十一、 秘結(ひけつ):便秘。c331

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十一、 秘結(ひけつ):便秘。

小項目 番号 c331

南北経驗醫方大成による病証論・井上恵理先生・講義録を参考に構成しています。

なお、本文を正しくご理解いただく為には、東洋はり医学会の発刊書籍、
「南北経験醫法大成による病証論」をお読みください。
リンク先
http://www.toyohari.net/book.html

注、本文の〔  〕内は山口一誠のオリジナル文章です。

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秘結(ひけつ)のポイント

 便秘は人を選びません。

赤ちゃんから老人まで、老若男女に便秘は誰でもなる可能性があります。
古(いにしえ)の「南北経驗醫方大成・病証論」に便秘の話が論じられています。
そこには、秘結(ひけつ)便秘になる理由が述べられています。
養生を無視したり規則正しい生活に反する暴飲暴食を長年行うと便秘になると。
あるいは、今回の九州での地震のように健全な生活が送れない状況から便秘になる事もあると思います。
便秘を治す方法に、よく言われるのは〇〇茶が良いとか、〇〇ツボにお灸をすればよいとか言われますが、
これは、便秘体質に陥った時には根本解決にはならないそうです。
秘結(便秘)の種類と具体的な解決方法が鍼灸と漢方の立場から述べてあります。

経絡治療の大前提のポイント。

 【井上恵理先生の講義解説より】p93上段
 まず治療には、症状と証の前に、その人の素困があるのです。
病気そのもは解かるが、体がどうなっているか、その人の素因を考えないと、
治療に誤診が起るので重ねて申し上げます。
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秘結(ひけつ) 原文

秘結之證。
不問氣虚體實之人。
攝養乖理。
三焦氣澁運掉不行。
壅結於腸胃之間。
皆有秘結之患有、
風秘、寒秘、気秘、熱秘、湿秘。
及因病潑汗。
利小便過多。
以致津液枯渇。
並婦人産後。
失血耗氣之餘、皆成秘結。
但當人氣體虚實者脉息沈數若何。
然後後用薬。
治療之法。
熱實者通利之。
寒虚者温行之。
氣結而渋者潤滑之。
風湿而秘者驅利之。
津液枯渇者補益之。
臨證更宜詳審虚實用薬。
不可一既而論。
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秘結(ひけつ) 原文と読み (カタカナ)。

秘結之證
ヒケツ ノ ショウ
不問氣虚體實之人
キキョ ジッタイ ノ ヒトヲトワズ
攝養乖理
セツヨウノ リニ ソムケバ
三焦氣澁運掉不行
サンショウノキ ウントウ シテ イカズ
壅結於腸胃之間
イチョウ ノ アイダニ ヨウケツシテ
皆有秘結之患有
ミナ ヒケツ ノ ワズライアリ
風秘、寒秘、気秘、熱秘、湿秘
フウヒ、カンヒ、キヒ、ネツヒ、 シッヒ
及因病潑汗
オヨビ ヤマイニ ヨッテ カン ヲ ハッシ
利小便過多
ショウベン スルコト カタニシテ
以致津液枯渇
モッテ シンエキ コカツ スル コトヲ イタス
並婦人産後
ナラビニ フジン サンゴ
失血耗氣之餘、皆成秘結
シツケツ ゴウキ ノ アマリ ミナ ヒケツ ヲ ナス
但當人氣體虚實者脉息沈數若何
タダシ マサニ ジトノキタイ キョジツ ミャクソク ノ イカントズコト
然後後用薬
シカルノチニ クスリ ヲ モチウベシ
治療之法
イリョウ ノ ホウ
熱實者通利之
ネツ ジツ ノモ ハ コレヲ ツウリシ
寒虚者温行之
カンキョ ノ モノハ コレヲ ウンコウシ
氣結而渋者潤滑之
キ ケツシテ シブル モノ ハ コレヲ ジュンカツシ
風湿而秘者驅利之
フウ シツ シテ ヒ スル モノハ コレヲ クリシ
津液枯渇者補益之
シンエキ コカツ スルモノハ コレヲ ホエキセヨ
臨證更宜詳審虚實用薬
ショウニ ノゾンデ ヨロシク ショウシンシ クスリヲ モチュベシ
不可一既而論
イツガイニシテ ロンズ ベカラズ
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南北経驗醫方大成、秘結の訳文(読み下し文)全文。

