足底痛の改善例 ① ti010

右足の「足底痛」の改善例について。 ①

患者  女性 60歳   職業は主婦業です。

主訴は、右足の足底痛。

右足の踵(かかと)と、
踵骨隆起(しゅこつ りゅうき)に起始する辺りの筋肉が痛みます。

歩行は、つま先歩行になっています。
痛みで、踵を床に着くことができません。
また、痛みの為に靴が履けませんのでサンダルやスリッパでの、
つま先歩行になります。

朝、起床時には右足かかと踵が強張ります。
日中はかかと踵を床に着かなければ痛みは無いのですが、
夕方からは、足首から下の足全体に痛みが出てきます。

主訴の発症時期は、3ヶ月前からです。

健康維持のために、毎日ウオーキングをしていました。
新しい靴が足に合わないのを無理して歩行した為に右足の足底痛になったようです。
整形外科や整骨院で治療を受けましたが、
増々痛みがひど酷くなってしまいました。

痛くない鍼をする鍼灸院があると、
友人から話を聞いて来院されました。

副訴としては、
問診、予診表への、記載より。

右足の外果と内果が浮腫み動作痛がある。
病状が改善しない為のイライラ感がある。
手足が冷たい。足先が特に冷たい。
朝、手足が浮腫む。左膝の内側と外側が浮腫みまた、冷えと痛みもある。
疲れやすく。身体が重い。関節が痛む。左右の肩こり。のぼせ感がある。
欠伸が多い。 腰部から左 側腹部に痛みがある。
メニエル症があります。

鍼灸治療の経験は初めてです。

触診より。

右足と踵に圧痛があります。
右足の外果と内果に浮腫と圧痛あります。
両下肢全体が浮腫み、冷えています。
両手が冷えています。
左ひざ膝の内側と外側が特に浮腫み、冷えと圧痛があります。
左の梁丘穴・豊隆穴辺りがツルツルした皮膚があります。
背部、腰部に緊張・弛緩・硬結が多数あります。
右臀部中央にゴム粘土様の柔らかい所見があります。

腹診より。

腹部全体がやや冷えています。

陰交穴より恥骨上際に至る腎のみどころ診所、カサつき軟弱で最も虚。

陰交穴より中?穴のやや上までの脾の診所、冷えて軟弱で虚。
また、水分穴辺りに凹みがあります。

右季肋部日月(みぎきろくぶじつげつ)・腹哀穴より斜めに臍の右側までの肺の診所、陥下(かんげ)し、カサつき冷えあり虚。

臍の左下、側腹部、胆経の帯脉穴 よりきょりょう居?穴までの 肝の診所に硬結、圧痛があります。

その他は平位と診ました。
脉診
1、脉状診・・・「沈・数・実」
2、比較脉診・・左手尺中沈めて腎最も虚、浮かせて膀胱実。
左手関上沈めて肝実、浮かせて胆虚。
右手寸口沈めて肺虚、浮かせて大腸実。
右手関上沈めて脾虚、浮かせて胃実。
その他は平位と診ました。

病症の経絡弁別

右足かかと踵の痛み。 患部の治療に対して恐怖心。足の冷えと浮腫み。
のぼせ。足先が冷たい。 朝、手足が浮腫む。腰痛。背部、腰部の緊張・弛緩・硬結。 右臀部のゴム粘土様の所見。夜間尿。 既往歴のメニエル症。
五音の、羽(う)音。腹診での、腎のみどころ診所 、カサつき軟弱で最も虚。
比較脉診での腎の脉、最も虚。は、
腎水経の変動。

右足の内果の浮腫と圧痛。疲れやすい。身体が重い。左膝の内外側の浮腫みと冷え痛み。左の梁丘穴・豊隆穴辺りのツルツルした皮膚。家庭の事で悩みごとがある。腹診での、脾の診所、冷えて軟弱で虚。また、水分穴辺りの凹み。
顔色・尺部の色、共に黄色で艶なし。五声の歌(か)。五香の香(こう)。は、
脾土経の変動。

左右の肩こり。欠伸が多い。手足の冷たさ。腹診での、肺の診所、陥下(かんげ)し、カサつき冷えあり虚。は、
肺金経の変動。
証決定
・・以上の四診法から、総合的に判断して、
「腎脾相剋調整証」としました。
適応側の判定
病症が右にありますので「左」を適応側にしました。

