経穴と主治、足の少陽 胆経(43穴)
経穴と主治、11r
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経穴目次、 11ルート:足の少陽 胆経(43穴)
注、☆の記号は『鍼灸重宝記』で取り上げている経穴です。
経穴名
1 瞳子髎 (どうしりょう)
2 聴会 (ちょうえ) ☆
3 客主人(きゃくしゅじん)
4 頷厭(がんえん) ☆
5 懸顱(けん ろ) ☆
6 懸釐(けん り) ☆
7 曲鬢(きょくびん) ☆
8 率谷(そつこく) ☆
9 天衝(てんしょう) ☆
10 浮白(ふはく) ☆
11 頭竅陰 (あたまきょういん) ☆
12 完骨(かんこつ) ☆
13 本神(ほんじん) ☆
14 陽白(ようはく) ☆
15 頭臨泣 (あたまりんきゅう)☆
16 目窓(もくそう) ☆
17 正営(しょうえい) ☆
18 承霊(しょうれい) ☆
19 脳空(のうくう) ☆
20 風池(ふう ち) ☆
21 肩井(けんせい) ☆
22 淵腋(えんえき)
23 輒筋(ちょうきん)
24 日月(じつげつ)
25 京門(けいもん) 腎経の募穴 ☆
26 帯脈(たいみゃく)
27 五枢(ごすう)
28 維道(いどう)
29 居髎(きょりょう)
30 環跳(かんちょう) ☆
・風市(ふうし)
31 中瀆(ちゅうとく) ☆
32 足陽関(あしようかん) ☆
33 陽陵泉 (ようりょうせん)☆
34 陽交(ようこう) ☆
35 外丘(がいきゅう) ☆
36 光明(こうめい) ☆
37 陽輔(ようほ) ☆
38 懸鐘(けんしょう) 髄会 ☆
39 丘墟(きゅうきょ) ☆
40 足臨泣(あしりんきゅう) ☆
41 地五会(ちごえ) ☆
42 きょうけい俠谿(きょうけい) ☆
43 足竅陰(あしきょういん) ☆
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参考:五要穴の取穴文章と取穴写真図
ゆっくり堂鍼灸院の取穴文章と取穴写真図を掲載します。
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経穴と主治詳細、 11ルート:足の少陽 胆経(43穴)
注1、文一行目は鍼灸学校にての流注番号、経穴名、所属経絡、取穴部位の記載です。
注2、『鍼灸重宝記』の経穴と主治は、
経穴名:
取穴:
灸法:
針法:
主治:
の順に掲載します。
注3、本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文を掲載します。
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1 瞳子髎 (どうしりょう)
所属経絡:胆経・ 取穴部位:外眼角の外5分に取る.
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
頭部疾患:眼炎、視力減退、緑内障、角膜白斑(翳:えい:かげ)を治す。
灸法:実証の場合は、小灸1壮で充分効果があり灸痕も残さない。 虚証の場合は、小指大を用い 知熱灸。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:耳珠も前下方で、口を開けば陥凹のできるところに取る. (注)浅側頭動脈拍動部に取る.
『鍼灸重宝記』 聴会 ちょうえ (二穴)
取穴: 耳の前、珠子の下少し前陥の中、 口を開きて陥む処。
灸法:灸三壮、 又は毎日五壮づっ四日の間灸して十日ほど間を置て又五壮灸す。
針法:針三分或は七分、 留るこ と三呼、 気を得て即ち瀉す、
主治:
耳鳴、 耳聾(じ‐ろう:耳が聞こえないこと。)、牙車脱離れ、歯いたみ、中風、 口歪み、手足かなはざるを主る。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
頭部疾患:耳痛・歯痛を治す。
耳の病には、聴宮、耳門から角孫以下、17翳風(えいふう:手の少陽 三焦経)の耳の周囲の諸穴と共によく効く 。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:頬骨弓中央の上際に取る. (注)上関穴とも呼ぶ.
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
頭部疾患:耳、目、口の病、歯痛、片頭痛、顔面神経麻痺を治す。
刺鍼法:歯痛には、頬骨弓の下を越えて斜めに1寸5分ぐら刺鍼し、数分ないし数10分置針すれば たいていの歯痛は治す。
下歯痛の場合は、客主人の刺針に加えて腎経の大迎あるいは頬車に置針すると同様に効果がある 。
6 頬車(きょうしゃ) 所属経絡:足の陽明胃経・取穴部位:耳垂下端と下顎角の間の陥凹部に取る.(注)皮下に耳下腺がある.
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:頭維穴と懸釐穴を結ぶ線上で、頭維穴の下1寸に取る. (注)額角髪際の頭維穴と懸釐穴との間を3等分し、上から頷厭穴、懸顱穴、懸釐穴を取る.
『鍼灸重宝記』 額厭 がんえん(二穴)
取穴: 額の角よりすこし下、竪の髪際、頭維の穴より少し下の前め。
灸法:灸三社、
針法: 針七分、留ること七呼。深く刺すときは耳聾ず。
主治:頭かたく痛み、 目まひ、驚風、 てんかん、 手脘いたみ、 耳鳴、 目不明を。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
こめかみの所であって風邪や片頭痛の時に痛む部位である。
治療ポイント:急性・実証の場合は、局所的には浅めの軽い刺鍼で、本治法に主力を置きます。
慢性病の場合は、局所治療に効果がある。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:頭維穴と懸釐穴を結ぶ線上で、頭維穴の下2寸、コメカミのほぼ中央に取る.
『鍼灸重宝記』 懸顱 けんろ(二穴)
取穴: 額の大角の下 、額厭の下、 肉少し高く凸なる処。
灸法:灸三壮、
針法:針二三(6)分、 とどむること三呼、 あるひは七分、 留ること七呼。 深く刺ば耳聾ず。
主治:頭痛、 牙歯いたみ、 面赤くはれ、 熱病、煩れ悶へ、 濁涕(だくてい:蓄膿症)るを。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
感冒その他の発熱により顔面部の充血による顔面熱感 、自赤、歯痛、頭の激痛等に効く 。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:頭維穴の下3寸で、側頭下髪際と前兌髪際との接点に取る.
