四五難

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難経第四十五難

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ゆっくり堂の『難経ポイント』第四十五難

※ 四十五難のポイント其の一は、
八会穴は蔵・府・筋・骨・髄・気・血・脈、の八つそれぞれの気が集まる所です。

※ 四十五難のポイント其の二は、
蔵・府・筋・骨・髄・気・血・脈、の八つの病の時の治療穴の説明がしてあります。

※ 四十五難のポイント其の三は、
八会穴の使用条件は、熱病で内に熱があって外に出ない場合ですね。

※ 難経四十五難臨床&エトセトラより。・・・・・・

〔原文〕熱病在内者.取其會之氣穴也.
〔訓読〕熱病内に在るものは其の会の気穴に取るなり。
〔井上恵理先生の臨床解説〕
熱病内に在るものは其の会の気穴に取るなり。

八会穴は、どう言う時に使うべきものなのかと言うと、
熱が蔵全体に渡っている時には臓会、章門穴に取り、
熱が府全体に渡っている時には腑会、中脘穴に取り、
筋肉に熱がある時には筋会、陽陵泉穴に取り、
髄熱の時には髄会、絶骨穴に取る。
こう言う風に、総ての八つの機能の熱病の場合にこのツボを取れば効くのだと。
いつでも効くのではなく 、
内に熱があって外に出ない場合ですね。
例えば、患者自身が非常に熱いと言いながら熱が外に出ない場合がある。
これを血熱と言います。
この場合には血会の膈兪穴に取る。
熱して骨が疼く場合、骨髄炎などの場合には骨会の大杼に取る。
脉が速くて熱がある場合は脉会の太淵穴にとる。
そう言う風に総ての蔵・府・筋・骨・髄・気・血・脈、
こう言う八つの機能の熱のある時にはここに取ればいいのだと言っております。

難経 第四十五難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

四十五難曰.
經言.
八會者.何也.
然.
府會大倉.
藏會季脇.
筋會陽陵泉.
髓會絶骨.
血會鬲兪.
骨會大杼.
脉會大淵.
氣會三焦外一筋直兩乳内也.
熱病在内者.
取其會之氣穴也.
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 四十五難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(454号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

四十五の難に臼く、
経に言う、
八会とは何んぞや 。
然るなり、
府会は大倉、
蔵会は季脇、
筋会は陽陵泉、
髄会は絶骨、
血会は鬲兪 、
骨会は大杼 、
脉会は太淵 、
気会は三焦、
外の一筋直ちに両乳の内な り。
熱病内に在るものは其の会の気穴に取るなり。

詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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四十五難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(454号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

四十五難の解説をします。

陰陽五行理論から考察すると。

人体には八会穴(はちえけつ )と言う気の会衆する重要な経穴があるが、それを説明しなさい。

お答えします。

腑会は足の陽明胃経の募穴で中脘穴です。
腑の気が会衆する所を大倉と言い即ち胃のことです。

臓会は足の太陰脾経の章門穴(肝経)で季脇にあります。

筋(腱:すじ)の気は陽陵泉に集る。

髄の気は絶骨に会衆します。

血会は膈兪穴に取る。

骨会は大杼、骨の気は大杼に会する。

脉会は太淵穴にとる。

気会:三焦の原気:宗気の会する所は両乳間の膻中穴である。

栄衛は気血ですが、機能的なものが宗気と言いますね。
例えは呼吸 ・心臓 が動くと言う様なものが宗気の働きだとされています。
この宗気を左右する所のものが即ち膻中のツボであると。

気会:三焦の原気:宗気

熱病内に在るものは其の会の気穴に取るなり。
八会穴は、どう言う時に使うべきものなのかと言うと、
熱が蔵全体に渡っている時には臓会、章門穴に取り、
熱が府全体に渡っている時には腑会、中脘穴に取り、
筋肉に熱がある時には筋会、陽陵泉穴に取り、
髄熱の時には髄会、絶骨穴に取る。
こう言う風に、総ての八つの機能の熱病の場合にこのツボを取れば効くのだと。
いつでも効くのではなく 、内に熱があって外に出ない場合ですね。
例えば、患者自身が非常に熱いと言いながら熱が外に出ない場合がある。
これを血熱と言います。
この場合には血会の膈兪穴に取る。
熱して骨が疼く場合、骨髄炎などの場合には骨会の大杼に取る。
脉が速くて熱がある場合は脉会の太淵穴にとる。
そう言う風に総ての蔵・府・筋・骨・髄・気・血・脈、
こう言う八つの機能の熱のある時にはここに取ればいいのだと言っております。

 四十五難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(454号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕四十五難曰.
〔訓読〕四十五の難に臼く、
〔解説〕四十五難の解説をします。

