二三難

難経トップコーナ へ

難経 第二三難

    ank023

ゆっくり堂の『難経ポイント』 第二十三難

※ 二十三難のポイント其の一は、経絡の流注の説明です。

※ 二十三難のポイント其の二は、
気血が連綿と途切れることなく一本の帯のように回っている。
そして、気血の循環の状況は、手の寸口(前腕部、橈骨動脈の一寸九分の寸間尺)を診る事で
十二経脉の状況が判断できる。また、人迎脉を診る事でも判ると。

※ 二十三難のポイント其の三は、
経脉の始終を知ることが、鍼灸師の綱紀になります。
二十三難の結論は、
人が生まれて生きている時を始めと言い、脉の気が終わる時が死であることを自覚して、
今、生きている時間を大切にして、鍼灸師の仕事をしなさいと。。

 

※ 難経二十三難の臨床&エトセトラ

〔井上恵理先生の難経二十三難の解説その1〕

1、「経絡」と言う名称の所以について。

「経絡」と言う言葉は、古典の中にはどこにもありません。
古典の中には、「経脉」や「絡脉」と言う言葉はあります。

「経絡」と言う言葉は、日本で確立したものです。
1939年(昭和十四年)経絡鍼灸の理論と法則が世界で始めて確立されました。
柳谷素霊先生の「古典に還れ」の掛け声から、経絡鍼灸治療の体系が構築されました。
この時から、「経脉」と「絡脉」の総称として「経絡」と言う言葉を創り、
経絡鍼灸の理論確立が成されたのです。


参考HPリンク、
http://yukkurido.jp/keiro/hgm/
http://yukkurido.jp/keiro/hgm/ten/
http://yukkurido.jp/shinkyu/kihon/

〔井上恵理先生の難経二十三難の解説その2〕経絡鍼療(437号p25)

難経二十三難の経脉の循環から経絡鍼灸の診察・診断の原則を明らかにする。

原則1:経脉循環の虚実が身体に生理的影響を及ぼしている。
例えば、頭痛と言う病的症状が起きている時には必ずどこに経絡変動があると考える。
原則2:経絡鍼灸の治療法は、経脉の変動そのものを調和させる事で治癒に導ける。
原則3:経絡の変動こそが本当の治療の対象である。

--------------------------

 難経 第二十三難 原文

(『難経』原本は底本:『難経』江戸・多紀元胤著、『黄帝八十一難経疏証』(国立国会図書館所蔵139函65号)オリエント出版、難経古注集成5(1982年)に影印)を参考にしています。

二十三難曰.
手足三陰三陽.脉之度數.可暁以不.
然.
手三陽之脉.從手至頭.長五尺.五六合三丈.
手三陰之脉.從手至胸中.長三尺五寸.三六一丈八尺.五六三尺.合二丈一尺.
足三陽之脉.從足至頭.長八尺.六八四丈八尺.
足三陰之脉.從足至胸.長六尺五寸.六六三丈六尺.五六三尺.合三丈九尺.
人兩足蹻脉.從足至目.長七尺五寸.二七一丈四尺.二五一尺.合一丈五尺.
督脉.任脉.各長四尺五寸.二四八尺.二五一尺.合九尺.
凡脉長一十六丈二尺.此所謂十二經脉長短之數也.
經脉十二.絡脉十五.何始何窮也.
然.
經脉者.行血氣通陰陽.以榮於身者也.
其始從中焦.注手太陰陽明.
陽明注足陽明太陰.
太陰注手少陰太陽.
太陽注足太陽少陰.
少陰注手心主少陽.
少陽注足少陽厥陰.
厥陰復還注手太陰.
別絡十五.皆因其原.如環無端.轉相漑灌.朝於寸口人迎.以處百病.而決死生也.
經曰.
明知終始.陰陽定矣.何謂也.
然.
終始者.脉之紀也.
寸口人迎.陰陽之氣.通於朝使.如環無端.故曰始也.
終者.三陰三陽之脉絶.絶則死.死各有形.故曰終也.

