十四、喘急(ぜんきゅう)
南北経驗醫方大成による病証論・井上恵理先生・講義録を参考に構成しています。。
小項目 番号 c334
十四、喘急のポイント
———————————————-
第十四、喘急の 原文と訳文読み(カタカナ)。
人之五臓皆上氣 ヒトノ ゴゾウ ニハ ミナ ジョウキアリ
而肺為之緫 シカシテ ハイ コレガ ソウ タリ
故經云、 ユエニ ケイニ ユウ
諸氣皆属於肺居 ショキ ハ ミナ ハイ ニ ゾクス
五臓之上、而為華蓋、喜清虚而不欲窒碍
ゴゾウノウエニシテ カガイ タリ セイキョ ヲ コノンデ チッ スルコトヲヨクセズ
調攝宜失、或為風寒暑湿邪気
チョウセツ ヨロシキヲシッシ アルイハ フウカンショシツノ ジャキノタメニオカサレル
相干則肺氣脹満發而為喘
アイヲカサナルトキハ ハイキ チョウマンニシテ ゼイヲナス
呼吸、坐訃促迫不安、
コキュウ ザタク ソクハk ニシテ ヤスカラズ
又有因七情之氣、干於五蔵、欝而生痰、
マタ ナナジョウノキ ニヨッテ アり ゴゾウ ヲ オカシテ ウツシテ タンヲショウジ
或體弱之人、脾腎倶虚、不能攝養一身之痰、
アルイハ タイジャクノヒト ヒジントモノキョス イッシンノ タンヲ セツヨウ スツコトアタワズ
皆能令人發喘。 ミナヨク ヒトヲシテ ゼイヲハツセシム
而肺為之緫 シカシテ ハイ コレガ ソウ タリ
故經云、 ユエニ ケイニ ユウ
諸氣皆属於肺居 ショキ ハ ミナ ハイ ニ ゾクス
五臓之上、而為華蓋、喜清虚而不欲窒碍
ゴゾウノウエニシテ カガイ タリ セイキョ ヲ コノンデ チッ スルコトヲヨクセズ
調攝宜失、或為風寒暑湿邪気
チョウセツ ヨロシキヲシッシ アルイハ フウカンショシツノ ジャキノタメニオカサレル
相干則肺氣脹満發而為喘
アイヲカサナルトキハ ハイキ チョウマンニシテ ゼイヲナス
呼吸、坐訃促迫不安、
コキュウ ザタク ソクハk ニシテ ヤスカラズ
又有因七情之氣、干於五蔵、欝而生痰、
マタ ナナジョウノキ ニヨッテ アり ゴゾウ ヲ オカシテ ウツシテ タンヲショウジ
或體弱之人、脾腎倶虚、不能攝養一身之痰、
アルイハ タイジャクノヒト ヒジントモノキョス イッシンノ タンヲ セツヨウ スツコトアタワズ
皆能令人發喘。 ミナヨク ヒトヲシテ ゼイヲハツセシム
治療之法、 チリョウノホウ
當究其源。 マサニ ソノ ミナモトヲ キワムベシ
如邪感則氣駆散之、ジャキカンジルトキハ コレヲクサンシ
氣欝則調順之、 キウッスルトキハ コレヲ テイジュンシ
脾腎虚者温理之。 ヒジンキョスルモノハ コレヲ ウンリシ
又當於各類而求。 マタマサニ カクルイニ モトムベシ
凡此證、 ヲヨソ コノ ショウ
脉滑而手足温者生。ミャク カツニシテ テアシ オンナルモノハ イク
脉濇而四肢寒者死。ミャク ショクニシテ シキ ヒユエウモノハ シス
數者亦死。 サクミャクノモノモ マタ シス
謂其形、損故也。 イワユル ソノカタ シンスルガユエナリ
此嚴氏之説 コレ ケンシ ノ セツナリ
故再述干此。 ユエニ フタタビ コレニ ジュッス
當究其源。 マサニ ソノ ミナモトヲ キワムベシ
如邪感則氣駆散之、ジャキカンジルトキハ コレヲクサンシ
氣欝則調順之、 キウッスルトキハ コレヲ テイジュンシ
脾腎虚者温理之。 ヒジンキョスルモノハ コレヲ ウンリシ
又當於各類而求。 マタマサニ カクルイニ モトムベシ
凡此證、 ヲヨソ コノ ショウ
脉滑而手足温者生。ミャク カツニシテ テアシ オンナルモノハ イク
脉濇而四肢寒者死。ミャク ショクニシテ シキ ヒユエウモノハ シス
數者亦死。 サクミャクノモノモ マタ シス
謂其形、損故也。 イワユル ソノカタ シンスルガユエナリ
此嚴氏之説 コレ ケンシ ノ セツナリ
故再述干此。 ユエニ フタタビ コレニ ジュッス
———————————————-
