難経 第二九難
ank029
ゆっくり堂の『難経ポイント』 第二九難
※ 二十九難のポイント其の一は、奇経八脉の病症についての説明論述です。
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※ 難経第二十九難 臨床&エトセトラより。・・・・・・
現在、ゆっくり堂が使用しているの「奇経治療病証判定一覧表」に、
今回の二十九難解説を合体してみました。
また、臨床上の気付きが出てくれば良いなと思います。
「奇経治療病証判定一覧表&二十九難解説コーナー」
後部に掲載してます。
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難経 第二十九難 原文
(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。
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二十九難曰.
奇經之爲病.何如.
然.
陽維維於陽.陰維維於陰.
陰陽不能自相維.則悵然失志.溶溶不能自收持.
陽維爲病.苦寒熱.
陰維爲病.苦心痛.
陰蹻爲病.陽緩而陰急.
陽蹻爲病.陰緩而陽急.
衝之爲病.逆氣而裏急.
督之爲病.脊強而厥.
任之爲病.其内苦結.男子爲七疝.女子爲瘕聚.
帶之爲病.腹滿腰溶溶.若坐水中.
此奇經八脉之爲病也.
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二十九難の訓読
(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(442号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)
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二十九の難に曰く。
奇経の病なすこと、如何ん。
然るなり。
陽維は陽を維し、陰維は陰を維す。
陰陽自ら相維すること能わざるときは、悵然(ちょうぜん)として志を失し、
溶溶として自ら收持すること能わず。
陽維の病をなすこと、寒熱を苦む、
陰維の病をなすこと、心痛を苦む、
陰蹻の病をなすこと、陽緩くして陰急、
陽蹻の病をなすこと、陰緩くして陽急、
衝の病をなすこと、逆氣して裏急す、
督の病をなすこと、脊(せ)強(こわば)りて厥す、
任の病をなすこと、其の内は結(むすぼれ)を苦しむ、男子は七疝となし、女子は瘕聚(かじゅう)をなす、
帶の病たること、腹滿し腰溶溶として、水中に坐するが若(ごと)し、
此れ奇経八脉の病のをなすなり。
・
詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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二十九難の解説
(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(442号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)
・
二十九難の解説をします。
奇経八脉の病症とはどの様なものか説明しなさい。
お答えします。
陽維脉は諸陽経と交会し、陰維脉は諸陰経と交会している。
陽維脉と陰維脉がそれぞれ諸陽諸陰経と交会できない時は、
「悵然(ちょうぜん)とし」恐れ驚き、「志を失し」自分の心をコントロールできなくなり、
「溶溶として」行動が緩慢になり、「自ら收持すること能わず」自分で自分の身体を支える事が出来なくなる。
〔井上恵理先生の臨床病症では、〕
陽維脉に病気が入ると、熱もないのに譫言(うわごと)を言うようになる。
陰維脉に病気が入ると、ボーッと遠くを見つめ気が抜けた様になる。
陽維脉に病気が入ると、身体が熱くなったり、寒くなったりして震え、悪寒で苦しむ。
陰維脉に病気が入ると、胸の中が痛くなり苦む。
陰蹻脉に病気が入ると、下腿の内側の筋肉が突っ張って来て外側の筋肉が緩んむ病症が出る。
陽蹻脉に病気が入ると、下腿の外側の筋肉が突っ張って来て内側の筋肉が緩んむ病症が出る。
衝脉に病気が入ると、「逆氣して」のぼせて、頭にカーッと血が上がり、頭が熱くなる。
頭が眩(くら)めき、フラフラする。そして「裏急す」胸の中が痛みだす病症が出る。
督脉に病気が入ると、脊中が強張って上の方にズーッと冷え上がる病症が出る。
任脉に病気が入ると、
男子には七疝の病症が出る。
1肝の疝・2心の疝・3気の疝・4肺の疝・5腎の疝・6疒に禿頁が入る漢字の疝・7狐の疝。
「狐の疝」は、夜になると痛む。キツネ=狐は夜出るから。
「疒に禿頁が入る漢字の疝」は、裏急後重(りきゅうこうじゅう)して痛むこと。
疝気とは、男子が気の結ぼれから病気になる事です。男は下腹にしこりがない、ただ痛む。
腸疝痛・正経の痛み・腰腹神経痛などです。
女子は瘕聚(かじゅう)の病症が出る。
「結(むすぼれ)」とは腹内の結積。
「瘕聚(かじゅう)」とは、血の結ぼれから月経留滞して塊聚をなす瘀血の病症が出る。
帯脉に病気が入ると、
「腹滿し」腹が膨れて、「腰溶溶」腰の筋肉が緩んで、水の中に坐わっている様な症状が出る。
これが奇経八脉の病症だと。
・
詳しくは各先生の文献を参照されたし。
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二十九難の詳細解説
(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(442号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。
山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。
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〔原文〕二十九難曰.
