五三難

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難経 第五十三難

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ゆっくり堂の『難経ポイント』第五十三難

※ 五十三難のポイント其の一は、
七伝とは、相剋的に七度、証を変化して伝えて行くものです。
(七伝の相剋関係図 NB3を参照されたし)

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※ 五十三難のポイント其の二は、
間臓の変化とは、:七伝の類であるが臓を一つ飛び越えて変化する形態です。
例えば、七伝の肺から肝への相剋を変化が、肝を飛び越えて脾に行く事です。
(間臓図 相生母子関係図 NB2を参照されたし)

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※ 五十三難のポイント其の3は、七伝の者は死し、間蔵の者は生きる。


※ 難経五十三難臨床&エトセトラより。

五十三難の山口一誠の考察
ゆっくり堂鍼灸院でも、
慢性病の方の場合は、治療経過と共に、その証が変化していきます。そんな時、この古典理論を理解していると、その「証」が変化する時、良い変化と悪い変化を見極めるのに役立ちます。

悪い「証」の変化1:七伝の変化。
相克に証が変化する時、例えば肺の証が肝の証に変化する場合です。
風邪の症状で咳、鼻水の治療を肺虚証で処置して、めまいの症状が出て肝虚証になった場合など。

悪い「証」の変化2:間蔵の変化。
相生関係に証が変化する時、〔間蔵の〕肺(子)から脾(母)に行くのは悪い。
(悪い「証」の変化1よりは良い)

良い「証」の変化3:相生の子に伝わるのは良い、症状が良くなると言う事です。

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難経 第五十三難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

五十三難曰.
經言.
七傳者死.間藏者生.何謂也.
然.
七傳者.傳其所勝也.間藏者.傳其子也.
何以言之.
假令心病傳肺.肺傳肝.肝傳脾.脾傳腎.腎傳心.一藏不再傷.故言七傳者死也.
間藏者.傳其所生也.
假令心病傳脾.脾傳肺.肺傳腎.腎傳肝.肝傳心.是母子相傳.竟而復始.如環之無端.故言生也.
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五十三難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(461号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

五十三 の難に日く、
経に言う、
七伝(ひちでん)の者は死し、
間蔵(かんぞう)の者は生くとは何んの謂ぞや。
然るなり、
七伝は其の勝つ所に伝え、
間蔵は其の子に伝うるなり。
何を以って之を言えば、
仮令(たと)えば、心病肺に伝え、 肺肝に伝え、肝牌に伝え、牌腎に伝え、 腎心に伝う。
一蔵再び傷(やぶ)れず、
故に七伝の者は死すと言うなり。

仮令ば、心病牌に伝え、 牌肺に伝え、 肺腎に伝え、腎肝に伝え、 肝心に伝う。
是れ子母相伝えて寛(おわ)りて、復(ま)た始まる。
環(たまき)の端(はし)無きが如し、
故に生くと日うなり。

 詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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五十三難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(461号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

五十三難の解説をします。

陰陽五行理論から考察すると。

病の伝変に七伝、間蔵と言う証を変化があるが、此の二つは予後に不良がある。
七伝のものは不良で死し、
間蔵のものは比較的良好で病んでも生きるとされるが、
この理由を説明しなさい。

お答えします。

七伝とは、相剋的に七度、証を変化して伝えて行くものです。
間蔵とは、相生的に子より母に証を変化して伝えて行くものです。

七伝について、例を心病の発症から説明します。
2伝:心病の発症:心を患う時には二伝なんです、一伝は不明で二伝によって症に顕れると。
3伝:心から肺に伝わる。(火剋金)
4伝:肺から肝に伝わる。(金剋木)
5伝:肝から牌に伝わる。(木剋土)
6伝:牌から腎に伝わる。(土剋水)
7伝:腎から心に伝わる。(水剋火)
そして、
心から肺に伝わる。8伝目はない。「一蔵再び傷(やぶ)れず、」となり、
故に七伝の者、心の病で死にますと。。

間蔵は相生的に母より子に証を変化して伝えていくので生きる事ができる。
間蔵について、例を心病の発症から説明します。
心病から牌に伝える。(火生土)、 牌から肺に伝える。(土生金)、
肺から腎に伝える。(金生水)、腎から肝に伝える。(水生木)、 肝から心に伝う。(木生火)
これらは、
母から子に伝わる相生関係でありネックレスのごとく循環する伝わり方は生きる事ができると。

詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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    五十三難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕五十三難曰.
〔訓読〕五十三の難に日く、
〔解説〕五十三難の解説をします。

〔原文〕經言.
〔訓読〕経に言う。
〔解説〕陰陽五行理論から考察すると。

〔原文〕七傳者死.間藏者生.何謂也.
〔訓読〕
七伝(ひちでん)の者は死し、
間蔵(かんぞう)の者は生くとは何んの謂ぞや。
〔解説〕
病の伝変に七伝、間蔵と言う証を変化があるが、此の二つは予後に不良がある。
七伝のものは不良で死し、
間蔵のものは比較的良好で病んでも生きるとされるが、
この理由を説明しなさい。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕七傳者.傳其所勝也.間藏者.傳其子也.
〔訓読〕七伝は其の勝つ所に伝え、 間蔵は其の子に伝うるなり。
〔解説〕
七伝とは、相剋的に七度、証を変化して伝えて行くものです。
間蔵とは、相生的に子より母に証を変化して伝えて行くものです。

