六、(口・舌・唇)の鍼灸治療

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六、(口・舌・唇)の鍼灸治療

このコーナーでは臨床に直接役立つ経絡鍼灸の証決定・本治法・標治法の方法を述べます。

参考文献は、小里勝之(こさとかつゆき)先生の臨床発表「論考:身体各部の病症と経絡鍼灸治療」を
ベースにして、 ここに、『鍼灸重宝記』と、HPゆっくり堂の経絡鍼灸教科書を加えて構成します。
また、適宜、東洋はり医学会の臨床経験文を参考に考察を行います。


鍼灸師の先生方のご意見・間違いの指摘・などを、当院へお送りくだされば幸いです。

 部位・状態、分類  関係・経絡・手技
 口や唇は  脾胃の主るところであって消化器系の変動がよく表れる。
 口や唇にめぐる経絡は  胃経・大腸経・任脉・督脉・肝経。
 舌は  心火の主るところであり、心経、脾経、腎経がめぐる。
 舌に白い苔あるもの(白苔)・  脾経、心経の虚と診る。
舌が動かず、ろれつが回らない。
 老衰にて舌巻き話すこと不自由  脾腎の虚である。
 唇の病は  脾経・胃経の変動が非常に多い。
 唇腫れ、瘡を生じるは  胃経の実。
 唇が乾くのは  胃経の虚で、   陰陽ともに補う場合が多い。
 口内の病は  脾経と肝経を中心に考える。
 口内炎は 胃経に必ず変動があることを忘れてはならない。
口内炎、脾虚なら  胃経の実。
口内炎、肺虚なら  大腸経、胃経の実。
口内炎、肝虚なら  胃経の虚。 時には肝虚陽実証のこともある。

 小里勝之先生の治療例
 症例  経過  主証決定、治療方法、その効果
 症例1・
♂8歳右口角部に靡爛(びらん)
 右口角部に靡爛(びらん)常に甘い物を好み、数日前から食欲亢進。
朝、目が覚めたら右口角部に靡爛、発赤、
灼熱感と瘡を生じ痛み、口を大きく開ける事が出来ない。
主証:脾虚陽実証。(単一主証)
本治法:一号鍼にて左太白、大陵に補法
二号鍼にて右豊隆、外関に瀉法
標治法:
二号鍼にて右口角の間部の周囲に瀉的散鍼を行い、
ナソ所見の処理と腹部、背部、肩に補的散鍼を行う。効果:4回の治療にて完治。
 症例2・
♀62歳
主婦
リウマチ
口内炎
  3年程まえからリウマチにて来院中。
脾肝相剋証で半年ほどは週2回、
その後は1回で全治したが、来院3ヶ月目にして、実は数年前から口内炎が出来、
一ヶ所から多い時には数ヶ所発生し、次から次へと絶えず発生して、薬を飲んでも治らないと言う。
丁度、脾経の補法を継続中なので、胃経に虚性の邪がある時はこれを補中の瀉で除き(豊隆穴)、
脉診の部:命門・陰維脉 :右内関→右公孫に奇経灸をする。
ナソ所見を入念に処理したところ9ヶ月を経た今日、ようやくたまに発生する程度になる。
なかなか頑固な症例である。
症例3・
♀53歳
主婦口角靡爛症
常に便秘、肩こり、腰の痛み等で来院。肺肝相剋証で治療を行っている患者が、
しばしば口角靡爛症を訴える事がある。
 この時は必ず、
陽経の大腸経、胃経に虚性の邪を認めるので補中の瀉で処理(遍歴、豊隆)
後、口角靡爛の周囲に瀉的散鍼を行う。
3~4回ので治るが又、発生する。
しかし、
同様の治法を繰り返し1年余りで全治した。
   ゆっくり堂鍼灸院の治療例
 ♀45歳口内炎 メニエール病での目まい、反頭痛改善にて定期来院中。仕事が忙しくなり、上司への配慮、部下の指導で疲れがたまって、口内炎が発生する。 脾虚肝虚相剋証本治法(陰経)
右、太白・大陵に補法。
左、太衝に補法。
本治法(陽経)
胃経、豊隆に枯に応じる補中の瀉法。
標治法
全身の疲れを取り、皮膚の気を潤す、水平鍼を施す。
陽経を主に、頭部から足先まで行なう。この処置1回で改善する。