〔訓読〕二十九の難に曰く。
〔解説〕二十九難の解説をします。
〔原文〕奇經之爲病.何如.
〔訓読〕奇経の病なすこと、如何ん。
〔解説〕奇経八脉の病症とはどの様なものか説明しなさい。
〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。
〔原文〕
陽維維於陽.陰維維於陰.
陰陽不能自相維.則悵然失志.溶溶不能自收持.
〔訓読〕
陽維は陽を維し、陰維は陰を維す。
陰陽自ら相維すること能わざるときは、悵然(ちょうぜん)として志を失し、
溶溶として自ら收持すること能わず。
〔解説〕
陽維脉は諸陽経と交会し、陰維脉は諸陰経と交会している。
陽維脉と陰維脉がそれぞれ諸陽諸陰経と交会できない時は、
「悵然(ちょうぜん)とし」恐れ驚き、「志を失し」自分の心をコントロールできなくなり、
「溶溶として」行動が緩慢になり、「自ら收持すること能わず」自分で自分の身体を支える事が出来なくなる。
〔井上恵理先生の臨床病症では、〕
陽維脉に病気が入ると、熱もないのに譫言(うわごと)を言うようになる。
陰維脉に病気が入ると、ボーッと遠くを見つめ気が抜けた様になる。
〔原文〕
陽維爲病.苦寒熱.
陰維爲病.苦心痛.
〔訓読〕
陽維の病をなすこと、寒熱を苦む、
陰維の病をなすこと、心痛を苦む、
〔解説〕
陽維脉に病気が入ると、身体が熱くなったり、寒くなったりして震え、悪寒で苦しむ。
陰維脉に病気が入ると、胸の中が痛くなり苦む。
〔原文〕
陰蹻爲病.陽緩而陰急.
陽蹻爲病.陰緩而陽急.
〔訓読〕
陰蹻の病をなすこと、陽緩くして陰急、
陽蹻の病をなすこと、陰緩くして陽急、
〔解説〕
陰蹻脉に病気が入ると、下腿の内側の筋肉が突っ張って来て外側の筋肉が緩んむ病症が出る。
陽蹻脉に病気が入ると、下腿の外側の筋肉が突っ張って来て内側の筋肉が緩んむ病症が出る。
〔井上恵理先生の難経二十九難解説から、〕
足の外踝(そとくるぶし)以上を陽とし、足の内踝(うちくるぶし)以上を陰と診る。
〔原文〕衝之爲病.逆氣而裏急.
〔訓読〕衝の病をなすこと、逆氣して裏急す、
〔解説〕
衝脉に病気が入ると、「逆氣して」のぼせて、頭にカーッと血が上がり、頭が熱くなる。
頭が眩(くら)めき、フラフラする。そして「裏急す」胸の中が痛みだす病症が出る。
〔原文〕督之爲病.脊強而厥.
〔訓読〕督の病をなすこと、脊(せ)強(こわば)りて厥す、
〔解説〕督脉に病気が入ると、脊中が強張って上の方にズーッと冷え上がる病症が出る。
〔原文〕任之爲病.其内苦結.男子爲七疝.女子爲瘕聚.