『鍼灸重宝記』 懸釐 けんり (二穴)
取穴: けんろの少し下、米咬(こめかみ)の下つらに骨のわれめある処。
灸法:灸三壮、
針法:針三分、留ること七呼。
主治:
面赤く腫、 側頭痛み、煩心、食を欲ず、 熱病、 汗出ず、 目皆赤く痛むを主る。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
感冒その他の発熱により顔面部の充血による顔面熱感 、自赤、歯痛、頭の激痛等に効く 。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:三焦経、角孫穴と和髎(わりょう)穴の中間に取る.
『鍼灸重宝記』 曲鬢 きょくびん(二穴)
取穴: 耳の上の少し前、 曲隅の中。
灸法:灸三壮あるひは七壮。
針法: 針三分、
主治:
頷(おとがい:アゴ)腫れ痛み、 口噤(つぐ)め言こと能ず、頸項かへりみることを得ず、脳の両角痛で目に引を治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
頭、顔面部、特に眼疾や歯の痛みを治す。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:角孫穴の上1寸5分に取る.
『鍼灸重宝記』 率谷 そつこく(二穴)
取穴: 耳の上、髪際を竪に入こと一寸五分、少し三分ほど前へょせめに点す。
灸法:灸三壮。
針法:針三分、
主治:痰気、膈(むね)痛み、頭脳痛、頭重く、酒風、皮膚腫、 胃寒、煩悶、嘔吐を。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
率谷(そつこく)穴の特徴:胃症状に効く特質がある。
高血圧、熱性疾患、飲酒等に原因する食欲不振、嘔吐、目眩、胃の冷えに効く。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:耳後髪際の上2寸の部から前3分に取る. (注)耳後髪際とは、耳輪の最も後方に突出した部の後髪際とする.
『鍼灸重宝記』 天衝 てんしょう(二穴)
取穴: 耳の後の通り 、はっさいを竪に入こと一寸上、すこし三分ほど前へょせめに鮎(てん:あゆ)す。
灸法:灸三壮七壮、
針法:針三分。
主治:癲疾(てんしつ)、 善く驚き恐れ、頭痛、牙齦腫れ痛むを主る。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
癲癇(てんかん) 、片頭痛、歯肉炎等を治す。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:耳後髪際の上1寸に取る.
『鍼灸重宝記』 浮白 ふはく(二穴)
取穴: 直に天衝の下一寸、 耳後の髪際を入こと一寸。
灸法:灸三壮七壮。
針法:針三分、
主治:
足行こと能ず、 耳聾、 耳鳴、歯痛み、胸満て息することを得ず、胸いたみ、頚項痩癰(そうよう)腫言こと能ず、 肩臂(かたひじ)挙ず、 寒熱を発し 、 喉痺(のどしび)れ、 しゃくり、 痰沫(たんまつ)を吐を治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
耳や歯の疾患に効く。
浮白(ふはく)穴の特徴:
熱性病や高血圧、低血圧等の場合、この付近に常に圧痛があり、充血性の不決感、冷感が現われるところである。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:浮白穴と完骨穴のほぼ中央で、乳様突起基底部の後、陥凹部に取る.
『鍼灸重宝記』 竅陰 きょういん(二穴) (一名枕骨)
取穴: 耳の後に完骨とて細長き骨あり 、其上の陥み、耳の後(しりへ)、 手にて推動かせば空ある中。
灸法:灸五壮か三壮、
針法:針三四分。
主治:
四支転筋、 目いたみ、頭項頷(おとがい:アゴ)いたみ、耳鳴、舌本より血を出し 、骨労、癰疸(ようたん)、発厲(はつれい:といし?)、手足煩熱、汗出ず、 舌強り 、脇痛み、吃逆(しゃっくり)、 こうひ、 口苦きを治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
耳疾患に効き 、脳充血性の諸症状に効く 。
頭竅陰穴の特徴:針も灸も治療後実に気持の良くなる所である。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:乳様突起中央の後方で、髪際を4分入ったところの陥凹部に取る.(注1)乳様突起中央とは、乳様突起が外方へ最も突出した部とする.(注2)深部を後頭動脈が通る.
『鍼灸重宝記』 完骨 かんこつ(二穴)
取穴: 耳の後の髪際に入こと四分、即ち完骨といふ骨の下つらの縮み。
灸法: 灸七 壮、小児は三壮、
針法:針二三分。
主治:足萎え、 頭面腫、 頭頚いたみ、歯輔、 口眼喎斜を治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
脳神経系の諸疾患、三叉神経痛、顔面神経麻痺、神経衰弱、片頭痛、血圧異常による後頭部・後頚部のコリ違和感、不眠症を治す。
刺鍼法:針は前上方にななめに1寸ぐらい入れただけで頭の中がすっとして、ただちに気持の良くなり、気分爽快となる。
完骨穴の特徴:したがって不眠症を治すには実に効果のある名穴である 。
お灸も良い。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:神庭穴と頭維穴を結ぶ線上で、頭維穴の内方1寸5分に取る.
(注1)神庭穴、曲差穴、本神穴、頭維穴の4穴は等間隔にある.
(注2)外眼角の直上に当たる.
『鍼灸重宝記』 本神 ほんじん(二穴)
取穴: 神庭の左右へ各三寸づっ、前の髪際よ り五分上。
灸法:灸七壮。
針法:針三分、
主治: 驚風、 てんかん、涎沫を吐き 、頸項強りいたみ、 目眩をつかさ どる。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
脳神経系の病に効き、頭痛、眩暈、後頭部の緊張過度から 、癲癇(てんかん)や小児の引きつけなどに効果がある 。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:眉毛中央の上1寸に取る.
『鍼灸重宝記』 陽白 ようはく (二穴)
取穴: 瞳子の通り、眉毛の上毛際より一寸上。
灸法:灸三壮。
針法: 針二三分、
主治:瞳子痒く痛み、上視、 目眵(めやに)こみ、眼昏き を主る。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
眼に効く 。実証性:赤く腫れ痛む。 虚証性:夜盲症。を治す。
本間祥白先生の経験例より:眠気ざまし法として、左右の陽白穴を指頭で強くもむと痛みが脳の内部までよく透り眠気ざましになる。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:瞳孔の直上で、神庭穴と頭維穴を結ぶ線上との交点に取る.