慢性病治療と未病治療目的で、
1週間に1回定期来院中。

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 鍼灸重宝記 :口・舌・唇の病から、小里勝之先生の解説。

口は脾の外候であり脾気の主るところである。
唇は口の入り口であるから同じく脾の主るところである。
故に、脾の栄は唇にあり。と言って、
唇の状態を見て日の変化を知ることが出来るのである。
唇が細かく震え動くのは風邪であり、乾くは燥邪の熱の為である。
さらにその熱が甚だしければ唇が裂けるのである。
唇がそり返るのは寒邪に犯されたものである。
唇が腫れたり裂けたり或いは瘡を生じ、米のとぎ水のごとくなるは瀋と言う。
これは脾経に風熱の邪が犯したものである。
唇が閉じて小さくなった様なものを緊唇と言ふ。
胃の気が弱って唇や口の中に瘡を生ずるものもあり。
陰虚火動の如く重症にして唇燥裂てまゆ繭の様にみえるものもある。
脾気は口に通じ、全ての味を五味に分かち、口より胃に収めて食物を運化し、
五味は五臓を養うものである。
口は味の如何によっては五臓の熱を知ることが出来る。
口酸しは、肝の熱。
口苦しは、心の熱。または胆の熱。
甘きは、脾の熱。
辛きは、肺の熱。
鹹きは、腎の熱であり、
口臭きは内熱。
口乾き、口瘡を生じるは脾の熱。。。と述べている。

  口・舌・唇の治療、『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例より
 口の病の特徴  症状
 經に曰く、脾気は口に通ず。
 肝熱すれば  口酸し。
 心熱すれば  口苦し。
 膽熱するときも  口苦し。
 脾熱すれば  口甘し。
 肺熱すれば  口辛し。
 腎熱すれば  口鹹し。
 口臭きは  内熱。
口乾き、口瘡は 脾熱。
口の病の症状と治療穴
口乾は 尺澤・曲澤・大陵・二間・少商・商陽。
口噤には 頬車・支溝・外関・列缺・厲兊・内庭。
口眼喎斜ば 頬車・水溝・絲竹空・列缺・太淵・合谷・二間・地倉。

『鍼灸重宝記』記載、治療穴

口の病の症状と治療穴、該当部位と該当穴の主治。

口乾は 尺澤・曲澤・大陵・二間・少商・商陽

尺澤
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曲澤
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大陵
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二間
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少商
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商陽

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口噤には、 頬車・支溝・外関・列缺・厲兊・内庭

頬車

6 頬車(きょうしゃ)  所属経絡:胃経・ 取穴部位:耳垂下端と下顎角の間の陥凹部に取る.(注)皮下に耳下腺がある.

『鍼灸重宝記』頬車(きょうしゃ) (二穴)

取穴: 耳の下、曲額の骨の端、すこし前に口を開ば陥みあり 、 口を関ば骨蓋ふ処。
灸法:灸三壮。
針法:針三四分、
主治:
中風、牙くひつめ口噤(くちつぐん)で言ず、牙痛、額頬腫、
口眼喎斜や目が歪んで閉じることができなくなること、治す。

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支溝
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外関
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列缺
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厲兊
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内庭

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口眼喎斜ば 、頬車・水溝・絲竹空・列缺・太淵・合谷・二間・地倉。

頬車

6 頬車(きょうしゃ)  所属経絡:胃経・ 取穴部位:耳垂下端と下顎角の間の陥凹部に取る.(注)皮下に耳下腺がある.

『鍼灸重宝記』頬車(きょうしゃ) (二穴)

取穴: 耳の下、曲額の骨の端、すこし前に口を開ば陥みあり 、 口を関ば骨蓋ふ処。
灸法:灸三壮。
針法:針三四分、
主治:
中風牙くひつめ口噤(くちつぐん)で言ず、牙痛、額頬腫、
口眼喎斜:口や目が歪んで閉じることができなくなること、治す。
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水溝

25 人中(じんちゅう):水溝(すいこう)所属経絡:督脈・ 取穴部位:鼻中隔の直下にあり、人中の中央に取る.