〔訓読〕
任の病をなすこと、其の内は結(むすぼれ)を苦しむ、男子は七疝となし、女子は瘕聚(かじゅう)をなす、
〔解説〕
任脉に病気が入ると、
男子には七疝の病症が出る。
1肝の疝・2心の疝・3気の疝・4肺の疝・5腎の疝・6疒に禿頁が入る漢字の疝・7狐の疝。
「狐の疝」は、夜になると痛む。キツネ=狐は夜出るから。
「疒に禿頁が入る漢字の疝」は、裏急後重(りきゅうこうじゅう)して痛むこと。
疝気とは、男子が気の結ぼれから病気になる事です。男は下腹にしこりがない、ただ痛む。
腸疝痛・正経の痛み・腰腹神経痛などです。
女子は瘕聚(かじゅう)の病症が出る。
「結(むすぼれ)」とは腹内の結積。
「瘕聚(かじゅう)」とは、血の結ぼれから月経留滞して塊聚をなす瘀血の病症が出る。
〔本間祥白先生の解説〕
「結(むすぼれ)」とは腹内の結積。
「瘕聚(かじゅう)」とは月経留滞して塊聚をなす瘀血の症。
〔井上恵理先生の難経二十九難解説から、〕
男子には七疝の病症がでる。
1肝の疝・2心の疝・3気の疝・4肺の疝・5腎の疝・6疒に禿頁が入る漢字の疝・7狐の疝。
「狐の疝」は、夜になると痛む。キツネ=狐は夜出るから。
「疒に禿頁が入る漢字の疝」は、裏急後重(りきゅうこうじゅう)して痛むこと。
疝気とは、男子が気の結ぼれから病気になる事です。男は下腹にしこりがない、ただ痛む。
腸疝痛・正経の痛み・腰腹神経痛などです。
「瘕聚(かじゅう)」とは、女性に出る。女には結ぼれ・塊がある。押すとゴロゴロがあります。
※ 部首 やまいだれ、疒に禿頁が入る漢字は、何と言う漢字でしょうか?。
※ 裏急後重(りきゅうこうじゅう)
裏急とは「お尻」のことです。後重とは「後ろに重くなる」のことです。
つまり、大便が出そうなのでトイレに入りますが、大便は出ません。
が・・トイレを出ると、また、便意があります。この繰り返しの症状です。
〔原文〕帶之爲病.腹滿腰溶溶.若坐水中.
〔訓読〕帶の病たること、腹滿し腰溶溶として、水中に坐するが若(ごと)し、
〔解説〕
帯脉に病気が入ると、
「腹滿し」腹が膨れて、「腰溶溶」腰の筋肉が緩んで、水の中に坐わっている様な症状が出る。
〔原文〕此奇經八脉之爲病也.
〔訓読〕此れ奇経八脉の病のをなすなり。
〔解説〕これが奇経八脉の病症だと。
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奇経八脉の使用経穴
左 手 | 右 手 | |||
小腸 | 心 | 寸口 | 肺 | 大腸 |
督 脉 | 手の少陰脉 | 任 脉 | 手の陽明脉 | |
左後谿→右申脈 | 左通里→左太衝 | 右列欠→左照海 | 右合谷→左陥谷 | |
左通里→右公孫 | ||||
胆 | 肝 | 関上 | 脾 | 胃 |
帯 脉 | 足の厥陰脉 | 衝 脉 | 足の陽明脉 | |
左足臨泣→右外関 | 左太衝→左通里 | 右公孫→右内関 (左公孫40%) |
左陥谷→右合谷 | |
左太衝→左神門 | ||||
左太衝→右内関 | ||||
膀胱 | 腎 | 尺中 | 命門 | 三焦 |
陽 蹻 脉 | 陰 蹻 脉 | 陰 維 脉 | 陽 維 脉 | |
右申脈→左後谿 | 左照海→右列欠 | 右内関→右公孫 | 右外関→左足臨泣 | |
右内関→左太衝 | ||||
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現在、ゆっくり堂が使用しているの「奇経治療病証判定一覧表」に、
今回の二十九難解説を合体してみました。
