十六、脾胃 c336

南北経驗醫方大成による病証論

第十六、脾胃

南北経驗醫方大成による病証論・井上恵理先生・講義録を参考に構成しています。。

小項目 番号 c336
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第十六、脾胃の 原文

人身之脾胃
専藉之以容納五穀剋化之
脾屬土而居五臓之中、寄旺於四時之内
以土能容載萬物、 故好静
其脉常喜沈細而緩
帯浮緊洪數者、即有病之脉也
尋常理脾、助胃之道、當用以平和之藥
又須時其飢飽不
以生之冷物傷之
不為寒暑所侵
不為七情所傷、如是則気體、自然充實百病不生
将理失宣、或為六淫七情相干為嘔
為泄為喘、為満變生諸證
又當於各類求之、略述以為養生者之助
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第十六、脾胃の 原文と訳文読み(カタカナ)。

人身之脾胃
ジンシ ノ ヒイハ
専藉之以容納五穀剋化之
モッパラ コレニヨリテ モッテ ゴゴクヲ ヨウノウ シテ コレヲ コッカス
脾屬土而居五臓之中、寄旺於四時之内
ヒハツチニゾクシ ゴゾウノナカニキョシ シイジノウチニ キオウス
以土能容載萬物、 故好静
ツチハ ヨク バンブツヲ ヨウサイ スルヲ モッテ、 ユエニ セイ ナル コトヲ コノム
其脉常喜沈細而緩
ソノミャク ツネニ チンサイ ニシテ カンヲ ヨロコブ
帯浮緊洪數者、即有病之脉也
フキンコウサク ヲ オビル モノハ、 スナワチ ヤマイ アルノ ミャク ナリ
尋常理脾、助胃之道、當用以平和之藥
ジンジョウニ ヒ ヲ オサメ、 イ ヲ タスクル ミチハ、 マサニ モチウルニ ヘイワノ クスリヲ モッテスベシ
又須時其飢飽不
マタ スベカラク ソノ キホウヲ トキナラシム
以生之冷物傷之
セイレイノモノヲ モッテ コレヲ ヤブルコト ナカレ
不為寒暑所侵
カンショノタメニ オカサレズ
不為七情所傷、如是則気體、自然充實百病不生
ナナジョウ ノタメニ ヤブラルル、キタイ コレノゴトク ナルトキハ、シゼンニ ジュジツシテ ヒャクビョウ ショウゼズ
将理失宣、或為六淫七情相干為嘔
ショウリ ヨロシキヲ シッシ、アルイハ リクイン ナナジョウ ノタメニ アイカン カサレレバ オウヲナシ、
為泄為喘、為満變生諸證
シャヲナシ ゼイヲナシ、ミツヲナシ ヘンジテ ショビョウヲ ショズ
又當於各類求之、
マタ マサニ カクルイニ オイテ コレヲ モトムベシ、
略述以為養生者之助
ホボ コレニノベテ モッテ ヨウジョウノ タスケトナス

脾胃の 原文と訳文読み、終わる。
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南北経驗醫方大成、脾胃の訳文(読み下し文)

十六、脾胃
人身の脾胃は専(もっぱ)ら、これに藉(よ)りて以て五穀を容納してこれを剋化す。
脾は土に属し五臓の中に居し、四時の内に寄旺す。
土は能く萬物を容載するを以て故に静なることを好む。
其の脉、常に沈細にして緩(かん:ゆるやか)を喜ぶ。
浮緊洪数を帯びる者は、即ち病有るの脉なり。
常に、脾を理(おさ)め、胃を助くるの道、當(まさ)に用ゆるに平和の薬を以てすべし、
又須(すべ)からく其の飢飽を時ならしむ。
生冷の物を以て、これを傷(やぶ)ることなかれ。
寒暑の為に侵されず、七情の為に傷らるる、是の如く則は気體、自然に充実して百病生ぜず。
将理、宣しきを失し、或いは六淫七情の為に相干かされれば嘔を為し、泄をなし、喘を為し、満を為し変じて諸症を生ず。
又當に各類に於てこれを求むベし、略(ほぼ)、これに述べて以て養生の助けと為す。
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南北経驗醫方大成、脾胃の解説文