『鍼灸重宝記』 臨泣 りんきゅう ( 二穴)
取穴: 目の真中の行の上、髪際より五分上、すなはち神庭の左右へ二寸二分 半づっ開く。
灸法:禁灸。
針法: 針二分、留ること五呼、
主治:
目眩(くるめ)き、 目痛み、 白翳(はくりゅう:ぬける)を生じ 、悪寒、鼻塞、驚風、てんかん、反視、卒中風、月水通ぜぬに。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
眼病、鼻の病、蓄膿症、脳出血、人事不省を治す。
鼻の通りを良くする治療法:
印堂(両眉の間)穴に下方に浅く置鍼して、 頭臨泣穴に施灸すると、すぐに鼻粘膜の鬱血が散って鼻の通りが良くなる。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:頭臨泣穴の後1寸に取る.
『鍼灸重宝記』 目窓 もくそう(二穴)
取穴: 臨泣の後へ一寸。
灸法:灸五壮。
針法:針三分、
主治: 一切の眼病、頭面浮腫、 づっう 、寒熱に。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
諸種の眼疾患、顔面浮腫、頭痛を治す。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:頭臨泣穴の後2寸、目窓穴の後1寸に取る.
『鍼灸重宝記』 正営 しょうえい(二穴)
取穴: 目窓の後へ一寸、
灸法:灸五壮。
針法:針三分、
主治: 目眩、頭項かたく痛み、歯齦痛に。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
歯痛、片頭痛、を治す。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:頭臨泣穴の後3寸5分、正営穴の後1寸5分に取る.
『鍼灸重宝記』 承霊 しょうれい(二穴)
取穴: 正営の後へ一寸、半。
灸法:灸五壮、
針法:禁針。
主治: 頭いたみ、悪寒、悪風、端息を主る。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
脳や脊髄の炎症からくる発熱、麻痺、痙攣、眩暈、頭痛。 鼻出血、喘息、を治す。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:頭臨泣穴の後5寸、承霊穴の後1寸5分で、脳戸穴の外方2寸に取る.
『鍼灸重宝記』 脳空 のうくう(二穴)
取穴: 承霊の後へ一寸五分。
灸法:灸三壮、
針法:針四五分、気を得て潟す。
主治: 労瘵疲れ痩、身熱し、項強り 、頭重く痛、 目眩を。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
脳脊髄の疾患からくる後頭部の緊張過度、後頭部の激痛、耳鳴、を治す。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:乳様突起下端と瘂門穴との中間で、後髪際陥凹部に取る. (注)僧帽筋と胸鎖乳突筋の筋間の陥凹部髪際にある.
『鍼灸重宝記』 風池 ふうち(二穴)
取穴: 脳空の後へ 、耳の下面の通り 、項の竪の髪際の陥の中 、すなはち推ば耳の中へ応る処。
灸法:灸七壮。
針法:針三四分あるひは七分、留ること三呼、
主治:
傷寒々ねつ、 温病、汗出でず、 目眩(くるめ)き、 あるひは偏正の頭痛、痎瘧(がいぎゃく:おこり)、頚項ぬくがごとく痛を主る 。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
頭部にある諸器官:目・耳・鼻・脳神経系統のやまい一般に効果があるので用いられる重要な経穴である。
風池(ふうち)穴の特徴:刺鍼よって頭部の充血が取れるので。
脳充血、脳出血の予防、充血性頭痛、耳鳴、肥厚性鼻炎、蓄膿症等に、刺鍼または施灸が行われる 。
また、肩から後頸部へかけての凝りを治す。
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所属経絡:足の少陽 胆経・ 取穴部位:肩髃穴と大椎穴を結ぶ線のほぼ中間で、乳頭線上に取る.
『鍼灸重宝記』 肩井 けんせい (二穴)
取穴: 肩の上陥の中、紙盆の大骨の後一寸半、 肩の中央なり 、指を三つそろえて推てとる、 中指の下陥の中。
灸法:灸五壮、 日に灸すること七壮より二百壮まで。
針法:針五分、針して則いゆ、
《誤治:もしふかく刺ば悶倒する、、改善法:悶倒せば三里に針して補べし 。》
主治:
中風、気塞り 、涎上て語らず、 腎虚して腰いたみ、上気、短気、逆気、風労、撲損、臂尻いたみ、頭項痛みかへりみることを得ず、五労七傷、婦人難産堕胎の後、手足冷、弱き者、針して則いゆ、 日に灸すること七壮より二百壮まで。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
肩こりを治す。
肩こりの原因である次の症状の改善に寄与する。
頸肩部の筋肉の疲労、精神の過労、胃疾患、 婦人科疾患、 脳神経系疾患、 上肢神経 痛、歯、 目、 耳等の疾患、風邪、の改善。
鍼法:皮内置鍼も良く効く。
・
本間祥白先生の経験例より、
1例:♀55歳、長年ヒステリーの改善例。
1ヶ月ほど経絡治療を行うも改善無し、肩こりの訴えは無かったが、所見として右肩井(けんせい) 穴の辺りに、
僧帽筋の前縁が箸を横にしたように硬く張っている。
標治法刺鍼法として、これに沿って1寸ほど刺鍼し2~3分撚鍼する。本治法を施す。
たちまちに全快した例がある 。
2例:♀37歳、長年ヒステリーの改善例。
前記の経験から肩井の久撚法を行なったところたちまちに全快し、その後 4 年たった現在も元気。
・
(注)妊婦と肩井穴について。
肩井穴は古典に妊婦に禁針とあり。 または別書に難産に効あり。 と記載されている。
肩井穴は子宮の収縮に関係があるようである。
私は妊婦に 2 ・ 3 実験し たが別に異状はみら れなかった。
しかし 、流産癖の者、流産しやすい状態の場合は危険であるから避けるべきだと思う 。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:腋窩中央の下方3寸で、中腋窩線上の肋間に取る. (注)乳頭の高さには前正中線より外方へ膻中穴、神封穴、乳中穴、天池穴、天谿穴、輒筋穴、淵腋穴の7穴が並ぶ.
