井上惠理先生の経絡鍼療の原則集
このコーナーでは井上恵理先生が講演された語録から、
経絡鍼灸の理論原則を抽出したものを掲載いたします。
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井上恵理先生の講義録「南北経驗醫方大成による病証論」〈瀉法について〉P59下段より。
正気を漏らさない鍼灸手技が経絡治療の補瀉において最も重要である。
経絡鍼療之原則:瀉法においても正気を補って邪気を懲らしめるのが原則です。
経絡鍼療之原則:瀉法の手法は、正気を漏らさないのが第一条件です。
経絡鍼療之原則:正気と邪気が闘っている時、正気を漏らしては邪気を取り除けない。
正気を助け、正気を除かない様にし、邪気だけが逃げやすい様にするのです。
経絡鍼療之原則:脉だけ平行にしたら治療可能なりと考えるのは間違いなのです。
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「内因なければ外邪入らず」の経絡鍼灸の原則理論について。
南北経驗醫方大成 による 病証論 井上恵理 先生 講義録 本分
(【】・――〔〕・は、やまの考えやタイトルです。)
一、 風 論 11。- ①
11. ○ 病 因 P22上段1行目 ~ P23下段1行目より。
「南北経驗醫方大成 一、風論 」の原文 4行目下部辺りから。
皆由氣體虚弱、榮衛失調、或喜怒憂思驚恐労役。
以眞氣耗散腠理不密。邪氣乗虚而入。
井上恵理 先生の訳:
「大成論」:原文4行目下部から、―〔訓読〕
『 皆気体虚弱、栄衛調を失し、或は喜怒憂思驚恐労役に由(よっ)て、
以て真気を耗散し腠理密ならざるを致し、邪気虚に乗じて入る 』
井上恵理 先生の解説:
これは〔1939年(昭和十四年)経絡鍼灸の理論と法則が世界で始めて確立された。〕
経絡鍼灸の治療の根本原則と相通じています。
どういう事かと言うと、病気になる原因として気体が虚弱である事、
つまり生まれながらのいわゆる素因という物、体質・個人差という物を第一に考え、
更に気血栄衛のアンバランスや七情の乱れとか労倦といった物を全部病因として扱っています。
真気というのは我々の身体を守っている所の全ての気の事で、
元来生気が足らないという素因の上に栄衛の失調とか内因あるいは労倦といった事によって真気を耗散すると条件が加わり、
その結果、腠理が緻密である事が出来なくなって風の邪が虚に乗じて入るんだと、こうゆう訳です。
だから、ここで経絡治療で根本原則と考える「内因なければ外邪入らず」と考え方があてはまる訳です。
風が有ってもですね、身体が正常で守りがしっかりしていれば邪に侵される事は無いのです。
古典に記載されている治療法、
つまり症状をあげてそれに対する治療をするという考え方、
例えば半身不随に対する治療法、あるいは人事不省に対する治療法もありますが、
その根本には気体虚弱という―「陰虚証」という考え方、
つまり陰の虚があるから邪が入るという考え方、これが最後に出てくる訳です。
ですから一つ一つの病症の治療法、
即ち標治法という物に加えて、本治法的な物の考え方をはっきり認識している事が必要だと思います。
またそれが我々のやっている治療の特徴でもある訳です。
経絡治療ではこうした体系があって、その中で色々な運用法をするという経絡治療で根本原則を立てる訳です。
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