--------------------------

 二十三難の訓読

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(437号)と本間祥白先生の解説、福島弘道先生の解説を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

二十三の難に曰く。
手足の三陰三陽、脉の度数、暁(さと)すべきことを以ってせんやいなや。
然るなり。
手の三陽の脉は、手より頭に至って、長きこと五尺、五六(ごろく)合して三丈。
手の三陰の脉は、手より胸中に至って、長きこと三尺五寸、三六(さぶろく)一丈八尺、五六三尺、合して二丈一尺。
足の三陽の脉は、足より頭に至って、長きこと八尺、六八(もくはち)四丈八尺。
足の三陰の脉は、足より胸に至って、長きこと六尺五寸、六六(ろくろく)三丈六尺、
五六(ごろく)三尺、合して三丈九尺。
人、両足の蹻脉は、足より目に至って、長きこと七尺五寸、.二七(にしち)一丈四尺、
二五(にご)一尺、合して一丈五尺。
督脉・任脉は、各々四尺五寸、二四(にし)八尺、二五(にご)一尺、合して九尺。
凡(およ)そ脉の長さ一十六丈二尺、此(こ)れ所謂(いわゆ)る十二経脉長短の数なり。
経脉十二、絡脉十五、何(いづ)くに始り何くに窮(つく)るや。
然るなり。
経脉は、血気を行(めぐ)らし、陰陽を通じ、以って身を榮(えい)するものなり。
其れ中焦より始まり、手の太陰、陽明に注(そそ)ぎ、
陽明より足の陽明、太陰に注ぎ、
太陰より手の少陰、太陽に注ぎ、
太陽より足の太陽、少陰に注ぎ、
少陰より手の心主少陽に注ぎ、
少陽より足の少陽、厥陰に注ぎ、
厥陰復(ま)た還って手の太陰に注ぐ。
別絡十五、皆な其の原(はじめ)に因って、環の端し無きが如し。
轉(うた)た相(あい)漑灌して、寸口人迎に朝す、以って百病を処し、而して死生を決するなり。
經に曰う。
明に終始を知って、陰陽定るとは、何の謂いぞや。
然るなり。
終始は、脉の紀なり。
寸口人迎は、陰陽の氣、朝使に通じて、環の端し無きが如し、故に始(はじめ)と曰うなり。
終(おわり)は、三陰三陽の脉絶するなり、
絶する時は死す、死するに各々形有り、故に終と曰うなり。


詳しくは各先生の文献を参照されたし。
--------------------------

 二十三難の解説

(井上恵理先生の解説:経絡鍼療(437号)と本間祥白先生の解釈、福島弘道先生の解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)

二十三難の解説をします。

手足の三陰三陽、十二経脉の長さの数を明らかにすることが必要であるが、
これについて理解できる様に説明しなさい。

お答えします。

手の三陽の経脉は、②手の陽明大腸経・⑥手の太陽小腸経・⑩手の少陽三焦経から構成され、
すべて手の指先から始り頭部に至る長さは皆五尺あり、左右を合計して五尺の六倍で三丈となる。

手の三陰の経脉は、①手の太陰肺経・⑤手の少陰心経・⑨手の厥陰心包経から構成され、
すべて胸中から始り手の指先に至る長さは三尺五寸あり、その六倍で二丈一尺となる。

足の三陽の脉は、③足の陽明胃経・⑦足の太陽膀胱経・⑪足の少陽胆経から構成され、
すべて頭から始り足の指先に至る長さは八尺あり、その六倍で四丈八尺となる。

足の三陰の脉は、④足の太陰脾経・⑧足の少陰腎経・⑫足の厥陰肝経から構成され、
すべて足の指先から始り胸に至る長さは六尺五寸あり、その六倍で三丈九尺となる。

人には、奇経八脉中に陰蹻脉・陽蹻脉の二脉があって、足の跟骨(かかとのほね)の内側と外側から上行して目に至る脉であり、長さ七尺五寸ある。
男は陽蹻脉だけを数え、女は陰蹻脉だけを数え、左右二倍で一丈五尺となる。

督脉と任脉は、各々四尺五寸、その二倍で九尺となる。

以上の十二経脉と蹻脉と督脉・任脉の十五脉の合計の長さが一十六丈二尺となる。

経脉十二は手足の三陰三陽、この十二経に各絡があって、その他に陰蹻脉・陽蹻脉の絡と脾の大絡が三つ加わり絡脉は十五となる。
それでは、十二の経・十五絡の始まりと終わりはどこなのか分かりやすく説明しなさい。