また、臨床上の気付きが出てくれば良いなと思います。
奇経治療病証判定一覧表&二十九難解説コーナー
壱 | |
衝 脉 | 陰 維 脉 |
右公孫 → 右内関 | 右公孫 ← 右内関 |
難経第二十九難の解説 | |
衝脉に病気が入ると、
「逆氣して」のぼせて、頭にカーッと血が上がり、頭が熱くなる。 そして「裏急す」胸の中が痛みだす病症が出る。 |
陽維脉は諸陽経と交会し、陰維脉は諸陰経と交会している。 陽維脉と陰維脉がそれぞれ諸陽諸陰経と交会できない時は、 「悵然(ちょうぜん)とし」恐れ驚き、「志を失し」自分の心をコントロールできなくなり、 「溶溶として」行動が緩慢になり、「自ら收持すること能わず」自分で自分の身体を支える事が出来なくなる。 |
陰維脉に病気が入ると、ボーッと遠くを見つめ気が抜けた様になる。〔井上恵理先生の臨床病症では、〕 | |
二十九難の解説、
陰維脉に病気が入ると、胸の中が痛くなり苦む。 |
|
「よくわかる奇経治療」の参考例 | |
奇経腹診の反応部位:臍の外方5分肓兪穴に現れる。 | 奇経腹診の反応部位: 両大黄穴(臍の外方3寸5分)と心窩部に現れる。 |
診方:中指の先端で斜めが外下に圧する。 ツボに指先を引っ掛けるように圧する。 反応は指下に硬結。 |
診方: 大黄穴の圧し方は中指でグーンと入り込むように行う。 心窩部は心下満の状態で、四指端で軽く圧しても気持ちの悪いところである。 この二つの証がそろうと陰維脉の証である。 |
病証のポイント:難経「逆気の証にして裏に急なり」 裏は腑(腸)、急は痙攣。鍼灸聚英でも腸や婦人科の激しい痛みを多くあげている。 |
病証のポイント:難経29難「心痛に苦しむ」精神不安感を多く含む。衝脉の心痛は疼痛性。 |
病証: ①心臓疾患(狭心症・心筋梗塞・心悸亢進・圧迫感) ②消化器系疾患(下痢・便秘・脱肛・痔・胃痙攣) ③婦人科疾患 (更年期障害、上衝感・生理痛・冷え性・産後の不調) ④精神疾患・内分泌障害・自律神経失調・ ⑤泌尿器疾患 |
病証: ①心臓部の一般症状 (心臓部、胸部の圧迫感・狭心症・心下部痛) ②胸が苦しい・胸が息苦しい。 ③胃痙攣・胆石仙痛・胆嚢炎。 ④心臓の痛みに対する不安。 ⑤食物が胸や心下部に つかえて通らない。 ⑥咽喉の異和感・腹鳴・食欲不振・便秘 |
経絡治療学原論 の参考例 | |
(公孫:足では脾経、胸腹では腎経) (内関:心包経)
これらの経路に現れる疼痛、腫脹、麻痺、熱感、冷感の諸侯。 |
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病証: 1、咽頭腫痛。 2、心臓性・陰性の胸部疼痛、胸いきれ。 3、心下及び大腹の嘔気、嘔吐、食滞、膨満しゃくつう癪痛、 動悸。 4、胸腹(脾)・臍腹(腎)の脹満、疼痛、 攣急、癪痛、逆気上衝、動悸。 5、胃・腎・大腸性痛の下痢、便秘、下血。 6、婦人科疾患、泌尿器疾患の一部、 更年期障害、冷えのぼせ。 7、脱肛、痔疾。 |
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診察点: 衝脈 :気舎・肓兪・三陰交・公孫。 | 診察点: 陰維脈:天突・期門・腹哀・大横・府舎・築賓。 |
弐 | |
帯 脉 | 陽 維 脉 |
左足臨泣 → 右外関 | 左足臨泣 ← 右外関 |
難経第二十九難の解説 | |
帯脉に病気が入ると、 「腹滿し」腹が膨れて、 「腰溶溶」腰の筋肉が緩んで、 水の中に坐わっている様な症状が出る。
