現代鍼灸の到達点

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現代経絡鍼灸の到達点

                                       項目 番号 a101

 経絡鍼灸とは。

絵で見る古典医学書の歴史と、現代鍼灸の現段階での到達点について。

鍼灸術は長い歴史の中で、病気を治す穴(ツボ)見つけ出し、治療に役立てています。

また、穴と穴をむすぶ人体を走行する十二経絡の気のルートを経験の中から導き出し、 さらに高度な治療体系を構築しています。

そして、経絡鍼灸では、気の流れを良くすることで血行が良くなり、 病気の改善が成されると考えます。

 経絡鍼灸の施術方法は、

病人様の身体を診るとき、
これを十二経絡の気血の変化と動きと捉え、
その病変を判定(弁証)し、
治療の穴(ツボ)を正しく明らかにして、
補瀉調整する鍼灸施術を行います。

経絡鍼灸では、
「本治法」と「標治法」の二つの手技を施術することで、 治療効果を高める点に特徴があります。

本治法は、病気の根本原因を改善する為の「自然治癒力」を増強させる施術手技です。

標治法は、患者の病状を直接に緩和させる手技です。

 絵で見る古典医学書の歴史 と現代鍼灸の到達点

理論と実践を現した古典本

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「黄帝内経・素問・霊枢」(こうていだいけい・そもん・れいすう)
前漢の時代( 紀元前206年 – 8年)に編纂された、
現存する中国最古の医学書です。

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「難経」(なんぎょう)は、
中国の東晋(とうしん)時代(317年 – 420年)に編纂された、
黄帝内経のダイジェスト版であり、「鍼術の診察・診断・治療を81篇にまとめた理論書」です。

とくに
経絡治療を行う人にとっては、
「黄帝内経・素問・霊枢」と「難経」は必読のバイブルとされています。

現代経絡鍼灸の誕生

「鍼灸禁止令」を阻止して、日本に鍼灸医療を残した。

日本が戦争に敗れ、全国民は物心共に極貧の日々を送らねばならなかった。
そして、進駐軍による「鍼灸禁止令」が出る・・・あはき関係者は、学校の生徒までがこれに反対し、行動を起した。敗戦の町々は焼け野原、道路は進駐軍の車が我が物顔に走る。何とかして禁止令を阻止しなければという請願に行く列は、道の端を一列になって進まなければならなかった。そしてハンガーストライキまで行った。現在では遠く忘れ去られた事実の中に〔柳下登志夫〕私もいた。・・・・平和とは何と有り難い事か!・・
現代鍼灸の基礎理論は本間祥白氏による「経絡治療講和」から、始まった。

そして、東洋はり医学会の誕生と、

片方刺しによる相剋調整理論の開発へと発展している。

経絡治療学原論(上巻)には著者(福島弘道)の履歴が書かれ、東洋はり医学会の誕生と重なり合っている。
そして「理論的団結」に基づく会の基礎理論こそ本間祥白氏による「経絡治療講和」である。そしてその点字訳については、私と福島弘道との間で考え方の行き違いもあったが遂に完成し、東京点字出版所から出版された。この本こそ、けいらく治療の基礎から、診察・診断・治療に至るまでを、誰にも理解しやすく書かれたもので、それまでにはこの様なものは無かった。そして東洋はり医学会の片方刺しや相剋調整理論もそこから出発したものである。それに加えて、「手から手への技術指導」これれが相俟って、東洋はり医学会の現在の姿が築き上げられたのである。

本間祥白(ほんましょうはく、1904年9月18日 – 1962年8月5日)は、日本の鍼灸師である。享年58歳。
http://wpedia.goo.ne.jp/wiki/%E6%9C%AC%E9%96%93%E7%A5%A5%E7%99%BD  参考hpです。
人物像
1904年(明治37年)9月18日、山形県東村山郡に生まれる。山形県立農学校を卒業後、2年ほど家業の農業に従事した後に上京して東洋大学文学部哲学科に入学。卒業後、巣鴨にてパン屋「ホンマベーカリー」を開業した後に電気治療に携わるようになる。1939年に柳谷素霊の紹介で井上恵理に弟子入りし「古典研究会」へ参加し、彼らとともに古典経絡治療の理論体系を確立した。
1961年にドイツ・ミュンヘンで開かれた国際鍼学会に日本の外遊鍼灸師として柳谷素霊に次いで二番目に招聘され、「陰陽五行による日本の鍼灸」という題で講演し、フランスでも講演を行った。日欧間の鍼交流にも努めた。さらに東洋鍼灸専門学校講師、東京教育大学古典医学講師、経絡治療夏期大学講師として古典鍼灸医学の普及に尽力した。1962年8月5日、永眠。享年58歳という若さであった。

