二、顔面(ロ)

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二、顔面(ロ)

このコーナーでは臨床に直接役立つ経絡鍼灸の証決定・本治法・標治法の方法を述べます。

参考文献は、小里勝之(こさとかつゆき)先生の臨床発表「論考:身体各部の病症と経絡鍼灸治療」を
ベースにして、 ここに、『鍼灸重宝記』と、HPゆっくり堂の経絡鍼灸教科書を加えて構成します。
また、適宜、東洋はり医学会の臨床経験文を参考に考察を行います。


鍼灸師の先生方のご意見・間違いの指摘・などを、当院へお送りくだされば幸いです。

 顔面の流注 病症の特徴 弁証・治療方法
 陽明経の
胃経・大腸経が巡っている。
 神経痛、麻痺、痙攣。
三叉神経痛、俗に顔面神経痛。
 主証は肺肝相剋か脾肝相剋証。
 第一枝は顴骨(かんこつ:ほほぼね)から上の顔面部。   激痛の場合は肝経の陰実があり、大腸経、胃経に虚性の邪がある。
陽経と患側のナソ部の処置を充分に行うこと。
傷む箇所には細い鍼で接触鍼で静かに留める様に施術する。
 第二枝は目の下、上歯、耳の前。
第三枝は下顎部の痛み。
激痛になると口を開けず、風を嫌う。

 顔面麻痺の病症と特徴  弁証・治療方法
これは普通片側に生ずるが、両側もある。眼瞼(がんけん)が締まりきらない。
口角から水が漏れたり、歯肉と頬の間に食物が挟まる。額に皴がなくなる。
笑うと口や鼻が健康側に引きつる。味覚障害を伴う場合は経過が長い。
主証は脾虚か肺虚で肝経は虚、発病当時は肝実の場合もある。
ナソ所見の処理は健側、患側共に入念に行い時に耳下腺部の腫脹ある時はこれを除き、
患部には細い鍼で接触鍼あるいは1~2ミリの刺鍼でけして強い刺激を与えてはいけない。経穴は攅竹(さんちく)・頭臨泣・懸釐・下関・四白・迎香・大迎・地倉、等を適宜使用。

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『鍼灸重宝記』治療穴より.

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攅竹(さんちく)

2攅竹(さんちく)  所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:眉毛の内端陥凹部に取る.

『鍼灸重宝記』攅竹(さんちく)  (二穴)

取穴: 両眉の頭、すこし毛の中へ入、陥の中。
灸法:禁灸、
針法:針一分。
主治:
目暗く涙出、眼赤いたみ、 瞳かゆく 、臉瞯(せんかん)動し 、頬いたみ、尸厥(しかばねけつ)、
風眩、 てんかん、 狂乱、鬼魅をつかさどる。

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頭臨泣

15 頭臨泣 (あたまりんきゅう)  所属経絡:胆経・ 取穴部位:瞳孔の直上で、神庭穴と頭維穴を結ぶ線上との交点に取る.

『鍼灸重宝記』臨泣 ( 二穴)

取穴: 目の真中の行の上、髪際より五分上、すなはち神庭の左右へ二寸二分 半づっ開く。
灸法:禁灸。
針法: 針二分、留ること五呼、
主治:
目眩(くるめ)き、  目痛み、 白翳(はくりゅう:ぬける)を生じ 、悪寒、鼻塞、驚風、てんかん、

反視 卒中風、月水通ぜぬに。

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懸釐

6 懸釐(けん り)    所属経絡:胆経・ 取穴部位:頭維穴の下3寸で、側頭下髪際と前兌髪際との接点に取る.

『鍼灸重宝記』懸釐 (二穴)

取穴: けんろの少し下、米咬(こめかみ)の下つらに骨のわれめある処。
灸法:灸三壮、
針法:針三分、留ること七呼。
主治:
面赤く腫、 側頭痛み、煩心、食を欲ず、 熱病、 汗出ず、 目皆赤く痛むを主る。

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下関
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四白
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迎香
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大迎

5 大迎(だいげい)  所属経絡:胃経・ 取穴部位:下顎角の前1寸3分の陥凹部、動脈拍動部に取る. (注)下部に顔面動脈が通る.