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
呼吸器疾患、胸膜炎、肺炎、 気管支炎、肋間神経痛、腋窩りんぱ節腫 。
淵腋(えんえき) 穴の特徴:
肋間神経痛、圧痛点のよく現われる部で、乳中、神封、膻中( だんちゅう)穴と共に一つの線(乳中線 )をなしている。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:淵腋穴より乳頭へ向かい1寸に取る.
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本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
呼吸器疾患、肋間神経痛を治す。
・
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:胆経の募穴 期門穴の直下5分に取る.
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
神経衰弱、 ヒステリ一、 心気症。 ま た胃疾患や肝臓疾患にもしばしば用いられる 。
日月(じつげつ)穴の特徴:胆経の募穴、すなわち胆経の気が腹部に通ずるところであることから、感情や意志の諸病の改善穴になる。
しゃっくりを治す:
刺鍼法:横隔膜の付着部に近いところから針をななめ上方に向けて深く刺入し 「しゃっくり」の痙攣を止める。
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腎経の募穴・ 所属経絡:足の少陽 胆経・ 取穴部位:第12肋骨前端下際に取る.
『鍼灸重宝記』 京門 けいもん (二穴)
取穴: 直に章門(しょうもん肝経)の後十一枚めの肋骨の先、すこしへこみある陥み、俗に後章門といふ処なり。
灸法:灸三壮、
針法:針三分、留こと七呼。
主治:
腸鳴り 、小腹いたみ、肩いたむを治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用文:
腎の募穴、すなわち 、腎気の通ずるところであるから 、経絡治療では腎経の虚実に本治法として常に使う穴である 。
標治法としては、膀胱炎、 小使赤く濁る等に用い、また、腸炎、腸疝痛、腰痛、脊柱起立筋痙攣、を治す。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:章門穴の下1寸8部で、臍と同じ高さの水平線上に取る.
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
婦人病の専門穴。
急性、慢性の婦人病:子宮・卵巣・卵管等の病、
また、これらの器官が腸や腹膜lこ癒着して起る帯脈から五枢、維道にかけて引き つるような痛みにも 、治す。
古典には、婦人小腹痛、裏急、月経不順 、赤白帯下を主るとある。
帯脈(たいみゃく) 穴の所見:婦人病のさいこの部に圧痛が現われる。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:帯脈穴の内下方3寸で、上前腸骨棘の内側に取る.
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本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
婦人科諸疾患、男子生殖器疾患:精巣睾丸炎、精巣上体炎、を治す。
慢性症状の所見:五枢(ごすう)・維道(いどう)穴そして、この辺りから下腹部・下肢内側にかけて引きつりの痛み出る。
このような場合にも、五枢または帯脈はよく効く 。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:五枢穴の内下方5分に取る.
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本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
『鍼灸聚英』(しんきゅうじゅえい)に「 嘔吐止マズ、水腫、三焦トトノワズ不調食ヲ嗜(この)マザルヲ主ル」とあるが、
三焦不調とは、上中下の三焦の不調和で、嘔吐止まず、食欲不振からの腸疾患である。
胃腸の機能がおとろえ水穀の移動が不充分であるため、胃内の食物が下らず吐き出す場合を指しているのであろう 。
症状の出やすいタイプとして、下腹部の盲腸部や S状結腸部が常に張っている者。
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所属経絡:胆経・ 取穴部位:維道穴から環跳穴に向かい下3寸に取る.
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本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
腰痛、小腹痛 、胸と手が攣急( れんきゅう:引きつり、こわばる )、を治す。
・
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所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:側臥して股関節を深く屈し、股関節横紋の外端、大転子の前上方陥凹部に取る.
『鍼灸重宝記』 環跳 かんちょう (二穴)
取穴: 髀枢(大腿の外後かと )の中、病人側臥て下足を伸、上足を屈て 、腿を腹へ飽き付れば、股と腰とのこつに折る横文の頭ら筋骨の解め。
灸法:灸三壮五十壮 、
針法:針一寸、留こと三呼。
主治:冷風、湿輝、不仁、遍身半身遂はず、腰騨いたみ、伸縮なり がたきを。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
股関節リウマチ、神経痛、中風による運動麻痺、大腿および下腿外側の胆経の経絡にくる神経痛、
経絡エトセトラ:胸膜炎に著効を現わす。
胸膜炎は半表半裏のやまいに該当する場合が多く、
胆経は半表半裏の経であるから、主治症として合致する場合が多いのである 。
湯陵泉から下の穴が呼吸器疾患に効果があるというのはその意味である 。
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風市(ふうし)
取穴部位:大腿外側、膝上7寸にある。
取り方:直立し手を垂れ中指先端のあたる所に取る。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
脚気、中風、下肢麻痺、神経痛、を治す。
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31 中瀆(ちゅうとく) 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:大腿骨外側上顆の上5寸で、腸脛靭帯と大腿二頭筋の間に取る.
『鍼灸重宝記』 中瀆 ちゅうとく (二穴)
取穴: 環跳の下、髀の外、膝の折自の上5寸、 分肉の間。
灸法:灸5壮、
針法:針五分、留こと七呼。
主治:寒に感じ 髀膝(大腿とひざ)痺(しび)れ、・ いたむを治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
主として足の病で、半身不随や 脚気、あるいは膝関節炎に使われる 。
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32 足陽関(あしようかん) 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:陽陵泉穴の上3寸で、大腿骨外側上顆の上際で、腸脛靭帯と大腿二頭筋腱の間に取る.
『鍼灸重宝記』 陽関 ようかん (二穴)
取穴: 陽陵泉の上三寸、犢鼻(とくび)の外陥の中。
灸法:禁灸。
針法:針五分、
主治:風痺、 膝痛を治す。。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
膝関節症、膝関節リウマチ、膝関節炎、またはその後遺症としての運動時における関節痛 、
多くは外側上顕の下で腔骨との関節部にあるものである 。
陽関穴はその 5・6分上にあるが、臨床的にはその下の外側関節裂隙部に治療点を求める場合が多いようである。
刺鍼法: 浅い置鍼は、熱を取るにも 、痛みを取るにも非常に効果がある 。
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33 陽陵泉 (ようりょうせん)
合土穴・ 筋会・ 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:膝をたてて腓骨頭の前下際に取る. (注1)陰陵泉穴と内外相対す. (注2)総腓骨神経が浅・深腓骨神経に分岐するところに当たる.