〔原文〕
何以言之.假令心病傳肺.肺傳肝.肝傳脾.脾傳腎.腎傳心.一藏不再傷.故言七傳者死也.
〔訓読〕
何を以って之を言えば、
仮令(たと)えば、心病肺に伝え、 肺肝に伝え、肝牌に伝え、牌腎に伝え、 腎心に伝う。
一蔵再び傷(やぶ)れず、故に七伝の者は死すと言うなり。

〔解説〕〔井上恵理先生の難経解説から山口一誠の考察文にて〕

七伝について、例を心病の発症から説明します。
2伝:心病の発症:心を患う時には二伝なんです、一伝は不明で二伝によって症に顕れると。
3伝:心から肺に伝わる。(火剋金)
4伝:肺から肝に伝わる。(金剋木)
5伝:肝から牌に伝わる。(木剋土)
6伝:牌から腎に伝わる。(土剋水)
7伝:腎から心に伝わる。(水剋火) 〔七伝の相剋関係図NB3参照されたし〕
そして、心から肺に伝わる。8伝目はない。「一蔵再び傷(やぶ)れず、」
となり、故に七伝の者、心の病で死にますと。。

〔原文〕
間藏者.傳其所生也.
假令心病傳脾.脾傳肺.肺傳腎.腎傳肝.肝傳心.是母子相傳.竟而復始.如環之無端.故言生也.
〔訓読〕
間蔵は生くるなり。
仮令ば、心病牌に伝え、 牌肺に伝え、 肺腎に伝え、腎肝に伝え、 肝心に伝う。
是れ子母相伝えて寛(おわ)りて、復(ま)た始まる。
環(たまき)の端(はし)無きが如し、故に生くと日うなり。

〔解説〕
間蔵は相生的に母より子に証を変化して伝えていくので生きる事ができる。
間蔵について、例を心病の発症から説明します。
心病から牌に伝える。(火生土)、 牌から肺に伝える。(土生金)、
肺から腎に伝える。(金生水)、腎から肝に伝える。(水生木)、 肝から心に伝う。(木生火)
これらは、
母から子に伝わる相生関係でありネックレスのごとく循環する伝わり方は生きる事ができると。

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五十三難の山口一誠の考察

ゆっくり堂鍼灸院でも、
慢性病の方の場合は、治療経過と共に、その証が変化していきます。そんな時、この古典理論を理解していると、その「証」が変化する時、良い変化と悪い変化を見極めるのに役立ちます。

悪い「証」の変化1:七伝の変化。
相克に証が変化する時、例えば肺の証が肝の証に変化する場合です。
風邪の症状で咳、鼻水の治療を肺虚証で処置して、めまいの症状が出て肝虚証になった場合など。

悪い「証」の変化2:間蔵の変化。
相生関係に証が変化する時、〔間蔵の〕肺(子)から脾(母)に行くのは悪い。
(悪い「証」の変化1よりは良い)

良い「証」の変化3:相生の子に伝わるのは良い、症状が良くなると言う事です。

井上恵理先生の七伝と間蔵の考察より。

証の治療を行っていると症状の変化が有る訳です。変化の仕方ですが、これは私〔井上恵理〕の体験上で、難経〔五十三難〕の中に『七伝の者は死し、間蔵の者は生きる』という言葉が有ります。

間蔵と七伝の違いは、例えば〔主証が〕肺から始まると肺肝脾腎心と伝わるのが七伝です。相剋的に伝変する。ただそれが一伝に来るか二伝に来るかは解らない訳です。
しかし、七伝に変化しているという事は、悪い結果を及ぼすと言って間違いない訳です。
ところが間臓に伝わる者は七伝の肺肝脾腎心の伝変を肺から肝を飛び越えて脾に行く事です。
間に蔵をおいて伝わる事で、即ち親に伝わる物です。肺脾心肝腎と伝わって行くのが間蔵に伝わる物です。そうすると病気を良くする方法はこの反対に行くという事です。
例えば、〔七伝の〕肺から肝に行く〔相剋〕は悪く、肝から肺に行く〔相侮〕は良い。
また、〔間蔵の〕肺(子)から脾(母)に行くのは悪く、肺(母)から腎(子)に行くのは良い。
所謂〔経絡治療をして〕相剋の逆〔相侮〕に行くのと、相生の子に伝わるのは良い、症状が良くなると言う事です。

間臓の変化とは、:七伝の類であるが臓を一つ飛び越えて変化する形態です。
例えば、七伝の肺から肝への相剋を変化が、肝を飛び越えて脾に行く事です。
(七伝の相剋関係図 NB3を参照されたし)


