心腹の部 『鍼灸重宝記』t2

                                                『鍼灸重宝記』の経穴と主治 e4トップコーナ へ

心腹の部 『鍼灸重宝記』

                                                                             心腹の部、t2

鍼灸家にとって数々の鍼灸古典、臨床文献の中から、
自院の臨床の場で、主治穴を選択する事は容易ではありません。

小里勝之(こさとかつゆき)先生の臨床発表、「論考:身体各部の病症と経絡鍼灸治療」
をまとめる作業で気が付いたことは、

小里勝之先生は、経絡鍼灸治療の本治法、相剋調整法を基本の証決定としながら、
『鍼灸重宝記』を追試引用されていた点です。

そして、ゆっくり堂鍼灸院もまた、
日本の鍼灸の宝である『鍼灸重宝記』の主治穴を参考にして臨床にのぞみます。

そこで、『鍼灸重宝記』の経穴と主治をHPで構成してみました。

 

「心腹の部」につき下記の順に掲載します。

経穴名:
取穴:
灸法:
針法:
主治:

注1、文一行目は鍼灸学校にての流注番号、経穴名、所属経絡、取穴部位の記載です。

注2、文2段目、『鍼灸重宝記』 経穴名 ひらがな  ( 穴)の頭に、漢字の番号を付けます。

例: 一、『鍼灸重宝記』 天突  てんとつ (一穴)

注3、初めに「心腹の部」索引項目を記し、その後経穴詳細を掲載します。

————————————————————————————–
————————————————————————————–

「心腹の部」経穴索引項目  (合計:三七穴)

———————————————————————————————-

一、『鍼灸重宝記』 天突  てんとつ (一穴)

二、『鍼灸重宝記』 璇璣 せんき (一穴)

三、『鍼灸重宝記』  膻中     だんちゅう (一穴)

四、『鍼灸重宝記』     巨闕 こけつ(一穴)

五、『鍼灸重宝記』     上脘 じょうかん(一穴)

六、『鍼灸重宝記』 中脘 ちゅうかん (1穴)

七、『鍼灸重宝記』     建里 けんり(一穴)

八、『鍼灸重宝記』 下脘 げかん (一穴)

九、『鍼灸重宝記』 水分 すいぶん (一穴)

十、『鍼灸重宝記』 神闕 しんけつ(一穴)

十一、『鍼灸重宝記』 陰交  いんこう (一穴)

十二、『鍼灸重宝記』 気海 きかい(一穴)

十三、『鍼灸重宝記』 石門 せきもん(一穴)(一の名は丹田)

十四、『鍼灸重宝記』 関元 かんげん(一穴)

十五、『鍼灸重宝記』 中極 ちゅうきょく(一穴)

十六、『鍼灸重宝記』 曲骨 きょくこつ (一穴)

十七、『鍼灸重宝記』   雲門 うんもん(二穴)

十八、『鍼灸重宝記』  中府 ちゅうふ (二穴)

十九、『鍼灸重宝記』 気舎  きしゃ(二穴)

二十、『鍼灸重宝記』 缺盆  けつぼん(二穴)

二一、『鍼灸重宝記』 幽門 ゆうもん (二穴)

二二、『鍼灸重宝記』 通谷 つうこく(二穴)

二三、『鍼灸重宝記』 陰都  いんと(二穴)

二四、『鍼灸重宝記』 石関 せきかん(二穴)

二五、『鍼灸重宝記』  不容  ふよう(二穴)

二六、『鍼灸重宝記』 承満 しょうまん (二穴)

二七、『鍼灸重宝記』  梁門  りょうもん (二穴)

二八、『鍼灸重宝記』  関門 かんもん(二穴)

二九、『鍼灸重宝記』  太乙  たいいつ(二穴)

三十、『鍼灸重宝記』  滑肉門  かつにくもん (二穴)

三一、『鍼灸重宝記』 天枢 てんすう (二穴)

三二、『鍼灸重宝記』  気衝  きしょう (二穴)

三三、『鍼灸重宝記』 期門  きもん (二穴)

三四、『鍼灸重宝記』 腹哀 ふくあい(二穴)

三五、『鍼灸重宝記』 腹結 ふっけつ (二穴)

三六、『鍼灸重宝記』 章門  しょうもん(二穴)

三七、『鍼灸重宝記』 京門 けいもん (二穴)
———————————————————————————————-
———————————————————————————————-

「心腹の部」後経穴詳細

———————————————————————————————-

22 天突 てんとつ  所属経絡:任脈・ 取穴部位:頚窩の中央に取る.