お答えします。

経脉は、脉中に血を循らし、脉外に気を循らし、全身陰陽を通行し、
以って全身を栄養するものである。

経絡の流注の説明です。
経脉は中焦から始まる。中焦は人が食物を摂取して、まず胃に於いて消化吸収がなされる。
そこから、
①手の太陰肺経、②手の陽明大腸経
③足の陽明胃経、④足の太陰脾経
⑤手の少陰心経、⑥手の太陽小腸経
⑦足の太陽膀胱経、⑧足の少陰腎経
⑨手の厥陰心包経、⑩手の少陽三焦経
⑪足の少陽胆経、⑫足の厥陰肝経に巡り
再び①手の太陰肺経に入ると。

「別絡」とは絡脉で十五絡を指している。
十五絡は本経(十二経脉)の一貫した連絡の交通支である故に経から見れば原即ち源をなしている。
その源がある故に十二経脉は環の端し無きが如くに連結して、気血の循環が途切れることなく巡っているのである。

気血が連綿と途切れることなく一本の帯のように回っている。
そして、気血の循環の状況は、手の寸口(前腕部、橈骨動脈の一寸九分の寸間尺)を診る事で
十二経脉の状況が判断できる。また、人迎脉を診る事でも判ると。
寸口人迎の脉診によって、あらゆる病気に対処でき、その虚実生死吉凶を診断できる。

黄帝内経・霊枢の終始篇を参考に考察すると。

経脉の始終を知って陰陽が定まると言われるが、これについて判り易く説明しなさい。

お答えします。

経脉の始終を知ることが、鍼灸師の綱紀になります。

寸口人迎は、十二経絡の陰陽氣の変動を診察する所であり、
それが正常なら気血が連綿と途切れることなく一本の帯のように回っている。
だから、人が生まれて生きている時を始めと言うのである。

終るとは、三陰三陽の脉絶するなり、
脉絶する時は即ち人生の終わり死ぬときである。
そして、その死の形態には種々あるが、それは事項に縷々展開する。
二十三難の結論は、
人が生まれて生きている時を始めと言い、脉の気が終わる時が死であることを自覚して、
今、生きている時間を大切にして、鍼灸師の仕事をしなさい。。


詳しくは各先生の文献を参照されたし。
--------------------------

二十三難の詳細解説

(井上恵理先生の訓読・解説:経絡鍼療(437号)と本間祥白先生の訓読・解釈、福島弘道先生の訓読・解釈を参考にして、山口一誠の考察文にて構成しました。)詳しくは各先生の文献を参照されたし。

山口一誠の考察により原文・訓読・解説(解説補足)の順に文章を構成します。

〔原文〕二十三難曰.
〔訓読〕二十三の難に曰く。
〔解説〕二十三難の解説をします。

〔原文〕手足三陰三陽.脉之度數.可暁以不.
〔訓読〕手足の三陰三陽、脉の度数、暁(さと)すべきことを以ってせんやいなや。
〔解説〕手足の三陰三陽、十二経脉の長さの数を明らかにすることが必要であるが、
これについて理解できる様に説明しなさい。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕
手三陽之脉.從手至頭.長五尺.五六合三丈.
〔訓読〕
手の三陽の脉は、手より頭に至って、長きこと五尺、五六(ごろく)合して三丈。
〔解説〕
手の三陽の経脉は、②手の陽明大腸経・⑥手の太陽小腸経・⑩手の少陽三焦経から構成され、
すべて手の指先から始り頭部に至る長さは皆五尺あり、左右を合計して五尺の六倍で三丈となる。

〔原文〕
手三陰之脉.從手至胸中.長三尺五寸.三六一丈八尺.五六三尺.合二丈一尺.
〔訓読〕
手の三陰の脉は、手より胸中に至って、長きこと三尺五寸、三六(さぶろく)一丈八尺、五六三尺、合して二丈一尺。
〔解説〕
手の三陰の経脉は、①手の太陰肺経・⑤手の少陰心経・⑨手の厥陰心包経から構成され、
すべて胸中から始り手の指先に至る長さは三尺五寸あり、その六倍で二丈一尺となる。