〔原文〕經言.
〔訓読〕経に言う。
〔解説〕陰陽五行理論から考察すると。

〔原文〕八會者.何也.
〔訓読〕八会とは何んぞや 。
〔解説〕
人体には八会穴(はちえけつ )と言う気の会衆する重要な経穴があるが、それを説明しなさい。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕府會大倉.
〔訓読〕府会は大倉、
〔解説〕腑会は足の陽明胃経の募穴で中脘穴です。
腑の気が会衆する所を大倉と言い即ち胃のことです。
諸府はみな水穀と関係しています。

〔原文〕藏會季脇.
〔訓読〕蔵会は季脇、
〔解説〕臓会は足の太陰脾経の章門穴(肝経)で季脇にあります。
季脇の部は、(脇は肋骨。季は未の部分、章門の部。 )の所を言います。
牌は水穀の精気を循らして諸蔵を養う故に臓会と言います。

〔解説補足〕
臓の代表は牌であって、府の代表は胃である。
即ち胃と牌は我々が食べた物・飲んだ物を総て浄化して、所謂栄衛と言う気血を穣茂する所ですから、諸蔵を養う所の蔵府を牌胃と言い、後天の気の生ずる所、母の気のある所だというので、牌の募穴を蔵会と言います。

〔原文〕筋會陽陵泉.
〔訓読〕筋会は陽陵泉、
〔解説〕筋(腱:すじ)の気は陽陵泉に集る。

〔井上恵理先生の臨床補足〕
筋(すじ )の病気と言うのは陽陵泉穴が主る。
取穴法は3つある。
1、普通は排骨小頭の前に取りますね。
2、筋会の場合は排骨小頭の下へ取る。
3、緋骨小頭の上に取る場合もあるんですよ。
大体、排骨小頭を巡って前と下と上と三 つの取り方がある。
実は三つだけじゃないんですが、三つの取り方を考えておく必要があるんですね。

〔解説補足〕
33 陽陵泉(ようりょうせん)穴:⑪ルート:足の少陽胆経・
合土穴:筋会:膝をたてて腓骨頭の前下際に取る.
(注1)陰陵泉穴と内外相対す. (注2)総腓骨神経が浅・深腓骨神経に分岐するところに当たる.

〔原文〕髓會絶骨.
〔訓読〕髄会は絶骨、
〔解説〕髄の気は絶骨に会衆します。
骨髄液は皆絶骨、即ち胆経外燥の上四寸の陽輔穴に流れ会すると考えられたのです。
髄会(髄の病に使う) – 懸鐘(胆経)
〔井上恵理先生の臨床補足〕
足外果から上方にスーッと撫でて行くと骨の切れる所がありますね。そこが絶骨です。
この絶骨にも二 つの考え方があり、即ち陽輔と言うツボを絶骨とする場合と、
その下の懸鐘を絶骨とする場合があります。その人によって違うんです。
「髄会は絶骨、」は足の外果の上四寸の所に所在するもので、脛骨の結節を指しています。

〔原文〕血會鬲兪.
〔訓読〕血会は鬲兪 、
〔解説〕血会は膈兪穴に取る。
膈兪穴は足の太陽膀胱経の背の第一側線で第七胸椎の下外方一寸五分に取穴します。
これはなぜ血会を膈兪穴に取っているかと言うと、
第五椎の陽傍に心兪があり、第九の陽傍に肝兪があります。
心兪は血を主り、肝兪は血を蔵すると言う。
何れも血に関係がある。
その血と血の問、両方に関係があるために膈兪を取るんだと考えられています。

第7ルート足の太陽膀胱経:
心兪:心経の兪穴 :第5・第6胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.
膈兪:八会穴・血会:第7・第8胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.
肝兪:肝兪の兪穴 :第9・第10胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.

〔原文〕骨會大杼.
〔訓読〕骨会は大杼 、
〔解説〕骨会は大杼、骨の気は大杼に会する。

〔本間祥白先生の臨床補足〕
骨会は大杼、骨の気は大杼に会する。
大杼は第一胸椎続突起の両傍一寸五分に取穴する。
人身の胸骨以下大部分の一肯は此処より下にかかっているので、骨の気が此処に会するのである。

〔原文〕脉會大淵.
〔訓読〕脉会は太淵 、
〔解説〕脉会は太淵穴にとる。脈会(脈の病に使う)- 太淵(肺経)。
肺経は気の代表・脈の始まり・気の大会(たいえ )であると一言うのは
第一難にあった通りで、こに脉の会穴を取ると言う事になります。

〔本間祥白先生の臨床補足〕
脉会は太淵
経脉の気は太陰肺経の寸口部大淵穴の部に会する事は一難二難に詳記されている通りである。

〔井上恵理先生の臨床補足〕
脉会は太淵、
これは手の太陰肺経で、我々が脈診をする時の寸口の所に当たるもので、
肺経は気の代表・脈の始まり・気の大会(たいえ )であると一言うのは
第一難にあった通りで、こに脉の会穴を取ると言う事になります。