一、『鍼灸重宝記』 天突  てんとつ (一穴)

取穴: 頚の結喉の下 四寸、宛々たる中。
灸法:灸三壮五壮、
針法:針一分五分、留ること三呼、気を得て瀉す。若、針を直に下し手を抵るときは、五蔵の気傷れて短命なり 。
主治:
面熱し 、上気教逆、気暴に端し 、咽腫、咽冷、声破(こえかれ)、喉中瘡を生し 、 膿血を咯(は)き 、瘖(お)して言こと能(あたわ)ず、寒熱、頚腫、 哮端(こうぜ:ほえるように咳する)、 喉中鳴、胸中魚鯁(うおのぎ:どに刺さる小さい魚の骨。)の立たるごとく、 舌の下急に、心と背 と相引て痛、膈嘻(かくき:むねがああ~) 、 嘔吐を治す。

———————————————————————————————-

21 璇璣 (せんき)所属経絡:任脈・ 取穴部位:天突穴の下1寸、胸骨柄正中線上に取る.

二、『鍼灸重宝記』 璇璣 せんき (一穴)

取穴: 天突の下一寸。
灸法:灸五壮、
針法: 針三分。
主治: 胸の骨痛み、煩れ(わずらわしい:心が悩まされるさま)、 喉痺(こうひ:のどしび)れ、 咽喉腫るを主どる。

———————————————————————————————-

17 膻中(だんちゅう)八会:気会・上焦の宗気・所属経絡:任脈・

取穴部位:両乳頭を結ぶ線が、胸骨体正中線上に取る.(乳頭は第4肋間の高さ)

三、『鍼灸重宝記』  膻中     だんちゅう (一穴)

取穴: 両乳の問、踊の真中。
灸法:灸七壮五十壮、
針法:禁針。
主治:
中気、上気、短気、咳逆、嘻膈(きかく:むねがああ~) 嘔吐、不食、端促、咳嗽、胸塞がり 、心胸いたみ、肺癰(はいよう:肺に膿がたまる)、
唾膿、乳汁少きを拾す。

———————————————————————————————-

14 巨闕(こけつ)心経の募穴・ 所属経絡:任脈・ 取穴部位:胸骨体下端の下2寸に取る.

四、『鍼灸重宝記』     巨闕 こけつ(一穴)

取穴: 肋骨の真中のはづれ、蔽骨より二寸下。
灸法:灸七壮より七々壮(49壮)まで。
針法:針六分留ること七呼、気を得て即ち瀉す、
主治:
上気、咳逆、胸っかへ短気、背いたみ、心痛み、痰飲、 霍乱(かくらん:もがいて手を振り回す、日射病や暑気 .)、 吐逆、驚悸(驚き動悸する)、怔仲(せいちゅう)、腹張、 暴にいたみ、 心恍(しんこう:何かに心を奪われて、うっとりすること。ぼうっとして我を忘れているさま。「恍惚」) 、不食、傷寒、心煩、嘔逆、発狂、黄疸、狐疝(せんき:気のむすぼれ・聚(じゅう))、 小腹張、尸厥(しけつ)(突然倒れて人事不省となり仮死状態になる)、妊婦子心へ衝て昏悶するを主る。

———————————————————————————————
13 上脘(じょうかん) 所属経絡:任脈・ 取穴部位:胸骨体下端の下3寸、中脘穴の上1寸に取る.

