四六難

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難経 第四十六難

   ank046

 

ゆっくり堂の『難経ポイント』第四十六難

※ 四十六難のポイント其の一は、老人と若い人の睡眠の記述です。

※ 難経四十六難臨床&エトセトラより。

井上恵理先生の難経四十六難臨床解説から。山口一誠の考察文にて構成しましす。

不眠症の治療について。

1、老人の不眠治療は、
2、若い人の不眠治療は、
若い人の不眠症には2つあるのです。
①陰虚の不眠症。
②陽実の不眠症。
どちらに病気があるかと言う事は、 他の症状で診断する。 脈診や他の診察法で診断する。


難経 第四十六難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

四十六難曰.
老人臥而不寐.少壯寐而不寤者.何也.
然.
經言.
少壯者.血氣盛.肌肉滑.氣道通.榮衞之行.不失於常.故晝日精.夜不寤.
老人血氣衰.氣肉不滑.榮衞之道濇.故晝日不能精.夜不得寐也.
故知老人不得寐也.

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四十六難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(454号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

四十六の難に臼く、
老人は臥(ふ)して寐(い)ねず、
少壮は寐ねて寤(さ)めざるものは何んぞや 。
然るなり、
径に言う、
少壮は血気盛ん、肌肉滑(なめら)かにして気道通じ、栄衛の行(こう)、常を失わず 、
故に晝日(ちゅうじつ)は精(くわし)く、夜ば寤(さ)めざるなり。
老人は血気衰え、肌肉滑かならず、栄衛の道濇(しぶ)る。
故に晝日(ちゅうじつ)は精きこと能(あた)わず 、夜は寐(ね)ことを得ざるなり。
故に老人の夜は寐(ね)を得ざるを知るなり。


詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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四十六難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(454号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

四十六難の解説をします。

老人は寝ても仲々眠られないし、若い人は臥せばす眠って仲々眼が醒めないが、
それはどうした訳か説明しなさい。

お答えします。

黄帝内経・霊枢・栄衛生会篇から考察するに。

若い人は血気・栄血・衛気共に充実し、皮膚も筋肉も滑かであるから栄衝の循環の道もよく通利しているから気血の循環がよく円滑で正常である。
其れで昼はよく陽気が盛んであって頭が明断であり、夜は陰気が盛んになって眼が醒めないのである。

老人は栄血衛気共に衰え不足し、肌肉も硬化してくる。栄衛の道も渋(しぶ)ってくる。
だから、昼間はぼんやりして生気が無いし、夜は眠れない。
よって、老人になると不眠が常であると。

詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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井上恵理先生の難経四十六難臨床解説から。

(山口一誠の考察文にて構成しましす。)

不眠症の治療について。

1、老人の不眠治療は、

老人にな って寝られないと言うのは、気血が衰退して来たのだから正常な老化現象です。
これは、気血の衰えを防ぎ肌肉の滑らかさを保つ「皮膚の気を整える鍼灸術」を施す事で、不眠の改善に繋がります。。
老人が寝られないと言う様な場合は大抵陰虚証です。

2、若い人の不眠治療は、

若い人で昼間ボンヤリしていて夜になると寝られない、神経衰弱なんて症状はそうですね。
これは老人の様に気血が衰えたからではなくて、陰陽の気血の調和ができていないからです。
気血は昼は陽に行き、夜は陰に行きます。
これを治療的に考えると、陽が実して来ると我々は目覚める。ハッキリする。
陰が実して来ると眠くなる。  昼間でも陰が実していると眠いんですよ。
昼間眠い人は陰実陽虚なんです。  講義なんか聞いて居眠りする人この傾向の人です。
ところが、寝られ無いと言うのは陰虚陽実なんです。
陰が虚して陽が実しているから、いつまでも目が覚めていて色んな事を考えている。
同じ事を繰り返し繰り返し。これは陽が実しているからです。

熱があると寝られないと言うのは、陽が実しているからですね。
陽実証は寝られないでしょう?  陰虚証はそれと同じ様に寝られない。

陽実と言っても、陽に邪実が入ったら陰が正常であっても寝られない訳です。
ところが陰虚の場合は、陽が正常であって陰が虚しているが故に寝られない。

若い人の不眠症には2つあるのです。
①陰虚の不眠症。
②陽実の不眠症。
どちらに病気があるかと言う事は、 他の症状で診断する。 脈診や他の診察法で診断する。

この人は風邪をひいて陽が実しているから寝られない、 或いはこの人は陰の虚証があるから寝られないと言う診断が出来る訳です。

そこで陰を補うか陽を潟すかと言う治療が出て来る。

老人が寝られな いと言う様な場合は大抵陰虚証です。

それから若い人でも寝られないと言う人はやはり陰虚証でいい。陰を補って陽との調和を図ると案外簡単に寝られる。

これは睡眠剤なんかよりも確かですね。

  四十六難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(454号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕四十六難曰.
〔訓読〕四十六の難に臼く、
〔解説〕四十六難の解説をします。

〔原文〕老人臥而不寐.少壯寐而不寤者.何也.
〔訓読〕老人は臥(ふ)して寐(い)ねず、少壮は寐ねて寤(さ)めざるものは何んぞや 。
〔解説〕
老人は寝ても仲々眠られないし、若い人は臥せばす眠って仲々眼が醒めないが、それはどうした訳か説明しなさい。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕經言.
〔訓読〕経に言う。
〔解説〕黄帝内経・霊枢・栄衛生会篇から考察するに。

〔原文〕少壯者.血氣盛.肌肉滑.氣道通.榮衞之行.不失於常.故晝日精.夜不寤.
〔訓読〕
少壮は血気盛ん、肌肉滑(なめら)かにして気道通じ、栄衛の行(こう)、常を失わず 、
故に晝日(ちゅうじつ)は精(くわし)く、夜ば寤(さ)めざるなり。
〔解説〕
若い人は血気・栄血・衛気共に充実し、皮膚も筋肉も滑かであるから栄衝の循環の道もよく通利しているから気血の循環がよく円滑で正常である。
其れで昼はよく陽気が盛んであって頭が明断であり、夜は陰気が盛んになって眼が醒めないのである。

〔原文〕老人血氣衰.氣肉不滑.榮衞之道濇.故晝日不能精.夜不得寐也.故知老人不得寐也.
〔訓読〕
老人は血気衰え、肌肉滑かならず、栄衛の道濇(しぶ)る。
故に晝日(ちゅうじつ)は精きこと能(あた)わず 、夜は寐(ね)ことを得ざるなり。
故に老人の夜は寐(ね)を得ざるを知るなり。
〔解説〕
老人は栄血衛気共に衰え不足し、肌肉も硬化してくる。栄衛の道も渋(しぶ)ってくる。
だから、昼間はぼんやりして生気が無いし、夜は眠れない。
よって、老人になると不眠が常であると。

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