九、前頸部の鍼灸治療

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九、前頸部の鍼灸治療

このコーナーでは臨床に直接役立つ経絡鍼灸の証決定・本治法・標治法の方法を述べます。

参考文献は、小里勝之(こさとかつゆき)先生の臨床発表「論考:身体各部の病症と経絡鍼灸治療」を
ベースにして、 ここに、『鍼灸重宝記』と、HPゆっくり堂の経絡鍼灸教科書を加えて構成します。
また、適宜、東洋はり医学会の臨床経験文を参考に考察を行います。


鍼灸師の先生方のご意見・間違いの指摘・などを、当院へお送りくだされば幸いです。

前頸部の範囲: 下顎部の下から鎖骨までで側頸部の前を言う。
前頸部の経絡: 胃経、大腸経、任脉がめぐり、内裏を腎経、脾経、心経が通過している。
前頸部の病症: 喉痺、咳嗽、かすれ声、甲状腺腫、嚥下異状。

病の種類・・ 症状・流注 弁証特徴・手技  臨床経験では、
 A:

喉痺

扁桃腺炎。
胃経、大腸経、がめぐり、
深部を腎経が関与する。
腎虚か肺虚で陽経に邪実か虚性の邪がある。 肺虚肝実証。
或いは肺肝相剋。
又は脾腎相剋。
 B:

咳嗽

咳や咽頭粘膜の炎症によって生ずる咳は、肺虚か腎虚で陽経には虚性の邪がある。
喉や喉頭部の前面を軽く左右になでさする時に腫れや上下に糸状のキョロを認める場合には、
標治法として、これに1ミリ程度の浅い散鍼を施す。
なお、扁桃腺部の触診は上下左右に軽く行う時は容易に触知できる。
 C:

かすれ声

風邪を引いて声がかすれた場合、又は大きな声を出しすぎて声がかすれた場合、
廉泉穴(れんせん:任脉:喉頭隆起上際で舌骨との間に取る.)と
その周辺を軽く上下左右に触察すると腫脹、キョロを認める。
標治法として、これに1ミリ程度の浅い散鍼を施す。
声は肺金の主る所であるが、
臨床経験では、脾腎の虚が多く、
もちろん陽経に虚性の邪を認めた時は
これを処理しなければならない。
 D:

甲状腺腫

喉頭隆起を挟んでUの字に腫脹するものである。   主証は脾腎の虚が最も多く、
肺虚肝実証又は肝虚の場合もある。
E:

嚥下異状

咽中炙臠
(いんちゅうしゃれん)

 食べた物を飲み込むと、
喉の穴が細くなったように感じ、
腫れ物でもある様である。
  脾虚肝虚か脾腎相剋証で良く治る。
標治法は、
人迎穴、水穴の補法と
後頭部のこりを良く取ると改善する。

 

鍼灸師の皆様へ、ご意見を当院へお送りくだされば幸いです。

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