〔原文〕
足三陽之脉.從足至頭.長八尺.六八四丈八尺.
〔訓読〕
足の三陽の脉は、足より頭に至って、長きこと八尺、六八(もくはち)四丈八尺。
〔解説〕
足の三陽の脉は、③足の陽明胃経・⑦足の太陽膀胱経・⑪足の少陽胆経から構成され、
すべて頭から始り足の指先に至る長さは八尺あり、その六倍で四丈八尺となる。

〔原文〕
足三陰之脉.從足至胸.長六尺五寸.六六三丈六尺.五六三尺.合三丈九尺.
〔訓読〕
足の三陰の脉は、足より胸に至って、長きこと六尺五寸、六六(ろくろく)三丈六尺、
五六(ごろく)三尺、合して三丈九尺。
〔解説〕
足の三陰の脉は、④足の太陰脾経・⑧足の少陰腎経・⑫足の厥陰肝経から構成され、
すべて足の指先から始り胸に至る長さは六尺五寸あり、その六倍で三丈九尺となる。

〔原文〕
人兩足蹻脉.從足至目.長七尺五寸.二七一丈四尺.二五一尺.合一丈五尺.
〔訓読〕
人、両足の蹻脉は、足より目に至って、長きこと七尺五寸、.二七(にしち)一丈四尺、
二五(にご)一尺、合して一丈五尺。
〔解説〕
人には、奇経八脉中に陰蹻脉・陽蹻脉の二脉があって、足の跟骨(かかとのほね)の内側と外側から上行して目に至る脉であり、長さ七尺五寸ある。
男は陽蹻脉だけを数え、女は陰蹻脉だけを数え、左右二倍で一丈五尺となる。

〔原文〕督脉.任脉.各長四尺五寸.二四八尺.二五一尺.合九尺.
〔訓読〕督脉・任脉は、各々四尺五寸、二四(にし)八尺、二五(にご)一尺、合して九尺。
〔解説〕督脉と任脉は、各々四尺五寸、その二倍で九尺となる。

〔原文〕凡脉長一十六丈二尺.此所謂十二經脉長短之數也.
〔訓読〕凡(およ)そ脉の長さ一十六丈二尺、此(こ)れ所謂(いわゆ)る十二経脉長短の数なり。
〔解説〕以上の十二経脉と蹻脉と督脉・任脉の十五脉の合計の長さが一十六丈二尺となる。

〔原文〕經脉十二.絡脉十五.何始何窮也.
〔訓読〕経脉十二、絡脉十五、何(いづ)くに始り何くに窮(つく)るや。
〔解説〕
経脉十二は手足の三陰三陽、この十二経に各絡があって、その他に陰蹻脉・陽蹻脉の絡と脾の大絡が三つ加わり絡脉は十五となる。
それでは、十二の経・十五絡の始まりと終わりはどこなのか分かりやすく説明しなさい。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕經脉者.行血氣通陰陽.以榮於身者也.
〔訓読〕経脉は、血気を行(めぐ)らし、陰陽を通じ、以って身を榮(えい)するものなり。
〔解説〕
経脉は、脉中に血を循らし、脉外に気を循らし、全身陰陽を通行し、
以って全身を栄養するものである。
〔原文〕
其始從中焦.注手太陰陽明.
陽明注足陽明太陰.
太陰注手少陰太陽.
太陽注足太陽少陰.
少陰注手心主少陽.
少陽注足少陽厥陰.
厥陰復還注手太陰.
〔訓読〕
其れ中焦より始まり、手の太陰、陽明に注(そそ)ぎ、
陽明より足の陽明、太陰に注ぎ、
太陰より手の少陰、太陽に注ぎ、
太陽より足の太陽、少陰に注ぎ、
少陰より手の心主少陽に注ぎ、
少陽より足の少陽、厥陰に注ぎ、
厥陰復(ま)た還って手の太陰に注ぐ。
〔解説〕
経絡の流注の説明です。
経脉は中焦から始まる。中焦は人が食物を摂取して、まず胃に於いて消化吸収がなされる。
そこから、
①手の太陰肺経、②手の陽明大腸経
③足の陽明胃経、④足の太陰脾経
⑤手の少陰心経、⑥手の太陽小腸経
⑦足の太陽膀胱経、⑧足の少陰腎経
⑨手の厥陰心包経、⑩手の少陽三焦経
⑪足の少陽胆経、⑫足の厥陰肝経に巡り
再び①手の太陰肺経に入ると。