『鍼灸重宝記』  大迎(だいげい) (二穴)

取穴: 耳の下、 曲り たる領の角より一寸三分前に動脉ある骨のわれめ 、 口を動かせばあがのつがひめ也。
灸法:灸三壮、
針法:  針三分、 留ること七呼。
主治:口噤(つぐ)め開かず、頬腫、 牙疼痛(歯の痛み)を治す。

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地倉

4 地倉(ちそう)  所属経絡:胃経・ 取穴部位: 口角の外4分に取る.

『鍼灸重宝記』  地倉(ちそう) (二穴)

取穴:   両の口吻の傍ら 、唇の赤肉より四分ほど去て動肱のある処。
灸法:針三分半、 留ること五呼、 気を得て即ち瀉す、
針法:灸十四壮、病重きは四十九壮。
支を小くすべし 、大なれば反て口ゆがむ。
若喎(治療過多)なれば承漿穴(任脈・取穴部位:オトガイ唇溝の正中に取る.)に灸四十九壮すればなをるなり 。

主治:
中風、 半身かなはす、 口歪み目閉昏み音出ず飲食収らざる、を主(つかさど)る。

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顔面神経麻痺:病症・特徴 弁証・治療方法
 多くは普通片側に生ずもので、軽症のものは眼瞼や口のまわりが時々ピクピク動く、比較的治療し易い。
中程度のものは引きつりや瞼を硬く閉じたりする。
重症になると中症の様な痙攣が絶えず、ほとんどひまなく強く起きるもので難治である。
 主証は顔面麻痺と同様、脾虚か肝虚で陰実あるいは虚を表す。
肝経は筋を主るので証に従って適正に補瀉調整しなければならない。

症例  経過   証決定・治療方法、その効果・
 症例一
♀23歳
教師
 朝、目が覚めたら左の顔が異常な感じがする。
鏡をみたら、口は右に傾き、鼻も僅かに傾き、左側が全体に緊張力がなく弛んでいる。
病院の診断では1年以上、悪くすると一生完全には治らないとの事。
翌日、来院。
 肺肝相剋証。
右太淵・太白・左太衝に補法。
検脉すると陽経も虚していたので患側左の合谷・三里にも補法。
ナソの所見も処理。
患部の標治法は細い鍼で接触鍼。
肩こりには散鍼を施す。
毎日の治療で1週間で完治。
 症例二.
♀58歳
 3週間前、右顔面麻痺。比較的軽症、病院の治療で八分通り治ったが、
1週間前から右目から涙が出て、治らないので来院。
 脾虚肝実証。
健側の左太白・だいりょう大陵に補鍼、右肝経に行間穴にキョロ、圧痛を認めたので瀉法。
標治法として晴明・攅竹に1~2ミリの補法。その他は前述同様で処置。
5回継続で完治。
症例三.
♀55歳
 昭和19年左顔面麻痺。
八分通り改善。
その後20年経過、左患側に風が当たると痛む。
6年前より来院中。
 脾肝相剋証。
週一回の治療を一年半、麻痺は完全に治ったが風に当たると痛むのは治らずその後も同様の治療継続中。
もう一息まで回復してきた。
 症例四.
症例三の甥
中学の校長
 2年程前、右頬の麻痺、目が完全に閉じない。
口はゆがんで水が漏れる。
 肺肝相剋証。
大腸経、胃経も共に補う。
その他は前述同様で処置。
10回継続で完治。
 症例5.
♂73歳
 最初右顔が麻痺、3日後に両側に麻痺を起こし顎はたるんで口は半開き、
目も上下の眼瞼はしまり無く開いている。
 脾肝相剋証。
胃経も共に補う。
週1,2回の継続で半年治療。
八分通り改善。その後来院なし。

ゆっくり堂の経絡鍼灸 教科書  顔面診より。

顔面診

※ 目の間、手面範囲の色・艶・生理的か病的変化の識別、五色の分別が重要です。

黄帝内経「霊枢」五色論篇 第四十九、 顔面部位・ 五竅(五臓の疲れを知る所)

