四七難

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難経 第四十七難

  ank047

 

ゆっくり堂の『難経ポイント』 第四十七難

※ 四十七難のポイント其の一、人間の顔はいつもヌードである。
※ 四十七難のポイント其の二、全ての陽経脉の始終穴だけが顔の両耳の幅上にある。
※ 四十七難のポイント其の三、陽は熱であり、機能旺盛です、だから、顔は寒に耐えるのです。

四十七難経原文

四十七難曰.
人面獨能耐寒者.何也.
然.
人頭者.諸陽之會也.
諸陰脉皆至頸胸中而還.
獨諸陽脉.皆上至頭耳.
故令面耐寒也.
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四十七難の訓読

(井上恵理先生の訳文:経絡鍼療(455号)と本間祥白先生の訓読、福島弘道先生の訓読を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)

四十七の難に曰く、
人の面、独り能(よ)く寒に耐うるのは何ぞや。
然るなり。
人の頭と顔は諸陽の会なり。
諸陰の脉は皆頸胸中に至って還(か)える、
独り諸陽脉皆上って頭耳の幅に至る。
故に面をして寒に耐えしむるなり。

詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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四十七難の解釈

(井上恵理先生の解釈:経絡鍼療(455号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、
山口一誠の考察文にて構成しました。)

四十七難を解説します。
人間の顔は寒い冬でも裸である。これはどの様な理由なのか説明しなさい。
お答えいたします。
頭と顔は十二経絡の中で陽経の流注(るちゅう)が流れていています。
陰経の外経流注は全て頸(くび)か胸の位置までしか行っていない。
全ての陽経脉の始終穴だけが顔の両耳の幅上にある。
陽は熱であり、機能旺盛です、だから、顔は寒に耐えるのです。

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四十七難の詳細解説。

(原文・訓読・解釈〔解説補足〕の順に文章を構成します。)

(井上恵理先生の訳文・解釈:経絡鍼療(455号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、 山口一誠の考察文にて構成しました。)

〔原文〕四十七難曰.
〔訓読〕四十七の難に曰く、
〔解説〕四十七難を解説します。

〔原文〕人面獨能耐寒者.何也.
〔訓読〕人の面、独り能(よ)く寒に耐うるのは何ぞや。
〔解説〕人間の顔は寒い冬でも裸である。これはどの様な理由なのか説明しなさい。
〔解説補足〕真夏の海水浴の時期以外は人間は衣服を着て生活していますが、
どなたも顔は出しています。それには理由がある訳です。

〔原文〕然.
〔訓読〕然るなり。
〔解説〕お答えいたします。

〔原文〕人頭者.諸陽之會也.
〔訓読〕人の頭と顔は諸陽の会なり。
〔解説〕頭と顔は十二経絡の中で陽経の流注(るちゅう)が流れていています。
〔解説補足〕六つの陽経は次のものです。
そして、手では最終のツボ、足では最一番目の出発のツボがあります。
手の陽明大腸経(迎香穴) ・足の陽明胃経(承泣穴)
手の太陽小腸経(聴宮穴) ・足の太陽膀胱経(睛明穴)
手の少陽三焦経(絲竹空穴)・足の少陽胆経(瞳子髎穴)

〔原文〕諸陰脉皆至頸胸中而還
〔訓読〕諸陰の脉は皆頸胸中に至って還(か)える、
〔解説〕陰経の外経流注は全て頸(くび)か胸の位置までしか行っていない。
〔解説補足1〕陰は冷えを現わしている。顔に位置しないので陽の性質、熱を干渉しない。
〔解説補足2〕経の外経流注の詳細。
1、
足の厥陰肝経の外経流注は・・・・太敦穴から始まり、期門・中府穴辺りに終わる。
内経を中心とした流注・・・・足の少陽胆経の交わりを受けて第一指三毛の太敦(だいとん)穴に始まり、第一・第二中足骨の間を上がり、 内果の前に至り、下腿内側三陰交に交わり、骨縁を上がって膝の内側、曲泉穴を経て大腿の内側を上がり、 股動脈の所より腹に入り、陰毛の部より外陰部を循る。ゆえに、交接器は肝経の支配である。 更に、腹を上がって任脈の関元穴の部より左右に別れて期門穴の部にて胃を挟み、肝に属会し、 日月穴の部にて胆を絡(まと)う。 経脈は更に上がって、胸中に入り胸腺、気管、咽喉、甲状腺を経て眼系を循り、額より頭に上がり松果体、 脳下垂体を歴絡し百会(ひゃくえ)穴に至り督脈に会する。 支脈は眼より別れて下に下り唇をめぐる。また、肝に属する所、期門穴より別れて胸中に入り、肺を循り、下って中脘穴の部に至り、手の太陰肺経の始まる所(中府穴)に交わって終わる。
足の厥陰肝経の1番目:大敦:井木穴:足の第1指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る
足の厥陰肝経の終穴、13番目:期門:肝経の募穴:第9肋軟骨付着部の下際に取る
手の太陰肺経の1番目:中府穴:募穴 雲門穴の下1寸に取る.(正中線外方6寸)

2、手の少陰心経の外経流注は ・・・・極泉穴から始まり、少衝穴に終わる。
内経を中心とした流注・・・・ その流注は脾経の心臓に至る所より始り、少し上がって肺動脈の部より下って横隔膜を貫き腹に入り、 任脈の下脘穴の部にて小腸を絡う。また、その枝は心経より咽喉を経て頭に上がり、 眼系に連なり脳髄に分布する。
更に、本経は心経の所より肺を循り、腋下のに出て極泉穴の部よりその外経が始まる。
上腕前腕の掌面小指側を下り、その内端少衝穴に至る。
1番目:極泉:腋窩の中央、動脈拍動部に取る.(注)腋窩動脈が通る.
9番目:少衝:井木穴:小指橈側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る.