難経一難の解説より。
寸口肺経の脉を一つ診るだけで五臓六腑、全身の状態が判り、
疾病により死ぬか生きるか、病気が治るか、病気が治らないか、が診断できると。

二難の解説より。
脉に尺寸と言う診方があるが、これについて説明しなさい。
お答えします。
尺寸の脉診・診断法は、陰陽の脉状を知る要の理論である 。
関の中ほどから尺の脉部の位置が、陰の脉診・診察が出来る所である。
関の中ほどから魚際(第一指掌骨基底)寸の脉部の位置が、陽の脉診・診察が出来る所である。
だから二難においては、寸尺二つに脉を分け陰陽を診る。
陰陽の脉部を厳密に分けると、陰の幅は尺の一寸で、陽の幅は寸の九分である。
脉位の幅は一寸九分であり、この尺寸の幅で険脈を行う事。

〔原文〕氣會三焦外一筋直兩乳内也.
〔訓読〕気会は三焦、外の一筋直ちに両乳の内なり。
〔解説〕気会:三焦の原気:宗気の会する所は両乳間の膻中穴である。

〔本間祥白先生の臨床補足〕

三十一難の訓読より。
三焦は、水穀の道路、氣の終始する所なり。
上焦は、心下下膈(かかく)に在り、胃上口に在り、内(い)れて出(いだ)さざることを主る。
其の治、膻中に在り、玉堂下一寸六分、直ちに兩乳の間、陷なるもの、是なり。
中焦は、胃の中脘に在り、上(のぼ)さず、下さず、水穀の腐熟することを主る。
其の治、臍(ほぞ)の傍(かたわ)らに在り。
下焦は、膀胱上口に當(あた)る、清濁を分別することを主り、出して内れさざることを主る。
其の治、齊下一寸陰交に在り。
故に名(なづ)けて三焦と曰う。
其の府氣街に在り。

7:陰交:下焦の衛気:神闕穴の下1寸に取る.
12:中脘:胃経の墓穴・腑会・中焦の栄気:神闕穴の上4寸に取る.
17:膻中:八会・気会・上焦の宗気:両乳頭を結ぶ線、胸骨体正中線上に取る.
(乳頭は第4肋間の高さ)膻中:は上気海と言う名もある

〔井上恵理先生の臨床補足〕
気会は三焦、外の一筋直ちに両乳の内也。
三焦は宗気の集まる所であり、
宗気とは三焦の原気の別名で、気会というものは三焦と相一致するものです。
故に三焦は内にあっては外に発する経脉であるから、
両乳の内の任脈経の膻中のツボが気会であり、宗気の集まる所とされています。
栄衛は気血ですが、機能的なものが宗気と言いますね。
例えは呼吸 ・心臓 が動くと言う様なものが宗気の働きだとされています。
この宗気を左右する所のものが即ち膻中のツボであると。

気会:三焦の原気:宗気

〔原文〕熱病在内者.取其會之氣穴也.
〔訓読〕熱病内に在るものは其の会の気穴に取るなり。
〔井上恵理先生の臨床解説〕
熱病内に在るものは其の会の気穴に取るなり。
八会穴は、どう言う時に使うべきものなのかと言うと、
熱が蔵全体に渡っている時には臓会、章門穴に取り、
熱が府全体に渡っている時には腑会、中脘穴に取り、
筋肉に熱がある時には筋会、陽陵泉穴に取り、
髄熱の時には髄会、絶骨穴に取る。
こう言う風に、総ての八つの機能の熱病の場合にこのツボを取れば効くのだと。
いつでも効くのではなく 、
内に熱があって外に出ない場合ですね。
例えば、患者自身が非常に熱いと言いながら熱が外に出ない場合がある。
これを血熱と言います。
この場合には血会の膈兪穴に取る。
熱して骨が疼く場合、骨髄炎などの場合には骨会の大杼に取る。
脉が速くて熱がある場合は脉会の太淵穴にとる。
そう言う風に総ての蔵・府・筋・骨・髄・気・血・脈、
こう言う八つの機能の熱のある時にはここに取ればいいのだと言っております。


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八会穴
会穴とは、気血の集まる所ろで八つ分類されている。
それぞれの系統の病に用いれば効果が期待できる。
八会穴の一覧
腑会(腑の病に使う) – 中脘(任脈)
臓会(臓の病に使う) – 章門(肝経)
血会(血の病に使う) – 膈兪(膀胱経)
脈会(脈の病に使う) – 太淵(肺経)
骨会(骨の病に使う) – 大杼(膀胱経)
筋会(筋の病に使う) – 陽陵泉(胆経)
髄会(髄の病に使う) – 懸鐘(胆経)
気会(気の病に使う) – 膻中(任脈)
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