『鍼灸重宝記』 陽陵泉 ようりょうせん (二穴)
取穴: 膝の下一寸、[骨+行]の外かど 、膝をかがめて外側の折自のかしらより一寸下。
灸法:灸三壮七壮より五十壮まで 、針六分、
針法:留ること十呼、気を得て即ち瀉す。
主治:膝のびて屈まず、腿ひざ冷痺、 中風半身遂はず、足筋攣(つ)り、 頭面はるるを治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用文:
陽陵泉は、別名にある筋会(きんえ)の意味は、筋の病的症状で運動がうまくできなかったり、また引きつったりした状態のことで、 このような場合に筋会を使うという意味である 。
また、
陽陵泉は、胆経経の合土穴で 、胆の病が脾におよんだ場合、あるいはこれを未然に防ぐ場合に補瀉を行う重要な穴である。
陽陵泉の標治法ポイント:
また、陽陵泉は、標治法として用いても非常に効果の現われる穴で、足のやまい一般に効ことは三里と似ている 。
ただし 三里は足の前側と前外側の病に、陽陵泉は、外側に現れた病に効く 。
場合によっては、半表半裏の症状である胸膜炎に使われ、また胆実証としての高血圧症に応用されることもある。
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34 陽交(ようこう) 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:外果から陽陵泉穴に向かい上7寸に取る.
『鍼灸重宝記』 陽交 ようこう (二穴)
取穴: 外踝の上七寸、外丘の前。
灸法:灸三壮。
針法:針六分 、留ること七呼、
主治:胸満、 足膝いたみ、厥冷(ケツレイ:冷えが激しい)、 驚狂、 こうひ、 面腫るを治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
陽陵泉と同じような主治症を持つもので、胸膜炎、面腫、扁桃炎、膝の痛みに効く 、
また、
胆の精神的な病として、驚、狂、神経衰弱等にも効果がある 。
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35 外丘(がいきゅう)
郄穴・ 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:外果の上7寸、陽交穴の後方で長腓骨筋とヒラメ筋の間に取る.
『鍼灸重宝記』 外丘 がいきゅう (二穴)
取穴: 外踝の上七寸、陽交と相並、 陽交は前、外丘は後へ。
灸法:灸三壮。
針法:針三分、
主治:胸満、頭項いたみ、悪寒、 犬に傷られて発熱し 、 てんかん、小児の亀胸(キキョウ:はとむね)を治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
頸項痛、狂犬病、 陽陵泉から下にかけて痛む腓骨神経痛、を治す。
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36 光明(こうめい)
絡穴 ・ 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:外果から陽陵泉穴に向かい上5寸に取る.
『鍼灸重宝記』 光明 こうめい (二穴)
取穴: 外丘の下二寸。
灸法:灸五壮七壮、
針法:針六分、留ること七呼。
主治:虚すれば痿痺(イヒ:なえしび)す、 実すれば足[骨+行] 熱し痛み、身體不仁ずを治す。。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用文:
胆経の変動に原因する発熱で、汗がでないで熱が陰にこもり、
脳症状をきたしたような場合に、強い瀉法を施す。
また足の外側が痛んだり 、麻痺の場合に効果がある 。
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37 陽輔(ようほ)
経火穴・ 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:外果の上4寸の部より前3分に取る.
『鍼灸重宝記』 陽輔 ようほ (二穴)
取穴: 陽交(ようこう)の下三寸。
灸法:灸三壮。
針法:針五分、留こと七呼、
主治:
腰足冷、膝はぎ・ 心脇・ 頭の角・ 頷(あご)・ 目皆・ 喉・ 諸(もろもろ)の節ことごとくいたみ、常の処なく痿痺(イヒ:なえしび)れ不仁ず、 口苦く 、汗出、振寒く 、瘧(ぎやく)、 とうひを治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
扁桃炎、腋窩リンパ節腫、を治す。
また全身の関節がすべて痛む場合や、胆経の通りの脚の痛みに使って効果がある 。
注:『十四経発揮』等では陽輔(ようほ)穴も別名、絶骨と言う。
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38 懸鐘(けんしょう)
別名:絶骨(ぜつこつ)・ 髄会(八会穴の一つ)・ 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:外果から陽陵泉穴に向かい上3寸に取る.
『鍼灸重宝記』 絶骨 ぜつこつ 別名:懸鐘 けんしょう (二穴)
取穴: 足外踝の真中通り 、踝の上三寸、動脉の中。
灸法:留こと七呼、灸三壮七壮。
針法:針六分、
主治:
心腹脹満、胃熱して不食し 、脚気、筋骨攣・いたみ、 虚労、[口十后]逆、 こうひ、泄注、 頚項こはり 、痔、下血、はなぢ、鼻乾、脳疽(ノウソ:脳に出来た悪性の腫れ物)、大小便しぶり 、中風、手足随(したがわ)ざるを治す。
※ 八会穴は、四十五難のポイントのリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/45nan/
八会穴は蔵・府・筋・骨・髄・気・血・脈、の八つそれぞれの気が集まる所です。
髄熱の時には髄会、絶骨(懸鐘)穴に取る。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
高血圧、動脈硬化症等に原因する、痔出血・鼻血・ 項頚の強り、を治す。
また脳出血による半身不随にも効く 。 脚気にもよい。 あるいは胃炎に使ってもよい。
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39 丘墟(きゅうきょ)
原穴・ 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:外果の前下方、足部を外転背屈し、最も陥凹するところに取る.
『鍼灸重宝記』 丘墟 きゅうきょ (二穴)
取穴: 足の外踝の下、骨縦の中、臨泣を去こと三寸、俠谿(きょうけい)より五寸、踝の骨のまへ。
灸法:灸三壮、
針法:針五分、留ること七呼。
主治:
胸脇みちいたみ、 息することを得ず、久瘧(きゅうぎゃく)、振寒、頚・腋の下はれ、 腰腿[月十行]いた み、 転筋、 卒疝、 小腹かたく 、 寒熱、 太息するを治す。
※ 七疝の病症参考hp:ゆっくり堂の『難経ポイント』第二九難をリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/29nan/
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用文:
12原穴の一つで、経の虚実のいずれにも効果のある穴で、
この部は原穴として胃経の 衝陽(しょうよう)膀胱経の京骨とならんでいるが、いずれも治効が著しい穴である 。
丘墟(きゅうきょ)は胆経の特質として、目(肝の主り)、胸膜炎(寒熱、咳嗽、半表半裏)疝気(胆経の流注?)によく効く。
あるいは脾虚肝実よしての胃炎の疼痛、胃痙攣に著効あり。
また足の痛み、足関節のリウマチ、捻挫等に圧痛が現われ 、局所治療穴としてよく使われるところである。
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40 足臨泣(あしりんきゅう)
兪木穴・ 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:第4・第5中足骨底間の前、陥凹部に取る.
