銀鍼 e401

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 銀鍼

  小項目番号 e401

参考例1、

銀8分・2番鍼 補法の手技

〔東洋はり医学会臨床講義、柳下登志夫先生「経絡治療学原論下巻」臨床考察(十七)東洋はり医学会機関誌「経絡鍼療」第529号掲載文を参考に山口一誠の考察文にて構成しました。〕

鍼灸師の施術は直達的に患者の穴(ツボ)に伝わります。

刺手は軽く鍼を持ち、鍼尖を穴所に当て抵抗をみながらソーッと刺入する。

刺手の指先に鍼尖の動きを感じながら、鍼尖を動かして気を集めるという方法が適しています。

また、鍼を刺しとどめておいて気の至るのを待つ方法もあります。

参考例2、

銀寸三・一番鍼 補法の手技

鍼が目的の深さまで行ったならば、押手で左右圧をある程度かけて、

刺手で竜頭に軽く触れて、これを軽く動かすというようなことで気を集める方法が適しています。

また、鍼尖をソーッと動かすようにして気の至らせる方法もあります。
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参考例3、

銀9×8-2番鍼の使用例

実施日:平成26年(2014年)度6月1日(第1日曜日)

実技: ② 五十肩の治療。 (中田光亮先生の実演)より。

患者女性50代 ・ 主訴 : 右五十肩 (半年前より、痛みは無い。)
可動域角度 :肩関節前方挙上角度110度・
:肩甲帯伸展マイナス10度(屈曲10度)でロックされている。(床に肩が着かない)
切経:足全体枯肌、右腕冷え枯肌、顎が右に下がりぎみ右瞼も閉じぎみ色白く枯肌。

※「基本刺鍼」の実技が一通り終わったので、中田光亮先生に了解をえて、小里をやる事になり、上記の患者役がベットに仰臥位(ぎょうがい)しました。

証決定が5人全員割れましたので、中田光亮先生に証決定の判断を仰ぎ、

その後治療実演をして頂きました。

※ 中田光亮先生の解説と実演。  (ここからは山口が見学しての文章です。)

①「この患者の場合は標治法を先に行い、その後改めて険脉して証を立て本治法を行う。」
①の1、「本治法は必ず行う事、標治法だけでは病状がその時は改善しても再発する。
本治法こそが病気を根本から治す自然治癒力を患者自身の身体の中に生み出すからである。」
②「この患者は、長期に 右五十肩の改善がなされず肩関節の柔軟性がなく、
肩が固まった状態である。」
②の1、切経すると背部右ナソ部の手の少陽三焦経 、肩髎から天髎のライン上に、
2か所に小指大の硬結圧痛部位ある。
②の2、「この場合、に硬結圧痛が存在するので、これを浅補深瀉の手法で、
硬結を直接、緩めなければならない。」との解説を頂き。

③患者を側臥位(そくがい)にして標治法に入る。
④初めの手技は、この背部の右ナソ硬結圧痛部に向けて、前方右ナソ缺盆辺りの少し上方の虚の部2か所から、硬結圧痛を少し改善する目的の補法の刺鍼を施す。
⑤なお、使用した用鍼は、銀9×8-2番鍼。
⑥「この様な五十肩の場合は、ステンレス鍼で遣ると、
硬結部位がさらに奥に出来て改善が遠のく、」との解説がありました。