南北経驗醫方大成、
十四、喘急(ぜんきゅう)の訳文(読み下し文)
人の五臓には皆上気あり、
而して肺これが総(そう)たり。
故に経にいう、
諸気は皆肺に属す、
五臓の上に居して華蓋たり、清虚を喜んで窒することを欲せず。
調攝(ちょうせつ)よろしきを失し、或いは風寒暑湿、邪気の為におかさる。
而して肺気脹満して発して喘をなす。
呼吸、坐訃(が)促迫して安からず、
又七情の気、五蔵をおかして、欝して痰を生じ、
或いは体弱の人、脾腎伴に虚し、一身の痰を攝養すること能はず、
皆よく人をして喘を発せしむ。
而して肺これが総(そう)たり。
故に経にいう、
諸気は皆肺に属す、
五臓の上に居して華蓋たり、清虚を喜んで窒することを欲せず。
調攝(ちょうせつ)よろしきを失し、或いは風寒暑湿、邪気の為におかさる。
而して肺気脹満して発して喘をなす。
呼吸、坐訃(が)促迫して安からず、
又七情の気、五蔵をおかして、欝して痰を生じ、
或いは体弱の人、脾腎伴に虚し、一身の痰を攝養すること能はず、
皆よく人をして喘を発せしむ。
治療の法、
当に其の源を究むべし。
邪気に感ずる則は、これを駆散し、
気欝する則はこれを調順し、
脾腎虚する者は、これを温理せよ。
又当に各類に求むべし。
凡そ此の証、脉滑(かつ)にして手足温なる者は生く。
脉濇(しょく)にして四肢寒ゆる者は死す。
数なる者も又死す。謂ゆる其の形、損するが故なり。
此れ厳氏の説、
故に再び此れに述す。
当に其の源を究むべし。
邪気に感ずる則は、これを駆散し、
気欝する則はこれを調順し、
脾腎虚する者は、これを温理せよ。
又当に各類に求むべし。
凡そ此の証、脉滑(かつ)にして手足温なる者は生く。
脉濇(しょく)にして四肢寒ゆる者は死す。
数なる者も又死す。謂ゆる其の形、損するが故なり。
此れ厳氏の説、
故に再び此れに述す。
———————————————-
南北経驗醫方大成、
十四、喘急の解説文
山口一誠のオリジナル文章を含む。
喘急(ぜんきゅう)
- 人間の五臓の気は上昇する性質があります。
肺の気は肺によって起こり鼻に通じ天空に上昇していきます。
そして 肝の気は目に通じ、心の気は舌に通じ、脾の気は口に通じ、、腎の気は耳に通じて上昇しています。
そして、気その物の、まとめ役が肺に成ります。 - 喘急の病について、古典医学の陰陽五行理論で解説するならば、
この上昇する五臓の気は全て肺が司(つか)さどっている事に成ります。 - 肺は、肝心脾腎の上部に位置し、美しい絹傘の様な形状をしています。
肺は、清浄(せいじょう)を好(この)み塞(ふさ)がることを憎(にく)む性質があります。 - 身体が外気の暑さ寒さ、嫌な湿気、強風などの外邪に侵されたとき、
身体の動きが悪くなり、快食、快眠、快便、の快適な生活が送れなくなります。
これは、肝心脾肺腎の五臓の気が正常に天空に上昇できない為に起っています。
その影響で、肺気が濁(にご)り気鬱(きうつ)して腹がふくれ「喘急」の病気を発症します。 - 喘急の病気の特徴は、呼吸器官、 鼻腔・咽頭・気管支、 胸郭 ・ 胸腔・横隔膜の器質的障害であり、呼吸が乱れ、ゼーゼーという喘鳴(ぜいめい)が伴なって発する病気です。
そのため、呼吸が苦しくて眠る事が出来ないので起きてばかりになったり、
また身体が疲れて寝てばかりになることがあります。 - また、内因性の怒、喜、憂、思、悲、驚、恐の七情の感情が五蔵を犯して、
感情が鬱積(うつせき)し、痰(たん)を生じ、喘急の病気が起きます。
或いは身体の弱い人は、消化吸収機能が乱れ、身体に栄養を届ける事が出来なくなり、
腎が虚して水分代謝機能が保持できず、痰を生じ、喘急の病気を起こします。
以上の様に、
外邪や内因性の原因から喘急の病気が発症されるのです。 - 喘急(ぜんきゅう)の治療の法について説明します。