秘結の證、気虚体実の人を問わず、
攝養(せつよう)の理に叛(そむ)けば三焦(さんしょう)の気、澁(しぶ)り運掉(うんとう)して行かず、
腸胃の間に壅結(ようけつ)して、
皆、秘結の患(わずら)いあり、風秘、寒秘、気秘、熱秘、湿秘あり、
及び病によって汗を発し、小便利すること過多にして以て津液、枯渇することを致す。
並びに、婦人産後、失血耗気の餘り、皆秘結を成す。
但し、まさに人の気體虚実、脉息の沈数、いかんというを審らかにして、
然る後に薬を用ゆべし。
治療の法、
熱実の者は、これを通利し、
寒虚の者はこれを温行(うんこう)し、
気結して渋る者は、これを潤滑し、
風湿して秘する者は、これを驅利(くり)し、
津液枯渇の者は、これを補益せよ。
證に臨んで、宜しく更に虚実を詳審にして、薬を用ゆべし、
一既にして論ずべからず。
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南北経驗醫方大成、秘結(便秘)の解説

山口一誠のオリジナル文章を含む。

便秘の証について解説します。
便秘の証には、気の虚実、体の虚実は関係ありません。
便秘は人を選びません、誰でもなる可能性があると言う事です。
養生を無視したり規則正しい生活に反する暴飲暴食を長年行うと便秘になるのです。
経絡鍼灸の診断理論では、三焦の気が滞(とどこお)りを起こし、飲食物が渦巻き順当に流れ運ばれない状態になると診断されます。
大腸、小腸、胃それぞの所で飲食物が留まり、便秘の病状が出ます。
秘結の種類として、
「風邪が原因の便秘」風は乾かす力があり風邪は肺、大腸に鬱すると津液が乾いて大便が秘結する。
風邪を引いた後に便秘する事がある訳です。
「寒邪が原因の便秘」寒は開塞する、水を凍らせると同時に津液を凍らせ鬱積し便秘になります。。
「気が原因の便秘」内傷の秘結、心配事があると精神を労して便秘になります。ただし、思い過すと下痢症になります。。
「熱邪が原因の便邪」腸チアス、赤痢等の熱病により便秘します。 この場合は病気が治って熱症が残ります。。
「湿邪が原因の便秘」湿気は気血を鈍(にぶ)らせ滞(とどこお)り便秘になります。
等の分類があります。
また、秘便の種類として、病気によって汗が多量に流れ出て便秘になる場合もあります。
また、病気によって小便が多量に流れ出て便秘になる場合もあります。
汗と小便が出過ぎると、身体の津液(必要水分)が涸(か)れ便泌する原因になるからです。。
また、婦人がお産で血を失ない便秘になる時もあります。「血」が少なくなる事は「気」も少なくなる。そして、秘結(便秘)の症になる訳です。
便秘の診断治療薬は、患者の気血の虚実を診断し、また脉状が速いか遅いかを診て、
その人の素困(五行体質)と病状を検討した後、適切な漢方薬を処方すること。
便秘の具体的な治療法には以下のそれぞれの症状を改善して後に便秘を治します。
熱実の者はまず熱を取る。
寒虚の者は温める。
気が結ばれて澁(しぶ)っている者は、滑(なめ)らかにする。
風邪とか湿気は、これを除く、
津液枯渇の者は補益する事。
便秘の診断治療法の決定は、患者の気血の虚実を診断し、また脉状が速いか遅いかを診て、その人の素困と病状を検討した後、適切な漢方薬を処方すること。
便秘の治療に、この薬がいいと考えてはいけない。
経絡鍼灸師は、正しい証を導き、本治法と標治法の処置を行う事。
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南北経驗醫方大成、秘結の原文・訳文・詳細解説