五、『鍼灸重宝記』     上脘 じょうかん(一穴)

取穴: 巨けつの下一寸、隣の上五寸。
灸法:灸日に十四壮より百壮にいたる 、未愈ずはこれを倍すべし。
針法:針八分。 先捕し 後に講す。風痛、熱病は 先づ潟し 、後に補して即愈。
主治:
腹鳴痛み、食化せず、震乱、吐利、腹いたみ、身熱し、汗出ず、翻胃、嘔吐、不食、腹張り、 気満、心松れ、驚悸(驚き動悸する)、嘔血、痰涎(たん、よだれ)多く  、 虫積、黄疸、虚労、吐血をつかさ どる。

———————————————————————————————-

12 中脘(ちゅうかん)胃経の墓穴・腑会・中焦の栄気 所属経絡:任脈・  取穴部位:神闕穴の上4寸に取る.

六、『鍼灸重宝記』 中脘 ちゅうかん (1穴)

取穴: 上院の下一寸、臍腐の上四寸。
灸法:灸日に十四壮より三四百壮まで。
針法:針一寸二分あるひは八分、留るこ と七呼、 瀉法五吸、はやく針を出す。
主治:
膈噎(かくえつ:むせぶ)、翻胃、不食、端息、腹脹、中悪、心腹いたみ、痢疾、疝気、積聚(しゃくじゅう)、 傷寒、疫病、温瘧(おんぎやく) 、 先腹いたみ先づ瀉すし 、震乱、洩出を知ず、身冷、俛き抑きしがたきを。

積聚(しゃくじゅう)については、難経 第五十五難にリンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/55nan/

———————————————————————————————-

11 建里(けんり)所属経絡:任脈・ 取穴部位:神闕穴の上3寸、中脘穴の下1寸に取る.

七、『鍼灸重宝記』     建里 けんり(一穴)

取穴: 中脘(ちゅうかん)の下一寸、臍の上三寸。
灸法:灸五壮、
針法:針一寸二分あるひは五分 、留ること十呼。
主治:腹脹、 身腫、 心痛、 不食を治す。

———————————————————————————————-

10 下脘(げかん)所属経絡:任脈・ 取穴部位:神闕穴の上2寸に取る.

八、『鍼灸重宝記』 下脘 げかん (一穴)

取穴: 建里(けんり)の下一寸、 臍の上二寸。
灸法:記載なし
針法:記載なし
主治:
臍下より動気上り 、腹堅く 、胃脹、腹いたみ、六府の気寒じ 、穀転化す 、羸痩(るいそう:疲れやせる)、
便赤く 、 翻胃、 不食を治す。

———————————————————————————————-

9 水分(すいぶん)所属経絡:任脈・  取穴部位:神闕穴の上1寸に取る.

九、『鍼灸重宝記』 水分 すいぶん (一穴)

取穴: 下院の下一寸、臍の上一寸。
灸法:水病には灸四十九壮より四百壮にいたる 、大によし。
針法:針五分、留ること三呼。水腫に刺せば水っきて即死す。
主治:
水腫、脹満、小便通せず、転筋、不食、臍腹いたみ、心に沖き 、腰背こはり 、腸鳴り 、 鼻衂血(はなぢ) 、小児顖(せん)陥るを治す。 。

小児顖陥る:幼児の頭蓋骨の泉門(せんもん)のこと。
骨がまだ接合していないために脈動に合わせてひくひく … てひくひく動く、頭頂のやわらかい部分。

———————————————————————————————-

8 神闕(しんけつ)所属経絡:任脈・  取穴部位:臍の中央に取る.

十、『鍼灸重宝記』 神闕 しんけつ(一穴)

取穴: 臍(へそ)の真中なり 。
灸法:灸も軽き病には猥(みだり)にすべからず。 急症・重き病には塩か味噌を布てすべし 。
:卒中風甦(よみがえ)らざるに灸百壮すれば甦る 、 それにでも 甦ずは又百壮すへし 。
針法:禁針也、もし刺せば 臍(へそ)の中、悪き瘍(ヨウ:かさ)を生じて死す。
主治:
中風卒倒甦(よみがえ)らず、久く冷て泄痢(えつり:下痢)止す、水腫、鼓脹、腸鳴り、臍腹いたみ、 小児驚風、てんかん、反張、脱肛を治す。

———————————————————————————————-

7 陰交(いんこう)下焦の衛気 所属経絡:任脈・  取穴部位:神闕穴の下1寸に取る.

