症例集 本文 コーナー sk

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帯状疱疹の改善例

帯状疱疹を1回のお灸で治した症例

26歳 女性  お仕事:医療関係。

「左足内側に発症した、帯状疱疹(ヘルペス)&左耳の突発性難聴」を同時に発症。

鍼灸施術後の患者様の感想:

鍼は初めてなので、
テレビで見た針では背中に何十本もされると覚悟して来ましたが、
そうではありませんでした。

山口先生の触診されたところが全て痛かったので驚きました。

そして、お灸をされた時は「ピッ」と痛みが走りましたが、

その後、その場所を指圧されても痛みが消えていたので魔法にでもかけられたようで初めての体験でした。

そして、それ以後、痛みは出ていません。

また、鍼は、足に1箇所、手に2箇所、背中に3箇所、じんわりと刺され身体が楽になりました。

あと、耳の治療だと思うのですが、耳の周りを数カ所チョチョと、
刺されましたが少しも痛くなかったです。

その晩はぐっすり眠れて、朝は爽快に目覚め、肩こりもなくなっています。

次の日に来院して同様の治療と左腰が重たい感じだったので、その部にお灸をしてもらいました。

その日から、耳がだんだんハッキリと聞こえる様になってきました。
病症の考察。

あらためて、主訴は、

帯状疱疹(ヘルペス)& 左耳の突発性難聴を同時に発症。

病院での治療でステロイド剤の内服をした、ある程度、症状が改善したが、
発症後2週間経過して、湿疹がまだ残り、耳の聞こえが全面的には改善していない。

帯状疱疹(ヘルペス)の発生部位は、

左足の下腿内側の全部と膝の上から大腿前面に面的に発赤、
水疱が出て、ピリピリした強い痛みが出た。

2週間後の当院への来院の時は、数ヶ所に赤い小丘疹(3ミリ径)が残っていた。
そして、
この部を指で圧すると極めて痛い、圧痛点であった。
その部位は、
左照海穴(内果の直下1寸、足の少陰腎経)
左三陰交穴の辺り(内果の上3寸、脛骨内側縁の骨際、足の太陰脾経)
左血海穴辺り(大腿前内側にあり、膝蓋骨内上角の上2寸、足の太陰脾経)

右承筋穴(腓腹筋の最もふくらんだところ、足の太陽膀胱経)

副訴は肩こり、生理痛、軟便、夜間尿数回あり。

病院での診断名はヘルペス(帯状疱疹)& 左耳の突発性難聴。

1ヶ月前に「指圧研究会」にて背部の指圧を受け、
その後、体調不良の日が続いていた。
そして今回の病気を発症した。
また、
指圧の後遺症で青アザと違和感が、
両肩に天?穴、秉風穴辺りに最近まで残っていた。
天?穴(肩甲骨上角の外上方、手の少陽三焦経)
秉風穴(肩甲棘のほぼ中央上際、手の太陽小腸経)

腹証:
肺の所見、冷たくやや陥凹。肝の所見、左天枢から大巨穴に棒状を触れる。(於血の証)

背部:左膈兪、筋縮、左腎兪に圧痛。

脉状:

六祖脉: 沈・平・虚・軟。

比較脉診: 腎最も虚。

病症の経絡弁別

肝木経の変動:
赤い小丘疹、圧痛点:右承筋穴。肝の所見、左天枢から大巨穴に棒状を触れる(於血の証)。生理痛。

心火経の変動:
青アザと違和感が、両肩に天?穴、秉風穴。

脾土経の変動:
ヘルペスの発生部位。 赤い小丘疹、圧痛点:左三陰交穴の辺り、左血海穴辺り。軟便。

肺金経の変動:
ヘルペス(帯状疱疹)。腹診:肺の所見、冷たくやや陥凹。肩こり。

腎水経の変動:
左耳の突発性難聴。 赤い小丘疹、圧痛点:左照海穴。夜間尿数回あり。 左膈兪、左腎兪に圧痛。比較脉診: 腎最も虚。
証決定: 腎虚に弁別。

適応側 : 右 適応側とする。

予後の判定:
年齢も若く、生来は健康体であるので、病状回復も早く予後は良と判定する。
が、生理の問題は、長期の治療が必要と判断、その旨を本人伝えました。
本治法:(銀鍼1寸1番鍼にて、)右腹溜穴を補法。

