実技の練習方法 : 痛くない鍼を刺す為の訓練について. e103

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実技の練習方法:

 

痛くない鍼を刺す為の訓練について。

                             項目 番号 e103

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1、風船に鍼を刺し通す。

風船を割らないで鍼を刺すことが出来れば、

患者の皮膚に鍼の刺入時の痛みを感じさせることない。

 

2、なぜ、風船に鍼を刺し通す事が出来るのか?

それは、左手の押手が正しく操作されるからである。

刺入箇所の皮膚と押手(示指と母指)が空気を触れさせない状態になっている事。

手技の全体の流れは「参考1、補法の手順」を参照のこと。

 

3、風船に鍼を刺し通す事が出来る様になる、押手(示指と母指)の訓練法。

自分の産毛を示指と母指に1本挟みこれを前方45度の角度に軽く引き上がると、

その部の皮膚の感覚が示指と母指それぞれに認識できる。

この状態が、皮膚を凹ませない程度の密着状態になり、示指と母指の左右圧も均等になっている。

 

4、自分のお腹に鍼を刺す。

1、2、3が出来る様になったら、自分のお腹に鍼を刺してください。

痛くなく、心地よく刺せるのが普通の鍼灸師です。

5、実例、 五十肩の治療。

小指大の硬結圧痛部位(背部 、肩髎から天髎のライン上)

患者を側臥位(そくがい)にして標治法に入る。

使用した用鍼は、銀9×8-2番鍼。

押手を構え、鍼尖を痛みなくゆっくりと穴に接触。
刺手の手法は、示指を下にして母指を上に位置して、鍼柄を柔らかく挟み。
挟んだ鍼柄を示指と母指を鍼尖の方向にむけて、2ミリ幅ぐらいに鍼柄を撫でる。
「鍼柄を撫でる」手技を3~5回やっていると、催気を感じます。
鍼柄を押すと鍼尖が刺入し進んで行きます。
浅補部にて、充分に補法を行い。さらに鍼尖が進むと目的の硬結部位に到達する。
硬結部位に到達したらこの硬結を緩める手技として、鍼の抜き差し旋回を施す。
硬結部位の緩めが完了したら、
深瀉部はゆっくりと鍼を引き上げ、
浅補部からは、押手の左右圧をスーッ加え、すばやく抜鍼と同時に、鍼口を閉じる補法を行う。

患者の感想、

浅補深瀉の手法は、まったく鍼の痛みを感じず、心地よく、
幹部に温かみが出て、術後の部位は硬結圧痛がなくなっている。
との感想でした。

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参考1、補法の手技の手順。

① 上半身の力を抜いて、心おだやかに手技をおこなう。
② 経に従い取穴。
③ 押手を軽く構え、穴所を凹ませない程度に密着させる。
④ 刺手は、鍼柄を指腹で柔らかく持ち、鍼全体を感じ鍼柄と鍼体の境目に意識を集中させる。
⑤ 押手と穴所によって鍼尖に空気を触れさせない様にしながら、鍼体がたわまないよう、
鍼尖を柔らかく穴所に接触させる。
⑥ 軽く押すと同時に押手は鍼先の方向を確かなものにする程度の左右圧をかける。
⑦ 鍼尖が自然に吸い込まれるまで待ち、患者の脉拍に合わせて、2拍押し力を抜き1拍置く、
これを繰り返し目的の深さ、2~4ミリ程度刺入する。
⑧ 催気の感覚を良くするためには、刺手の指先感覚が鍼先にある気持ちで手技をおこなうと、
穴所の気の動きが感覚できる。
患者の呼吸に応じて吸気で穴がしまり、吐気で穴がゆるむ。フワフワと鍼響が伝わる。
⑨ 催気をえたならば、押手の左右圧をスーッ加え、すばやく抜鍼と同時に、
鍼口を閉じる補法を行う。

 

本治法において、1本目の刺鍼が全てを決める。そして、正しい取穴が8割を占める。

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