難経第三十難
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ゆっくり堂の『難経ポイント』 第三十難
※ 三十難のポイント其の一は、榮氣(栄血)と衞氣は五臓六腑を栄養し生命が保たれる。
※ 三十難のポイント其の二は、栄血は脉中を行き、衞気は脉外を循環している。
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難経 第三十難 原文
(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。
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三十難曰.
榮氣之行.常與衞氣相隨不.
然.
經言.
人受氣於穀.
穀入於胃.乃傳與五藏六府.五藏六府.皆受於氣.
其清者爲榮.濁者爲衞.榮行脉中.衞行脉外.
榮周不息.五十而復大會.
陰陽相貫.如環之無端.故知榮衞相隨也.
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三十難の訓読
(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(422号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)
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三十の難に曰く。
榮氣の行(こう)、常に衞氣(えき)と相隨うや、いなや。
然るなり。
経に言う。
人は氣を穀に受く、
穀胃に入って、乃ち五臓六腑に伝与す、五臓六腑、皆な氣を受く。
其の清きものは榮となし、濁るものは衞となす、榮は脉中を行き、衞は脉外を行く。
榮周して息(や)まず、五十にして復(ま)た大いに會(かい)す、
陰陽相貫くこと、環の無きが如し、故に知らん榮衞相隨うことを。
・ 詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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三十難の解説
(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(422号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)
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三十難の解説をします。
榮氣(栄血)と衞氣は十二経絡を循環しているが、
この二気はどの様な関係を持ちながら循環するのか説明しなさい。
お答えします。
黄帝内経・霊枢の栄衛生会篇から考察するに。
人身の気血の氣は飲食物から受けとる。
飲食物が胃に入って脾の活動により消化吸収され、先ず一番目に宗気が出て胸中につみ呼吸を司る。
次に飲食物の最も精微なる栄養分が中焦より吸収され栄血となる。
その残りの糟は下焦に下って蒸し出されたものが衛気である。
そして榮氣(栄血)と衞氣が十二経絡を循環して五臓六腑を栄養し生命が保たれているのである。
飲食物の最も精微なる栄養分は栄血となり、濁るものは今一度浄化されて衞気となる。
栄血は脉中を行き、衞気は脉外を循環している。
榮衞の気は昼に二十五回めぐり、夜に二十五回めぐり気の一巡が完了する。
だから、一日五十回転の気の循環をして手の太陰肺経の動脈に戻ってくる。(難経第一難より)
榮衞の気は陰陽をあまねく循っり、十二経脉は環の端し無きが如くに連結している。
だから、榮衞の気は相従う関係にあるのだと。
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詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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三十難の詳細解説
(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(422号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。
山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。
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〔原文〕三十難曰.
〔訓読〕三十の難に曰く。
〔解説〕三十難の解説をします。
〔原文〕榮氣之行.常與衞氣相隨不.
〔訓読〕榮氣の行(こう)、常に衞氣(えき)と相隨うや、いなや。
〔解説〕榮氣(栄血)と衞氣は十二経絡を循環しているが、
この二気はどの様な関係を持ちながら循環するのか説明しなさい。
〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。
〔原文〕經言.
〔訓読〕経に言う。
〔解説〕黄帝内経・霊枢の栄衛生会篇から考察するに。
〔原文〕人受氣於穀.穀入於胃.乃傳與五藏六府.五藏六府.皆受於氣.
〔訓読〕人は氣を穀に受く、穀胃に入って、乃ち五臓六腑に伝与す、五臓六腑、皆な氣を受く。
〔解説〕
人身の気血の氣は飲食物から受けとる。
飲食物が胃に入って脾の活動により消化吸収され、先ず一番目に宗気が出て胸中につみ呼吸を司る。
次に飲食物の最も精微なる栄養分が中焦より吸収され栄血となる。その残りの糟は下焦に下って蒸し出されたものが衛気である。
そして榮氣(栄血)と衞氣が十二経絡を循環して五臓六腑を栄養し生命が保たれているのである。
〔原文〕其清者爲榮.濁者爲衞.
〔訓読〕其の清きものは榮となし、濁るものは衞となす、
〔解説〕飲食物の最も精微なる栄養分は栄血となり、濁るものは今一度浄化されて衞気となる。
〔原文〕榮行脉中.衞行脉外.
〔訓読〕榮は脉中を行き、衞は脉外を行く。
〔解説〕栄血は脉中を行き、衞気は脉外を循環している。
〔原文〕榮周不息.五十而復大會.
〔訓読〕榮周して息(や)まず、五十にして復(ま)た大いに會(かい)す、
〔解説〕
榮衞の気は昼に二十五回めぐり、夜に二十五回めぐり気の一巡が完了する。
だから、一日五十回転の気の循環をして手の太陰肺経の動脈に戻ってくる。(難経第一難より)
〔原文〕陰陽相貫.如環之無端.故知榮衞相隨也.
〔訓読〕陰陽相貫くこと、環の無きが如し、故に知らん榮衞相隨うことを。
〔解説〕
榮衞の気は陰陽をあまねく循っり、十二経脉は環の端し無きが如くに連結している。
だから、榮衞の気は相従う関係にあるのだと。
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