標治法:
ヘルペスの発生部位、赤い小丘疹、圧痛点に対して、お灸。
施灸部位は左三陰交穴、左血海穴、右承筋穴の3箇所のみ。

左耳の突発性難聴に対して、
両三陽絡穴に銀鍼1寸1番鍼にて、補法の手技。耳の周りを補的散鍼。
治療後の考察:

ヘルペス(帯状疱疹)は、日常生活の無理が重なり、免疫力が落ちて、
身体に潜んでいたヘルペスウイルスが出て身体の左右のどちらかに1本の神経に沿って、
赤い小丘疹や、小水疱が帯状に現れます。

また、
突発性難聴とは 突然に 耳が聞こえなくなる病気をいいます。

患者様は医療関係の指導的立場の方ですが、実験的施術を研究される過程で、
1ヶ月前に「指圧研究会」にて背部の指圧を受け、
その後、体調不良の日が続いていた。
そして今回の病気を発症した。
また、
青アザと違和感が、両肩に天リョウ穴、秉風穴辺りに最近まで残っていた。
ここの経絡はいずれも耳を通過しています。
(天リョウ穴、手の少陽三焦経)(秉風穴、手の太陽小腸経)なので、
突発性難聴が発症する遠因になったと思われます。

また、
同時期にヘルペス(帯状疱疹)を併発したのは、
肝の所見、左天枢から大巨穴に棒状を触れる(於血の証)。
生理痛。
腎水経の変動、夜間尿数回あり。左膈兪、左腎兪に圧痛。
比較脉診: 腎最も虚。
のベースがありますので、
免疫力が落ちて、今回の病状が出たものと考えられます。
古典にゆわく。

鍼灸重宝記より、 「耳病」

耳は腎に属して、竅を少陽の部に開。
会を手三陽の間に通ず。腎に関かり脳を貫く。
故に腎虚するときは耳聾して鳴る。
両耳腫痛み、あるひは膿を出すは、腎經の風熱なり。
口苦く、脇痛み、寒熱往来は、少陽膽經の風熱。
左の耳聾は、忿怒、膽の火を動す。
右の耳聾するは、色慾相火を動ず。
両耳倶に聾するは、厚味胃火を動ず。
あるひは、気によつて閉る者あり。
あるひは、痰火に因て耳鳴ものあり。

これから考えますと、

「左の耳聾は、忿怒、膽の火を動す。」ですので、

左の耳が聞こえないのは、

イライラや怒の内傷が、
胆経の相火を動かして発症したと考えます。
なお、施灸の手技は、
東洋はり医学会 中田光亮先生の講演から、
ヘルペス「帯状疱疹」をお灸の手技で治す方法を紹介されていましたので、
今回はその手技に基ずき施灸をいたしました。

結果お客様に大変喜ばれました。

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帯状疱疹 (ヘルペス)後遺症

帯状疱疹(2)

                                      ゆっくり堂鍼灸院の病気の改善例(23)

                       鍼灸治療例 小項目 番号 ti023

治療例 (23):帯状疱疹 (ヘルペス)後遺症

患者様プロフィール: 女性 54歳 国内と海外にて野外アート彫刻家&創作料理店経営

来院年月:平成2x年5月 漢方相談薬局のご紹介で来院されました。

 一番改善したい病状の特徴と経過:

現病歴

主訴は、帯状疱疹の後遺症による激痛が1日に5~6回、昼夜を問わず突然起きる。

帯状疱疹の発症部位は、右腹部と右背部に4~6ミリ経の茶色に色素沈着した湿疹が多数点在しています。

腹部では右季肋部(みぎきろくぶ)を中心に巨闕、不容、大包、京門、太乙、中脘穴を囲む部にあり、背部では大包、京門、膈兪、肝兪穴を囲む範囲にあります。

激痛は腹部では不容、承満、期門穴辺りの茶色の湿疹に一点づつ、バラバラに激痛が出ます。

背部は面的に焼きゴテを押しつけるような痛みが数分間出る事もあります。

そして、痛む時はただ耐えるのみで声も出せません。

自動車での移動時にも道路の凹凸の振動で激痛が走りますので、自分での運転はできません。

帯状疱疹の遠因としては、

2年前にM国にて、野外アート彫刻責任者として12月~5月の半年間、休みなく働いていました。

外国人との対外折衝。

日本から連れて行った従事者の面倒などの心労。

気温の変動差が激しい土地柄で冬は氷点下30度、春は砂嵐が吹く日もあり、又汗ばむような陽気の次の日には雪が降るなど、天気の変化激しい現場作業との事で、心身ともに酷使しされたようです。