『鍼灸重宝記』水溝(すいこう)(一穴)(一名人中)

取穴: 鼻柱の下。
灸法: 灸三壮、
針法:針三四分、留ること五六呼。 気を得て瀉。
主治:消渇、 水腫、 癲癇、 狂乱、 中風、 中悪、 黄疸を治す。。

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絲竹空

23 絲竹空(しちくくう)  所属経絡:三焦経・ 取穴部位: 眉毛外端の陥凹部に取る.

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列缺
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太淵
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合谷
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二間
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地倉

4 地倉(ちそう)  所属経絡:胃経・ 取穴部位: 口角の外4分に取る.

『鍼灸重宝記』  地倉(ちそう) (二穴)

取穴:   両の口吻の傍ら 、唇の赤肉より四分ほど去て動肱のある処。
灸法:針三分半、 留ること五呼、 気を得て即ち瀉す、
針法:灸十四壮、病重きは四十九壮。
支を小くすべし 、大なれば反て口ゆがむ。
若喎(治療過多)なれば承漿穴(任脈・取穴部位:オトガイ唇溝の正中に取る.)に灸四十九壮すればなをるなり 。
主治:
中風、 半身かなはす、 口歪み、 目閉昏み、 音出ず、 飲食収らざる、を主(つかさど)る。

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  口・舌・唇の治療、『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例より
 舌の病
 舌は心の苗也。
 又、脾の經絡、舌の本に連る。
 惟舌の下、廉泉の穴は腎經に属す。
 故に心熱すれば  舌腫、瘡を生ず。
 心脾、  熱を重て、舌腫て言語ず。
 心脾虚して  風熱をうけ、気欝して重舌を出す。
 心脾熱して、  舌胎を生ず。
 肝ふさがれば  血を出す。
上に欝熱をたくはゆるときは 口舌のやまひを生ず。
舌病の症状と治療穴
 舌緩は 太淵・合谷・冲陽・内庭・風府・三陰交・崑崙。
 舌強は 亜門・二間・少商・魚際・中冲・陰谷・然谷。
 舌黄は 魚際。

『鍼灸重宝記』記載、治療穴

舌病の症状と治療穴、該当部位と該当穴の主治。
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舌緩は 太淵・合谷・冲陽・内庭・風府・三陰交・崑崙

太淵
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合谷
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冲陽
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内庭

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風府

15 風府(ふうふ)所属経絡:督脈・ 取穴部位:外後頭隆起の下方にあり、後髪際を入ること1寸に取る.

『鍼灸重宝記』 風府(ふうふ)  (一穴) (一名舌本)

取穴: 強間の後二寸五分、後の髪際より一寸。
灸法:禁灸なり 。
針法:針三四分、留ること三呼、
主治:
中風、舌緩まり語らず、振寒汗出て、身重して、悪寒、づっう 、項強て回顧ことを得ず、
偏風半身かなはず、はなぢ、咽喉はれ痛み、傷寒、狂走、 目妄に視るを治す。
頭の百病、黄疸を主る。 傷寒、づっう 、悪風、発熱、身疼痛む者、或は耳聾、脇痛、嘔して口苦く 、
頭痛、寒熱往来する者、  並に風池、風府に刺すべし 。

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三陰交
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崑崙

 

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舌強は、 亜門・二間・少商・魚際・中冲・陰谷・然谷

亜門

14  瘂門 (あもん)  所属経絡:督脈・ 取穴部位:項窩の中央、後髪際を入ること5分の陥凹部に取る.

『鍼灸重宝記』 瘂門 (一穴)  〔 一名は舌厭、 一名は舌横、 一名は瘖門(おしもん)〕

取穴: 風府の後五分にあり 。
灸法:灸は禁穴なり 。
針法:針四分二分、留ること三呼して潟し 、五吸にして瀉し盡(つく)す、 更に針を留めてこれを取る 、
主治:
舌急にして語らず重舌、 もろもろの陽熱気盛にして衂血(はなぢ)止ざるを治す。
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二間
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少商
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魚際
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中冲
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陰谷
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然谷
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舌黄は魚際。
魚際