喘急を治療するには、症状に振り回されることなく、その病状の根本原因を把握して行う事。
風・寒・暑・湿の邪気に侵された時は、それぞれの邪に応じて治療をします。
また、内因性の怒、喜、憂、思、悲、驚、恐の七情が根本原因ならば、
それぞれの気欝に応じて治療をします。
また、根本原因が脾腎の虚であるならば、温め補(おぎ)なう治療をします。
このように、
根本原因の種類に応じた治療が求められている訳です。 - 喘急(ぜんきゅう)の脉状と病態および治療の改善予測について説明します。
脉状が滑脉(かつみゃく)で、手足が温い時は改善効果が容易です。。
「滑脉」は津液がまだ滅びていない証拠ですから。
脉状が濇脉(しょくみゃく)で、手足が冷えている時は治療は難(むつか)しく長期の治療が必要です。
脉状が虚して速い時も治療は難しく慎重な治療が求められます。
脉状の形がしっかりしていれば、治りますが、形が崩れそうな人は難治性と言う事です。 - 以上が喘急の病態の捉え方と治療方針であり、
厳用和(げんようわ) という漢方医の教えであります。
———————————————-
喘急(ぜんきゅう)の詳細解説コーナー
十四、喘急の原文・訳文・解説
〔 〕内は山口一誠のオリジナル文章です。
喘急(ぜんきゅう)
・
原文:人之五臓皆上氣、而肺為之緫
訳文:人の五臓には皆上気あり、而して肺これが総(そう)たり。
解説:〔人の五臓の気は上昇する性質があります。〕
〔肝の気は目に通じ、心の気は舌に通じ、脾の気は口に通じ、肺の気は肺によって起こり鼻に通じ、腎の気は耳に通じています。〕
〔そして、気そのものの、まとめ役が肺に成ります。〕
訳文:人の五臓には皆上気あり、而して肺これが総(そう)たり。
解説:〔人の五臓の気は上昇する性質があります。〕
〔肝の気は目に通じ、心の気は舌に通じ、脾の気は口に通じ、肺の気は肺によって起こり鼻に通じ、腎の気は耳に通じています。〕
〔そして、気そのものの、まとめ役が肺に成ります。〕
・
原文:故經云、
訳文:故に経にいう、
解説:〔よって陰陽五行理論で解説するならば、〕
訳文:故に経にいう、
解説:〔よって陰陽五行理論で解説するならば、〕
・
原文:諸氣皆属於肺居
訳文:諸気は皆肺に属す、
解説:〔この上昇する五臓の気は全て肺が司(つか)さどっている事とに成ります。〕
訳文:諸気は皆肺に属す、
解説:〔この上昇する五臓の気は全て肺が司(つか)さどっている事とに成ります。〕
【井上恵理先生の講義解説より】〈喘急の原因〉p107-
人の五臓には皆「上る気あり」すなわち呼吸、上昇の気は肺によって起こり鼻に通じる。
心の気は舌に通じ、脾の気は口に通じ、肝の気は目に通じ、腎の気は耳に通じる。
その人の五臓には皆、上気あり、気というのは全て肺が司さどっている。
人の五臓には皆「上る気あり」すなわち呼吸、上昇の気は肺によって起こり鼻に通じる。
心の気は舌に通じ、脾の気は口に通じ、肝の気は目に通じ、腎の気は耳に通じる。
その人の五臓には皆、上気あり、気というのは全て肺が司さどっている。
・
原文:五臓之上、而為華蓋、喜清虚而不欲窒碍
訳文:五臓の上に居して華蓋たり、清虚を喜んで窒することを欲せず。
解説:〔肺蔵は、肝心脾腎の上部に位置し、美しい傘の様な形状をしています。 〕
〔そして肺は、清浄を好(この)み塞(ふさ)がることを憎(にく)む訳です。〕
訳文:五臓の上に居して華蓋たり、清虚を喜んで窒することを欲せず。
解説:〔肺蔵は、肝心脾腎の上部に位置し、美しい傘の様な形状をしています。 〕
〔そして肺は、清浄を好(この)み塞(ふさ)がることを憎(にく)む訳です。〕
【井上恵理先生の講義解説より】
「五臓の上に居し」全ての臓は肺の下にある。
「華蓋(かがい)」坊さんの上にのっかっている傘の様なもの。
〔【華蓋:かがい】とは、1 花のように美しい衣笠 (きぬがさ) 。2 ハスの花の形をした天蓋。〕