十一、『鍼灸重宝記』 陰交  いんこう (一穴)

取穴: 臍(へそ)の下一寸。
灸法:灸廿一(21、二十一、にじゅういち、)壮より百まで。 娠婦には忌、
針法:針八分、気を得て即瀉す、瀉して後に補ふべし 。
此穴に灸針すれば一生子を孕(はら)まず。
主治:
心腹いたみ陰中に引て小便通ぜず、疝気(せんき:腰や下腹の内臓が痛む病気。)、 陰汗撞かゆく 、腰膝つりいたみ、 臍(へそ)下熱し 、 鼻血、 婦人の崩漏、月水たへず、 帯下、産ご悪露止ず、 臍の繞(まとう)り冷痛み、 陰痒く 、 積塊、 小児顖(幼児の頭蓋骨の泉門(せんもん))陥るを治す。。

———————————————————————————————-

6 気海(きかい)所属経絡:任脈・ 取穴部位:神闕穴の下1寸5分に取る.

十二、『鍼灸重宝記』 気海 きかい(一穴)

取穴: 臍(へそ)下の一寸半。
灸法:灸七壮、
針法:針八分。気を得て瀉し 、瀉して後に補ふべし 。
主治:
傷寒、湯水を多飲て腹脹、気喘き 、心の下痛み、冷病、面赤く 、真気不足し 、 一切の気病久しく差(いえ)ず、痩嬴(そうえい:やせるなり)、四支力弱く、 積聚(しゃくじゅう:難経 第五十五難)、せんき 、血塊、 臍(へそ)の下冷えていたみ、心痛、 中悪、泄痢(しゃり:下痢便が漏れる)、 大小梗通せず、崩漏、帯下、月水調はず、産後悪露止ず、臍腹痛み、うちみ腰いたみ、 小児の遺尿を治す。

———————————————————————————————-

5 石門 (せきもん)三焦経の募穴・ 所属経絡:任脈・ 取穴部位:神闕穴の下2寸に取る.

十三、『鍼灸重宝記』 石門 せきもん(一穴)(一の名は丹田

取穴:  臍(へそ)の下二寸。
灸法:灸七壮より二百壮ま 、
針法:針五六分、留ること七呼、或は八分、留ること三呼、気を得て即ち瀉す。
婦人此穴に針灸すれば一生懐妊せず。
主治:
傷寒、小便赤く通ぜず、泄瀉(せしゃ:下痢便が下す)止ず、血淋、吐血、積塊、せんき 、腹いたみ、 不食、水腫、 血塊、崩血を治す。

———————————————————————————————-

4 関元(かんげん)小腸経の募穴・ 所属経絡:任脈・ 取穴部位:神闕穴の下3寸に取る.

十四、『鍼灸重宝記』 関元 かんげん(一穴)

取穴:  臍(へそ)の下三寸。
灸法:灸七壮より三百壮まで、
針法:針一寸二分留ること七呼、或は八分留ること三呼、 瀉五吸、 妊婦は禁針。
主治:
精冷虚乏く 、 臍中絞いたみ、寒気腹に入ていたみ 、疝気(せんき:腰や下腹の内臓が痛む病気。)、 労熱、積聚(しゃくじゅう:難経 第五十五難)、風眩、 づっう 、洩利、 小便通ぜず、淋病、 失精、 白濁溺血、 下血、崩漏、 月水通ぜず、 帯下を拾す。

———————————————————————————————-

3 中極(ちゅうきょく) 膀胱経の募穴・所属経絡:任脈・ 取穴部位:神闕穴の下4寸、曲骨穴の上1寸に取る.

