速手刺しの脉状とその手技 e208

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   速手刺しの脉状とその手技

                小項目 番号 e208

速手刺しの脉状の特徴は、「数脉」である。

※ 数脉とは、速い脈で一呼吸に5拍以上の拍動です。

速手刺しの対象者は、

有熱患者、38.5度以上の者。

あるいは、精神不安定による気血の変調に伴う者の、数脉に対する手法である。

用鍼 (使用する鍼)は、銀の1番~2番鍼。

本治法の対象穴

定則穴か、火穴、が用いられる。

触覚所見によっては、ゲキ穴、原穴等を代用する。

本治法の実技の手順

速手刺しの手技

(1)経絡の流れに随って取穴し、押手を構える。

(2)刺手は竜頭を軽く持ち経の流れに随って、速やかに接触、 ないし1~2ミリ刺入し、

(3)患者に息を吸うように命じ、吸いきったところで左右圧を締め、 抜鍼と同時に鍼口を閉じる。

(古典に曰く諸熱を刺すは手に湯を探るが如しの速刺速抜を心がける)

 

本治法の効果は、治療宜しければ、数脉が遅脉になる。


(脉状診:六祖脉の表)gb41

分類
意味
 脉の名称

鍼の刺入方法

手法

浮沈

脉の深さ

 浮脉 皮膚表面上に脉を感じます  鍼は浅く刺します
 沈脉   指を沈めて深い所に脉を感じます  鍼はやや深めに刺します

遅数

脉の速さ

 遅脉   ゆっくりとした脉で、一呼吸に3拍以下の拍動です 冷え(寒)を表します   鍼は留めてゆっくりと行います
数脉   速い脈で一呼吸に5拍以上の拍動です  熱症状を表します  素早く刺鍼します
虚実脉の
強弱
 虚脉  弱い脈、指を沈めるとつぶれて消える様な脉、生気の無い脉  用鍼は細い鍼を使用します  補法の手技で施術します
 実脉  硬い脉、強い脉、指を突き上げる様な脉  瀉法の手技で施術します

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・ - 参考図書 ・ -

柳下登志夫先生の臨床考察「速手刺しのポイント 」

「経絡治療学原論上巻臨床考察‐基礎・診断編」よりの抜粋。

【 】は山口一誠の考察文です。

詳しくは、

経絡治療学原論(上巻)臨床考察 ―基礎・診断編― をお読みください。

発刊:東洋はり医学会:
発刊書籍の販売リンクはこちらをご覧ください。
http://www.toyohari.net/book.html

「 速手刺し 」のポイント

柳下臨床考察: 50 脉状診 頁:177・平成18年3月 収録より

【術式:促脉に対しての術式は速手刺しである。― 陽的術式の難しさを自覚せよ。】

この促脉に対しての術式は、鍼尖を穴所に接触させ、気を伺い、間を置かず、直ちに左右圧を掛けて鍼を引く。
これが即ち速手刺しである。

このように文字に書くと簡単に聞こえるが、少し修練を要する。
思うように気がと調わない場合があるからだ。

それは穴所に鍼尖が触れた時、

術者が気を察知する事ができず、ただ鍼を押す事のみに心を奪われて、何の目的で鍼を進めているかを忘れがちになるからである

陽的術式の難しさである。

(注)陰性は不動にして止まり、陽性は遊動にして止まらず。


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