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陽維脉は諸陽経と交会し、陰維脉は諸陰経と交会している。 陽維脉と陰維脉がそれぞれ諸陽諸陰経と交会できない時は、 「悵然(ちょうぜん)とし」恐れ驚き、「志を失し」自分の心をコントロールできなくなり、 「溶溶として」行動が緩慢になり、「自ら收持すること能わず」自分で自分の身体を支える事が出来なくなる。 |
陽維脉に病気が入ると、熱もないのに譫言(うわごと)を言うようになる。 〔井上恵理先生の臨床病症では、〕 |
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二十九難の解説 陽維脉に病気が入ると、身体が熱くなったり、寒くなったりして震え、悪寒で苦しむ。 |
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「よくわかる奇経治療」の参考例 | |
奇経腹診の反応部位: 両下腹部で、鼠蹊部のやや上方で診る。 陽維脉の反応と比較しながら行うが、帯脉部は軽めに圧診する。 |
奇経腹診の反応部位: 帯脉部と比較しながら診る。 両悸肋部に出る。 |
診方: 陽維脉に同じで、腹壁反射に注意。 |
診方: 少指丘を当てる。 ゆっくり圧を加えその反応の有無を診る。 ただ、少し圧しても反応がなく、深く圧して硬結圧痛をみる場合もある。 |
病証のポイント:陽維脉より陰性的で深い病証になる。また婦人科疾患が含まれる。正経の胆経上の病証が多い。 | 病証のポイント:浅い部位での病証、陽性的な手足の痛み、胆経上の病証。 中枢的要素はない。 |
病証: ①婦人科疾患(生理痛、生理不順、赤白帯下) ②下腹部痛、腰の冷痛 ③上肢下肢関節の 腫れ、痛み、麻痺、 筋肉痛。 ④股関節周囲炎。 ⑤耳の病。 |
病証: ①頚肩背腰、胸部の痛みや腫れ。 ②大腿、膝、下腿外側の腫れ、痛み、麻痺、ひきつり、発熱、打撲、捻挫。 ③上肢(肩関節)の腫れ、痛み、麻痺、ひきつり ④頭痛、片頭痛、めまい、三叉神経痛(1・2枝) ⑤眼科疾患・耳の病・歯痛。 ⑥胸脇苦満、肝臓病、胆嚢炎、膵臓疾患、 十二指腸部三徴候。⑦自汗、盗む汗。 |
経絡治療学原論 の参考例 | |
(足臨泣: 胆 経 ) (外関:三焦経 ) | |
病証: 1、前頭、側頭、後頭、頭頂の疼痛、浮腫。 2、眼病、耳病の一般、三叉神経痛、 外側歯牙歯齦痛。 3、頭眩、眩暈、メニエール氏症候群、自汗、盗汗。。 4、少陽病の胸脇苦満、感熱往来、胆肝疾患 5、胸腹・下腹の脹満、疼痛、腰部冷痛、 月経不調、赤白帯下。 |
|
診察点:帯脈:章門、帯脈、五枢、維道、居髎。 | 診察点:陽維脈:肩井、天髎、居髎、陽陵泉、陽交 |
参 | |
督 脉 | 陽 蹻 脉 |
左後谿 → 右申脈 | 左後谿 ← 右申脈 |
難経第二十九難の解説 | |
督脉に病気が入ると、 脊中が強張って上の方にズーッと冷え上がる病症が出る。 |
陽蹻脉に病気が入ると、 下腿の外側の筋肉が突っ張って来て内側の筋肉が緩んむ病症が出る。 |
「よくわかる奇経治療」の参考例 | |
奇経腹診の反応部位: 気海、陰交穴付近に硬結と圧痛が出現する。 |
奇経腹診の反応部位: 腰部第12肋骨先端に横線を引き腸骨稜の線上、縦は志室の線で囲まれた面を反応部と診る。 |
診方: 下腹部正中線の石門、陰交穴付近は任脉の反応や胃の部反応も出現するところなので、まず病症的に督脉が予想される場合はテスターを貼付する。 証が正しければ、この反応は消失する。 |