十五、『鍼灸重宝記』 中極 ちゅうきょく(一穴)

取穴: 臍(へそ)の下四寸。
灸法:灸五壮より百壮まで、
針法:針六分、留ること十呼、気を得て即ち瀉す。
子なき婦には四度針すれば子あり  、又孕(はら)婦にはいむ。
主治:
積塊心に上り 、疝気(せんき:腰や下腹の内臓が痛む病気。)、陰寒陽気虚憊(きょはい:弱り疲れる)、 水腫、 小便頻数、遺精、 さんご悪露行らず胎衣下らず、 月経調ず、 子門腫いたみ、 淋病、 恍惚、 尸厥(しけつ)(突然倒れて人事不省となり仮死状態になる)、 飢えても食すること能はず、を主る。

子なき婦には四度針すれば子あり  、又孕(はら)婦にはいむ。

———————————————————————————————-

2 曲骨(きょくこつ) 所属経絡:任脈・ 取穴部位:正中線上で、恥骨結合の上際に取る.

十六、『鍼灸重宝記』 曲骨 きょくこつ (一穴)

取穴: 臍(へそ)の下五寸、 横骨の上、毛際の陥中。
灸法:灸七壮より四十九壮まで、
針法:針二寸一寸あるひは六分、留こと七呼。
主治:
五蔵虚弱、冷極て小腹張痛み、小便通ぜず、淋瀝(りんれき:尿がさびしくしたたる)、 遺精、赤白帯下を治す。

———————————————————————————————-

2 雲門(うんもん)  所属経絡:手の太陰肺経 ・  取穴部位: 鎖骨下窩にあり、烏口突起の内縁、動脈拍動部 に取る。 三角筋と大胸筋の間

十七、『鍼灸重宝記』   雲門 うんもん(二穴)

取穴: 結喉の下五寸、左右へ六寸づっ焔中。
灸法:灸五壮。
針法:針三分、
主治:
傷寒、手足熱し、気のぼり心胸をつき、脇より背にとをりて痛み、肘をあぐること能ず、
喉痺(こうひ:のどしび)れ、 しゃくり、短気、痩気を治す。

———————————————————————————————-

1 中府(ちゅうふ)募穴・  所属経絡:手の太陰肺経 ・  取穴部位: 雲門穴の下1寸に取る.(正中線外方6寸)

十八、『鍼灸重宝記』  中府 ちゅうふ (二穴)

取穴: 雲門の下一寸。
灸法:灸五壮、
針法:針三分。
主治:
腹脹、手足はれ、食下らず、端気、胸痞(きょうひ:胸のつかえ)、肩背いたみ、 嘔啘(おうえつ:)、欬逆、上気、肺系ひきつり、 肺の寒熱、胸ふるひ、膽(きも)熱し、欬唾、 濁涕(だくてい:濁った鼻汁)、風汗出、面浮、少気して 、臥ことならず、傷寒、胸中熱し、 遁死をつかさどる。

———————————————————————————————-

11 気舎(きしゃ)  所属経絡:足の陽明胃経・ 取穴部位:小鎖骨上窩中央に取る.

十九、『鍼灸重宝記』 気舎  きしゃ(二穴)

取穴: 天突( 結喉の下西寸)の左右へ各一寸五分づっ。
灸法:灸五壮、
針法:針三分。
主治:上気、肩腫て顧こと能ず、 こうひ、咽腫、飲食下らず、 しゃくり、癭瘤(こぶ)をつかさどる。

———————————————————————————————-

12 缺盆(けつぼん)  所属経絡:胃経・ 取穴部位:大鎖骨上窩にあり、鎖骨上際陥凹部、乳頭線上に取る.

(注)腕神経叢、鎖骨下動脈が深部にあり、拍動を触れる. 肺尖部に近いため刺鍼に注意を要する.