                     山口一誠のオリジナル文章を含む。
人間の脾胃について、東洋医学の解説をいたします。
「脾と胃」は飲食物を受け入れ消化吸収する所です。
東洋医学では「脾」を次の様に位置ずけています。
「脾」木火土金水の五行論のなかで、「土」になります。
「土」の性質は木火土金水の五行の中に総べて存在する関係になっています。
自然環境を例にとれば、
土と水の関係は、土に程よく水分が含まれることで、砂漠に成らず作物を育てる良い土壌となっています。
また、川があるのは土手があるからです。水が保たれるのは土によって生じるからです。
また、金は土より生じます。土をかきわけた所に金属があります。
火が燃えるのは土中にある化石燃料があるからす。
木は土が無かったら育たないのです。
全て土の恩恵に与っています。、土は母なりという事です。
そして、五行論では五臓の肝心脾肺腎と五行は肝木・心火・脾土・肺金・腎水と一体のものです。
よって、土を含まない臓器は無いという事です。
春夏秋冬の終いの十八日間が土用で、
夏の土用はうなぎを食べるので知っていますが、
冬の土用、春の土用、秋の上用と、土用は四季に有るのです。
万物は全て土が無ければ生じません。
万物は土の上に立っています。
土は動かず静かな存在です。
脾の正常な脉状は、沈脉で細く緩やかなのが良いです。
脾が病に起こされた時の脉状は、浮脉、緊脉、洪脉、数脉に変化しており、脾の病脉と診断します。
脾胃の治療法は、劇薬等を用いてはいけません。
いわゆる平和の薬を用います。
また、脾胃が正常に働いていれば空腹感、満腹感が解(わか)るものです。
解らないのは脾胃が異常な時です。
脾胃が病に陥いら無い為には、冷たい物を食べたり、冷水や冷えたビール・冷酒を飲むことを謹むことです。
また、脾胃が病に陥いら無い為には、寒さ暑さに侵されないようにしなければなりません。。
そして、脾胃が病になる根本原因は、内因である七情、喜怒憂思悲恐驚の乱れから起きています。
脾胃が病に陥いら無い条件は空腹感、満腹感が正常に働いている場合です。
それは、内因の感情に乱れが無く、冷たい飲食物を過食しない時です。
そのことで、気血は精神も肉体も自然に充実して、諸々の病、百病は生じません。
脾胃が病に陥いる原因を改めて強調します。
生物、冷たい物を過食したれ、暑い時に汗を流し、寒い時に薄着する、そういう事は理にかなっていません。
あるいは、外因である六淫の邪、寒・暑・湿・燥・火の六種外邪や、内因である七情、喜怒憂思悲恐驚の乱れに相互に侵されると、
嘔吐、下痢、咳や息切れ、腹が張り、体が張り、変じていろんな脾胃の病気の症状を生じます。
脾胃の病気を治療するためにはこれまで縷々述べたことを参考にして処置してください。。
また、
これらの事は脾胃の病気を起こさない養生法になります。・
以上、南北経驗醫方大成、第十六、脾胃の解説を終わります。
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南北経驗醫方大成、第十六、脾胃の詳細解説コーナー

                           〔  〕内は山口一誠のオリジナル文章です。

脾胃の原文・訳文・解説 【井上恵理先生の講義解説】

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原文:人身之脾胃
訳文:人身の脾胃は
解説:〔人間の脾胃について、東洋医学の解説をいたします。〕