診方: 仰臥位患者の側腹部より腰部外側に手を入れて示指、中指、薬指、小指の四指を腹部の方へ挙げる様にして診る。 陽蹻脉の反応がある場合は、この部が硬く面をなしており、指が腹部の方へ動かず、また指が反応部に入らないこともある。 四指がすんなり入る時は陽蹻脉の証ではない。 督脉の反応点と共に病症を考えて診察すること。 |
病証のポイント:最も陽性が強く中枢性疾患や病症の深いもの、 または全身症状の強いものなど。 |
病証のポイント:督脉に次いで陽性が強く中枢性疾患、 病症は督脉よりも浅いもの、限局性の病症。 |
病証:①項頸部・肩背腰部: 背中や関節が痛む、 腫れる、リウマチ、神経痛。 ②手足の:ひきつり、痛み、麻痺、腫れ、冷え。 ③発熱、上衝、自汗、盗汗(陽性、陰性) ④中枢性疾患:中風による言語障害、てんかん、高血圧、低血圧。 ⑤鼻の病・目の病。 ⑥歯痛・心臓・のどの病。 |
病証:①頸肩背腰部の硬結や痛み、こわばり。 ②中枢性疾患:中風による片麻痺・言語障害。 ③手足の: 痛み、麻痺、拘縮、痙攣、冷え。 ④目の病・ 耳鼻科疾患。 ⑤歯痛・三叉神経痛(2,3枝) ⑥陽虚による汗、 顔にかく。 ⑦風邪、てんかん。 |
経絡治療学原論 の参考例 | |
(後谿: 小腸経 ) (申脈: 膀胱経 ) |
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病証: 1、頭頂、後頭、後頸、の疼痛、麻痺および言語障害を伴う中風。 |
|
診察点: 督脈:諸病により圧痛部が相違するから必ず全体的に診査する。。 |
診察点: 陽蹻脈:附分、膏肓、委中、承山、跗揚、僕参。。 |
四 | |
任 脉 | 陰 蹻 脉 |
右列欠 → 左照海 | 右列欠 ← 左照海 |
難経第二十九難の解説 | |
任脉に病気が入ると、
男子には七疝の病症が出る。 ・ 女子は瘕聚(かじゅう)の病症が出る。 |
陰蹻脉に病気が入ると、 下腿の内側の筋肉が突っ張って来て 外側の筋肉が緩んむ病症が出る。 |
「よくわかる奇経治療」の参考例 | |
奇経腹診の反応部位: 下腹部正中線上の関元、石門穴付近。 |
奇経腹診の反応部位: 両天枢(臍の外方2寸)で診る。 ただし、このツボは手の陽明脉(合谷→陥谷)・陽蹻脉(申脉→後谿)の反応が現れる場所なので注意が必要。 |
診方: 関元、石門穴付近をやや深めに圧すると硬結圧痛がある。 陰蹻脉と任脉の判別の際、天枢と比較して圧するが天枢穴は浅く、関元、石門穴葉深めに圧するのがコツ。 |
診方: 天枢穴は浅目に圧する。 陰蹻脉証の場合は任脉の反応もよく出ていることが目安になる。 |
病証のポイント: 下腹部の疾患を考えるが、正経である肺経病証を多く含んでいる。 例えば呼吸器・皮膚疾患など。 |
病証のポイント: 主に下焦の病を考える。 腎経の病証や腹部では胃経上に反応を現すので胃経の病証も多く含んでいる。 また、腰仙部の疾患にはほとんど用いられる。 |
病証: ①下腹部の痛み、腸満、下痢、便秘。 ②婦人科疾患(月経痛・下血・子宮筋腫・帯下) ③泌尿器疾患(膀胱炎・前立腺疾患・尿閉・血尿) ④神経症。 ⑤皮膚炎 (持続ストレス性アトピー症・蕁麻疹) ⑥咳嗽・鼻疾患。 ⑦痔疾患、脱肛・歯痛。 |
病証: ①胃疾患(胃・十二指腸潰瘍、胃炎、胃下垂) ②膵臓疾患 ③腸疾患(便秘、大腸炎、痔疾、脱肛、虫垂炎) ④泌尿器 (腎炎・腎盂炎) ⑤膀胱疾患(膀胱炎・尿閉・遺尿・血尿) ⑥婦人科疾患(子宮出血・月経痛、帯下・卵巣炎・子宮筋腫・産後の残り) ⑦咽頭痛。 ⑧腰仙部痛・膝痛・下肢の冷え。 |