〔  〕内は山口一誠のオリジナル文章です。
 ・
原文:秘結之證
訳文:秘結の證、
解説:〔便便秘の証について解説します。〕
解説捕捉1:〔大便が硬くなり、便秘の症状が出る事を「秘結」と言います。〕
解説捕捉2:秘結も色々な種類があって、それによって治療しなければならない。
 ・
原文:不問氣虚體實之人
訳文:気虚体実の人を問わず、
解説:〔便秘の証には、気の虚実、体の虚実は関係ありません。〕
〔便秘は人を選びません、誰でもなる可能性があると言う事です。〕
 ・
原文:攝養乖理
訳文:攝養(せつよう)の理に叛(そむ)けば
解説:〔養生を無視したり規則正しい生活に反する暴飲暴食を長年行うと便秘になるのです。〕
 ・
原文:三焦氣澁運掉不行
訳文:三焦(さんしょう)の気、澁(しぶ)り運掉(うんとう)して行かず、
解説:〔経絡鍼灸の診断理論では、三焦の気が滞(とどこお)りを起こし、飲食物が渦巻き順当に流れ運ばれない状態になると診断されます。〕

解説捕捉:
「三焦氣」三焦(さんしょう)の気は、上中下焦のそれぞれの「気」と考えます。。
上焦は心臓、呼吸機能を主ります。
中焦は消化機能を主ります。
下焦は泌尿、生殖機能を主ります。。
「運掉」:運掉(うんとう):「運」は運ぶこと。「掉」は水が転がり渦巻く様子。
三焦(さんしょう)の気が正常に巡らなければ便秘となります。
三焦(さんしょう)の気が動きを止めれば人間は死にます。。
参考リンク:三焦について、難経:三十一難、三十八難。
三十一難、
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/31nan/
三焦には、上焦・中焦・下焦がある。三焦の位置とその働きについて論述する。
三十八難、
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/38nan/
三焦の働きについて。
 ・
原文:壅結於腸胃之間、皆有秘結之患有
訳文:腸胃の間に壅結(ようけつ)して、皆、秘結の患(わずら)いあり、
解説:〔大腸、小腸、胃それぞの所で飲食物が留まり、便秘の病状が出ます。〕