黄帝内経「素問」刺熱論篇 第三十二、二章、一節

刺熱論、熱病における顔色の所見。 訳文。

肝の熱病の場合、左頬がまず赤くなる。
心の熱病の場合、額(ひたい)がまず赤くなる。
脾の熱病の場合、鼻がまず赤くなる。
肺の熱病の場合、右頬がまず赤くなる。
腎の熱病の場合、頤(あご)がまず赤くなる。

黄帝内経「素問」風論篇 第四十二、第三十二、二章、一節を参考に製作されています。

顔面診 五臓色体・刺熱論・風論篇・五色論 表gbk11

gbk11

顔面部位・五竅・刺熱論・風論篇 図 gbk21

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顔面診のポイント。

例えば顔 の五行的配当は、

前額部(ひたい)は心

鼻部は脾

右頬(ほほ)は肺

左頬は肝

顎(あご)は腎、を診る。

これは母親が子供に熱がありそうな時、額に手を当ててその有無を知る。
極一般的に行っている動作である。
また顎の辺りの皮膚炎や湿疹は、腎経と係わりが深い場合が多い。
臨床的にも大いに役立つている。

続いて、五竅(表・図)望診における 五臓の色体(分類)表、参照〕

目は肝・鼻は肺・耳は腎・唇は脾・舌は心、 これらは臨床的に価値が高い。

しかし素問金匱真言論、でいう、
目は肝・鼻は肺・唇は脾・舌は心・二陰は腎、 という観点に立つ時にはやや実行しにくい。

望診の中心とも言える五色の色艶についてであるが、これはいつも意識して観察し続けないと、中 々習得困難である。

―  以下に五色の生色・死色の表を掲げて参考に供する。

五色の生色・死色の表(原論p284)

生色 :艶やかな色。 青:川蝉艶 ・ 赤:鶏冠艶 ・黄:蟹腹艶 ・白:豚膏艶・ 黒:烏濡羽艶。

死色 :光沢の無い色。 青:草絞汁・赤:古血 ・黄:カラタチの実の如く光沢なし。白:枯骨 。黒:煤如。

五色を知るには、
顔面や尺部(前腕前面)を窺い、 全身の経絡変動を推し測り、 診察診断を進める。

またこれには異説もあるが、
青は痛み、赤は熱、白は冷え、黄色は栄養障害、黒は慢性痼疾を表すと診る。
これもまた臨床的に価値が高い。

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『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例より

 

痺痛(ひつう:しびれいたみ)の治療、

  病状  特徴  治療方法、治療穴
  痺痛   痺はみな気血の虚なり。
栄衛しぶり、経絡通ぜざるゆへなり。
しびるる処に刺て血をめぐらすべし。
 ▲風痺は、尺沢・陽輔。
 ▲痰痺は、膈兪。
 ▲寒痺は、曲池・委中・風市。
 ▲厥逆は、列缺。

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 痺痛の治療穴、  部位と使用目的。

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尺沢
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陽輔
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膈兪
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曲池
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委中
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風市
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列缺
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 『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例より

痿(なゆる)の治療、

  病状  特徴  治療方法、治療穴
  痿   湿熱あり、
痰あり、
血虚あり、
気弱きあり、
瘀血あり、
腎虚あり。
 内関・肩髃(けんぐう)・曲池・風市・陽陵泉。
 痿る所に刺て気をひき、血をうごかすべし。
 中瀆(ちゅうとく)・環跳に針して、
停て気を待つこと二時。
 三里・肺兪に灸すべし。

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痿(なゆる)の治療穴、  部位と使用目的。

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内関
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肩髃(けんぐう)
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曲池
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風市
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陽陵泉
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中瀆(ちゅうとく)
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環跳
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【灸】
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三里
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肺兪
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『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例より

虚損 (よはみ)の治療、

 

病状 特徴 治療方法、治療穴
  虚損 几、元気素より弱く、
或は起居宜きを失ひ、
あるひは飲食労倦し、
心を用こと太過によつて、真気を損じ、形體やせ、
眼かすみ、歯動き、髪落、耳鳴とをく、
腰膝力なく、小便しげく、汗多出、あるひは遺精白濁、
内熱、脯熱、口乾き、咽渇き、