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原文:専藉之以容納五穀剋化之
訳文:専(もっぱ)ら、これに藉(よ)りて以て五穀を容納してこれを剋化す。
解説:〔「脾と胃」は飲食物を受け入れ消化吸収する所です。〕
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解説捕捉:五穀とは、五種の主要な穀物。米・麦・あわ・きび・豆。転じて、穀物の総称です。
ここでは、穀物というのでなく全ての食物(穀物、肉、魚)と飲み物(酒、茶)を指します。
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【井上恵理先生の講義解説より】
(五臓における脾胃)p118
人体の中の脾と胃は、「専(もっぱ)ら、これに藉(よ)には」「専ら」その中でどれに属するかというと、
体の中で脾と胃という物は、「五穀を容納して」五つの穀物というのでなく全ての食物、「容納」受けいれて、「剋化」消化吸収する。

〈消化と吸収〉p118
剋化の意味を消化、吸収と私は解説しましたが、
今の人達は消化のいい物、慈養のつく物を食物の主要と考えていますが、
最も大事なのは消化して、それを吸収することです。
ところが薬物治療では、消化する薬はあっても吸収する薬はないのです。
胃が丈夫になるといつて売っている薬はほとんど消化剤です。
吸収させるという事は、我々が栄養を取る為の最も必要な条件です。
消化は大体、機械的消化作用と化学的消化作用による。
唾液、胃液、膵液、胆汁によって消化するのは化学的作用、
胃の嬬動とか腸の嬬動とかは機械的作用、
だから消化のいい物を食べろとか、運動しろとかは消化の助けにはなるが、
吸収の助けにはならないのです。
それでは吸収の薬があるかといえば、これは無い。
だから胃の病気は今もって治らないのです。
過去においては胃の病気といえば食べ物のせいにされた物です。
ところが今は、精神作用、頭を使い過ぎた為の神経性胃炎が七五%以上あるというのです。
積聚(しゃくじゅう)は内因に因ると言ったのはそれです。
胃潰瘍など全部、内因に依った神経性胃炎に因っている物で、
それを消化剤だけ与えているのでは治りっこないのです。
胃が消化しないからと、消化剤を与えるのは、商売が不振だから借金する様なものです。
借金した時はうまくいくが、返せないので又借金しなければならない。
丁度、胃の悪い人が消化剤を飲んでいるのと同じで、終いにはどうする事も出来ず破産してしまう。
人間は破産したらあの世行きです。
そういう事をあえてしているのです。
胃の病気というのは、一番先に薬がいく所で、
一番先にいく所が治せないのだから、他が治せる訳がないのです。
何故かというと、胃潰瘍は酸が多くなった為で、
消化剤を与えると中和じ片づくが、胃壁は治っていない。
そういう意味で、吸収出来るようにする事が問題になるのです。
吸収出来なかったのは内因があったからです。
その人の精神状態がおかしいからで、
それは体が不調和だから下らない事を心配するのです。
みなさんも何か考えて寝られない事があると思います。
後で考えるとつまらない事です。
寝ている時は一番幸福な時、
あの一番幸福な時を苦労するのだから、これはもつたいない話です。
そういう意味において、全ての病気が内因で起こるという
「内因なければ外邪入らず」の東洋医学の考え方は、
最も正しい一つの医学というより、
我々の修養の道ではないかと思います。
修養や宗教は全てここに通じる。
無我に成るという事で、つまらない事は考えない、
それを突き詰めると我とは何ぞや、
我とは何にもならないものです。
世界地図を広げてどこにいるか探して下さい。
たいてい自分がいかに下らないか解る物です。
我々が生きるのは、たかだか五十〜六十年です。
酒を飲むのも、タバコを吸うのもいいのです、
愉快であれば。
やけ酒がよくない、仕事に疲れたから一杯飲まなければ眠れないのは病気です。
酒でごまかし益々病気を強くするのですが、
愉快に飲んで愚痴を治めていけば、酒は重宝で胃の薬を飲むよりよっぽど良いのです。
このように消化の事は考えても吸収の事は解らないのですが、
東洋医学では、五臓の調和、経絡の調和によつて吸収の状態が良くなるという事です。
食い物もたくさん食べたから丈夫でなく、
自分の消化するだけの物を食べ、
使うだけの気力を補えば、体は消耗しないのです。
無論、消耗するのに食べないのも悪いが、
消耗しないのに食べ過ぎは尚悪い。
だから金は使うだけ貯めればいい、取りもしないで使うのはだめです。
使わない金なんか貯めるのは尚悪い、
あんな物を貯めるから却って内傷を起こしてしまうのです。
どちらも良くないので、
現代の社会をよく考えて患者を扱うことです。
体を使わない人間が食い過ぎて、金かけて病気をしている。
頭使うなら、まずい物を食べて早く寝る事です。
それは易しい様で難しい。
現在は頭を使う人ほどおいしい物を食べ、労働者は、まずい物を食べよく寝ている。
世の中どちらも病気に成る様に成っている。
そういう所に我々の医学の考え方があてはまるのだから、
患者を指導してやる事が必要なのです。
それが出来ない人は一週間に一回きてもらう。
本人ができない事をやるのです。
そうすれば患者が増える事はまちがいないのです。
しかし病気に成っていると驚かしてはだめです。
益々病気が悪くなるので、少し驚かして治療する。
それは本人の為になり、自分の為にもなるのです。
¨
原文:脾屬土而居五臓之中、
訳文:脾は土に属し五臓の中に居し、
解説:
〔 東洋医学では「脾」を次の様に位置ずけています。
「脾」木火土金水の五行論のなかで、「土」になります。
「土」の性質は木火土金水の五行の中に総べて存在する関係になっています。
自然環境を例にとれば、
土と水の関係は、土に程よく水分が含まれることで、砂漠に成らず作物を育てる良い土壌となっています。
また、川があるのは土手があるからです。水が保たれるのは土によって生じるからです。
また、金は土より生じます。土をかきわけた所に金属があります。
火が燃えるのは土中にある化石燃料があるからす。
木は土が無かったら育たないのです。
全て土の恩恵に与っています。、土は母なりという事です。
そして、五行論では五臓の肝心脾肺腎と五行は肝木・心火・脾土・肺金・腎水と一体のものです。
よって、土を含まない臓器は無いという事です。〕