〔原文〕別絡十五.皆因其原.如環無端.
〔訓読〕別絡十五、皆な其の原(はじめ)に因って、環の端し無きが如し。
〔解説〕
「別絡」とは絡脉で十五絡を指している。
十五絡は本経(十二経脉)の一貫した連絡の交通支である故に経から見れば原即ち源をなしている。
その源がある故に十二経脉は環の端し無きが如くに連結して、気血の循環が途切れることなく巡っているのである。

〔原文〕轉相漑灌.朝於寸口人迎.
〔訓読〕轉(うた)た相(あい)漑灌(かんがい)して、寸口人迎に朝す、
〔解説〕
気血が連綿と途切れることなく一本の帯のように回っている。
そして、気血の循環の状況は、手の寸口(前腕部、橈骨動脈の一寸九分の寸間尺)を診る事で
十二経脉の状況が判断できる。また、人迎脉を診る事でも判ると。

〔井上恵理先生の解説補足〕
「轉た相漑灌して」とは、気血が連綿と途切れることない循環した帯のように回ったもの。
一つの輪(フラフープ)を回すと考えて良い。
〔解説補足1〕
足の陽明胃経 (45穴)9 人迎穴
人迎(じんげい)
喉頭隆起の外方1寸5分、動脈拍動部に取る.
(注)頸動脈三角部、喉頭隆起の外方で頸動脈の拍動しているところにある.

〔解説補足2〕
「朝」とは、朝廷のことで国の政治を司る場所である。
文武百官がここに会集する事を「朝す」と言う。

〔原文〕以處百病.而決死生也.
〔訓読〕以って百病を処し、而して死生を決するなり。
〔解説〕寸口人迎の脉診によって、あらゆる病気に対処でき、その虚実生死吉凶を診断できる。

〔原文〕經曰.
〔訓読〕經に曰う。
〔解説〕黄帝内経・霊枢の終始篇を参考に考察すると。

〔原文〕明知終始.陰陽定矣.何謂也.
〔訓読〕明に終始を知って、陰陽定るとは、何の謂いぞや。
〔解説〕経脉の始終を知って陰陽が定まると言われるが、これについて判り易く説明しなさい。

〔原文〕然.
〔訓読〕然(しか)るなり。
〔解説〕お答えします。

〔原文〕終始者.脉之紀也.
〔訓読〕終始は、脉の紀なり。
〔解説〕経脉の始終を知ることが、鍼灸師の綱紀になります。

〔原文〕寸口人迎.陰陽之氣.通於朝使.如環無端.故曰始也.
〔訓読〕
寸口人迎は、陰陽の氣、朝使に通じて、環の端し無きが如し、故に始(はじめ)と曰うなり。
〔解説〕
寸口人迎は、十二経絡の陰陽氣の変動を診察する所であり、
それが正常なら気血が連綿と途切れることなく一本の帯のように回っている。
だから、人が生まれて生きている時を始めと言うのである。

〔原文〕終者.三陰三陽之脉絶.絶則死.死各有形.故曰終也.
〔訓読〕
終(おわり)は、三陰三陽の脉の気が断絶する事である。
絶する時は死す、死するに各々形有り、故に終と曰うなり。
〔解説〕
終るとは、三陰三陽の脉絶するなり、
脉絶する時は即ち人生の終わり死ぬときである。
そして、その死の形態には種々あるが、それは事項に縷々展開する。
二十三難の結論は、
人が生まれて生きている時を始めと言い、脉の気が終わる時が死であることを自覚して、
今、生きている時間を大切にして、鍼灸師の仕事をしなさい。。

 

難経トップコーナ へ

ヘッダー トップページ お問い合わせ サイトマップ 地図