心神寧からず、寤(目覚め)て寐(眠)られず、
小便短少餘瀝、肢體寒をおそれ、
鼻気急促、
眩暈、
健忘、四肢倦怠等の証を顕す。

【灸】

肺兪・肝兪・脾兪・腎兪・三里・膏肓。

 【針】

梁門と中脘といくたびも刺すべし。

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虚損 (よはみ)の治療穴、  部位と使用目的。

【灸】肺兪・肝兪・脾兪・腎兪・三里・膏肓。

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【灸】

肺兪

12肺兪(はいゆ)  所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第3・第4胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.

『鍼灸重宝記』肺兪(はいゆ)(二穴)
取穴: 三椎の下、両旁へ一寸五分づっ。
灸法:灸百壮五十壮。
針法:針三分五分 、留ること七呼、気を得てすなはち瀉す、
《誤治》刺し肺に中れば欬(せき)て三日に死す、
主治:
労瘵(ろうさい:肺浸潤・肺結核のこと。)、口舌乾き、上気、腰脊強いたみ、寒熱、気短、喘満、虚煩、肺痿、咳嗽、
肉いたみ、 皮癢(ひよう:痒み)、嘔吐、不食、狂い走り 、背僂(せろう:かがむ)を治す。

特徴・症状・治法:
太陽(⑥小腸経・⑦膀胱経)と少陽(⑩三焦経・⑪胆経)と併病、頭項強りいたみ、
或は眩冐(げんぼう:めまいをおかす)、心下痞硬(ひこう:塊つかえる)に太陽(膀胱)の経の肺兪・肝兪を刺べし 。

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【灸】

肝兪

16肝兪(かんゆ)   所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第9・第10胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.

『鍼灸重宝記』肝兪(かんゆ) ( 二穴)
取穴: 九椎の下、両方へ相去こと各一寸五分。
灸法:灸三壮七壮、
針法:針三分、留ること六呼、
《誤治》刺て肝に中れば欬(せき)て五日に死す。
主治:
多く怒り、黄疸、熱病の後目くらく、涙いで、目眩、気短く、欬血、目上視、欬逆、口乾き、寒疝、
筋寒へ、熟痙、筋急に相引、転筋腹に入り、 欬して胸脇に引て痛み、反折り上視し 、驚狂、はなぢ、
唾血、短気、積聚(しゃくじゅう)を治。


積聚(しゃくじゅう)については、難経 第五十五難にリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/55nan/

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【灸】

脾兪

18脾兪(ひ ゆ)  所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第11・第12胸椎棘突起間の外1寸5分に取る.

『鍼灸重宝記』脾兪(ひ ゆ) (二穴)
取穴: 十一椎の下、両旁へ相去こと一寸五分づっ。
灸法:灸三壮五壮、
針法:針三分、留こと七呼、
《誤治》刺て牌に中れば呑酸して五日に死す。
主治:
多食して身痩、鹹(塩からい)き汁を吐き、けんべき、積聚(しゃくじゅう)、脇下みち、洩利、痰瘧(たんぎゃく)
寒熱、水腫れ、気脹、脊に引ていたみ、黄疸、不食を治。

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【灸】

腎兪

21腎兪(じんゆ)  所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第2・第3腰椎棘突起間の外1寸5分に取る.

『鍼灸重宝記』腎兪(じんゆ)  (二穴)
取穴: 脊の十四椎の下、左右へ一寸五分づっ、臍(へそ)と平し 。
灸法:灸三壮、
針法:針三分、留こと七呼、
《誤治》 もし刺て腎に中れば嚔(ひ:くしゃみ)て六日に死す。
主治:
五労七傷、虚して嬴痩(えいそう)、耳聾ず、下部冷、淋濁、 目暗く 、溺血、遺精、腰膝脚いたみ、
消渇、身熱し 、振寒、多食しても痩、面黄黒く、腸鳴、四肢だるく 、洞洩食化せず、身浮腫るを拾す。

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【灸】

足三里

36 足三里(あしさんり)合土穴・ 四総穴。 所属経絡:胃経。

取穴部位:肚腹 膝を立て、外膝眼穴の下3寸に取る.
(便法)膝を立て、脛骨の前縁を擦上して指の止まるところの外方陥凹部に取る.