〔参考文献:難経第四十難:難経では四季と土用の関係から五行論を展開する事があります。
それが「五行の四方・中央の配置」になります。http://yukkurido.jp/keiro/nankei/40nan/
〔五行の色体(表・図) コーナー。 http://yukkurido.jp/keiro/bkb/c101/c202/ 〕

【井上恵理先生の講義解説より】
〈土の働き〉p120-
「脾は土に属し五臓の中に居し」
脾は土り母なり、土を含まない臓器は無いという事です。
水よってだけ生ずるのでなく、土によつて吸いとられて、水のヤヨイを増すのです。
〔ヤヨイ:潜在能力、(レジェンド:伝説。神話。言い伝え。)〕
水道が流れてくるのは水道管という土があるから、川があるのは土手があるから、水が保たれるのは土によって生じるからです。
金は土より生ずる。土をかきわけた所に金があり、火が燃えるのは土があるからで、木は土が無かったら育たないのです。
全て土による、土は母なりという事です。
¨
原文:寄旺於四時之内
訳文:四時の内に寄旺す。
解説:春夏秋冬の終いの十八日間が土用で、夏の土用はうなぎを食べるので知っているが、冬の土用、春の土用、秋の上用と、土用は四季に有るのです。

【井上恵理先生の講義解説より】
〈土の働き〉p120-
「四時の内に寄旺す」〔四季の〕春夏秋冬、これに土用がある。
春夏秋冬の終いの十八日間が土用で、夏の土用はうなぎを食べるので知っているが、冬の土用、春の土用、秋の上用と、土用は四季に有るのです。
¨
原文:以土能容載萬物、
訳文:土は能く萬物を容載するを以て
解説:〔万物は全て土が無ければ生じません。万物は土の上に立っています。〕