二十、『鍼灸重宝記』 缺盆  けつぼん(二穴)

取穴: 天突の左右へ各四寸、肩の下、横骨の上廉、くぼみの中。
灸法:灸三壮、
針法:針二分、留こと七呼。 ふかく刺べからず。
主治:
水浮、積聚(しゃくじゅう:難経第五十五難)、瘰癧(るいれき:頸部(けいぶ)リンパ節結核の古称。)、 端急、こうひ、汗出、寒熱、缺盆の中腫、胸みち、傷寒、胸の中熱するを治す。

———————————————————————————————-

21 幽門(ゆうもん) 所属経絡:足の少陰腎経 ・ 取穴部位: 巨闕穴の外5分、肓兪穴の上6寸に取る.

二一、『鍼灸重宝記』 幽門 ゆうもん (二穴)

取穴: 臍(へそ)の上六寸、 巨闕穴の左右へ各五分  (一日、一寸五分づつ) づつひらく。
灸法:灸五壮。
針法:針一寸、
主治:
小腹脹満、涎沫を嘔吐し 、いきれもだへ、胸みちいたみ、不食、欬逆、健忘、膿血をくだし、 目赤いたむを治す。

———————————————————————————————-

20 腹通谷(はらつうこく) 所属経絡:足の少陰腎経 ・取穴部位:上脘穴の外5分、肓兪穴の上5寸に取る.

二二、『鍼灸重宝記』 通谷 つうこく(二穴)

取穴: 幽門の下一寸、上院の左右へ五分づつ。
灸法:灸三五(15)壮。
針法:針五分、
主治:
口喎み不言、心恍(しんこう:心がうつろ)、 目赤いたみ、痰飲、嘔吐、 しゃくじゅ(積聚しゃくじゅう:難経 第五十五難)を治。

———————————————————————————————-

19 陰都(いんと) 所属経絡:足の少陰腎経 ・ 取穴部位:中脘穴の外5分、肓兪穴の上4寸に取る.

 

二三、『鍼灸重宝記』 陰都  いんと(二穴)

取穴: 腹通谷の下一寸。
灸法:灸三壮。
針法:針三分、
主治:心満、逆気、腹鳴、肺脹、 目赤いたむを治す。

———————————————————————————————-

18 石関(せきかん)  所属経絡:足の少陰腎経 ・ 取穴部位:建里穴の外5分、肓兪穴の上3寸に取る.

二四、『鍼灸重宝記』 石関 せきかん(二穴)

取穴: 陰都(ゐんと)の下一寸。
灸法:灸三壮。
針法:針一寸、
主治:
嘔吐、 しゃくり、腹いたみ、気淋、大小便通ぜず、心下堅満、脊強り、目赤く 、女の血塊を治す。

———————————————————————————————-

19 不容(ふよう) 所属経絡:胃経・ 取穴部位: 天枢穴の上6寸、巨闕穴の外2寸に取る.

二五、『鍼灸重宝記』  不容  ふよう(二穴)

取穴: 幽門の傍ら相去こと一寸五分。
灸法: 灸三壮五壮、
針法:針五分八分。
主治:
腹みち、痃へき(痃癖:けんぺき、けんべき、けんびき: 肩凝り)、唾血、肩脇いたみ、 心背いたみ、 咳すれば肩に引て痛み、咳嗽、疝瘕(せんか: 腹中に瘀血が停滞した 。)、不食、 腹鳴、嘔吐を。

———————————————————————————————-

20 承満(しょうまん) 所属経絡:胃経・ 取穴部位: 天枢穴の上5寸、上脘穴の外2寸に取る.

二六、『鍼灸重宝記』 承満 しょうまん (二穴)

取穴: 不容(ふよう)の下一寸、上院の両傍へ各二寸 (一に曰く、三寸)  。
灸法:灸三壮五壮。
針法:針三分、
主治:腸鳴、腹はり 、上気端逆、飲食下らず、肩息、唾血を。

———————————————————————————————-

21 梁門(りょうもん)  所属経絡:胃経・ 取穴部位:天枢穴の上4寸、中脘穴の外2寸に取る.

二七、『鍼灸重宝記』  梁門  りょうもん (二穴)

取穴: 承満の下一寸。
灸法:灸五壮。
針法:針二分、
主治: 脇下積気、不食、滑泄完穀化せさるを治す。

———————————————————————————————-

22 関門(かんもん) 所属経絡:胃経・ 取穴部位: 天枢穴の上3寸、建里穴の外2寸に取る.