「清虚」清いこと、天に通じるもの、だから肺は清浄を好み塞(ふさ)がることを憎(にく)む。
目耳鼻口舌の力、気の通じる所は清いことを好み、塞がることを嫌がる。
喘急の病(やまい)とは、清虚の虚が清濁(せいだく)になるから起こるという考え方である。
「五臓の上に居し」全ての臓は肺の下にある。
「華蓋(かがい)」坊さんの上にのっかっている傘の様なもの。
〔【華蓋:かがい】とは、1 花のように美しい衣笠 (きぬがさ) 。2 ハスの花の形をした天蓋。〕
「清虚」清いこと、天に通じるもの、だから肺は清浄を好み塞(ふさ)がることを憎(にく)む。
目耳鼻口舌の力、気の通じる所は清いことを好み、塞がることを嫌がる。
喘急の病(やまい)とは、清虚の虚が清濁(せいだく)になるから起こるという考え方である。
・
原文:調攝宜失、或為風寒暑湿邪気
訳文:調攝(ちょうせつ)よろしきを失し、或いは風寒暑湿、邪気の為におかさる。
解説:〔快食、快眠、快便、快適な身体の動きが狂い、あるいは外気の暑さ寒さ湿気、防風の外邪に侵されるとき、〕
訳文:調攝(ちょうせつ)よろしきを失し、或いは風寒暑湿、邪気の為におかさる。
解説:〔快食、快眠、快便、快適な身体の動きが狂い、あるいは外気の暑さ寒さ湿気、防風の外邪に侵されるとき、〕
・
原文:相干則肺氣脹満發而為喘
訳文:而して肺気脹満して発して喘をなす。
解説:〔肺気が濁(にご)り気鬱して腹がふくれ喘急の病気を発症します。〕
訳文:而して肺気脹満して発して喘をなす。
解説:〔肺気が濁(にご)り気鬱して腹がふくれ喘急の病気を発症します。〕
・
原文:呼吸、坐訃促迫不安、
訳文:呼吸、坐訃(が)促迫して安からず、
解説:〔喘急の病気の特徴は、呼吸の乱れ、起きてばかり、寝てばかり、などがあります。〕
訳文:呼吸、坐訃(が)促迫して安からず、
解説:〔喘急の病気の特徴は、呼吸の乱れ、起きてばかり、寝てばかり、などがあります。〕
【井上恵理先生の講義解説より】
「攝養(セツヨウ)」我々の体の運動、起居、動作、食い物、全てを含んだもの。
「宜(よろ)しきを失し」調和が無くなる。或いは風寒暑湿の邪気におかされる時、喘をなす。
「呼吸坐臥促」呼(は)く、吸う「坐」起きる「臥」寝る「促」せまる、動く、
そういうものが一方的になると呼吸の乱れ、起きてばかり、寝てばかりになり起こる。
「攝養(セツヨウ)」我々の体の運動、起居、動作、食い物、全てを含んだもの。
「宜(よろ)しきを失し」調和が無くなる。或いは風寒暑湿の邪気におかされる時、喘をなす。
「呼吸坐臥促」呼(は)く、吸う「坐」起きる「臥」寝る「促」せまる、動く、
そういうものが一方的になると呼吸の乱れ、起きてばかり、寝てばかりになり起こる。
・
原文:又有因七情之氣、干於五蔵、欝而生痰、
訳文:又七情の気、五蔵をおかして、欝して痰を生じ、
解説:〔また、怒、喜、憂、思、悲、驚、恐の七情の感情が五蔵を犯して、感情がうっ積し、痰を生じ、喘急の病気が起きます。〕
訳文:又七情の気、五蔵をおかして、欝して痰を生じ、
解説:〔また、怒、喜、憂、思、悲、驚、恐の七情の感情が五蔵を犯して、感情がうっ積し、痰を生じ、喘急の病気が起きます。〕
・
原文:或體弱之人、脾腎倶虚、不能攝養一身之痰、
訳文:或いは体弱の人、脾腎伴に虚し、一身の痰を攝養すること能はず、
解説:〔或いは体弱の人は、消化吸収機能が乱れ、身体に栄養を届ける事が出来なくなり、腎が虚して水分代謝機能が保持できず、痰を生じ、喘急の病気が起きます。〕
訳文:或いは体弱の人、脾腎伴に虚し、一身の痰を攝養すること能はず、
解説:〔或いは体弱の人は、消化吸収機能が乱れ、身体に栄養を届ける事が出来なくなり、腎が虚して水分代謝機能が保持できず、痰を生じ、喘急の病気が起きます。〕
・
原文:皆能令人發喘。
訳文:皆よく人をして喘を発せしむ。