解説捕捉:
井上恵理先生の講義解説より】p91下段
〔便秘の発生メカニズム:東洋医学的、胃・腸・膀胱の捉え方。〕
「腸胃」大腸、小腸、胃「腸胃の間に結ばれる」
胃で剋化〔消化〕された〔飲食物〕が腸に行く時、
水分と穀物を分離し、水分は膀胱へ、粕は大腸へ行く、別れ方がはっきりしてないと便泌の症を起こす。
水分が多く取られると大便が結する。だから便秘の人は小便多く出る。
カルテをつける時、こういう事で便泌が解かる。
汗をかく人は便秘が多い。津液が漏れるので便が結する。
大便と小便は小腸で別れるという考え方が出てきた。
下痢すると小便少なくなる。
下痢と小便は別の所から出るが、、、、、
実際の患者の状態から東洋医学の治療法が出来、
小便が出る様にすれば下痢が止まると臨床の上から結論づけた。
漢字の意味
よう【壅】[音]ヨウ(漢)狭い囲いの中に押し込める。ふさぐ。
 ・
原文:風秘、寒秘、気秘、熱秘、湿秘
訳文:風秘、寒秘、気秘、熱秘、湿秘あり、
解説:秘結の種類として、
「風邪が原因の便秘」風は乾かす力があり風邪は肺、大腸に鬱すると津液(必要水分)が乾いて大便が秘結する。
風邪を引いた後に便秘する事がある訳です。
「寒邪が原因の便秘」寒は開塞する、水を凍らせると同時に津液(水分)を凍らせ鬱積し便秘になります。。
「気が原因の便秘」内傷の秘結、心配事があると精神を労して便秘になります。ただし、思い過すと下痢症になります。。
「熱邪が原因の便邪」腸チアス、赤痢等の熱病により便秘します。 この場合は病気が治って熱症が残ります。。
「湿邪が原因の便秘」湿気は気血を鈍(にぶ)らせ滞(とどこお)り便秘になります。
等の分類があります。
 ・
原文:及因病潑汗
訳文:及び病によって汗を発し、
解説:〔及び、秘便の種類として、病気によって汗が多量に流れ出て便秘になる場合もあります。〕
 ・
原文:利小便過多
訳文:小便利すること過多にして、
解説:〔病気によって小便が多量に流れ出て便秘になる場合もあります。〕
 ・
原文:以致津液枯渇
訳文:以て津液、枯渇することを致す。
解説:〔汗と小便が出過ぎると、身体の津液(必要水分)が涸(か)れ便泌する原因になるからです。〕
 ・
原文:並婦人産後、失血耗氣之餘、皆成秘結
訳文:並びに、婦人産後、失血耗気の餘り、皆秘結を成す。
解説:〔婦人がお産で血を失ない便秘になる時もあります。
「血」が少なくなる事は「気」も少なくなる。そして、便秘の症になる訳です。〕
 :
解説捕捉:【井上恵理先生の講義解説より】〔 〕内は山口一誠の文です。
〈秘結と津液〉
この前は外邪による秘結(便秘)でしたが、ここでは体の状態、内因の証による秘結と考えてよい。
「婦人の産後」お産の後、血を失なって気を減らす「血」が少なくなる事は「気」も少なくなる。
「耗気」〔とは〕気を減らす〔こと〕、そうすると秘結(便秘)の症になる。
これは外邪が入って津液を枯渇するとか、病によって、汗、小便が出すぎた為とか、産後の出血により、我々の体の津液が結渇した時、秘結が起るといえる。
秘結するとは、大便が権渇するだけでなく、あらゆる内分泌物の不足、体の水分の不足だといえる。
内外の津液〔とは〕、内は内分泌物、外は汗、小便等〔の事。〕
〔この内外の津液〕が外に出すぎた為と内で枯渇する場合があり、
こういう事を考えないで便秘だけ治そうとすると本当の治療が出来ないのです。
秘結の場合、他の症状も考え、例えば、
お産の場合は、気血とも虚なので、どこ迄(まで)も補う。
熱、冷え、風邪、気の損じ、あわゆる病気の原因があるので標治法だけに頼ると治らない場合がある。
症状と証(症候)の相違で他の病気も同じです。
もし症状で治せるなら、証の決定はいらない。
現代医学の病名でも治せるのですが治らないので問題があるのです。
鍼灸が標治法的な物になった為、
大きな効果がある鍼灸術の幅が狭くなっていると考えます。
 ・
原文:但當人氣體虚實者脉息沈數若何
訳文:「但し、まさに人の気體虚実、脉息の沈数、いかんというを審(つまび)らかにして、然る後に薬を用ゆべし。」
解説:
〔便秘の診断治療薬は、患者の気血の虚実を診断し、また脉状が速いか遅いかを診て、
その人の素困(五行体質)と病状を検討した後、適切な漢方薬を処方すること。 〕

