十一、背部の鍼灸治療

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十一、背部の鍼灸治療

このコーナーでは臨床に直接役立つ経絡鍼灸の証決定・本治法・標治法の方法を述べます。

参考文献は、小里勝之(こさとかつゆき)先生の臨床発表「論考:身体各部の病症と経絡鍼灸治療」を
ベースにして、 ここに、『鍼灸重宝記』と、HPゆっくり堂の経絡鍼灸教科書を加えて構成します。
また、適宜、東洋はり医学会の臨床経験文を参考に考察を行います。


鍼灸師の先生方のご意見・間違いの指摘・などを、当院へお送りくだされば幸いです。

背部の範囲: 身柱穴以下で肋骨におおわれた部分。
背部の経絡:  膀胱経・胆経。
背部の病症:  イ:背痛(肝臓、胆のうの病・胃の病・肩甲骨下部、側背部の痛み)
 ロ:肋間神経痛

病の部位 病の種類 痛みの部位 ・ 特徴 弁証・治療方法
 イ:背痛   一番、多く痛む箇所は膀胱経一行線の所で次は二行線の所または側胸部の痛む時もある。
背部には兪穴があって各臓腑の反応が表れる所である。
 肝臓病
胆のう病
  右脾兪から上、膈兪附近まで、時には肩甲骨内縁にまで痛む時。
 胃の病  左脾兪から上、心兪附近までの痛みは  脾虚と診る。
 肋間筋か広背筋の痛み  肩甲骨下部、側背部の痛みはが多く  肺虚か脾虚。
 ロ:肋間神経痛    肝、胆経の変動: 肝肺相剋証か肺肝相剋証として治療する場合が多い。

背部の治療、『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例より

積聚(しゃくじゅう)と背部痛

積聚(しゃくじゅう) はらのかたまり

肝の積を肥気といふ。左の脇にあり。面青く、両わきいたみ小腹に引。
心の積を伏梁といふ。臍の上におこり、胸の中に横たへ、腹熱し、面赤く、胸いきれ、咽かはき、不食し、やせて、吐血す。
脾の積を痞気といふ。臍の真中のとをりにあり。面の色黄にして、飢るときはかくれ、飽ときはあらはる。常に腸ふくれ、足はれ、泄瀉、嘔吐し、痩おとろふ。

肺の積を息賁といふ。右の脇にあり。面白、背いたみ、膚冷、皮の中時にいたみ、虫のはふがごとし。

腎の積を奔豚といふ。小腹にあり。おこるときは胸にのぼり、面黒く、飢るときはあらはれ、飽ときはかくるる。腰いたみ、骨ひゑ、目くらく、口かわく。
積に腹痛あり、痛まずして塊ありて不食するもあり。或は咳逆、咳嗽、短気、心痛をなす。
腹痛するときは、猥に痛処に刺べからず。まづ、積ある処をよくおし、やわらげ、其後いたむ処より一二寸ばかりわきに針すべし。若、痛みつよきとき、むさといたみのうへに刺せば、かへつて痛みまし、人を害すこと多し。積にかまはず、わきをやわらげて、気を快くするときは、おのづから治す。

▲三里・陰谷・解谿・肺兪・膈兪・脾兪・三焦兪・期門・章門・中脘(ちゅうかん)・気海・関元。

積聚(しゃくじゅう)については、難経 第五十五難moリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/55nan/

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背部の治療、『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例より

痃癖(けんぺき:肩癖)の治療、

肩の痛むこと、或は痰により、或は風寒湿によるといへども、多くは気血つかへたるゆへなり。
此處に刺すこと秘伝あり。まづ、手にて肩を押ひねり、撫くだし、気を開かせて、後に刺すべし。深きときは、あやまちあり。若、みだりに刺ときは人を害す。これを刺には、針をふして皮肉の間をとをすべし。少も肉を刺ことなかれ。
肩背には撚針を用べからず、砭針(へんしん)をもちゆべし。管に入て、はぢき下し、皮をやぶりて気血をぬく。その効、速かなり。針を刺たるあとを、又、管にて推べし。かならず血出て邪気さるなり。上古には石の尖にて痛み痺る處を刺し、脉をやぶり邪をさる、鍼經に砭石をもつて膿血を出すとあり。

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脇痛 わきいたみ

両脇痛は肝火盛に、本、気実するなり。
咳嗽して、いたみ走注し、痰の声あるは痰なり。
左の脇に塊ありて痛処を移さざるは死血。
右の脇に塊ありて飽悶するは食積なり。
肝積は左に在、肺積は右にあり。

【針】日月・京門・腹哀・風市・章門・丘墟・中瀆(ちゅうとく)・期門。
【灸】肝兪・絶骨・風市。

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特徴  治療方法、治療穴

『鍼灸重宝記』記載、治療穴

の症状と治療穴、該当部位と該当穴の主治。

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