病状の経過は、痛みが出だしたのは一年3ヵ月前で、3か月間は痛みのみで、皮膚症状は出ていません、その後、少し皮膚に湿疹が出だして、急速に皮膚症状が悪化します。

皮膚が真っ赤になり、熟れたザクロを開いた様なヘルペス特有のプチプチの真っ赤な湿疹となり。

赤い炎症性の水泡が現れ、それが潰瘍します。

この段階で大学病院にて、帯状疱疹と診断され、即入院。

2か月ほど入院したのち現在まで病院にて通院治療をしていました。

病院での通院治療と、漢方薬局の服薬も飲みながら鍼灸治療に来られた次第です。

副訴としては、
右側の肩から背部、腰部あたりまでが「ムズムズ」する違和感があります。

現在の使用薬は:
ペイクリニックでの注射と降圧剤及びホノミ漢方薬のロイルック錠を服用しています。

 過去の病歴:

高血圧・メニエル症があります。

 

漢方診断:

望診
身長 160cm・ 体重50kg
顔面は日焼けしていますが黄色に見えます。尺部の色は白と黄色で艶がありません。
動作は、機敏です。 雰囲気は、意志の強い人で、国内外に友人も多いようで社交的です。

聞診
五音は角(かく)音・ 五声は呼(こ)・五香は、香(こう)に感じました。

問診
食欲はあり、偏食はありません。
便通は一日1回の普通便です。
睡眠は寝つきは良いのですが、帯状疱疹の後遺症による激痛が夜間も突然起き目覚めます。
小便は昼間は7回、夜間尿はありません。

国内での職業の創作料理店経営は完全予約制です。

遠方からの来店もあり、また国内外の施主や友人の誘いで、出かけることもあるとのこと、 人生の大仕事をやり通し、優々自適の生活とのこと、
ただ、この激痛があと半分になり、自分で車の運転が出来れば他に言う事はないそうです。
鍼灸治療の経験はあります。

切 診

切経:
体全体に生気があり、手足の陽部は艶と程よい張りがあります。
臍型は正気得る丸臍型です。
背腰部も筋肉質で左右の均整も良く、艶と張りがあります。
右ムノ部に弛緩・硬結があります。 右ナソ部に緊張・弛緩があります。

腹診:
右季肋部日月・腹哀穴より斜めに臍の右側までの肺の診所、陥下し、茶色の湿疹多数あり、不容、承満、期門穴辺りの湿疹部に圧痛あり、肌全体は艶なくカサつき最も虚。
陰交穴より中脘穴のやや上までの脾の診所、艶なくカサつき虚。
臍の左下、側腹部、胆経の帯脉穴 よりきょりょう居髎穴までの 肝の診所、艶なくカサつき虚。
その他は平位と診ました。

脉診

1、脉状診・・・「浮・数・実」(古タイヤを並べたような脉)

2、比較脉診・・右手寸口沈めて肺最も虚、浮かせて大腸実。
右手関上沈めて脾虚、浮かせて胃実。
左手関上沈めて肝虚、浮かせて胆虚。
左手尺中沈めて腎虚、浮かせて膀胱実。
その他は平位と診ました。

 病症の経絡的弁別:

帯状疱疹の発症部位の右季肋部・尺部の白色・比較脉診の右手寸口沈めて肺最も虚は、肺金経の変動。

野外アート彫刻責任者として心労・五音の角音・五声の呼は、肝木経の変動。

顔面と尺部の黄色・五香の香は、脾土経の変動。

帯状疱疹の後遺症・右背部の激痛・背部、腰部の違和感は、腎水経の変動。

証決定:

以上の漢方診断四診法から、総合的に判断して、「肺肝剋調整証」としました。

適応側の判定:

病症が右にありまた、慢性病ですので「左」を適応側にしました。

 治療の予測:

元来健康で体全体に生気があり、声には艶と力、張りともにあり喋り方も明るいので、「良」と診ました。

治療方針:

帯状疱疹の後遺症が継続していると言う事は、依然として免疫力の低下がある訳ですから、本治法によって免疫力を上げる事を中心に行い。

気血を整え、生命力の強化をはかり健康を根本から促す事。

標治法はナソ、ムノ治療を適切に行い、局所の反応点をその日の状況に応じて処置し、また奇経治療の反応を診ながら処置をし、適宜、頭部から足先まで柳下円鍼にて虚の部分を撫で擦る手技を行ないます。

そして、治療の終わり方は、患者の自然治癒力が湧き出す方向に程よく向けた時を終わりとします。

また、今回は痛さのレベルを自己申告してもらうことにしました。

(現在をレベル10として、痛みが減少して0になれば完治になります。)

 施術内容と治療の経過:

1回目:5月25日

本治法:
銀鍼寸3-1番にて、左太淵穴を経に従い取穴。気が至るのを度とし、
左右圧をスーッと加え、すばやく抜鍼と同時に、鍼口を閉じる補法を行いました。

険脉すると、脉状はやや硬さが取れ、数も少しおさまりました。
そして、肺の脉が出てきました。また脾の脉はまだ十分ではありませんでしたので、
左太白穴に同様の補法を行いました。再度険脉すると、脉状は良くなりましたが、
副証の肝の脉が十分ではありませんでしたので、右太衝穴に補法を行いました。

険脉すると、陰経の脉状はほぼ整いました。
また、腹部を診ますと腹部全体に少し艶が出たように感じました。

次に陽経の脉を診ますと、古タイヤを並べたような脉が少し柔らかくなっています。
そして、胆の脉に、虚性の邪(枯)を感じましたので、ステンレス鍼寸3-1番にて、胆経の右光明穴に枯に応じる補中の瀉法を行いました。

険脉すると、中脉にほぼ纏まったものに感じましたので、
本治法を終了し、標治法に移りました。

標治法:ムノ部ナソ部の左右の緊張・弛緩を整える為に虚した部に補鍼をしました。
頭部から足先まで柳下円鍼にて虚の部分を撫で擦る手技を行ない、程よく気がみ順った所で、
1回目の治療を終了しました。

2回目:5月28日、痛さレベル10。1回目の治療と同様に処置しました。

3回目:5月31日、痛さレベル10。

ここで、奇経治療の陽蹻脉に反応を診ましたので、
右申脈→左後谿を使用。手技:5分ほど置鍼し。後、五-三で奇経灸をして終了。

4回目:6月4日、痛さレベル7。3回目の治療と同様に処置しました。

5回目:6月6日、痛さレベル7。
自分で車の運転をされて来院されました。道路の凹凸の振動で痛が出るがハンドルはぶれないとの事。

6回目:6月11日、から・・

10回目:7月4日、痛さレベル5の半分になって来ました。
この時期から、局所治療:として、治療当日の痛みの箇所にゴマ灸や糸状灸を一点一壮、直接湿疹の部に手技を加えますと、痛みが瞬時に消える様になてきました。

11回目:7月11日、から最終の14回目:8月2日痛さレベル3~5で落ち着いているとのこと。

激痛が半分になり、自分で車の運転が出来るまでになれたので、治療終了となりました。

 治療経過のまとめ :

患者さんの求めには答える治療には成りましたが、結果として完治には至らず終了になったことは、私の理と術の現状を現わすものです。

今回は経絡鍼療第476号平成22年6月号の「ヘルペス・帯状疱疹」中田光亮先生の講義を読みながら、治療過多にならないように一つずつ手技を重ね、または入れ替えて治療を試みました。

このような症状をお持ちの方は、週に一回のペースで健康促進の鍼灸治療をお勧めしたいのですが・・・

元来元気なので、鍼灸院には足が向きません・・・

でも、何かの時に頼りにしてもらえればと思います。

 

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参考リンク:言葉の説明コーナーです。ご覧ください。

漢方診断とは

本治法と標治法について。

 

 

                                 ゆっくり堂鍼灸院の病気の改善例(23)

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