『鍼灸重宝記』 臨泣 りんきゅう (二穴)
取穴: 足小指の次指の本節の後への問、陥中、俠谿(きょうけい)を去こと一寸五分。
灸法:禁灸、
針法:針二分、 留こと五呼。
主治:
胸・ 腋・ 脇みち支へ、 振寒、 心痛、 周身痺痛常の処なく 、 厥冷、気喘、 瘧日々におこり 、婦人月経通ぜず、 乳癰(にゅうよう:乳腺炎・ちちのできもの、)を治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
月経不順、月経痛 、腋窩リンパ節腫、乳線炎、心臓病の諸症、胃痛、胆石仙痛、子宮痛、胃痛、胆痛、を治す。
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41 地五会(ちごえ)
所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:第4中足指節関節の後、外側陥凹部に取る.
『鍼灸重宝記』 地五会 ちごえ (二穴)
取穴: 小指の次指の外側、俠谿(きょうけい)を去こと一寸。
灸法:禁灸。
針法:針一分、
主治: 腋(脇下)痛み、 内損、 唾血、 足の外うるほひなく 、 乳ょうを治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
呼吸器疾患の胸痛 、喀血(かっけつ:気管や呼吸器系統から出血し、口から血を出す事。)、乳腺炎を治す。
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42 俠谿(きょうけい)
栄水穴・ 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:第4中足指節関節の前、外側陥凹部に取る.
『鍼灸重宝記』 俠谿 きょうけい (二穴)
取穴: 足の小指の次指の岐骨の間、本節のまへ陥の中。
灸法:灸三壮。
針法:針三分、留こと三呼、
主治:
胸脇支満(胸脇苦満)、寒熱、傷寒、熱病汗出ず、目の外眥(まなじり)赤、 目眩、頬頷腫、耳聾、胸中いたみ、 痛・常の処なきを治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
胸膜炎や肺結核に用いられ、
また発熱性疾患で汗が出ないで、熱が内にこもっている場合に発汗鍼として用いられる 。
一般に十指間といわれる手足の指間は発汗作用に著効があるもので、俠谿(きょうけい)のみではない。
ただし、応用には充分注意すべきである。
すなわち、感冒、急性胃腸炎のような病が浅く、体の内部が実し、熱がこもっている場合に適応する。
また眼病を治す。
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43 足竅陰(あしきょういん)
井金穴・ 所属経絡:足少陽胆経・ 取穴部位:足の第4指外側爪甲根部、爪甲の角を去ること1分に取る.
『鍼灸重宝記』 竅陰 きょういん (二穴)
取穴: 足の小指の次指の外側、爪の生際の角を去こと一二分。
灸法:灸三壮、
針法:針一二分、留ること一二呼。
主治:
脇痛、欬逆(がいぎゃく)息することを得ず、手足煩熱し 、汗出ず、てんきん、癰疽(ヨウチソ:はれもの)、心いきれ、 舌こはり、 口乾き 、 口痺(しび)れ、 肘いたみ、 耳きこへず、 目いたむを治す。
本間祥白(著)鍼灸実用経穴学【主治症】より引用構成文:
眼病、胸痛、咳嗽、 発熱を伴う呼吸器疾患、頭痛、手足の煩熱、 心煩、を治す。
また、熱によってひきおこされる症状、 あるいは胸苦しさ等に効果がある 。
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参考:五要穴の取穴文章と取穴写真図
ゆっくり堂鍼灸院の取穴文章と取穴写真図を掲載します。
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11、ルート:足の少陽 胆経(43穴)
( 注 ) 胆経は外果より膝頭までを1 尺 6 寸として取 穴する 。
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33 陽陵泉 (ようりょうせん)合土畏穴 ・ 筋会 ☆
部位: 腓骨頭の前 、脛骨外側顆の下際 、陥凹部にあり 。
取り方:脛骨外側顆の下際に腓骨頭が入り込んでいる 、この前下方の陥凹部に取る 。
(注)爾来(じらい:昔から)この穴は、取穴法が多種多様で、前後左右等周囲に取穴している。
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34 陽交(ようこう) ☆
部位: 外果の上7寸 、腓骨外側面上に取る。
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35 外丘(がいきゅう) ・ 郄穴(げきけつ) ☆
部位: 外果上際より上方 7 寸 、腓骨外側縁の陥中 。
取り方:陽交より約 3 分 前の腓骨筋前縁の陥凹部によく反応が現れる 、 ここに取る 。
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36 光明(こうめい) ・ 絡穴 ☆
部位: 外果上際より上方 5 寸 、腓骨外側面上にあり 。
取り方:外果上際より腓骨外側面上を押し上げていき 約 5 寸の骨面で腓骨の上に取る 。
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37 陽輔(ようほ) 経火子穴 ☆
部位: 外果上際より上方 4 寸 、腓骨外側縁の陥凹部にあり 。
取り方:外果の上際より骨に沿い上方 3 寸の腓骨外側面に懸鐘(けんしょう:別名:絶骨)穴を取り 、
その上方 1 寸 、約 3 分前の長腓骨筋の前縁に取る 。
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38 懸鐘(けんしょう)一名:絶骨 ・ 髄会 ☆
部位: 下腿外側 、 外果の上 3 寸にあり 。
取り方:外果より腓骨の前面に沿ってなで上げていくと 3 寸位の所で 、長腓骨筋腱の前縁で、骨の上に取る 。