【井上恵理先生の講義解説より】
〈土の働き〉p120-
「土は能く萬物を容載するを以て」万物は全て土が無ければ生じない。万物は土の上に立っている。
¨
原文: 故好静
訳文:故に静なることを好む。
解説:〔土は動かず静かな存在です。〕
【井上恵理先生の講義解説より】
〈土の働き〉p120-
「故に静なる事を好む」土は動かず静かである。
¨
原文:其脉常喜沈細而緩
訳文:其の脉、常に沈細にして緩(かん:ゆるやか)を喜ぶ。
解説:〔脾の正常な脉状は、沈脉で細く緩やかなのが良い。〕

【井上恵理先生の講義解説より】 〈脾の脉〉p120-
「其の脉、常に沈細にして緩(かん:ゆるやか)を喜ぶ。」沈で細く緩やかなのが脾の脉である。
¨
原文:帯浮緊洪數者、即有病之脉也
訳文:浮緊洪数を帯びる者は、即ち病有るの脉なり。
解説:〔脾が病に起こされた時の脉状は、浮脉、緊脉、洪脉、数脉であれば脾の病脉と診断します。〕

【井上恵理先生の講義解説より】 〈脾の脉〉p120-
「浮緊洪数を帯びる者は、即ち病有るの脉なり。」浮脉、緊脉、洪脉、数脉であれば病の脉である。
¨
原文:尋常理脾、助胃之道、當用以平和之藥
訳文:常に、脾を理(おさ)め、胃を助くるの道、當(まさ)に用ゆるに平和の薬を以てすべし、
解説:
〔脾胃の治療法は、劇薬等を用いてはいけない、いわゆる平和の薬を用います。〕

【井上恵理先生の講義解説より】 〈脾の調和〉 p120-「」
「常に、脾を理(おさ)め、胃を助くるの道、當(まさ)に用ゆるに平和の薬を以てすべし、」
脾を助けるのに劇薬等を用いてはいけない、いわゆる平和の薬を用いる。
¨
原文:又須時其飢飽不
訳文:又須(すべ)からく其の飢飽を時ならしむ。
解説:〔また、脾胃が正常に働いていれば空腹感、満腹感が解(わか)るものです。解らないのは脾胃が異常な時です。〕

【井上恵理先生の講義解説より】 〈脾の調和〉 p120-
「飢飽を時ならしむ」
腹の減った事が解るようにしてなければいけない。
腹がすいた時、解らないのも脾が悪い事で、食べれない事だけではないのです。
腹が減った時、腹が減ったと解るのが正常である。
¨
原文:以生之冷物傷之
訳文:生冷の物を以て、これを傷(やぶ)ることなかれ。
解説:
〔脾胃が病に陥いら無い為には、冷たい物を食べたり、冷水や冷えたビール・冷酒を飲むことを謹みことです。〕

【井上恵理先生の講義解説より】 〈脾の調和〉 p120-
「生冷の物を以て、これを傷(やぶ)る事なかれ。」
「生冷」なま物、冷たい物、こういうのを食べて傷つけてはいけない。
水でも冷水は飲むなという事です。
年寄りの冷水といいますが、若い人はいいが、年寄りが冷水を飲むと脾を壊すのです。
年寄りは年寄りらしく、若い人は若い人らしくという事です。
この前、週刊誌の人が、精力の増進する治療を教えてくれと言われたが、そんな物は無いのです。
年とったら年とった様に精力が無くなるのが当り前で、有ることが却(かへ)って病気なのです。

他の先生が教えたらしいが、最近、自分の名を売らんが為に喋っているが、私は片っぱしから撥ね付けてやる。
そんな風に鍼灸が下手物にされては困るのです。
正しく認識してくれるなら、喜んで話すが、精力の灸とか、そんな物は有りっこない。
無いのを有ると宣伝し自分を出そうとするのは間違いです。