経絡治療学原論の参考例 | |
(列欠: 肺 経 ) | (照海: 腎 経 ) |
病証:1、前部歯牙歯齦腫痛。 2、咳嗽、喘息、少気、痰の病。 3、心下部の膨満、疼痛、嘔気、嘔吐。 4、臍腹および小腹の脹満、疼痛、下痢、便秘、遺尿、尿閉、血尿。 5、婦人科疾患: 難産、胞依不出、死産、産後腹痛、血の道証 6、痔疾、脱肛、便秘。 7、足寒、足熱、原気衰弱、腎疾患一般。 |
|
診察点:任脈:諸病により圧痛部が相違するから全体にわたって診査する。 | 診察点:陰蹻脈:人迎より缺盆、交信、照海、然谷。 |
五 | |
手の陽明脉 大腸経 | 足の陽明脉 胃経 |
右合谷 → 左陥谷 | 右合谷 ← 左陥谷 |
「よくわかる奇経治療」の参考例 | |
奇経腹診の反応部位:両天枢穴に反応が出る。 陰蹻脉も同部位であるが、の違いは、手の陽明脉は浅く反応があり、 陰蹻脉(左照海→右列欠)は、深い所まで硬結圧痛がある。 |
奇経腹診の反応部位:右下腹部の虫垂炎の反応の現れる部。(マックバーネー点付近) |
診方: 病証とにらみあわせて証を考え、その上で反応をみること。 |
診方: 虫垂炎の圧診点と一致している。必ず圧痛と硬結が出現する。 |
病証のポイント:主に大腸経の病証。 元来は陽維脉(右外関→左足臨泣)に含まれるものであるが、 陽維脉の領域の内、手足陽明経同士を結ぶより効果的なものになる。 |
病証のポイント:主に胃経の病証。 陽維脉や帯脉の病証の一分野。 特に手足の陽明経上の病証に効果がある。 |
病証:①上腕前腕の大腸経上の痛み。 ②顔面痛、歯痛、(下)、歯齦炎はぐき(上)。 ③咽頭痛、鼻の病。 ④乳腺炎(上部) |
病証:①大腿下腿前面の痛みと 麻痺。 ②漆関節痛。 ③顔面痛、顔面麻痺、上眼瞼下垂。 ④歯痛、(上)、 歯齦炎はぐき(下)。 ⑤便秘、腹痛。 ⑦乳腺炎(下部)。 |
六 | |
手の少陰脉 心経 | 足の厥陰脉 肝経 |
左通里 → 左太衝 | 左通里 ← 左太衝 |
「よくわかる奇経治療」の参考例 | |
奇経腹診の反応部位:右悸肋部、胃経の不容、衝満穴、碑経の腹哀穴付近より斜めに右天枢穴にかけての面をなした部位。 | 奇経腹診の反応部位:左悸肋部より左天枢穴にかけて、面をなして三角形の板でも入っているような反応帯として触れる。 |
診方:右悸肋部、から右天枢穴にかけて反応がある。 足厥陰脉の反応のように広い面ではなく右悸肋部の不容、腹哀穴から望棒状に枢穴にある。左側の反応と比べると右側は硬結が深い。 |
診方:手掌と中指でツボと面と両方を診るようにする。 |
病証のポイント:心、心包経の病証を考える。 また、胆のう、肝臓疾患に用いる。 |
病証のポイント: 関経や胆経の病証を多く含んでいる。 また肝臓・膵臓疾患、ストレスから来る胸脇苦満、心下満。 その他、筋に関係する病に用いる。陽維脈(右外関→左足臨泣)+陽蹻脉(右申脈→左後谿)の病証に効果がある。 |
病証:①肝臓疾患、 胆のう疾患。 ②胸脇苦満、心下満。 ③肩背腰部痛。 ④上腕前腕内側痛。 ⑤肩関節痛。 ⑥胸内苦悶。 |
病証:①肝臓疾患、 胆のう疾患。 ②膵臓疾患・胃疾患。 ③眼科疾患。 ④頭痛。 ⑤肩関節痛、肩背腰部痛。 ⑥漆関節痛。 ⑦前立腺炎、 前立腺肥大症。 ⑧内分泌疾患。 ⑨五十肩。 ⑩心臓疾患。 ⑪解毒作用関係疾患(皮膚病、アレルギー症) |
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