( ここより骨が触れなくなるので別名、絶骨という。)
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39 丘墟(きゅうきょ)・ 原穴 ☆
部位:外果下際の前下方 5 分 、 立方骨面上の陥凹部にあり 。
取り方:指先を曲げ足の甲を上げると外果の下際にくぼみができる 、この中で立方骨面上の陥凹部に取る 。
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40 足臨泣(あしりんきゅう)・兪木自穴 ☆
部位: 俠谿(きょうけい)穴の後ろ 2 寸 、第 4・第 5 中足骨の間の陥中にあり 。
取り方: 俠谿穴より後方になでていくと第4・第5中足骨接合部に突きあたる 、そのやや前陥中に取る 。
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41 地五会(ちごえ) ☆
部位: 足背第4・第 5 中足骨のあいだの陥中 、俠谿(きょうけい)の後え 1 寸 にあり 。
取り方:第4・第 5 中足骨中足骨の間で中足指節関節の後方 1 寸 の陥凹部に取る 。
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42 俠谿(きょうけい) - 榮水母穴 ☆
部位:足背第 4 ・ 第 5 中足指節関節の間、やや前方の陥中にあり。
取り方:足背第 4 ・ 第 5 中足指節関節の間 、赤白肉の境にて陽面にあり。
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43 足竅陰(あしきょういん) 井金剋穴 ☆
部位:第 4 指外側爪甲根部を去ること1分にあり 。
取り方:井穴については、古典に「 爪甲根部を去る事、韮葉(にらは)の如くにあり」という表現が最も多い 。
韮葉の幅はl分程であるから 、このように表現したのであろうという説もあるが、
実際にはそうではなく、井穴のある所を軽く押してみると微かなシワが 2、3 本あって 、
その先がくっついていて韮葉の先の尖った所のようになっている 。
その上に取るという意味である 。
従って「爪際よりわずかに押上げると指骨に突きあたる 。 ここに取る 。
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⑪ルート 足の少陽胆経
膽(たん)者.中正之官(ちゅうせいのかん).決斷出焉.(靈蘭祕典論篇 第八、一章、四節)
強い意志と決断力を有し、裁判官の任。(人物を鑑別する役目)
胆経は身体の側面をめぐるので、半表半裏の病を起す。即ちM病の如く感熱往来して汗で、 目のまなじり、缺盆、脇の下が腫れ痛む。また、口苦く鬱滞し、太いあくびをする。
脇痛み、寝返りできず。更に病が進むと、面垢づき光沢なく、クヨクヨしてよろめく。
臓象論:木性、背の第十椎(胸椎)につき、胆汁の袋である。
亢進すれば痛みを発し、弱ければよろめく。
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⑪ 足の少陽胆経
足の少陽胆経は足の厥陰肝経と表裏肝経にあり、その流注は身体外側部、少陽の部を通る特徴がある。
その病は、眼・筋・爪に現れ、めまいや頭痛、耳鳴り、寒熱往来し腰痛、足の外側、
足の甲の外廉(かど)等に痛みや痺れ、運動不全等が現れる。
その病症は肝木に属するものが多く、そのうち陽症は胆経の実証として現れる。
頭部における、瞳子リョウ・頭竅陰・完骨・風池(胆経)・翳風(エイフウ)穴(三焦経)は、
めまいや頭痛、耳鳴りの治療穴として良く用いられる。
肩の肩井(けんせい)穴はテンリョウ穴(三焦経)曲垣(小腸経)などと共に肩こりに良く効く名穴である。
また、淵腋(えんえき)穴付近の圧痛点を目当てに取穴し、腋下点として皮内鍼や施灸により、
この付近の鎮痛に即効をもたらす。
日月・帯脈・居リョウ穴等は期門(きもん)穴と共にこの部の内臓疾患の諸病を改善する。
また、環跳(かんちょう)穴は下肢全体の疼痛、麻痺、運動不全に効く。
外丘(がいきゅう)・光明・足臨泣穴はこの経の虚実・補瀉に欠かせない大事な穴である。
内経を中心とした流注・・・・
手の少陽三焦経の交わりを受けて、瞳子(どうしりょう)穴より始まり、こめかみ部をめぐり、
耳上を経て耳後の完骨穴に至り、返って睛明穴(足の太陽膀胱経)に至り、また返ってひたい額より、
膀胱経の外側を通って風池(ふうち)穴にいたり、下って肩に至り後にめぐ廻って大椎穴(督脈経)に入り、
大杼(だいじょ)穴、(膀胱経)秉風(へいふう)穴(手の太陽小腸経)を経て、缺盆(けつぼん)穴(足の陽明胃経)に入る。
支脈は風池穴より耳の中に入り、耳前に出て再び瞳子リョウ穴に循りケンリョウ穴(手の太陽小腸経)
頬車(きょうしゃ)・大迎穴(足の陽明胃経)をめぐって、缺盆穴に入り、前のものと合する。
これより胸中に入り、期門(きもん)穴の部にて肝を絡い、日月の部で胆に属会する。
さらに、第十一肋骨先端の章門(しょうもん)穴(足の厥陰肝経)を循り、下って恥骨の上より股関節中に入る。
また、本経は缺盆穴より腋下に出で、側胸部を下り斜め前方に行き、日月穴に至り、第十二肋骨先端の京門穴を経て側腹部を下り、
股関節に入り先のものと合する。これより大腿、下腿の側面を下り外果の前外側を経て、
足の第四指外端の爪甲根部(そうこうこんぶ)の足竅陰(あしきょういん)穴に終わる。
支脈は足背の足臨泣(あしりんきゅう)穴より別れて、
母指外端の太敦(だいとん)穴、足の厥陰肝経の起始部に交わる。
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⑪ 足の少陽胆経 内経を中心とした流注図 c2042
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・ - 参考図書 ・ -
柳下登志夫先生の臨床考察「肝木の変動」
「経絡治療学原論上巻臨床考察‐基礎・診断編」よりの抜粋。
【 】( )は山口一誠の考察文です。
詳しくは、
経絡治療学原論(上巻)臨床考察 ―基礎・診断編― をお読みください。
