田。
これは生命の原(みなもと)であり、その生命の原から分かれている所の三焦の気。
これはあらゆる働きと言う意味です。  三焦の気と言うのは生命力と考えればいい。
所謂、見る力・聞く力・味わう力・皮膚に感ずる力、これは生命の原気から出た所の一つのエネルギー すね。 エネルギーと言う者はただ単にエネルギーだけが発散しているんじゃなくて、 これは食べ物・食い物によって栄養されている。 栄養失調になれば目も見えなくなる。耳も聞こえなくな ったりする。後天の気が入らないと如何に生命の力があっても、 これをフルに発揮する事は出来ない。だから原気と言うものは陽経に顕れている。陽気に顕れる。
それで陰気は牌胃の気と同じ意味で兪穴に原を付けている。
だから井営兪穴の兪は原気、即ち後天の気を養うと言う意味に使う事も出来れば、
兪穴の性格として使う事も出来る。一穴に二つの役目を持っていると言う事が言える訳です。

ところが今度は陽経の方は経の働き、即ち諸陽の働きが陰に付随してあるのだから、そこに原気を別に設けてある為に原穴があるのだと。それが三焦の原と一つであると、 ここでは説いている。

季節に於いても五つの季節はないですね。四つしかない。春・夏・秋・冬。
その四つの季節の中の一番末、春の季節が終わる時に春の土用がある。
夏の季節の終わる時に夏の土用がある。    秋の季節が終わる時に秋の土用がある。
冬の季節が終わる時に冬の土用がある。あの土用の十八日と言うのは、即ち春の季節が最も春らしく なる時なんです。土の経は諸経の母であると言う意味が、 この季節にもある訳です。

先天の気が働く上に於ける所の後天の原気の象徴を求めたもの、 これを原穴と言うのだと考えればいいと思います。

 

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