3,手の厥陰心包経の外経流注は ・・・・天池穴から始まり、中衝穴に終わる。
内経を中心とした流注・・・・腎経の終わりを受けて胸中に始まり心包に属会し、 横隔膜を下って上脘、中脘、陰交穴の部にて三焦を歴略して本経は終わる。 支脈は心包より別れて胸を循り、側胸部の乳頭の外方二寸の天地穴の部に至り、ここより外形が始まる。腋下(脇の下)に至り上腕、前腕の内面、肺経の間を下り、 手掌を通って中指の先端の母指側の中衝穴に至る。
1番目:天池: 乳中穴の外1寸で第4肋間に取る.
9番目:中衝:井木穴: 中指橈側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る.

4,足の太陰脾経の外経流注は ・・・・隠白穴から始まり、大包穴に終わる。
内経を中心とした流注・・・③ルート陽明胃経の交わりを受けて、隠白穴より始り、足の内側の赤白肉の間を通り、 内果の上方三寸の三陰交穴を過ぎ、膝の内側を通り、大腿の内側を経て、 腹部に入り、これより任脈と側腹を横行しつつ上がる。その経過は衝門より府舎に上がり横行して任脈の中極に行き、関元穴に上がり、 再び外側の腹結、大横穴に行き、また任脈の下脘穴に至り、返って腹哀、日月、期門穴に上がる。 三たび任脈の上脘、中脘穴に至り、脾に属し胃を絡う。そして、更に上行して胸に上がり心臓の部に終わる。また、経脈はは腹哀穴より胸に上がって乳線の外方二寸の周栄より大包に下り、さらに反転上行して舌下に散るが如く終わる。
1番目:隠白:井木穴:足の第1指内側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る.
21番目:大包:脾の大絡:腋窩中央の下6寸、中腋窩線上の肋間に取る.

5,手の太陰肺経の外経流注は ・・・・中府穴から始まり、少商穴に終わる。
内経を中心とした流注・・・・⑫ルート:厥陰肝経の交わりを受けて中焦、胃部に始り、下って大腸をまと絡い、反転上行し胃の上口を経て、 横隔膜を貫いて胸郭内に入り肺に属し、その気を会集し、更に気管より鼻に通じる。ゆえに、鼻・のど・気管など、呼吸器の異変や、き気のやまい病、あるいは消化器の病をつかさど主る。また、肺および肺経は皮膚と体毛を支配しする。また、上窩の缺盆、肩背等をめぐり、 外経は中府穴より、上腕前腕の掌面母指側を通り、その先端の少商穴に終わる。よって、その経過する部の異常:凝り・筋肉の麻痺、痙攣の病状が出る。
1番目:中府:募穴:雲門穴の下1寸に取る.(正中線外方6寸)
11番目:少商:井木穴:母指橈側爪根部、爪甲の角を去ること1分に取る.

6、足の少陰腎経の外経流注は ・・・・湧泉穴から始まり、兪府穴に終わる。
内経を中心とした流注・・・・膀胱経の終わる所、至陰穴より、足の裏にいたり外経が始まり、内果(うちくるぶし)の後を通り、 三陰交に交わる。下腿の後内側を通リ膝の後内側にある陰谷穴に至り、大腿の後内側を通って、 尾骨先端の督脈経の長強穴に入り、出でて前に行き任脈経の外側五分のところを上がって、 臍のかたわ傍ら肓兪(こうゆ)穴より中に入って腎に属する。これより任脈経を下って膀胱をまと絡う。その直行するものは、上がって肺に入り、出でて気管を循り舌根に終わる。
1番目:湧泉:井木穴:足底中央の前方陥中で、足指を屈すると最も陥凹する部に取る.
27番目:兪府:璇璣穴の外2寸、鎖骨の下際に取る.

〔原文〕獨諸陽脉.皆上至頭耳.
〔訓読〕独り諸陽脉皆上って頭耳の幅に至る。
〔解説〕全ての陽経脉の始終穴だけが顔の両耳の幅上にある。
〔解説補足〕陽は熱であり、機能旺盛、よつて寒に耐えるのです。
〔参考図表〕(表nk13)(図表nk16)

〔原文〕故令面耐寒也.
〔訓読〕故に面をして寒に耐えしむるなり。
〔解説〕陽は熱であり、機能旺盛です、だから、顔は寒に耐えるのです。


十二経絡の 順番(ルート)番号と陰陽経絡名及び難経四七難の経穴名表 nk13

nk13


諸陰脉皆至頸胸中而還の図 & 人頭者諸陽之會也の図 nk16

nk16

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