発刊:東洋はり医学会
http://www.toyohari.net/book.html
元東洋はり医学会会長の筆者:柳下登志夫先生が、
福島弘道著「経絡治療学原論(上巻)」をテキストとし講義した中で、
臨床上重要な箇所を抜粋したものです。
柳下登志夫著 定価3,000円 (送料400円) A5 230貢
※ 筆者柳下登志夫の60年に及ぶ治療経験、
1日100人を越える患者さんと向き合い、臨床を通して古典を再検討したものです。
時代により変わりつつある患者さんの病に十二分に対応できるバイブルとなっています。
現代に生きる経絡治療家には必携の書籍です。
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臨床考察41: 四診法: 問診 頁:148・平成17年4月 収録
十二経の病症と問診。
問診に当たって十二経病症は、虚実が表裏に出る事を認識しておく必要がある。
・五臓六腑および十二経の病症と問診。
ここでは原論を記し、私(柳下)の臨床上の注意(付記)を一言ずつ付け加えておく。
十一、胆および胆経
原論:
この経は身体の半表半裏(側面)を通過するが故に、側頭、側頸、腋窩、側腹、股関節、大腿・下腿の外側等、この経の過ぐる所に当たり熱腫、冷感、麻痺、腫瘤等を発し、足の第四趾用いられず。またその病は、息して口苦しく、心下部不快感、イライラして咳唾す。皮膚光沢無く、頭痛、顎下痛み、寒熱往来して汗出とろめく。
(付記):
比較脉診に当たってはこの経が実を示す頻度が高く、処置したくなるものである。しかし、容易に他の脉位と平らかにならず、ついつい刺鍼し過ぎてしまう。その結果は、頭のてっぺんから足先まで及んで、良くなれば患者・術者共に喜べるが、負に出るときは共に災難を引き寄せる破目に陥る。禁鍼・禁灸穴のような経絡である。
十二、肝および肝経
原論:
ホルモン系(内分泌)に関与し、国に於ける将軍の官(国防大臣)と言われるが如く、邪気防衛の第一線を主る。従って、その症状は気高ぶり風邪による証を現す。振顫(しんせん:ふるえる)、めまい、心下季肋痛、視力現弱、難聴、頭痛、頬部腫痛、腰痛、陰嚢肥大、婦人性器痛、嘔吐、下痢、脱腸、尿失禁、閉尿、顔色および全身垢づきて光沢なし。
(付記):
この経は情動に係わりが深く、これを正常に保たせる働きは「精神安定剤」等の比ではない。
両刃の剣の使い方を定める。 診断は綿密に。
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足の少陽胆経
臨床考察37:病症論 十二経病 ⑪足の少陽胆経 頁:131・平成16年12月 収録
【胆経の変動: 治療穴・誤治】
胆経についても書き始めると限りなくあるが、
頭痛に対して足臨泣・丘墟穴に加えて反応を目当てに地五会・懸鐘穴等も効果著明。
この径も長い経絡であるが風池穴から耳の中を通り瞳子髎に行き大迎穴に行く支脈は顔周辺の病に卓効を示す。
又、精神的・感情的な方面にも影響が大きい。
側胸・側腹・股関節そして足の第四指・第五指付近の損傷等々適応症が並ぶが、
正治・誤治ともに施術側の反対側に影響が出やすい事にも注意が必要。
39:丘墟:原穴:外果の前下方、足部を外転背屈し、最も陥凹するところに取る.
表題:臨床考察22: 臓象論3、胆の腑 頁:77・平成15年5月 収録
【 脉診:胆経の脉を診て「実脉」と、口が苦い苦情。】
【本治法:胆経「実脉」を瀉すと口が苦い苦情が取れる。】
患者の中には口が苦いという人がいるが、その原因も色々・・・
しかし胆経の実によっている場合もかなりある。
病症の検討を始め他の診察も必要だが、胆経の脉が実している場合もかなりある。
胆経もまた精神面に大きく関与し、意思決定と行動力は「胆の腑」の虚実によると言われている。
日常生活は意思決定の連続であり、これに基づく行動によって生活は成り立っている。
《 証に係わらず胆経の脉を観察し、施術方法を凝らすことも必要である。》
表題: 臨床考察20:足の少陽胆経の臨床考察 頁:67,68・平成15年3月 収録
身体の半表半裏を広く廻り、その経穴も鍼灸家にとって日常用いる頻度の高いものが多い。
【治療穴:】
瞳子髎・聴会・は勿論、頭痛・目・耳の病に・・・。
翳風・風池は全身の違和感解消に効果がある。また風池(胆経)・風門(膀胱経)・風府(督脈)は共に風邪に深く係わり、風邪は最初から最後まで風池穴に深く係わって離れない。
【治療穴:】
懸鐘穴〔たぶん肩井穴〕は肩こり治療の中心的役割を果たし、帯脉・五枢・維道・居髎穴は我々にとって診断から治療に渡り、必要欠くべからざる経穴である。
人工関節を進められている患者も、何とかして股関節症の苦しみから逃れたいと鍼灸治療にその願いを託す時も多いが、胆経はこのような際にもその任を果たして大である。
また膝より下の経穴は肝経と表裏をなしており、精神的な活動にも大いに係わる。
表題: 臨床考察21: 足の少陽胆経の臨床考察 頁:68.69・平成15年3月 収録
【治療穴:病院で面倒診てもらえない結膜出血を治すツボ】
・・胆経・・の主治症:結膜出血・・瞳子髎・承泣・陽白・晴明穴等に処置をし、
側頭部眼窩部やそれら等の周辺の表治法によって数日で緩解する。
その際「こんなことがなるべく起こらないように」と患者を説得し、時々通院するようにそれとなく進める。
【 治療穴:耳・頚肩部・眩暈の治療にも胆経 】
耳を始め頚肩部の病、眩暈に対しても肝経・腎経・脾経等の陰経に捕らわれ過ぎず、胆経の処置をしてその功大である。
【胆経の実邪をとれば、長年、患者を苦しめていた愁訴をあっさり纏めて解消する事が出来る。】
胆経の脉は他の脉と比較すると、実になっていることが多く、またそれが患者の健康に対する不安感をいだかせる元になっている場合もある。例えば寒熱往来で、朝は気持ちが良いが夕方から熱が上がり始め、身体のあちこちに愁訴が現れる。このような時もし胆経が実脉を示していれば、これを瀉す時は長い合い間、患者を苦しめていた愁訴をあっさり纏めて解消する事が出来る。見落としがちな胆経の実邪の仕業に注意・・。
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11、ルート:足の少陽 胆経(43穴)おわり