解説捕捉:
井上恵理先生の講義解説より】原文
(病の素因) p93上段より。
氣體「気体」はここでは、気血と考える。その人の体が虚か実の二つが考えられる。
それから脉の沈数、沈んでいるのか、速いのか、
漢文法では、一つで全部を表わす使い方があり、沈があれば浮があり、数があれば遅があると考える。
一方をいわなくても常識的に繋がっているものです。
それを考えて薬を用いる。
鍼も同じことです。
まず治療には、症状と証の前に、その人の素困があるのです。
病気そのもは解かるが、体がどうなっているか、その人の素因を考えないと、治療に誤診が起るので重ねて申し上げます。
 ・
原文:治療之法
訳文:治療の法、
解説:〔便秘の治療法には以下のそれぞれの症状を改善して後に便秘を治します。〕
 ・
原文:熱實者通利之
訳文:熱実の者は、これを通利し、
解説:熱実め者はまず熱を取る。
 ・
原文:寒虚者温行之
訳文:寒虚の者はこれを温行(うんこう)し、
解説:寒虚の者は温める。
 ・
原文:氣結而渋者潤滑之
訳文:気結して渋る者は、これを潤滑し、
解説:「気結」気が結ばれて澁(しぶ)っている者は、滑(なめ)らかにする。
 ・
原文:風湿而秘者驅利之
訳文:風湿して秘する者は、これを驅利(くり)し、
解説:「風湿」風邪とか湿気は、これを除く、
 ・
原文:津液枯渇者補益之
訳文:津液枯渇の者は、これを補益せよ。
解説:津液枯渇の者は補益する事。
 ・
原文:臨證更宜詳審虚實用薬
訳文:證に臨んで、宜しく更に虚実を詳審にして、薬を用ゆべし、
解説:〔便秘の診断治療法の決定は、患者の気血の虚実を診断し、また脉状が速いか遅いかを診て、その人の素困と病状を検討した後、適切な漢方薬を処方すること。〕
 ・
原文:不可一既而論
訳文:一既にして論ずべからず。
解説:便秘の治療に、この薬がいいと考えてはいけない。

解説捕捉:〔経絡鍼灸師は、正しい証を導き、本治法と標治法の処置を行う事。〕
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【井上恵理先生への質問・回答コーナー】山口一誠の抜粋文章。

質問:津液枯渇は、どの経の変動が多いのですか。
答え:一番多いのは腎虚、肝虚で、脾虚はあまりなく、どちらかというと下痢が多い。
秘結と大便少ないは違います。食べないからです、大きな熱病、産後は便秘が多い。
質問:便秘の定義で本人が不快感が無ければ良いのですか。
答え:それは逆です。
例ば脳卒中患者で、血圧高く、頭痛ない方が治りにくい。丈夫な人が死ぬのはこれが多い。
私の経験で、高血圧で脳卒申を起二す人は、便秘症が多い。しかも便秘が奮痛でない。
大腸癌の場合、便秘は、100パーセントです。しかも本人は便秘を訴えない。
撓骨神経痛で往診、治療するとピタリと治るが、又痛くなる。
症状なくただの神経痛と考えていたが、
もう一度問診、便秘普通だというが週に一回、あやしいと思い病院にいってもらうと大腸癌だつた。
臓病から経病にきた病気です。
大腸経にきた者は大腸癌、小場経にきた者は小腸癌と考えてもいい。
〔病院での検査はこれは怪しいと思ったらさせること。〕
胃癌は脾経からくる。胃経はあまりない。
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参考資料1.

『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例
また、「杉山三部書の治療穴」を各項目に合わせて掲載しています。
41、

秘結 だいべんつうぜず

風秘は風痰、大腸に結して通ぜず。
風を発散すべし。
気秘は気とどこをり、後重せまり、いたみ、煩悶、脹満す。気をめぐらすべし。
寒秘は腹冷、痃癖、結滯す。温補すべし。
虚秘は津液虚し、血少くして、かわき渋る。潤し滑にすべし。
熱秘は實熱、気ふさがり、心満、腹脹り、煩渇す。熱をすずしくすべし。
【灸】肝兪・膽兪・腎兪・大腸兪・関元。
【針】天枢・滑肉門・石門・陰交・承山。
———————
杉山三部書、 病証の治療穴から。
秘結〔便秘〕の病状には、 下脘・水分・章門に補法。 脾兪に瀉法。
治療穴として、気海・天枢穴も使用する。
治例項目一覧に戻る
——————————————————————-

参考資料2.