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原文:不為寒暑所侵
訳文:寒暑の為に侵されず、
解説:〔また、脾胃が病に陥いら無い為には、寒さ暑さに侵されないようにしなければならない。〕

【井上恵理先生の講義解説より】 〈脾の調和〉 p121-
「寒暑の為に侵されず、」「寒暑に侵されるべからず」寒さ暑さに侵されないようにしなければならない。・
¨
原文:不為七情所傷、
訳文:七情の為に傷らるる、
解説:〔そして、脾胃が病になる根本原因は、内因である七情、喜怒憂思悲恐驚の乱れから起きています。〕

【井上恵理先生の講義解説より】 〈脾の調和〉 p121-
「七情の為に傷らるる、」内傷があれば脾を調える事が出来ない。

¨
原文:如是則気體、自然充實百病不生
訳文:是の如く則は気體、自然に充実して百病生ぜず。
解説:
〔脾胃が病に陥いら無い条件は空腹感、満腹感が正常に働いている場合です。〕
〔それは、内因の感情に乱れが無く、冷たい飲食物を過食しない時です。〕
〔そのことで、気血は精神も肉体も自然に充実して、諸々の病、百病は生じません。〕

【井上恵理先生の講義解説より】 〈脾の調和〉 p121-
「是の如く則は気體、自然に充実して百病生ぜず。」
所謂、腹が減った事が正常に解る、生物、冷たい物を食べない、暑さ寒さに侵されない、
内七情、我々の精神、感情に傷られない、こういう事にしておれば、
「気體」
我々の気血は精神も肉体も自然に充実して、諸々の病、百病は生じない。

¨
原文:将理失宣、或為六淫七情相干、為嘔、為泄為喘、為満變生諸證
訳文:将理、宣しきを失し、或いは六淫七情の為に相干かされれば、嘔を為し、泄をなし、喘を為し、満を為し変じて諸症を生ず。
解説:
〔脾胃が病に陥いる原因を改めて強調します。〕
〔生物、冷たい物を過食したれ、暑い時に汗を流し、寒い時に薄着する、そういう事は理にかなっていません。〕
〔あるいは、外因である六淫の邪、寒・暑・湿・燥・火の六種外邪や、内因である七情、喜怒憂思悲恐驚の乱れに相互に侵されると、〕
〔嘔吐、下痢、咳や息切れ、腹が張り、体が張り、変じていろんな脾胃の病気の症状を生じます。〕

【井上恵理先生の講義解説より】 〈脾の調和〉 p121-
「宣しきを失し、或いは六淫七情の為に、相干かされれば、」
「當に宣しきを失し、或いは六淫七情の為に、相干かされれば」
そういう時に干(ほ)かされる時には
「宣しきを失し」
生物、冷たい物、暑い時に汗を流し、寒い時に薄着する、そういう事は理にかなっていない。
「六淫」外邪「七因」内傷、こういう者に干かされ脾胃が患う。
どういう症状が起きるか、
「嘔」吐き気がする、「泄」下る、「喘」息切れ、「満」腹、体が張り、変じていろんな症状を生じる。

¨
原文:又當於各類求之、略述以為養生者之助
訳文:又當に各類に於てこれを求むベし、略(ほぼ)、これに述べて以て養生の助けと為す。
解説:
〔脾胃の病気を治療するためにはこれまで縷々述べたことを参考にして処置しなさい。〕
〔また、これらの事は脾胃の病気を起こさない養生法になります。〕

【井上恵理先生の講義解説より】〈養生〉p120-
「又當に各々の類を各類に於て、これを求むべし」いろんな症状によつて原因を確かめなければ、
「これを述べて以て養生の助けと為す。」
脾胃を調える事が、養生の最たる物です。
冷えといっても脾と胃を調える事が、最も我々の養生に適った方法である。
そうしなくてはいけないとここで述べている。



以上、南北経驗醫方大成、第十六、脾胃の詳細解説を終わる。

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