二八、『鍼灸重宝記』  関門 かんもん(二穴)

取穴: 梁門(りょうもん) の下一寸。
灸法:灸五壮。
針法:針八分、
主治:
端満、積気、腸鳴いたみ、泄痢(しゃり:下痢便が漏れる)不食、腹中気はしり、臍を夾(はさみ)てひきつり痛み、身腫、 痰瘧(たんぎゃく:痰を伴い(1日とか2日おきというように周期的に悪寒戦慄と発熱を繰り返すという特徴のある病状) 振寒し 、遺溺するを治す。

———————————————————————————————-

23 太乙(たいいつ)  所属経絡:胃経・ 取穴部位:天枢穴の上2寸、下脘穴の外2寸に取る.

二九、『鍼灸重宝記』  太乙  たいいつ(二穴)

取穴: 関門(かんもん)の下一寸。
灸法:灸五壮、
針法:針二分。
主治:心煩、 てんかん、 狂乱、 舌を出すを治す。

———————————————————————————————-

24 滑肉門(かつにくもん)  所属経絡:胃経・ 取穴部位:天枢穴の上1寸、水分穴の外2寸に取る.

三十、『鍼灸重宝記』  滑肉門  かつにくもん (二穴)

取穴: 太乙(たいいつ)の下一寸。
灸法:灸五壮、
針法:針八分。
主治:癲狂(てんきょう:精神の平衡を失う。)、嘔逆、 吐血、 重舌、 舌こわきを治す。

———————————————————————————————-

25 天枢(てんすう) 大腸経の募穴・  所属経絡:胃経・ 取穴部位:臍の外2寸に取る.

三一、『鍼灸重宝記』 天枢 てんすう (二穴)

取穴: 臍の左右へ二寸づっ。
灸法:灸五壮よ り百壮まて 、
針法: 千金方に曰く針すへからず。
主治:
泄瀉(せしゃ:下痢便を下す。)、 痢病、 不食、 水腫、 腹脹、腸鳴、 上気胸に沖き 、 久積冷気臍腹痛、 嘔吐、霍乱(かくらん)、瘧り(ぎゃくり:1日とか2日おきというように周期的に悪寒戦慄と発熱を繰り返すという特徴のある病状) 傷寒、水を飲て腹はり 、女の血塊、漏下、 帯下、月水調さるを主る。

———————————————————————————————-

30 気衝(きしょう)  所属経絡:胃経・ 取穴部位:天枢穴の下5寸、曲骨穴の外2寸に取る.

三二、『鍼灸重宝記』  気衝  きしょう (二穴)

取穴: 両股の付根動肱ある所也。俗に云、いのもも処ぐりぐりする円き小骨の一寸上にあり 。
灸法:灸三壮七壮。
針法:禁針、
主治:
腹みち、疝気(せんき:腰や下腹の内臓が痛む病気。)、陰丸はれ、
小腹腰いたみ、婦人子なく 、胎衣下らざるを治す。

———————————————————————————————-

13 期門 (きもん ) 所属経絡:足の厥陰肝経 ・肝経の募穴・ 取穴部位: 第9肋軟骨付着部の下際に取る

三三、『鍼灸重宝記』 期門  きもん (二穴)

取穴:  不容(ふよう胃経)の傍ら一寸五分 、又日、乳より直に一寸半下。
灸法:灸五壮。
針法:針四分、
主治:
胸中煩熱、 賁豚上下、目青して嘔し 、霍乱(かくらん)、洩利、腹かたく大にして、端き臥こと能(あたわ)ず、 脇下積気、傷寒の心痛、嘔酸、不食、食後に水を吐き、胸脇支満、血塊、 口かはき消渇、 さんごの餘病(よびょう)、 尸厥(しけつ:突然倒れて人事不省となり仮死状態になる) 、傷寒の腹みち、譫語(せんご:戯言:たわごと)、 寸脉微にして緊なるもの、 又発熱悪寒し、 大に渇き、腹満、 自汗、小便利する者、又五六日譫語止ざる者、 婦人傷かん 、発熱、悪寒、 経水たまたま来り 、 七八日熱除て脉遅、身涼く 、胸脇満、譫語するは、熱、血室に入る。
みな期門に刺して愈。