― 柳谷素霊氏の「古典に還れ」の掛け声から、経絡鍼灸治療の体系が再構築された。――これはけして新発想による治療方式ではなく、黄帝内経(素門・霊枢)難経以来三千年の伝統に輝く鍼灸治療の歴史的遺産から「素難医学の源流」として、この経絡鍼灸治療という治療方式を抽出し、その臨床的開発を行ったからに他ならないのである。従ってこの「脉診・証・補瀉」を主体とする治療法式は経絡調整による生命力の強化であり、素難医学の源流の根幹であり、真髄である。(原論上巻p233引用)
かくして鍼灸の真価は我々〔東洋はり医学会、会員〕の手によって具現される日が来たのである。

柳谷素霊(やなぎやそれい、1906年11月6日 – 1959年2月20日)は、
日本の鍼灸師である。籍名は清助。享年数え年54(満52)。弟子に岡部素道、井上恵理がいる。
1906年(明治39年)11月6日、青森県に生まれる[1]。幼少期は函館市で過ごし、高等小学校卒業後、音尾正衛が校長を務める日本鍼灸専門学院に入学し、翌年1923年(大正12年)、鍼・灸術資格試験に合格[2]。1927年(昭和2年)、日本大学法文学部宗教科に入学。素霊鍼灸塾(現・東洋鍼灸専門学校)を創設する。素霊と号す。1931年(昭和6年)、東京鍼灸医学部を結成、機関誌『東京鍼灸医学誌』を発行する。1934年(昭和9年)、日本漢方医学会を結成。1934年(昭和10年)日本高等鍼灸学院を創設。1937年(昭和12年)拓殖大学漢方医学講座が始まり講師となる。1938年(昭和13年)、雑誌『蓬松』を刊行。医道の日本社を創設。東亜医学協会の理事となる。1940年(昭和15年)に古典に還れをスローガンに岡部素道、井上恵理らと古典鍼灸研究会を創設[3]。1955年(昭和30年)、フランス国際鍼灸会の招聘により渡欧、フランス、ベルギー、西ドイツの学会で日本の古典鍼灸術を紹介。フランス、パリ鍼学会顧問に就任。1957年(昭和32年)、東洋鍼灸専門学校を創設、初代校長に就任。1959年(昭和34年)2月20日に東京逓信病院にて、永眠。享年数え年54歳(満52歳)。

 

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そして、
現代人への経絡鍼灸治療は、「東洋はり医学会」の鍼灸師の技術集団が、
古典の理論を進化発展させる努力を行い、
正しい実践の中から理論と技術を解説しています。