病の伝変に七伝、間蔵と言う仕方があるがこの二つは予後に良、不良がある。
七伝の者は不良で死し、間蔵の者は比較的良好で病んでも生きるとされている。―
南北経驗醫方大成 による 病証論 井上恵理 先生 講義録
(付)井上恵理先生の「病証論」臨床質問
難経五十三難について述べます。。

経絡鍼療(461号)平成21年2月号。P12- 古典講義=「難経」講義(37)井上恵理(講師)。
― 経絡鍼療(461号)P15-
病証的に診て我々が前の治療のカルテをよく観察してみると、その病気のよし悪しが判る。
例えば熱が出ると皮膚が枯燥する。皮膚枯燥すればそこにまた邪が再び起こって、肝に病気を伝えると言うのは悪いんです。熱が出たら汗がでなくちゃいけない。そう言うものならば間蔵(脾)に伝わるものでもいいと。だから七伝に伝わるものは悪い、相生に伝わるものは即ち生きるのだと考えればいいと思います。

― 治療家は臨床的にものを考える事が一番大事である。―

「難経の臨床考察」福島弘道(著)・p123-「難経の研究」本間祥白(著)・井上恵理(校閲)p206-
「難経 五十三難」『七伝の者は死し、間蔵の者は生くとは何んの謂ぞや。』の解説・・・
本間祥白先生の図形をアレンジしゆっくり堂的に作りました。

〔 臨床問答集 〕

山口一誠の分類考察
ゆっくり堂鍼灸院でも、
来院される患者さんの、病証・腹証・脉証が一致している時は、治療経過は支障なく進みます。
が、病証・腹証・脉証が一致しない時は、困ってしまいます。
また、慢性病の方の場合は、治療経過と共に、その証が変化していきます。そんな時、この古典理論を理解していると、その「証」が変化する時、良い変化と悪い変化を見極めるのに役立ちます。

南北経驗醫方大成 による 病証論 井上恵理 先生 講義録
(付)井上恵理先生の「病証論」臨床質問 P160上段1行目からP160下段後ろ4行目より。

【 七伝と間蔵について。】の臨床問答集が参考になると思います。

『七伝の者は死し、間蔵の者は生きる』という言葉が有ります。

【 径絡治療で証決定が変化する、良い変化と悪い変化について考えます。】

本文より抜粋・・・・

(質問)
主証変更をする時の脉証と病症について。「医道の日本」昭和39年4月号に井上先生と岡部先生の対談の中で、初めの主証が肝虚証で、2~3回治療して肺虚に成り、さらに続けると腎虚になったという事で、この主証が変わる時は、もちろん脉証が主に成ると思うのですが、この場合、脉証と脉証に伴う病症も主証と共に伴って行くのか・・・?。
(井上恵理先生の答え。):
これは伴って行くはずです。伴って行かなくては変化に成らない訳です。頭が痛いとか、背中が張るとか、これらは全て症状ですね。症状は、必ずしも証ではない場合が多いが、
証に対しての治療が脉診的〔経絡〕治療です。そこで証の治療を行っていると症状の変化が有る訳です。変化の仕方ですが、これは私〔井上恵理先生〕の体験上で、― 難経〔五十三難〕の中に『七伝の者は死し、間蔵の者は生きる』という言葉が有ります。

間蔵と七伝の違いは、例えば〔主証が〕肺から始まると肺肝脾腎心と伝わるのが七伝です。相剋的に伝変する。ただそれが一伝に来るか二伝に来るかは解らない訳です。
しかし、七伝に変化しているという事は、悪い結果を及ぼすと言って間違いない訳です。
ところが間臓に伝わる者は七伝の肺肝脾腎心の伝変を肺から肝を飛び越えて脾に行く事です。
間に蔵をおいて伝わる事で、即ち親に伝わる物です。肺脾心肝腎と伝わって行くのが間蔵に伝わる物です。そうすると病気を良くする方法はこの反対に行くという事です。
例えば、〔七伝の〕肺から肝に行く〔相剋〕は悪く、肝から肺に行く〔相侮〕は良い。
また、〔間蔵の〕肺(子)から脾(母)に行くのは悪く、肺(母)から腎(子)に行くのは良い。
所謂〔経絡治療をして〕相剋の逆〔相侮〕に行くのと、相生の子に伝わるのは良い、症状が良くなると言う事です。

この患者は、もともと腎虚の体質です。― 〔症状は〕痔出血、脱肛、戦争で右の耳をやられ、慢性の中耳炎、耳膿、聴覚無く、耳鳴の症状が有った。始め肝虚で治療したら肺虚に成る。これは相剋の反対に伝わって来た。
今度は相生の親(母)に伝わる物が子に伝わって来た、腎虚伝わって来た。
腎虚になった時、脉と症が一致して来た、痔出血、耳膿、これは腎虚の症状である。肺虚が腎虚になった時、初めて病気が良く成って来ているのです。
こうゆう意味から言うと、現在の病状と証が一致している場合は非常に治りやすいと言うことです。
病状と脉証が一致しない場合は、脉を変えて行く。症状は変える事が出来ないから、脉証を変えて行く、その証にもって行けば結局良くなると思います。 ―

 

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