八、肩の鍼灸治療
このコーナーでは臨床に直接役立つ経絡鍼灸の証決定・本治法・標治法の方法を述べます。
参考文献は、小里勝之(こさとかつゆき)先生の臨床発表「論考:身体各部の病症と経絡鍼灸治療」を
ベースにして、 ここに、『鍼灸重宝記』と、HPゆっくり堂の経絡鍼灸教科書を加えて構成します。
また、適宜、東洋はり医学会の臨床経験文を参考に考察を行います。
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鍼灸師の先生方のご意見・間違いの指摘・などを、当院へお送りくだされば幸いです。
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肩の範囲:ここで言う肩とは、
側頸部より後の首と肩上部、後ろは身柱穴より上、肩甲骨棘下部も含めて言う。
肩の経絡流注:
督脉、膀胱経、胆経、三焦兪、小腸経がめぐり、手足の陽経は皆大椎に会し錯綜している。
肩の病症: A:肩凝り、B:神経痛、C:寝違え。
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A:肩凝り | 特徴 ・ 弁証・治療方法 |
肩凝り全般 | 肩凝りを訴える患者は非常に多く、これを的確に処理し得る人は名人と言うべきである。働きすぎによって一時的に凝るのは比較的簡単に処理できるが、 慢性的に肩凝りを訴える患者は簡単には取れない。 本治法により経絡調整を行ったあと、 これ全ての病は、経絡の変動によって生ずるものであるからである。 肩凝りの場所と経絡の流注とを良く調べ、標治法として虚実を分かちて補瀉する事。 |
後頭部の凝り | 腎経と膀胱経を考えるが、臨床的には、脾虚腎虚の場合が多い。 |
側頭部の凝り張りは | 肝虚陽実証としてみるか或いは肺肝相剋証または脾肝相剋証の場合もある。 |
側頸の上部は | 胆経もしくは三焦経、小腸経の変動と診ることもある。 |
肩甲間部は | 肺の主る所で、肺虚のコリが多く、臨床的には肺肝相剋が多い。 |
肩甲骨棘下部は | 小腸経の変動と診る。 小腸経の変動と診る。 |
B:神経痛 | 痛む場所と経絡の流注を考える。 例:後頭神経痛で膀胱経が痛む時は腎虚陽実証か脾腎の虚の場合が多い。 |
C:寝ちがえ | 寝かたが悪い為に或る筋肉を長い間引き伸ばした状態にしていた為に生じたもので、 わずかな腫れと痛みがある。脾虚を中心にその陽実証。或いは脾肝相剋または脾腎相剋の場合もある。 |
私は20数年前、背中で肺兪を中心に夏でも冷や冷やと冷たく感じて困った事がある。 それから2年程して喀血したのであるが、 背は肺の主りと言う事が分かったし、その時は腎虚であったので、寒は腎の主りと言う事からもうなずける。 |
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