予後の判定
元来健康で、声には艶と力、張り、ともにあり、喋り方も明るい。
ので、「良」と診ました。
治療方針

本治法を正しく行い。
気血を整え、生命力の強化をはかり健康を根本から促す事。
標治法は正しい歩行バランスが取れないため背部腰部に緊張・弛緩・硬結ができたものと考え、この部の 左右上下を整え、腰の部分の処理を行うことにしました。
そして、局部に対しては浅い鍼で、また治療過多にならない様に対応する事にしました。

1回目:平成24年3月10日

本治法:
銀鍼寸3-1番にて、左復溜穴を経に従い取穴。気が至るのを度とし、
左右圧をスーッ加え、すばやく抜鍼と同時に、鍼口を閉じる補法を行いました。

険脉すると、脉状はやや硬さがとれ、数も少しおさまりました。
そして、腎の脉が出てきました。
また肺の脉はまだ十分ではありませんでしたので、
左尺沢穴に同様の補法を行いました。
再度険脉すると、脉状は良くなりましたが、
副証の脾の脉が十分ではありませんでしたので、
右太白穴に補法を行いました。
険脉すると、陰経の脉状はほぼ整いました。
また、腹部を診ますと腹部全体に温かみと艶が出たように感じました。

次に陽経の脉を診ますと、三焦の虚。
胆と胃の脉に、虚性の邪(枯)を感じましたので、
まず、左陽池 穴を銀鍼にて補い。
次に、ステンレス鍼寸3-1番にて、胆経の左光明穴と胃経の左豊隆穴に、枯(こ)に 応じる補中の瀉法を行いました。
険脉すると、中脉にほぼ纏まったものに感じましたので、
本治法を終了し、標治法に移りました。

標治法:
ムノ部の弛緩した部に鍼を寝かせて押手の示指の指腹で鍼を軽く押さえて鍼を右回旋するする補法と硬結 部には左回旋の瀉法をくわえました。また、ナソ部に緊張・弛緩に対しても、同様の手技を各1箇所ずつ 行いました。
また、背腰部の緊張・弛緩・硬結に対しても皮膚の艶をみながら、左右上下を整えるために数ヶ所、始め に補法を行いその後、瀉法をくわえました。

臀部所見に対して、坐骨神経痛改善の手技を応用し主訴の「足底痛」の改善の目的で手技を行いました。

最後に、患部の処置を始めました。
右足患部の内果の浮腫部に鍼が僅かに触れた時、、、、
足全体にシビレが出て、患者は悲鳴を上げて強く忌避しましたので、
直ちに手技を止めて、
「あ~まだ患部は触らない方が良いようですね、直ぐにシビレを取りますからね。」と話して、
誤治調整 を行いました。
脉証をうかが窺うと脾経が虚していましたので、隠白から三陰交のラインを経に従い、柳下えんしん員鍼にて「気」を流す処置を行いました。次に右足三里穴を軽く補いましたところ、患部のシビレが消えて患者も安心しあん ど安堵の表情になりましたので、
ここで1回目の治療を終了しました。
治療後、患者様に、
「整形外科や整骨院の治療で、増々痛みが酷くなっている。」
ので、患部の積極的治療は徐々にして、
本治法をする事で治る力が出ること伝え、
肩や背中、腰、の歪みを取ることが、患部の治りを促します。
と話し継続治療の了解をもらいました。

治療後の患者様の感想は「身体が軽くなって気持ちが良いとのことでした。」
また、顔につやも出てスッキリした良い顔になっていました。

2回目:3月11日
前回治療の患者の変化として、右足の緊張が少し取れている。
腎脾相剋調整証にて処置しました。

3回目:3月13日
治療に対する恐怖心がなくなり、腎の変動が少なくなっていました。。

脾虚単一証にて処置しました。
又この時より標治法は刺入鍼にて補瀉をおこないました。
また、患部への処置も同様に行えるように成っています。

4回目:3月15日
治療後、静かに右足底を床(ゆか)につけて、ゆっくりと起立してもらったところ、
少し痛みはあるが、すり足なら足を動かせる様になりました。

5回目:3月16日
両足ですたすた歩いて来院される。

6回目:3月18日
7回目:3月20日 支えなく立ち上がりが出来るようになる。
現在は、週1回の来院にて、健康維持目的での処置に成っています。

もう少しすれば、月に1~2回の未病治療に移れます。

 

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