解説:〔以上の様な外邪、内因性の原因から喘急の病気が発症されるのです。〕
訳文:皆よく人をして喘を発せしむ。
解説:〔以上の様な外邪、内因性の原因から喘急の病気が発症されるのです。〕
【井上恵理先生の講義解説より】〈喘急の原因〉p107-
又七情の気に傷(やぶ)られ五臓を傷る。
或いは体の弱い人「脾腎伴に虚し」脾虚になり栄養ものが栄養出来ない。
腎虚になり体の水分の全てが攝養(セツヨウ)出来なくなり喘をなす。
又七情の気に傷(やぶ)られ五臓を傷る。
或いは体の弱い人「脾腎伴に虚し」脾虚になり栄養ものが栄養出来ない。
腎虚になり体の水分の全てが攝養(セツヨウ)出来なくなり喘をなす。
・
原文:治療之法、
訳文:治療の法、
解説:〔喘急(ぜんきゅう)の治療の法について説明します。〕
訳文:治療の法、
解説:〔喘急(ぜんきゅう)の治療の法について説明します。〕
・
原文:當究其源。
訳文:当に其の源を究むべし。
解説:〔喘急を治療するには、症状に振り回されることなく、その病状の根本原因を把握して行いなさい。〕
訳文:当に其の源を究むべし。
解説:〔喘急を治療するには、症状に振り回されることなく、その病状の根本原因を把握して行いなさい。〕
・
原文:如邪感則氣駆散之、
訳文:邪気に感ずる則は、これを駆散し、
解説:〔風・寒・暑・湿の邪気に侵された時は、それぞれの邪に応じて治療をしなさい。〕
訳文:邪気に感ずる則は、これを駆散し、
解説:〔風・寒・暑・湿の邪気に侵された時は、それぞれの邪に応じて治療をしなさい。〕
・
原文:氣欝則調順之、
訳文:気欝する則はこれを調順し、
解説:〔また、内因の怒、喜、憂、思、悲、驚、恐の七情が根本原因ならば、それぞれの気欝に応じて治療をしなさい。〕
訳文:気欝する則はこれを調順し、
解説:〔また、内因の怒、喜、憂、思、悲、驚、恐の七情が根本原因ならば、それぞれの気欝に応じて治療をしなさい。〕
・
原文:脾腎虚者温理之。
訳文:脾腎虚する者は、これを温理せよ。
解説:〔また、根本原因が脾腎虚であるならば、温め補う治療をしなさい。〕
訳文:脾腎虚する者は、これを温理せよ。
解説:〔また、根本原因が脾腎虚であるならば、温め補う治療をしなさい。〕
・
原文:又當於各類而求。
訳文:又当に各類に求むべし。
解説:〔このように、根本原因の種類に応じた治療が求められている訳です。〕
訳文:又当に各類に求むべし。
解説:〔このように、根本原因の種類に応じた治療が求められている訳です。〕
【井上恵理先生の講義解説より】(治療の法)p108-
「源」みなもと、虚弱の人は、まず虚弱を治し、
七情に傷られた人は、これを治し、脾腎虚の人は虚を治す。
治してやれば風寒暑湿の邪を受ける事がないのです。
治療法も原因に従って分け行なう。
「源」みなもと、虚弱の人は、まず虚弱を治し、
七情に傷られた人は、これを治し、脾腎虚の人は虚を治す。
治してやれば風寒暑湿の邪を受ける事がないのです。
治療法も原因に従って分け行なう。
・
原文:凡此證、
訳文:凡そ此の証、
解説:〔喘急(ぜんきゅう)の脉状と病態を説明します。〕
訳文:凡そ此の証、
解説:〔喘急(ぜんきゅう)の脉状と病態を説明します。〕
・
原文:脉滑而手足温者生。
訳文:脉滑にして手足温なる者は生く。
解説:〔脉状が滑脉(かつみゃく)で、手足が温い時は改善効果が容易です。。「滑脉」は津液がまだ滅びていない証拠です。〕
訳文:脉滑にして手足温なる者は生く。
解説:〔脉状が滑脉(かつみゃく)で、手足が温い時は改善効果が容易です。。「滑脉」は津液がまだ滅びていない証拠です。〕
・
原文:脉濇而四肢寒者死。
訳文:脉濇にして四肢寒ゆる者は死す。
解説:〔脉状が濇脉(しょくみゃく)で、手足が冷えている時は治療は難(むつか)しく長期の治療が必要です。〕
訳文:脉濇にして四肢寒ゆる者は死す。