経絡の変動 比較図表 コーナーより。

 ② 大便について。

肝木の変動
未消化の下痢がザーッと出る。
便秘と下痢が交互にくる。
心火の変動
緊張すると下痢になる。
脾土の変動
便秘。軟便。下痢。
オナラをすると病状が改善する。
排便をすると病状が改善する。
便意はあるが出ない。
夜明け前に下痢をする。
肺金の変動
何度もトイレに行く。
便を出して、脱肛する。
腎水の変動
慢性の下痢。慢性の便秘。
大便が出てもスッキリしない。不安定。
お腹の裏が引きつる。
一週間以上の便秘。
コロコロ便。(兎便)
:::::::::::::::::::::::

急性下痢症 : 五つの分類。 (難経五十七難より)

 1.胃泄。2.牌泄。3.大腸泄。4.小腸泄。5.大瘕泄(別名:裏急後重)がある。
心火の変動
4.小腸泄。
小腸泄は下痢に膿血が混じって出て来る。
そして下っ腹が痛む。
小便が出なくなる。
脾土の変動
1、胃泄は、
消化不良が原因です。
消化せず色が黄色です。
胃は土に属する故に土の色の黄色なのかな。
これは気持ちよくグーッと下る下痢症です。
2.牌泄
牌泄は、お腹が張って下痢する。
胃泄の方はお腹が張らない。
下痢してお腹がぺシャンコになってしまう。
そしてご飯が、胃泄の方は食べられるが、牌泄の方は食べられない。
食べると直ぐに吐く。
吐逆する。嘔気は吐き気、吐逆と言うのは本当に吐く。
※「声なくして物あるを吐となし、声あって物なきを嘔となす。」と言うのが嘔と吐の区別です。
嘔と言うのは気だけの病、物を吐(は)かない。
吐と言うのは血の方も病んでいるから物を吐く訳です。
ウエッと呻いて吐物を吐くのは気も血も病んでいることに成ります。
肺金の変動
3.大腸泄。
大腸泄は食べなければ下らない。
食ると迫って来て下痢する。
臍の周りが痛む。
食後直ちに下腹部でゴロゴロと腸が動き、便が肛門にせまって来て我慢が出来なくなり、
大便したくなる、大使の色は白く、腸が常に鳴ってキリきりと甚しく痛む。
子供の大腸泄の場合は粘液便などが出る。そしてお腹が鳴ってチクチク痛む。
腎水の変動
5.大瘕泄(別名:裏急後重)
大瘕泄の方は「裏急後重 」と言うのが主症状です。
裏急後重と言うのは、大便所へ行って終わって出て来ても何かお尻が下へ下がりそうな感じがする。
「裏急 」と言うのは「お尻が」と言う事で、「後重」は後ろへ重くなる。
便が出たい様だから便所に行くんですね。ところが出ない。
便所から出て来るとまた行きたくなる。行ってみると出な い。
これは痢病、ドツと下らずピリピリと渋る所謂「渋り腹」と言うものです。
そして
「茎中痛む 」は男根が痛む。
以上の下痢症の五つの分類は、重要な経絡鍼灸理論の区別の方法である。
・——————————————————–

③ 小便について。

肝木の変動
尿失禁。
尿がでない。
若枝の油臭。
心火の変動
尿量が少ない。 色が濃い。焦臭。
脾土の変動
尿が出にくい。
尿に泡が多い。
香臭。
肺金の変動
昼間の小便の回数が多い。
腥臭。
腎水の変動
おねしょ(尿失禁)。
夜間に小便に行く。
尿量が多く色は希薄。
不安定。
尿に泡が多い。
尿の色が赤茶色。
腐臭。
:::::::::::::::::::::::
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

参考資料3.

十四、腹部の鍼灸治療
リンクしてご覧あれ。
http://yukkurido.jp/keiro/e1/e3/14-2/
このコーナーでは臨床に直接役立つ経絡鍼灸の証決定・本治法・標治法の方法を述べます。
参考文献は、小里勝之(こさとかつゆき)先生の臨床発表「論考:身体各部の病症と経絡鍼灸治療」を
ベースにして、 ここに、『鍼灸重宝記』と、HPゆっくり堂の経絡鍼灸教科書を加えて構成します。
また、適宜、東洋はり医学会の臨床経験文を参考に考察を行います。
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