『鍼灸重宝記』足三里(あしさんり)  ( 二穴)
取穴:  膝醸の下三寸、 骨の外、大筋の中。
灸法:灸三社七壮あるひは一二百より五百壮まで、
針法:針五分八分、留ること十呼、瀉すること七吸、 あるひは一寸、留ること 一呼。
主治:
胃中寒、 心腹脹満、小腹脹(ちょう:膨れ)堅く 、 腸鳴、 臓気虚し 、 真気不足し 、腹いたみ、
不食、 心悶、 心痛、逆気上り攻、端息、 腰いたみ、 けんベき、 四肢満、 膝いたみ、脚気、目明ならず、
産後血暈、傷寒悪寒、熱病汗出ず、嘔吐、 口苦、発熱、反折、 口噤(くちつぐ)み、頷(アゴ)腫痛み、
乳廱(にゅうよう)、 乳腫、 こうひ、 胃気不足、久世利、 食化せず、 苦凱、腹熱し 、 身煩、
狂言、 みだりにわらひ、恐れ、 怒り 、 霍乱、 遺尿、 失気、頭眩、大小便利せず、 しゃくり 、
五労七傷、 諸病皆治す。

健康養生法:
凡そ年三十已上(すでにうえ)の人は、 足三里に灸せざれば、気上て目に沖しむ、
又四花 ・膏育 ・百会等に 灸せば、後に足三里に灸して上熱を下せ。
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【灸】

膏肓

39膏肓(こうこう)  所属経絡:膀胱経・ 取穴部位:第4・第5胸椎棘突起間の外3寸に取る.こうこう膏肓

『鍼灸重宝記』膏肓(こうこう)(二穴)
取穴: 四椎の下、五の椎の上にちかし、脊中を左右へ相去こと各三寸、

灸法:口伝に胛(かいがらほね)骨のきはに一指を側置ほどに點すべし 。
後に気海 ・丹田・関元 ・中極、 四穴の内一穴 左足の三里とに灸して火気を引下てよし。
灸百壮五百壮まで 。
針法:記載なし
主治:
虚損、伝尸、骨蒸、遺精、痩つかれ 、健忘、痰飲、 しゃくり、 上気、 発狂を主る。
膈噎(かくえつ:むせぶ) 、 心中妨悶、 項背こわり 、 目病、 気病、 諸病治せずといふことなし 。

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【針】梁門と中脘といくたびも刺すべし。

梁門

21 梁門(りょうもん)  所属経絡:胃経・ 取穴部位:天枢穴の上4寸、中穴の外2寸に取る.

『鍼灸重宝記』梁門(りょうもん) ( 二穴)
取穴: 承満の下一寸。
灸法:灸五壮。
針法:針二分、
主治: 脇下積気、不食、滑泄完穀化せさるを治す。
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【針】

中脘

12 中脘(ちゅうかん)胃経の墓穴・腑会・中焦の栄気 所属経絡:任脈・  取穴部位:神闕穴の上4寸に取る.

『鍼灸重宝記』中脘(ちゅうかん)  (1穴)
取穴: 上院の下一寸、臍腐の上四寸。
灸法:灸日に十四壮より三四百壮まで。
針法:針一寸二分あるひは八分、留るこ と七呼、 瀉法五吸、はやく針を出す。
主治:
膈噎(かくえつ:むせぶ)、翻胃、不食、端息、腹脹、中悪、心腹いたみ、痢疾、疝気、積聚(しゃくじゅう)、
傷寒、疫病、温瘧(おんぎやく) 、 先腹いたみ先づ瀉すし 、震乱、洩出を知ず、身冷、俛き抑きしがたきを。


積聚(しゃくじゅう)については、難経 第五十五難にリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/55nan/

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