解説:〔脉状が濇脉(しょくみゃく)で、手足が冷えている時は治療は難(むつか)しく長期の治療が必要です。〕
・
原文:數者亦死。謂其形、損故也。
訳文:数なる者も又死す。謂ゆる其の形、損するが故なり。
解説:〔脉状が虚して速い時も治療は難しく慎重な治療が求められます。〕
〔脉状の形がしっかりしていれば、治りますが、形が崩れそうな人は難治性と言う事です。〕
訳文:数なる者も又死す。謂ゆる其の形、損するが故なり。
解説:〔脉状が虚して速い時も治療は難しく慎重な治療が求められます。〕
〔脉状の形がしっかりしていれば、治りますが、形が崩れそうな人は難治性と言う事です。〕
・
原文:此嚴氏之説、故再述干此。
訳文:此れ厳氏の説、故に再び此れに述す。
解説:〔以上が喘急の病態の捉え方と治療方針であり、厳用和(げんようわ) という漢方医の教えである。〕
訳文:此れ厳氏の説、故に再び此れに述す。
解説:〔以上が喘急の病態の捉え方と治療方針であり、厳用和(げんようわ) という漢方医の教えである。〕
【井上恵理先生の講義解説より】(治療の法)p108-
脉滑にして手足温なる者は生く。「滑」津液がまだ滅びていない証拠です。
「手足温」陽気損じてない、だから生きる。
「濇」津液が乾き切っている。
「四肢寒ゆる」陽気を損なわれている。だから死ぬ。
「数」実数は心配ないが虚数がよくない。死脉です。その形を損する為である。
喘息があれば、そういう物であるので、病症に従って治療する。
手足温かいとか、冷たいとかは厳氏の説で再びここで言って置く。
「手足温」陽気損じてない、だから生きる。
「濇」津液が乾き切っている。
「四肢寒ゆる」陽気を損なわれている。だから死ぬ。
「数」実数は心配ないが虚数がよくない。死脉です。その形を損する為である。
喘息があれば、そういう物であるので、病症に従って治療する。
手足温かいとか、冷たいとかは厳氏の説で再びここで言って置く。
・
—————————————
【井上恵理先生の講義解説より】(〈質問〉p108下段-
〈問〉喘急は、痰気の進行した物ですか。
〈答〉そうでなく別の物です。
喘急に痰が絡むことがある。だから痰の方にも喘が出てくる。
病気を分けるのは妥当ではないが、
この本は薬方で、薬の方では分けなければいけないのです。
喘急に痰が絡むことがある。だから痰の方にも喘が出てくる。
病気を分けるのは妥当ではないが、
この本は薬方で、薬の方では分けなければいけないのです。
・
〈問〉喘急は、どの証が多いのですか。
〈答〉
これは、この後母質問書を読んで解かるのですが、大変間違って、私の講義を受けています。
これは、この後母質問書を読んで解かるのですが、大変間違って、私の講義を受けています。
私が解かり易いと思って臨床の例を出すと、それだけとらえ結びつけようとする。
初めから言うように大成論は大成論の研究で、病症に参考になるからやるので、そのまま今の時代には合わないのです。
間違って提えるとどうにもならない。
喘急とは喘息も含めた、いろんなぜれつきを言うのです。
喘息だけが喘急ではない。
ぜれつきも沢山あるが我々が気が付かないだけです。
例えば、
精神感動し喉が渇くとぜれつき、風邪を引いた後、婦人の産前産後も喘急の症状があるのです。
初めから言うように大成論は大成論の研究で、病症に参考になるからやるので、そのまま今の時代には合わないのです。
間違って提えるとどうにもならない。
喘急とは喘息も含めた、いろんなぜれつきを言うのです。
喘息だけが喘急ではない。
ぜれつきも沢山あるが我々が気が付かないだけです。
例えば、
精神感動し喉が渇くとぜれつき、風邪を引いた後、婦人の産前産後も喘急の症状があるのです。
以上
——————————————
南北病証論第十四「喘急(ぜんきゅう)」を終わる。
・
2016.6.13..HP掲載。。。
・