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  口・舌・唇の治療、『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例より
 唇病の特徴  治療方法、治療穴
 經曰く、脾の栄は唇にあり。
 唇目閏(うごく)は  風也穴が治療穴
乾は燥なり、裂は熱なり、掲は寒なり。
 唇腫裂、あるひは瘡を生じ、米泔(しろみず)のごとくなるは瀋といふ。  脾経の風熱也。
 唇緊口小さくなるを、  緊唇といふ。
 中気虚損して  唇口瘡を生ずる者あり。
陰虚火動して 唇燥裂て繭の如なる者あり。
   唇病の症状と治療穴
唇乾、液あるは 下廉。
唇乾き、食下らざるには 三間・少商。
唇動き、虫の行がごとくなるは 水溝。
唇腫は 迎香。
緊唇は 虎口を灸す(男は左、女は右)。又は承漿に灸三壮すべし。

『鍼灸重宝記』記載、治療穴

唇病の症状と治療穴、該当部位と該当穴の主治。
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唇乾、液あるは下廉

下廉
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唇乾き、食下らざるには 三間・少商

三間
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少商。
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唇動き、虫の行がごとくなるは水溝。

水溝

25 人中(じんちゅう):水溝(すいこう)所属経絡:督脈・ 取穴部位:鼻中隔の直下にあり、人中の中央に取る.

『鍼灸重宝記』水溝(すいこう)(一穴)(一名人中)

取穴: 鼻柱の下。
灸法: 灸三壮、
針法:針三四分、留ること五六呼。 気を得て瀉。
主治:消渇、 水腫、 癲癇、 狂乱、 中風、 中悪、 黄疸を治す。。
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唇腫は迎香。

迎香

20迎香(げいこう)所属経絡: ②ルート:手の陽明大腸経(20穴)取穴部位: 鼻孔の外5分、鼻唇溝中に取る.
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緊唇は 虎口を灸す(男は左、女は右)。又は承漿に灸三壮すべし。

虎口

虎口(ここう) 取穴部位:人差し指と親指のまたにある。

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承漿

24 承漿(しょうしょう) 所属経絡:任脈・  取穴部位:オトガイ唇溝の正中に取る.

『鍼灸重宝記』承漿(しょうしょう)(一穴)

取穴: 下唇の赤肉の少下、陥中、口を開て点す。

灸法:
此穴に灸すること一日に一七壮づっ、七日に四十九壮灸るなり 。
然れども毎日つづけて灸すること勿れ。
只一日に七壮灸しては、 四五日も間を置ては又七壮灸す、
日数を積で四十九壮に至れば、 血詠通じ病立どころに愈る。

針法:
針三分、気を得て即潟、留ること三呼、 徐々に気を得て出す。

主治:
偏恩半身遂はず、口眼喎斜、 面はれ、 消渇、 口歯疳蝕、 瘡うを生じ 、 暴に瘖して言こと能ず、
男子の七疝、 女子の積聚を主る 。

積聚(しゃくじゅう)の意味は難経 第五十五難をご覧あれ。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/55nan/

 

  口の病の種類   特徴
 口角靡爛(びらん)症 口角炎 (こうかくえん)=口角靡爛(びらん)症。
口角部の乾燥、亀裂、出血、びらん、痂皮(かひ)形成などの症状を起こす疾患。
直接的原因は、流涎(るえん)=よだれによる湿潤と細菌感染。
ビタミンの欠乏、糖尿病、歯牙喪失による 顎間距離の減少 などが誘因。
 アフター性口内炎  円形の偽膜性小潰瘍で、
潰瘍の周辺には炎症性発赤(紅暈)・浮腫を伴うものとされています。
口腔粘膜にアフタ様病変を現す全身性疾患には次のようなものがあります。
①Behcet病
②Reiter病
③周期性好中球減少症
④Crohn病
⑤Felty症候群
原 因:
ウイルス、細菌、食物、アレルギー、消化器疾患、ホルモン、精神的ストレス、
免疫学的異常などの要因が現在に至るまで検討されていますが、
現在でも明確な原因は証明されていません。
そのうちもっとも有力な説は、免疫機構の関与についてのものです。
小アフタ型: 径10mm以下のアフタで、口唇、舌、頬粘膜、
口腔底などの 角化層のない部分に発生しやすいです。
アフタの数は1~5個程度で大アフタ型に比べてやや疼痛は少なく、
全経過は4~14日間、数ヶ月の間隔で再発します。
大アフタ型: 径10~30mmと大きく、
1~10個のアフタが発生し疼痛は著しいです。

鍼灸師の皆様へ、ご意見を当院へお送りくだされば幸いです。

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