⑦ 次に、背部の、肩髎から天髎のライン上の2か所にある小指大の硬結圧痛部位に対して、
浅補深瀉の手法で施術されました。
⑦の1、押手を構え、鍼尖を痛みなくゆっくりと穴に接触。
⑦の2、刺手の手法は、示指を下にして母指を上に位置して、鍼柄を柔らかく挟み。
⑦の3、挟んだ鍼柄を示指と母指を鍼尖の方向にむけて、2ミリ幅ぐらいに鍼柄を撫でる。
(あるいは、示指は動かさず、母指のみを鍼尖の方向にむけて、鍼柄を撫でる手法。)
※ この「鍼柄を撫でる」手技は鍼尖の部位に催気を促す事なのだと思います。
私も臨床で見よう見まねで遣っています。
「鍼柄を撫でる」手技を3~5回やっていると、催気を感じます。 鍼柄を押すと鍼尖が刺入し進んで行きます。
⑦の4、「⑦の3」動作を優し繰り返すと、鍼尖が穴所に刺入してゆく。
⑦の5、浅補部にて、充分に補法を行い。さらに鍼尖が進むと目的の硬結部位に到達する。
⑦の6、硬結部位に到達したらこの硬結を緩める手技として、鍼の抜き差し旋回を施す。
⑦の7、硬結部位の緩めが完了したら、
⑦の8、深瀉部はゆっくりと鍼を引き上げ、
⑦の9、浅補部からは、押手の左右圧をスーッ加え、すばやく抜鍼と同時に、
鍼口を閉じる補法を行う。

⑧患者の感想、「中田光亮先生の浅補深瀉の手法は、まったく鍼の痛みを感じず、心地よく、
幹部に温かみが出て、術後の部位は硬結圧痛がなくなっている。」との感想でした。

⑨さらに側臥位(そくがい)を前方に傾け、肩甲骨上角下縁、
附分・魄戸穴辺りの硬結圧痛部位に対しての浅補深瀉の手法を施す。
⑩ ここは僧帽筋の走行に平行して肩甲骨の下に刺入⑦の浅補深瀉の手法を施される。
⑪少陽三焦経 、消濼 から臑会のライン上に1か所と手三里穴の硬結圧痛部位に対しては、
筋の走行に平行して鍼の角度30度にて、⑦の浅補深瀉の手法を施される。

⑫標治法の終わりに、肩関節全体の筋肉を緩め鍼の効果を高める後揉法を施された。
手法は、右手母指を缺盆辺りにおき、肩井後方に示指と3、4,5、をそろえ肩をはさみ、左手で三角筋を保持し左手で肩関節を左右の旋回後揉、後肩関節を上下に後揉して標治法終了。

⑬この段階までで、何回か肩関節前方挙上の可動域角度を点検、
最終的には、患者の病状は、次のように改善された。
可動域角度:肩関節前方挙上角度180度・肩肩甲帯伸展20度で正常になる。
切経:足が艶のある肌になる。右腕に温かみが出て艶肌。顔シンメトリー改善、生色になる。
右瞼も開いて、物が見やすくなったとの感想。

⑭ここで再度険脉すると、脉状柔らかく、伸びあり。
⑮比較脉診にて、左腎虚証。 用穴:左腹溜穴。
⑯ 本治法の手技 。
⑯の1、用鍼:金の小里鍉鍼。
⑯の2、手技:左腹溜穴の鍉鍼をあて、 (鍉鍼が皮膚に触れているか否かは不明)
⑯の3、右手押手のみで鍉鍼を保持、
⑯の4、刺鍼姿勢は太極拳の馬歩(マーブー)様の姿勢で左腹溜穴に対して正中面。
⑯の5、左手の5指を広げる。
⑯の6、鍉鍼の尾部と左手の距離は10センチ位は離れている。
⑯の7、臍下丹田に気を保持集中させて、左手労宮穴から鍉鍼、腹溜穴に対置。
⑯の8、腹溜穴と鍉鍼全体が白い気の玉に包まれる。(金色の鍉鍼が白く見えた。)
⑯の9、瞬時、ハッと気合いを入れ、左手が僅かに(2センチぐらい)前に出る。
⑯の10、白い気の玉が腹溜穴に入る?消えた。 (鍉鍼の色が金色にもどる。)
⑯の11、瞬時、押手の左右圧をスーッ加え、すばやく抜鍼と同時に、鍼口を閉じる補法を行う。
⑯の12、本治法終了。

以上、

「五十肩の治療」 (中田光亮先生の実演)を見学しての創造的解説を終わります。

文章責任は山口一誠です。

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