賁豚上下、の意味。
五十六難の訓読。 リンクしてご覧ください。
http://yukkurido.jp/keiro/nankei/56nan/
腎の積を名けて賁豚(ほんとん)と日う、
小腹に発して上りて心下に至り、豚の状の若く、或は上り、或は下り、時なし。
久しくして巳えざれば人をして喘逆して骨痿え、少気ならしむ。
夏丙丁(ひのえ・ひのと)の日を以って之を得る。
何を以って之を言えば、 牌病んで腎に伝う、 腎当に心に伝うベし、心は夏を以って適に玉ず、
王ずるものは邪を受けず、腎復た牌に還さんと欲す、牌肯て受けず、故に留結して積となる。
故に知らんぬ、賁豚は夏丙丁の日を以って之を得ることを。

———————————————————————————————-

16 腹哀(ふくあい) 所属経絡: 足の太陰脾経・ 取穴部位:大横穴の上3寸、建里穴の外3寸5分に取る.

三四、『鍼灸重宝記』 腹哀 ふくあい(二穴)

取穴: 期門 (きもん肝経 )の下二寸、 腹の中行を去こと四寸半。
灸法:針三分、
針法: 禁灸。
主治:中寒、食化せず、大便に膿血をくだすを主ドル。

———————————————————————————————-

14 腹結(ふっけつ) 所属経絡: 足の太陰脾経・ 取穴部位:大横穴の下1寸3分に取る.

三五、『鍼灸重宝記』 腹結 ふっけつ (二穴)

取穴: 腹哀(ふくあい脾経)の下回寸八分。
灸法:灸五壮。
針法:針七分、
主治:欬逆(けつぎゃく:のぼせる咳。)、 腹冷、 臍いたみ、泄瀉(せしゃ:下痢便を下す。)、 心痛を治す。

———————————————————————————————-

12  章門 (しょうもん) 所属経絡: 足の厥陰肝経・脾経の募穴・ 取穴部位: 第11肋骨前端下際に取る

三六、『鍼灸重宝記』 章門  しょうもん(二穴)

取穴:臍の上二ー寸、両旁へ九寸づつ。
側臥て、うへの足をかがめ下の足をのべて、肘の尖のあたる処の肋の端。
灸法:灸百壮五百壮まで。
針法:針六分八分留ること六呼、
主治:
腹鳴、食化せず、胸脇いたみ、臥すことを得ず、煩熱、 口乾き、不食、端息、心痛、食傷、 嘔吐、 腰脊冷いたみ、 白濁、寒疝(かんせん:冷えて腰や下腹の内臓が痛む病気。)、 積聚(しゃくじゅ:難経 第五十五難)、腹腫、脊強り 、肩臂(かたひじ)挙らず、 四支懈惰(しし かいだ:手足がなまけること。)、 身黄に痩せ、 善おそれ、少気、 厥逆(ケツギャク:四肢の冷えのひどいこと。)を治す。

———————————————————————————————-

25 京門(けいもん) 腎経の募穴・ 所属経絡:足の少陽 胆経・ 取穴部位:第12肋骨前端下際に取る.

三七、『鍼灸重宝記』 京門 けいもん (二穴)

取穴: 直に章門(しょうもん肝経)の後十一枚めの肋骨の先、
すこしへこみある陥み、俗に後章門といふ処なり。
灸法:灸三壮、
針法:針三分、留こと七呼。
主治:
腸鳴り 、小腹いたみ、肩いたむを治す。

———————————————————————————————-

心腹の部 『鍼灸重宝記』おわり

                                                        『鍼灸重宝記』の経穴と主治 e4トップコーナ へ

 

ヘッダー トップページ お問い合わせ サイトマップ 地図