胸痛症
鍼灸治療例 小項目 番号 ti020
心旺実証例 e3041
ゆっくり堂鍼灸院の治療例です。
※ 短編小説「治療日記」風に書いています。
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題名、
胸の痛み
M様が、黒塗りのベンツSクラスの新車で3ケ月ぶりのご来院です。
病状は極度の胸痛症でした。
患者M様に診療ベットに仰向けに寝てもらい。
院長の山ちゃん先生は、
「一番痛い所を触ってみてください」とお願いしました。
みぞおちの所に本人の右人差し指が軽く触れた時、
ギャーッと悲鳴を上げ痛みを強く訴えられました。
山ちゃん先生は考えます。
『これは心のバランスが崩れた為の痛みである』と。
M様は体調管理の為に当院に3年来、定期的な来院をされています。
退職した会社に依頼されて、「社歴100年の社史編纂」中とのこと、
元来几帳面な方で、あいまいさを嫌われます。
痛みには2種類の分類があります。
①外因性の痛み。
打撲などの外からの外力や農作業など力仕事で出る痛み、
これを「実邪痛」と言います。
②内因性(精神的)な痛み。
内因(精神)のバランスが崩れた為に出る痛み、
これを「旺気実痛」と言います。
M様の場合は、腎経と心経のバランスが崩れた為に痛みが出ています。
社史編纂室総合顧問を引き受けての連日業務と、
部下の取集録も全て点検する。
また、パソコン入力業務も自分でしている。
3ケ月前ほどから、疲れ易い。足が冷える。
眠りが浅く多夢あり、寝不足。夜間尿2~3回あり、
などの腎経をすり減らす「虚」の心労と症状がありました。
これは、腎経が「虚」の症状になって、
心経の「胸の痛み」になつたと診断できます。
よって、内因(心)のバランス整える鍼灸治療を施す事になります。
診断名は「心旺実証」です。
この様な場合に使用する鍼は「テイ鍼」と言うもの使用します。
「テイ鍼」は爪楊枝の2倍ぐらいの長さの物で、金で出来ています。
皮膚のツボに当てるだけで、皮膚の中に鍼が刺さる事はありません。
「難経」第七十五難の現代的な解釈理論から、
治療ほ施すツボは、
本治法として、左足の厥陰肝経の「曲泉穴」です。
手技は「曲泉穴」に左手の人差し指と親指をそっと当て、
右手の人差し指と親指に「テイ鍼」尾部をそっと挟み、
垂直に曲泉穴の左手の人差し指と親指の間にそっと頭部を下ろしていきます。
しばらくすると曲泉穴と「テイ鍼」の頭部に「心地よい温かみのある感じを覚えます。」
これは曲泉穴が補法され、気が充実してきたものです。
患者さんの苦悶の顔も和らいで、呼吸も楽になったころあいに、
「テイ鍼」をそっと引き抜き1本目の治療は終了です。
そして、脉を診ますと、堅く引きつり荒々しく凸凹にうねっていた脉状が、
緩(おだ)やかな艶とのびのある脉状に変化していました。
1本目の治療後、患者のM様に様子をお聞きしましたら、
みぞおちの痛みは半分は無くなった。
胸部全体の締め付けられるように痛も改善して、
呼吸が楽になったとの感想を頂きました。
本治法は、「曲泉穴」1本で終了します。
次に、標治法は軽く行なう事にします。
症状が激しい場合は沢山のツボを治療すると、
患者さんの身体にかえって負担をかけますから。
標治法の手技は、
患者さんを側臥位(横向きに寝てもらい)
初めに、
任脈(おへその下辺りから下唇の辺りのライン)の
曲骨穴から、承漿穴まで、
「金のテイ鍼」を皮膚と平行におき、
かつ、皮膚から1センチ離して、任脈ライン上をゆっくりと進めます。
経絡鍼灸の理論では、任脈という経絡の流れは気を司っています。
そして最後に、
督脈(尾骨下端辺りから頭の頂上を超えて鼻根を過ぎ上唇の辺りのライン)の
長強穴から齦交穴までを、
先ほどと同く「金のテイ鍼」で施術を行いました。
今回はこれで治療は終了です。
M様のお顔がいつもの理性的な笑顔に戻りました。
おわり。
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※ 鍼灸師及び医療専門家の皆様に同一のものを経絡鍼灸の弁証法で掲載しています。
こちらのリンクからご覧ください。
主訴「胸痛症の改善」「難経」第七十五難型・診断と治療の改善例(症例発表)。
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ゆっくり堂鍼灸院の病気の改善例(20)