 現代鍼灸の現段階での到達点について。

人は色々な職業に就いてだれでもが自分の仕事に誇りを持っています。
そして、経絡鍼灸師を志す私もそうです。

東洋はり医学会・第三代目会長、柳下登志夫先生の言葉を参考に構成しました。

 ① 経絡鍼灸術は病気を治す一番の方法

経絡鍼灸術は「氣の動きを制御」して疾病を癒す。

人体の治癒能力が最も強力になる様な状態を作り出す事ができる。

しかもその治療過程を逐次〔脉診〕での観察をしながら調整しつつ治療術を進められる。

よって経絡鍼灸術こそは、最良の治療方式と言って差し支えないものである。

但しこれは経絡〔鍼灸〕治療を信奉する鍼灸師の言葉である。

 ② 現代文明の悲劇が、【新しい鍼灸施術法】を生み出した。

・・人は陽気満ちて朝目覚め、昼は活発に活動して夕方を迎える。

その頃になると陰気が増し、動く ことを好まなくなって眠りに向かう。

夜は静かに陰気が働いて疲れを癒し、心身の充実をはかり朝に備える。

これが自然の理に適った生活のあり方というものだろう。〔陰遁陽遁の理。〕

しかし現代社会の生活はこれに大きく逆らい、そこから発病する場合も増加して止まらない。

もっと困る事態は、治療家が適正な生活法方を指示しても現状に合わず、

患者は生計を立てることが 出来なくなるという現代文明の悲劇である。・・・

ここに至れば治療家もこの条件を克服して、

健康的生活を送れる様に患者の生命力を強化する。

言い換えれば経絡調整法の工夫が必要になって当然である。

そこにあるのが 【新しい鍼灸施術法】

「相剋調整という証」であり、「脉状に応ずる手法」という刺鍼技術である。

そしてそれらを導く四診法と脉診技術なのである。

 ③ 気を診て緩やかな施術をしよう。

「緩やかな施術」、陰的な術式といえば、

我々の日常生活はこういう施術が望まれる方向に進んでいる。

人は歩いても走っても、それは人間が持っている能力の範囲である。

しかし自転車に乗れば、従来持っている気の動きよりも速く気を巡らせないと、

咄嗟におきた事態に対応できない。

もしそれが自動車ともなれば、気の動きをより速く働かせることが必須となる。

運転する事を生業としている患者の治療は、総じて緩やかでなければならない。

これらの人たちの「気」は陽的な動きをする為、

施術方式は「緩やかで少なめ」な陰的な要素を含む術式が適合する。

 

初学者用 経絡鍼灸 教科書

推薦文献について。

本資料のHPでは、経絡鍼灸の理論と実践が、いかに行われているかを知ってもらい、
病人様が病気を治す一助として使用されることを目的としています。

よって、より詳しく経絡鍼灸を理解し実践を望まれる方に,
次の文献等をお勧めします。

黄帝内経 素問訳注 著者:家本誠一 3巻セット 15,750円 医道の日本社発行
黄帝内経 霊枢訳注 著者:家本誠一 3巻セット 15,750円 医道の日本社発行

わかりやすい経絡治療(第4版)著者:福島弘道  5,000円 東洋はり医学会発行

経絡治療講話  著者:本間祥白 \2,625(税込)

難経の研究   著者:本間祥白  校閲:井上恵理  \3,990(税込)

まんが 経穴入門 著者:周 春才 訳:土屋 憲明 \1,680ー

まんが 黄帝内経 著者:張恵悌(丹羽ノエラ) \1,470ー

解説 鍼灸重宝記 著者:本郷正豊 小野文恵 東洋医学 \3360

脉法手引草   著者:山延年  校閲:岡部素道  \1,575  医道の日本社発行

南北経験醫法大成による「病証論」 故井上恵理先生
定価3500円 東洋はり医学会発行

経絡治療「実践講座」第一集 定価4000円 東洋はり医学会発行

機関誌「経絡鍼療」 A5版 約80頁 1,000円 東洋はり医学会発行

経絡治療学原論(上巻)-経絡治療臨床講座- 基礎・診断篇
著者:福島弘道 8,000円 送料500円 東洋はり医学会発行

経絡治療学原論(下巻)-経絡治療臨床講座- 治療篇 東洋はり医学会発行
著者:福島弘道 7,000円 送料500円

経絡治療要網(第5版) 東洋はり医学会発行
著者:福島弘道 7,000円(英語版12,000円)送料500円

難経の臨床考察 東洋はり医学会発行
著者:福島弘道 上製本5,000円 送料400円(4冊以上送料無料)

解説 杉山流三部書 全(復刻版) 東洋はり医学会広報部発行
A5判200頁 3,000円 送料400円(4冊以上送料無料)

経絡治療のすすめ 著者:首藤傳明 定価 \3,255 医道の日本社発行

よくわかる奇経治療
著者:宮脇和登 5,000円 出版社:たにぐち書店

鍼灸臨床こぼれ話1.2・3
著者:宮脇和登各 3000円 出版社:たにぐち書店

経絡治療実践 研究論文・治験・随想集
著者:高橋昇造 4000円 出版社:たにぐち書店

経絡治療学原論 上・下巻 臨床考察(治療編) 著者: 柳下登志夫 価格:

 

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